あらすじ
みちると優子は中学3年生。2人が通う宮前中学校は崩壊が進んでいた。校舎の窓は残らず割られ、不良たちの教師への暴力も日常茶飯事だ。そんな中学からもあと半年で卒業という頃、ある出来事がきっかけで、優子は女子からいじめを受け始める。優子を守ろうとみちるは行動に出るが、今度はみちるがいじめの対象に。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが……。2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。
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これも中学生のときに国語科の先生にオススメされた1冊。
宮前中学は荒れていた。不良たちが我が物顔で廊下を闊歩し、学校の窓も一通り割られてしまっている。教師への暴力は日常茶飯事だ。三年生のみちると優子は、それぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが……。
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第一章はみちるがいじめに加担してしまった後悔とまた新たにいじめが始まるかもしれない予感で包まれていましたね。一章ではいじめが始まる予感程度だったが、第二章からは本格的にいじめが始まるようになってしまいました。しかも、「このままではダメだ」と訴えたみちるがいじめられるようになってしまった。事態が深刻さを増していく章だったように思えます。第三章はみちるがいじめに心が折れ、学校に行くのをやめそうになる話でしたが、父親に頼っていいことを学んだ彼女は、学校に通い続けて戦うことを決意する流れが綺麗でした。第四章は、優子が教室ではない場所に身を置いて、安全な場所で過ごす上で感じた怠惰な気持ちが描写されていました。生きているのに生きていない感覚。時間を無駄にしている感覚。「このままじゃダメだ」と奮起するまでの流れが綺麗にまとまっていたと思います。最終章は少しだけ前向きになったみちるが瞬に向き合ったり、斉藤君が頼れる仲間を作っていたり、優子が変わろうとしている瞬の背中を押すようになったりと、完全にいじめがなくなったわけではないけれど、良い兆しが見えて物語が終わったことが良かったです。立ち向かう勇気と強さを兼ね備えたみちるや人の弱さに寄り添おうとする優子の真っ直ぐさが心に沁みる物語でした。
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衝撃の一冊でした。
こんなことが現実に起こって欲しくなんてないけど、きっと起こっているのだろう。大事なのは、私たちが目を背けないことだな、と思った。少しでも、この本のみちるや優子、瞬の助けになれるよう、頑張りたい。
本書を読むことを、強くお勧めします。
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凄惨ないじめに遭う女子中学生が主人公。
学級崩壊と置かれた状況から安全地帯を望む生徒、敢えてその場にとどまる生徒。それぞれの立場から物語が進むのが面白かった。
保健室登校やフリースクールが温室。どんないじめがあっても義務教育機関は温室かもしれないと主人公は言う。社会はもっと厳しいと。
大人が頼りにならない絶望的な状況で自分で自分を守ろうとする逞しい子供たちであった。
先生は子供たちをまもってほしい。
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自分が小学校、高校の頃のを思い出した。小学校のみちると私はとても似ていたと思う。
ただ、中学校のみちると私は比べものにならなかった。みちるの芯の強さと青さがとてもまぶしかった。
温室デイズのモラトリアム期間に戻れるのなら私はいったい何をするのか、ということをみちると優子と瞬に自分を重ね合わせて考えた。
世の中どこもこんな感じで、落ちれば落ちるところまで落ちるし、人は流される生き物なんだけど、そんな世の中でもちょっとしたことの救いはあるんだよと言いたいのではないかと思った。
最後、瞬がみちるを迎えに行くのがとても好き。
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『ナイフを使って脅しても、カウンセリングマインドで接しても、私たちには誰も変えられないし、学校の崩壊を止めることもできない。結局、卒業を間近に、何も解決していない崩れた学校の中に私たちはいる。』
あきらめのようでいて、なんだか希望につながっているようにも感じる。
やるせないし、たいへんなんだけど、生きるっていいなと思える本だった。
