あらすじ
「これって青春?」「どうやらそのようですね」ーー。思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに“私”は文芸部の顧問に! 清く正しくまっすぐな青春を送ってきた“私”には、思いがけないことばかり。不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。ほか短篇「雲行き」を収録。
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Posted by ブクログ
有名どころの文学作品がたくさん出てきて、こんな書き方、自分も読まなきゃ気になっちゃうじゃん!という感じ!そして、人間の素敵なところも、もちろん表現されてますが、一般的に負とされているドロドロな場面もあり、ギャップがより面白かったです。
読書好きにはたまらない一冊で、この本に出会えて嬉しかったです。
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垣内君と清の距離感にとてつもなく心地よさを感じつつ一気読みしてしまった。なんとたとえたら良いか、海辺の防波堤の上を歩いてるようなそんな感覚。2人はプライベートを明かさず、明かしたら関係が壊れてしまうのかなと危なげを感じつつも、お互いを信用し潮風に身を任せるように会話を繰り広げていく。そんなやり取りがとても心地よかった。
私にとっての垣内君と清の「それ」はなんだろう。時に全力で時に緩めながら「それ」を探しにいこうと思う。
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初めは嫌な主人公だと思ったし、なかなか適当な考えで生きているやつだなあと思ったけど、文芸部の顧問として1年をすごしていく中で、少しずつ、確実に変わっていく姿をみてなんだか元気を貰えました。
淡々とした口調で主人公の気持ちが語られるから、なんだかするすると読めるけれど、自分の置かれてる環境で燻ったりせずに成長しているのはとてもすごいことだと思う。たくさん悩んで悩んで辛い事があっただろうし、お墓参りを欠かさず行っていることからも、主人公の性格が読み取れる。それはそれとして友達にはしたくないタイプかな……
垣内君とのお互いに踏み込みすぎない感じや、主人公の生徒との関わり方が面白かった。結局垣内君はなかなかドライだったし、浅見もなんだか変な関係だった。こんなに学校の先生と関わることなんてなかったけど、もっと話して見たら良かったかな?
文芸を学ぶことに意味があるのかとか、いろいろ考えることもあるけど、色々な世界を旅できるってのは凄いことだよね
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垣内くん、好き、、
もっとたくさん本を読みたいと思った
本を読んでどう感じでもいい
こんなにも縛られることがないものはなかなかない
本の前で私はとても自由なんだなと気づかされた
主人公と名前が同じで親近感☻
そして職業も同じでびっくり
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何かに夢中になり周りが見えなくなることってありますよね。一生懸命やって当たり前。それを周囲にも求めてしまうと周囲の人との関係がギスギスしてしまう。自分が出来ないことを誰かに押し付けてキツい言葉をかけてしまうことって、相手を傷つけてしまいます。社会の中、家族の中、思いやりのある言葉をかけて穏やかに暮らしたいと思いました。本を読むことに癒しを求めている今の私と文芸部の垣内君には共通点があると思いました。学生の頃文芸書随分読みました。特に山本周五郎大好きです。
Posted by ブクログ
2024/07/26
学生時代にバレーボール部で熱心に取り組むあまりに友人と衝突し、その友人がのちに亡くなってしまった過去をもつ高校の国語の先生が、専門のバレーボールではなく、ただ1人の部員が所属する文芸部の顧問になってしまい、最初は不服に思いつつも、文学触れ合うことを余儀なくされて改めて文学の良さについて考えてみるというお話。
先生のあるあるも沢山入っているし、どちらかというと先生の仕事内容の方に共感してしまうこともあったが、彼らの文芸部での言葉のやり取りはとても面白いと思います。
非常に読みやすくて、本の全体的な内容として本当に正しいことをちゃんと真っ直ぐに伝えることが必ずしも本当にいいとは限らないという教訓めいたメッセージも込められているのではないかと感じました。
本当の神様って?
清の周りの人々との会話が心地よい。実弟と不倫相手と食事を一緒にしても、修羅場にならないのが面白い。登場人物が次々に紹介されて、世界が広がってくのが、妙に安心する。清はみんなに愛されてるなー。本人は気が付いてないかもしれないけど、本当は幸せなんだね。
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好きな言葉
「きっぱりさっぱりするのは楽じゃん。そうしてれば正しいって思えるし、実際間違いを起こさない。だけどさ、正しいことが全てじゃないし、姉ちゃんが正しいって思うことが、いつも世の中の正しさと一致するわけでもないからね」
「面白くなろう、楽しくしよう。そう思ってるんだけど、そう思えば思うほど、僕はだんだんつまらない人になってしまう。難しいですね」
「健全な人間は走らないと」
「文学なんてみんなが好き勝手にやればいい。だけど、すごい面白いんだ。それは言っておきたい。だから、僕は三年間、ずっと夢中だった。毎日、図書室で僕はずっとどきどきしてた。ページを開くたび、文学について言葉を生み出すたび、僕はいつも幸せだった。冬にサイダーを飲んだり、夏に詩を書いたり。毎日、文学は僕の五感を刺激しまくった。」
「先生の明日と明後日がいい天気であることを祈ってます。」
とても良かった。瀬尾さんのお話のぽかぽかさ!
