一穂ミチのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ▼あらすじ
八年のイギリス駐在を経て日本に戻って来た達生(たつお)は、帰国したその足でオフィスに向かい、 海外赴任中に入社したり異動してきた社員たちと初めて顔を合わせることに。
しかし、達生の存在に気づいていないのか、ひとり黙々と仕事を続ける男がいた。
その男――和(なぎ)は、渡英直前に旅先で一夜を共にし、置き去りにしてきた相手だった……。
白くて、四角くて――砂糖みたいにとびきり甘いきみ。
大人のためのビタースウィート・ロマンス。
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途中で何度も目頭が熱くなりました。
BL小説でこんなにも心が揺さぶられ、感動したのは久し振りです。
一度読み始めたら止められなくて、一気にラストまで読んでしまいました。
読み終わった後、口から思わず深い溜め息が。何て素晴らしい作品なんだろう、と。
この方の作品は初めて読んだのですが、最初は、「何だか不思議な文章を書く方だなぁ」と思いました。
不思議といっても悪い意味ではなく、どこか詩的で美しい響きがあるというか。
言葉の選び方だとか表現の仕方が独特で、心にストレートに訴えかけてくるような。
例えば、こんな感じで。
“和は笑った。
ふわりとほどけた口元や頬や目は、いつか飲んだ、湯を注ぐと花のかたちに開く茶を思い出させた。
誰かの中国の土産だった。とても良い香りがした。
解き放たれたように細い葉を広げ、ゆらゆらたゆたう様をいくらでも見ていられるような気がした。”
私はこの美しい表現の仕方に、凄く感動してしまいました。
そして別の場所で「一穂ミチは文学だと思う」と仰ってる方を見て納得しました。
確かにこの方の書く文章には文学に通ずるものがあると思います。
登場人物のリアルで生々しい感情の描写は勿論、とにかく景色の描写が素晴らしい。
まるで自分までもがその場に立って、見て、肌で感じているような。
こんなにも五感を刺激する文章が書ける方はBL界では珍しいかと思います。
キャラクター達も、人間味溢れてて妙にリアルなんですよね。
達生なんて旅先でまだ未成年だった和に手を出してあまつさえ何も言わずに置き去りにしてしまうんですが、酷い人だと思えないのはそれだけ清坂達生というキャラクターが魅力的で、尚且つ心情が理解出来るから。
別れのシーンなんて切なくて本当に泣きそうになりました…。
達生の臆病で卑怯な部分は大人の狡いところでもあり、弱いところでもあり、同じ大人ならば誰もが共感出来る部分なので憎めないんですよね。
それどころか終盤は背中を思いっきり押して応援したくなりました。
ラストが少し駆け足気味だったので、前半のようにもっとページを使って煮詰めてくれると嬉しかったのですが、8年という時を経てようやく想いが通じ合った瞬間はやはり凄く感動しましたし、正直、欠点を上げるのが難しいぐらいかなり面白かったです。
とりあえず、和がラストでちょっと子供っぽいというか、昔みたいな性格に戻ってくれたのが嬉しかったです。
「なして?」って方言といい、彼の可愛さは反則…!(笑)
達生は達生で尻に敷かれそうだし、この続きが読めないのが残念でならない…。
この作品は、まるで一杯の珈琲に角砂糖を一個だけ入れて溶かしたような。
ほろ苦くて、それでいてほろ甘い。そんな素敵なお話です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ林檎〜のスピンオフ、人の感情を玩具のように弄ぶ脅威の男・栫と何故かそんな彼にどうしようもなく引き寄せられてしまった生協バイトの青年嵐のお話。
BLのレーベルから出てはいますが、物語の本質は数奇な運命に翻弄される人たちのサスペンスドラマなのかな。
止まった時間に囚われて壊れてしまった栫とその家族、母親である翠子の描写はぞっとするほど。
5年間付かず離れずの距離で友人として付き合い続けてタイミングを見計らったように秘密を暴いて感情を砕こうとする栫は怖すぎる……。
内側から破綻した栫にとって、それでも自分から離れようとしない嵐は彼が初めて手にした希望であり、生きる意味に繋がる程の唯一無二の存在なのだろう。
嵐が栫に絡め取られてしまったように、栫もまたずっと、嵐に見えない引力に似た強い力で引き寄せられていたのであろう事が端々から感じられます。
シンメトリー、砂時計、二人で行った深夜映画、ガラス……それぞれのモチーフが印象的で読んだ後も鮮烈に残り続けます。
砂のようにさらさらと流れ落ちていく文章と物語の運び、人間心理がどんどん暴かれていく描写や独特の台詞回しから見えるキャラクターそれぞれの生々しい人間性にはなんだか凄い物を読んだな…と唖然とさせられました。
(hello,againでの二人の変化は『互いに離れられない』と想いを強く深めたからこそなのかな、と。)
一穂さんの頭の中はどうなってるんだろう、と圧倒されつつ息もつくのを忘れて読み進めました。 -
ネタバレ 購入済み
もう~大好き
すごくいいお話!
初めて読んだ一穂さん作品で、これをきっかけに一穂ワールドにはまりましたが、このお話がダントツ好き!!
13年経っても、一束を真っ直ぐに求めてくる男らしく純粋な先輩にもうドキドキが止まりませんでした!