温室って、そういうことなのね。
ある意味温室、だけど中はぬるすぎて腐ってしまっている。温度設定を間違えると、育つものも育たない。でも、生物は強い。それなりに、順応する。どの子もそれなりに強い。それなりに悩む。そんな自分をやめたいと悩む。これじゃダメって、みんなわかってるのに。温室を出たみんながどうなるのかと、余韻が残る。
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中学生のいじめ、不登校を題材にした小説。
主人公のみちるは正義感が強く、周囲の視線や損得を気にせず、自分が正しいと思ったことに対してまっすぐに突き進む女の子。芯が通っていて自分に対して正直にまっすぐ生きていると思った。周りの目を気にせず、自分の軸で物事を判断しているからこそ、いじめをはね返し、気にしない強さを持つことが出来ているのだと思った。友達の優子は、辛い経験をしてきたからこそ、人に寄り添い、ふと心を許せるような優しさや温かさを持つことができたのだと思った。2人ともつらい経験をたくさんしてきけれど、その分強さや優しさ、人間としての深みを手に入れることができたと思った。人生辛いことがいろいろあるけど、苦しんでも必ず何か得られるものはあって、苦しんだからこそ得られたものには大きな価値がある。
瞬は自分では制御できないつらさや苦しさを抱えて、もがき苦しんでいて、助け出してあげたいと思った半面、生まれながらの環境により構築されたものは抗えないものもあると感じた。
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小学校や中学で、こんなにひどいイジメってあるの?と思うほど陰湿で驚いたけれど、どうなるのか気になって一気に読んだ。
この子達の学校生活は毎日がサバイバル。本人達も親も先生も様々な方面で苦戦しながら生きている。互いの考えがわからないままに。
学校がもう少し肩の力を抜いて、自分らしく伸び伸びと豊かな経験を積んで成長出来る場になったらいいのに。
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昔読んだ記憶があったものを再読。味わい深い作品でした。
自分は基本的に「なるようになれ」なので優子タイプ。ただ、無駄に正義感がつよいみちるのようなタイプも必要。知り合いが不登校になったら、学校が荒れたら、自分はどうすべきなのか。考えさせられました。
Posted by ブクログ
瀬尾まいこさんの作品は多く読んだつもりだが1番重い内容。でもやはり最後には希望は残す終わり方をしている。
学級崩壊(学校崩壊)した中学校での凄まじいいじめを耐え抜こうとする主人公は読んでいて苦しい。
保健室、相談室、フリースクールなどの居場所の話も出てくる。しかし、なぜ被害者が教室からでなければならないのかという理不尽さもいじめの構造の複雑さを感じる。
小5で担任の恐怖政治から解放され小6で控えめな担任となり学級崩壊するという回想もあり、「あ〜、小学校の先生の闇だ。」としみじみ。
中学の不良校で先生たちも病んでいく描写も悲しくなった。
悲観的な感想ばっかだが、それでも主人公の奮闘や、唯一の友達が不良にカウンセリングを試みること、サポートスタッフがなんとなくがんばる姿など、ところどころ応援したくなる内容もあった。
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中学生なりに学校を変えたい、このままではいけないという思いから立ち上がる子たちの存在は大きい。教師ですら大きな問題を避けたいと思うし、現状を変えなければと思いながらも行動に移せずにいる。そんな中、中学生が自分のできることは何かを自分で考え行動に移す姿は胸を打つものがあった。
少しでもいいから良くなってほしい、そんな希望を抱き続けることが素晴らしい。
文中の中学生を見習わなければいけないと思った。
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逃げた人には その助けとなる空間や新たな場所は用意されるけど、いま苦しい中で戦っている人・辛い想いをしながらも それに堪える人には何の助けもない
大人と子供との中間の多感な時期に、同級生からの無視や暴力、あてにならない大人(教師)の存在が今後どのように影響していくんだろう
高校では幸せに過ごしていてほしいな
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優しい世界だった。(話自体は崩れゆく中学校とかいじめとか、けんか不登校スクールサポーターとか、決して穏やかでないものだったけども...)