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瀬尾まいこ氏はすごい上手い作家だといつも思う。
自分の中では氏のデビュー作品『卵の緒』と並ぶベスト。
セリフが絶妙。
幼いときの弟のセリフ。
一度も泣いたことがない弟が泣いたシーン。
「どうしてこんな風になっちゃうの? チョコレート食べるのは悪いことじゃないのに。どうしてきいちゃんは痛い思いをしなくちゃだめなの?」
主人の清の運命がよく現れている、小説内ではちょうど中盤にくるセリフ。
しかし本作、吉川英治新人文学賞にノミネートされたが、某有名作家から「情熱を感じない。書くことの面白さを知ってほしいと思った。」と酷評…
いやあ、変に波を立てずに湖面のように語るのが瀬尾文学な気もするのだが…
瀬尾まいこ氏が直木賞ノミネートされないのは、その独特な作風だから、かな?
でも読んでて安心できるし、上手いし、セリフもぐっとくるけどな。
Posted by ブクログ
読み始めと終わりの印象の差ったら。
22歳の主人公「清」にしばらく共感できず
正しくまっすぐだった彼女が変わった理由にも
さらに重たい気持ちになります。
しばらくは、垣内くんと拓実の存在でなんとか読んでいく感じ…
でも最後には、この道を辿ってきたからこそのラストだったのかなと思えちゃう。
「雲行き」もそうですが、やはり瀬尾作品は登場人物が魅力的だなぁ。
Posted by ブクログ
自分の正義って、思いもよらない一つの出来事でひっくり返ってしまう。一度ひっくり返ったものを元に戻すことってなかなか難しい。ひっくり返ったことが良い時もあれば、自分の個性を削りすぎてしまうこともある。
だけど、削られた自分を取り戻すのは、やっぱり新しい人間関係がキッカケだったりする。その出会いは何か劇的なものでないのだけど、気づいたら心地よかったり、自然に日常に入り込んでいたり、そういう人間関係が意外と自分の運命を大きく動かしていることがある。
文芸部の顧問である主人公とその部員生徒との関係性は、まさにそんな感じだと思った。けれど、主人公の兄弟や恋人も大きくて……と考えると、出会う人みんな運命の人じゃん!って思えてくる。
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高校で講師をする清の1年。文学部の担当になり、一人きりの部員たの交流が始まります。不倫相手、弟達とのやりとり、教師になるための勉強、不倫相手との別れなど盛りだくさんの1年ののち教師になります。自由な文学部がいいです。
Posted by ブクログ
以前読んだ瀬尾さんのエッセイに出てきた文芸部の少年を題材にした作品。
中学の講師として働き始めた清は、少々偏った正義感の持ち主。
穏やかだけど意志の強い文芸部の垣内くんが頼もしかった。
講師なのに授業内容を把握していなかったり、不倫をしていたり、
現実にこんな先生がいたら問題になるだろうけど・・・
垣内くんや同僚や弟とのやりとりの中、少しずつ変化し、先生として成長していく。
「黙るべき時を知る人は言うべき時を知る」
の言葉が心に残った。
短編作品の「雲行き」は
血のつながらない父と娘との関係が温かく描かれている。
Posted by ブクログ
大人になっても成長は続くのだと思います。人と関わり、優しさに触れながら。おそらくそれは生涯ずっと。
忘れたい記憶、失敗や後悔とか、抱えながら前に踏み出すには、時間、勇気、自信が要ることだと、ゆっくり進むお話で伝わってきます。劇的ではなく、ゆっくりな所が後になって沁みてきます。
清がいかにも熱血ではないところがリアルで安心します。清の過去がそうさせているわけでもありますが。
垣内君との掛け合いでは、大きな変化ではないけれど、だんだんと垣内君の魅力が垣間見えてきて好感が持てました。相手に言葉で伝えるのは大切ですね。思ってはいても、つい怠ってしまうのですけど。
何をすべきかでなく、何をしたいか、そのためにひとつひとつ選択し覚悟をしながら。
重いテーマでもあるのに、宙を浮いているようにフワっと描ききってあるお話でした。
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教員の経験を活かした学校小説は瀬尾さんの強みだ。エッセイは優しさに満ちていて、小説では瀬尾さんの体験が元になる。
文芸部というマイナーな部活の顧問になった講師の清。何もかも上手くいかない中で、唯一の部員である垣内くんのブレない様子に、清自身が変わっていくような変わらないような日々をゆるゆる過ごす。
大きな事件は起きない。それでも何かに気づくきっかけはたくさん転がっている。垣内くんのこれからの成長と、清の少なからずのやる気の起こりを願ってやまない。
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たった一人の文芸部の話。「なんと文芸部なの?」「文学が好きだからです。」もっともだと思いました。私も文芸部があったら入りたいです!文芸部のたった一人の部員の男の子が居るんですけど、その子がまたまっすぐでいい子なんですよね。ぜひ、皆さんも、読みましょう!!
