瀬尾まいこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
友達ができる瞬間を描いた3篇の短編集。年齢が上がるほど友達を作るのは難しくなるよなって思ってたけど、作者自身のあとがきによると年齢は関係ないらしいです。強い人ですね。
「夏の体温」
「ちびまる子ちゃん」は小3で大人びててシニカルな女の子だった。性差で考えちゃいけないらしいけど、やっぱり体感として、小3くらいの男の子はおバカで単純で、「ちびまる子ちゃん」の主人公は女の子じゃなきゃ成り立たなかったなと思う。しかしながら、本作の主人公瑛ちゃんは大人びててシニカルな小3の男の子。特殊な環境が否応無く子供を早熟させるのだとするとちょっと悲しいなと思った。
「魅惑の極悪人ファイル」
「そして、バトンは -
Posted by ブクログ
主人公・宮路は29歳、無職。親の仕送りでなんとか暮らしながら、“ミュージシャン志望”を名乗る男。
そう聞くと救いようがないようでいて、実際の宮路は不器用なりに素直で、どこか放っておけない。
介護施設の入居者たちとのやりとりがとても温かい。
率直で人間くさい会話の中に、宮路の優しさや成長がにじむ。
好きな音楽や人に夢中になる姿も、無様だけどまっすぐで、憎めない。
人生をこれからどう生きるか悩む宮路と、人生の終わり方を考える入居者。
人生にも悩みは違えど、その扉をたたく音はいつ鳴るかわからない。
読後、宮路のこれからの一歩をそっと見届けたくなる物語。