一穂ミチのレビュー一覧
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ネタバレ和章の、石蕗先生の、柊の、それぞれの抱えたいびつな棘が、歪なまま静かに受け入れ、他者の存在によって許されていくまでの物語。
柊ちゃんの両親はいわば息子に捨てられたも同然で、書き下ろしでお母さんの痛みがちゃんと触れられていたのにもホッとしました。
柊ちゃんはあそこで両親ともちゃんとわかり合った上で本当の意味で大人になれたんだなぁと。
一文一文の研ぎ澄まされた表現がとにかくどうしよもうなく好きで、初めて読んだ場面と同じ場面でやっぱりまた泣いてしまう。
和章と柊が異なる世界に生きてきた同士だからこそ惹かれ合い、和章の中に新しい色がどんどん足されていくこと、その色彩に戸惑いながらもふたりの恋がどんど -
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「ふったらどしゃぶり」のスピンオフ完全版。
前作との違いは読み比べていないのでわかりませんが、読むとやっぱり和章も幸せになって良かったな~という気持ちに。
その相手である柊の話でもある今作は、傷を負った人間が傷を背負ったまま生きていくのに苦しんで、悩んだ末に自分以外の人間によって救われる…というか背負ったまま生きていけるようになる話、かなと。
解決を得ないまま死んでしまった柊の祖父のことを考えると悲しくなりますが、和章がいることによってその痛みが少しでも軽くなるのなら、それ以上のことはないように思います。自然と寄り添い合っていくこの二人には、穏やかで静かな愛情が似つかわしい。素敵なお話でした。 -
購入済み
面白かった
「雪は林檎の~」に出てくる栫さん登場のスピンオフ作品。相変わらず、関わったら厄介だよな、という感じの彼にこんな過去があったなんて。
ツンデレどころかツンツンな感じで素直じゃない栫さんだけど、嫌いにはなれないので幸せになってほしいなあ。 -
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ネタバレあっれ発売日に買ってるのに登録し忘れてる…。
新たなスピンオフ作は設楽Pとなっちゃんの師匠、相馬さん。
横顔〜での相馬さんのダウンから物語は始まり、時間軸は一気に引き戻され、物語は「報道にいた頃の相馬のトラブルと、設楽の地方への左遷」の経緯へと踏み込んでいく。
一穂さんお得意の天才でキレ者な人間的に問題ありな栄の人物造形はああ、佐伯さん…笑
設楽さんは相馬さんの才能になにより魅せられているからこそどんなに苦しくても投げ捨ててしまいたくても辞めないでほしいと願う、その切実さは残酷でもあり、痛々しくもある。
取り替えしのつかない罪にどう向き合い、その後の人生をどう生きるのか」「報道」の果たすべ -
Posted by ブクログ
ネタバレ付き合おう、とようやくスタートラインに立ったふたりが恋人同士になっていく過程の物語。
後半の方だけ何冊か読んでいたので知らなかったエピソードがいくつも読めて本当にうれしい〜。
体を先に知ってセックスで結ばれた後に恋をして日々を積み重ねていくふたりの何気ないやりとり、同じ会社の同期であることの摩擦や社内での様子、周囲のゆっくりとした変化、さまざまな思いに愛おしさが募るばかり。
安達くんがお父さんに……そうかそうかぁ。
日常を彩るエピソードがどれも印象的でしょっぱなの巻き寿司からかわいすぎてきゅんきゅんしてしまった。
セックスで結ばれている、というふたりの強いつながりと思いのあり方が落としていく -
購入済み
納得!
もう、こんなにレビューあるんだからいいじゃんって思うんですが。
でも、言いたい………
腐女子でこのシリーズ読まないなんて考えられないです!!
全人類とか、全ての人にとか、誇張でも何でも無かったゎ〜〜。
あ〜〜びっくり。
サイコー。
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購入済み
たまりません
一穂さんの本のなかではこのシリーズが一番好きだけど、その中でもピカイチ。
もっと続きが読みたい。
日常の、幸せな栄が見たい。
計や麻生とのやりとりもみたいな。 -
ネタバレ 購入済み
1番好きなBL小説!
大好きすぎて何度読み返したか分かりません!