Posted by ブクログ
野暮ったくない優しさとか、最低な大人の振る舞いとかが淡々と描かれていて軽やかにおもしろいな、と読み進め、終盤の手紙でぐっと持っていかれました。
ほっとできました。
仲間の自死が、もしかしたら自分の言葉をきっかけにしたのではないか、また、周りもそのように思っているという、過酷な経験をしている主人公の、自分を見つめていく過程が、ユーモアのある表現描写と相まって、面白く読まさせてもらいました。ただ、「そして、バトンは渡された」同様、周りの人たちが、ほとんどいい人というのが、少し気になりました。現実には、そんなことあまりないはずなのに。。。自分はまだこの作品と「そして、バトンは渡された」の2作品しか読んだことがありませんが、瀬尾まいこという作家さんは、主人公にとって「いい人」以外のことは極力書かないようにしているのでしょうか。他の作品も読んで確かめていきたいです。
Posted by ブクログ
清の成り行きで先生になって、文芸部の顧問となり、やる気のなさに嫌な気分となったけど、坪内くんとの関係が少しずつ深まっていくにつれてとてもいい先生になっていくのはよかったと思います。こんな高校生、実際いたら先生はやりにくいかもしれないなぁと思います。でも坪内くん最高!
「雲行き」は短編だけど佐々木さんが早季子との関係がうまく表現されていてよかった。
Posted by ブクログ
早川先生と垣内君の関係がよかった。
というか垣内君が素敵。人生何回目?って感じのキャラで好き!
早川先生もてきとーな先生してるのとかよかったけど不倫系は得意じゃないので早く別れて!ってずっと気になってしまった…そういう話じゃないのは分かってるんやが…
文学…あまり読んできてなかったので川端康成読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
清く正しく行動していたのに、周りにとってはそうではなかった。
ハッとさせられた。価値観は人それぞれで、自分の考えを押し付けてはいけない。
正しいと思う行動をする時も、独りよがりにならないように気をつけたい。
Posted by ブクログ
非常に読みやすい文体。
感覚も非常に近い。作家っぽくないというか、一般人っぽいというか。そこが好きなのだが。
脆さを持つ一方で、強い女性を描く。
非常に好感触ではある。
今後も読む機会があれば他の作品も読もうと思う。
Posted by ブクログ
瀬尾まいこの作品は初めて読んだけど淡々と話が進む感じが良い。ドラマチックな起伏があるわけではないが退屈でもない。主人公が悪い意味で人間臭くてどうしようもないところも逆に心地よかった。
Posted by ブクログ
バレーが大好きな自分のせいで同じ部活の子は自殺をしたのせいかもしれない
バレーに携わりたいが自分がしたいわけでもなく指導の立場として携わろうと思ったが、持つことになったのは1人しかいない文芸部だった
文学なんてつまらないと思っていたが、、、
人の大事な話を聞いたにも関わらずなにか返事をしてあげたいけれどもなんと返せばいいか分からずお互いへえで終わっているのいいなと思った
自分が体験していないから分かんないもんね
神様はいろんなところにいる
救ってくれる場所はたくさんある
意外なところかもしれないが
バレー/文芸部/教師/高校/不倫
Posted by ブクログ
清の立場と今の私は似ている気がする。人を死に追いやった経験は流石にないが、浅見さんという不倫相手に翻弄され、国語教師なのに最初は文学や本に興味がなかった清が文学部の顧問をし、本から色んなことを学ぶ。何だか今の私と類似している点が多くて、共感できた。不倫相手になるということは悲しいもので、自分がしんどい時励ましてほしい時は会えないし声も聞けない。でも向こうは都合のいい時にやってくる。私もそんな日常が嫌で本を通して、登場人物の価値観や考え方に触れ救われてきた。私もいつかはこの間柄を終わらせなければならない。清のようにすぐに行動できないが、色んな本と出会い価値観に触れて、自分から手放すことができるようになるたい。