不器用ながらも先輩を想う一束も可愛くて、、
写真立ての間から一束の書いた英文の紙切れが出てきた時は、BL読んでいて初めて涙が出ました。
なんて素敵な世界観なんだろう…
もっともっと二人の話が読みたい…
いつか再びこの二人の話で続編が出ることを願ってやみません。 -
Posted by ブクログ
なんというか本当にしみじみとするお話でした。
一穂さんの他の本、他の新聞社シリーズに比べて本の厚さが薄い…?と思い割とさら~っと読み終わっちゃうのかな?と思っていたのですが、その考えを裏切る、読み応えのある本でした。
このページ数に、主人公の二人、有村望と和久井冬梧の長い長い年月の物語が描かれています。
話は過去、有村と和久井の出会いから始まり、二人の別れ、そして十七年後の再会…までが書かれています。
二人の出会いは、証明写真のボックスという何故ここ!という場所なのですが、その出会いが最後にとても大切な意味を持ちます。最初は想像できなかったのですが、全て読み終えた後に、この出会いのシーンをもう一度読むと、とても素敵で切なくてドラマチックだな…と思いました。
その他にも、やっぱり一穂さんは物語の中の時間の進み方の描写や、二人の関係や感情を、ストレートではなく、彼らの生活の中にあるものや場所で描写するのが上手だなと。
それは私達の身近にもあるものや問題で(時にはなるほどと思うこともあるけど)すごく説得力があって、よりこっちが感情移入してしまう気がします。テーマやモチーフの選択が絶妙と言うか、素敵すぎます。
そしてこれを読むと、今回サブキャラとして出てきていた良時や西口の話を読み返したくなりました。
もちろん、これ一冊だけでお話は分かるのですが、私は是非一穂さんの新聞社シリーズは全部読んで欲しいなと思います。 -
購入済み
年下攻めに目覚めた!
やっぱり大好き一穂さん!
タオルにくるまるくだりがなんだかほっこりと幸せでした。
数真が最中によくしゃべるのがかわいくてきゅんきゅんしました。年下攻めとか特に好きとも嫌いとも思ってなかったけどこれはいいなー -
購入済み
おとぎ話のゆくえ
情景描写は美しく、私も思わずその街をそぞろ歩きたいと思ってしましました。自分の境遇を悲観しているわけでもないが、寄る辺もなく、虚ろな心に、確かな故郷を見つけ変わっていく主人公の様子。せつない別れにキュンキュンして涙が止まりませんでした。読後あったかい気持ちになれました。いいもの読ませていただきました。
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Posted by ブクログ
毛糸工場の息子、真尋とシャツ屋の息子、理一の不器用で可愛らしい恋のお話でした。
まさに毛糸みたいにふわふわした容姿で、縦横無尽に形を変えていくような真尋の性格と、シャツのようにピシッと形を整えたような理一の性格は真逆のようで、でも何かを作り上げていくということへの真っ直ぐなところは似ていたりして、その2人が近くなったりすれ違う心情がすごく丁寧に描かれていて、じーんとしました。
一穂さんはモチーフというかテーマの選択と、それに付随するキャラクターの作り方が本当に上手くて、文章の上手さと共にいつも感動させられます。
真尋の心情を毛糸の網目に置きかえて、連なったりほどけたりという風に表現しているところがすごく真尋らしくて、うっかり編み物したくなりました。
攻めの理一のかっこよさがもっと出て欲しかったですが(最後はすごく男って感じでかっこいいです)、ほんわかする温かい素敵なストーリーで私はすごく好きです。 -
購入済み
コレキター。
本作(大変失礼ながらも)珍しくのっけから食い付ける勢いがありました(笑)。大抵の一穂さん作品はデンと構えて読み進めないとなんと言うか盛り上がりに辿り着けない印象なんですが、本作は「結」に繋がる小さな手がかりが最初から散りばめられてて推理するまでには至らないものの先を予想しつつ「おぉそお〜くるか」と意外な裏切りに良い意味でヤキモキさせられて休む間もなく気づけば読み終えてました。縁のおそらくは稀であろう病気のせいで「人を好きになる」という人として自然な成り行きもすら自ら否定してしまう件にはやり切れない憐憫と切なさを感じましたが数真のお日様のよーな呑気な温かさに本当に救われる思いでした。辛い経験を経たからこそ、なんでしょうか。。どちらの深層心理にも心打たれるものがあり、またも一穂さんに「チクショー!参りました」でした(笑)
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購入済み
感動しました!
やっぱり一穂さんはいいよねー!
少し切ないんだけど、最後にはほっこり、じんわり感動が待ってるのよねー!
また別の作品を読みたくなりました!(*^^*) -
購入済み
ずっと読んでいたい世界観
「ふったらどしゃぶり」がとても良かったので、他の作品も読んでみようと思った作家さん。やはり正解でした!
ラブラブのあまり、リアル感が薄くなってしまう作品があまり好きではないので、
この作品はBLということを意識せずに読めるほど、描写がしっかりしていました。
高校生時代もそうですが、社会人になってからの台湾の風景などもきっちり書かれていて、土地の魅力が伝わってきたのが印象的でした。
もちろん恋愛関係も甘すぎず、納得できる展開でした。圭輔の気持ちの強さがたまらん…。
過去と未来がつながる瞬間、そしてタイトルの意味がわかり、ぐっときました。