友達から急に告白された攻めの入江視点で物語は進んでいきます。
告白を断った後も受けの遥は一見淡々と過ごしている感じなんだけど、揺れ動く心が入江を通して見えてとても切ない。想いが叶うとは思ってもいない遥が離れて行こうとした時、2人に急展開が訪れます。
田舎へ帰る前日にアパートへやってきた入江にディッシャーのことを指摘され抱きしめられたとき、それまでの押し殺し続けてきた想いが溢れるシーンは何度読んでも泣けます。
2人の後日談でしっかり入江も遥に惚れ込んでいるのが伝わってきて、最後はとても幸せな気持ちになれます。続編があったら絶対買う作品! -
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良かったよおおお。いかにもな感想ですが、栄の“喪失と再生”が描かれていて泣けました。そして設楽との関係性にも萌えた。読む前は設楽と栄という組み合わせに戸惑いを覚えていたけど、萌えました。大好きです、アダルト組。
一番心に残ったであろう日が、最悪の日に塗り替えられた後。そこから大きくそれぞれの道が別れてしまい、色々あった後にまた道が重なり合う。
本作では栄視点で語られていたけど、設楽側を想像すると悶える。寛容に見えて、実はずっと栄に執着してたんじゃないか、設楽P。(個人的希望)
モチーフはニューシネマパラダイス。映像見るシーンは私も泣いた。そして、番組を作りあげるところはイエスノーの真骨頂を見た -
購入済み
番外編の続きです。イエスかノーかシリーズの当て馬的キャラは皆好感をもてるというか、ドロドロもやもやしないので気持ちよく読めます。 でもやっぱり本編のキャラとの絡みが面白いかなぁ。続編も楽しみです。
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ネタバレ出会う前と出会ってからでは様々なことが変わってしまって、出会う前には戻れない、という読書体験が稀にある。この本はそういうお話。
旧版も、手に入る分だけ読んだその後の同人誌もほんとうに好きすぎて、改めて読める喜びで胸がいっぱい。
細かなエピソードがちょこちょこ(性欲の強い彼女、整が睫毛を全部抜いた、彩子さんの強烈すぎるパンチセリフ)あたりがカットされたパートですね。
視力検査のくだり、この発想とアイデアはどこから来るの? 本当に面白いな。
一顕の焦燥はより一層生々しく、整の危うさはより一層と鮮烈に深く鋭くこちらに迫るよう。
「欲すること」を取り上げられ、自分の生き方はおかしいのか? と蝕まれなが -
ファンならぜひ読んでみて!
イエスノーを一気読みしたあと、もっともっと潮と計が読みたくて購入しました。
同人誌発表作を含む特典などのSSが中心なので、全てコンプリートしてる人には物足りないかもしれませんが、これで一冊にまとまっているので時々思い出したときに一編ずつ読むというのもまたいいかなと思います。
全体を通して潮と計が一緒にいられて幸せなんだなぁと感じられる作品です。
買ってよかった!紙版購入ですが、電子でも欲しい!でたら買おう!と思ってました。
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竜起をライバル視しているコタ登場。仕事で一緒になるうちにコタは深を好きになり、竜起との関係を明かせない深は困惑する―。
コタの竜起への屈折した感情を理解してしまう深。おまけに愚直なまでに恋心を向けてくるコタを嫌いにもなれない。この辺の複雑な心理描写が好きだったなー。もちろん深の竜起に対する気持ちは変わらないが、自分以外の誰かに対しての理解あるいは共感という感情は、ときどき恋に近いものがあると思うので、このままコタが深の近くにいたら竜起も気が気じゃなかったと思います。個人的にギリギリのラインでの揺れる心情とか好きなので、卓球シーンでのなっちゃん、そしてそれを鋭く察した竜起の嫉妬もおいしかった。そ -
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ネタバレ待ちきれずにディアプラで読んでいたけれどやっぱりまとめて読めるとうれしい〜。そして書き下ろしは計潮カップルとなっちゃんたちの遂にご対面。ひとまず皆川くんが潮のことイケメンっていうところにすごくきゅんとしてしまった。王子が王子だから忘れがちなんですけど潮はイケメンなんですよ…新幹線にお弁当持ってきてくれるところにキュン死するかと思った。
「計のことを見ててくれてありがとう」のくだりにそれはまぁぐっときてすこし泣きそうでした。
そこに込められたものを感じ取れるなっちゃんの優しさがすごくすき。
わたし潮のこと前からだいきなんですけどここにきてますます彼氏力がうなぎのぼりですね!
まぁなっちゃんから見 -
Posted by ブクログ
ネタバレ※ネタバレあり
前半は攻めの強引さについていけなかったしエロ描写が異様に力はいってて違和感あったんですが、後半からはもうひきこまれちゃって涙流しながら読んでました。てっきり記憶喪失ものかと思ったけど良い意味で裏切られた。攻めが昔の脳のダメージ?のせいで受けを好きになり、手術でその感情がなくなってしまうというある意味地雷要素。だけどそこの二人の微妙な関係が切なくてやるせなくて…前半の流れが後半でよく活かされてたと思う。これは報われないパターンかとヒヤヒヤしたぶん、また攻めが受けに気持ちを寄せていってくれたことに安堵しかなかった…。一穂さんってテンプレな話が少ないような…ちょっと自分的にアタ -
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何度も読み返してる大好きな1冊。
軽くてお馬鹿で器用な竜生が、恋に落ちます!
お相手はADのなっちゃん。なっちゃん、関西弁で健気な頑張りやさん、とってもかわいいです!
挿し絵がほんとーにイメージぴったり!
竜生の恋の話ではあるんですがどちらかとゆうと、なっちゃんがメインのお話で、なっちゃんに感情移入します。
なっちゃんが全てを捧げていた番組「ゴーゴーダッシュ」の最終回をふたりで見るシーンはほんと泣けます。
竜生がなっちゃんの隣にいてくれてよかった。
恋のお話だけでなく、社会人であれば誰もが共感できる悩みや葛藤も描かれています。
二人のお話ももっと読みたいです。
続編が雑誌に掲載あったみたいな