自分は教師に向いてないだめだめ人間だって言う吉川を、それでも私はあの一言に救われたんだよって思うみちるとか。
学校は行くものだっていう考えの枠から出られないだけで、皆んな自分を買い被りすぎだって否定するみちるに、いじめられる毎日を逃げ出さずにいるのがすごいことだし、そういう枠から出られないところがみちるらしくて好きだよって伝える吉川とか。
自分の中のだめだ〜〜って思う部分を肯定してくれる人がこの物語にはたくさんいて。読んでいて自分も救われた。
私は誰かの美しい人なんだ、私が誰かを美しいと思える限り、っていう言葉を思い出した。
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学級崩壊したクラス(というより、崩壊した学校のひとクラス)を立て直そうとする主人公みちる。中学3年の卒業までの時間。みちるはクラスのみんなに「なんとかしよう」と投げかけるが、それがきっかけでいじめられるようになる。
みちるの小学校の同級生(いじめが原因で転校した)優子。優子はだんだん教室に入りづらくなる。
みちるの小学校の崩壊を立て直した斎藤君。
みちるの小学校の同級生で親がヤクザで自身も不良の瞬。
みんなそれぞれいいキャラだし、読みやすいんだけど、あえてだろうけどスッキリしない結末にうーーんて感じ。中学生を主人公にして(ティーン向けの作品なら)もう少し前向きなラストでもよいのでは、、?いや、逆にこれがリアルのでよいのか、、、?
Posted by ブクログ
中学校≒義務教育というセーフティネットが充実している場に通う子どもたちの話。
中学3年生という中学卒業を控えた1年間、温室のようで温室ではない1年間をよりよくするために、自分にできるやり方で頑張ったみちるも優子も斉藤くんもすばら。
瞬の変わり方を見ていて、やっぱ教育は長い目で見ていくことが大事なんやなって思った。
あと、多様化する教育界で、教員の立場がどんどんおちていってしまっているので、そこはどうにかせんと、頑張りたいと思っている子どもを守ることができなくなっていくんじゃないかなって思った。
Posted by ブクログ
学校のいじめの小説というと、とても重苦しくて腹立たしくてつらい話に感じるが、みちるの決していじめに屈しない気持ちは、読んでいて重苦しさも辛さも半減してくれる
みちるが無事に卒業できた時はスカッとした
Posted by ブクログ
学校でのさまざまな問題があまり解決されないまま卒業になってしまったのが残念だった。中学のいじめは違う、力だけじゃないといいつつほんとにみちるは空手習っててほんとに反抗できないのだろうか?優子は相方がいじめられはじめてそれがみたくなくて相談室登校やそもそも学校にいかなくなるという理由も若干心情描写が希薄に感じた。なんとしてでも学校にいかねばというみちるの心情部分ももっと深く丁寧に描かれているとより深く共感できたと思う。
Posted by ブクログ
崩壊して荒んでしまった宮前中学校。
陰湿ないじめ、不良たちの暴力などリアルな描写は、教師経験のある瀬尾さんならではのものだろう。
優子やみちる、斎藤くん、瞬くんはそれぞれもがきながらも成長し卒業まで乗り切る。
でもそもそもの学校の立て直しにはならなかったのが残念。
子どもたちが1日の大半を過ごす学校のあり方を見つめ直す問題提起となる作品だと感じた。
Posted by ブクログ
荒れた中学校に通う3年生のみちるが「いじめ」を受けるようになったのは、彼女の強さも一因であったかもしれない。
友人の優子は逃げたけれど、みちるは逃げなかった。
同じクラスの斎藤は自ら「有能なパシリ」と名乗り、自分を守った。
みちると口を利くのは斎藤だけだったが、それでもみちるには救いだった。
いじめは小説の中だけではない。
どの程度のいじめが実際にあるのかは分からないけれど、成長過程で必要なものだとは思えないのだが。
Posted by ブクログ
するすると読みやすく一気に読んでしまった。
ただやはりテーマが重く、最後まで苦しかった。
特に、堅いと思っていた父親が涙したシーンでは、胸が締め付けられるようだった。
物語だから…というような、奇跡的な大逆転などは起こらず、微かな変化はありつつもリアルな世界観を描いたお話だった。
Posted by ブクログ
みちるが吉川に言ったセリフ、これは私も思っていたし、先生たちに心に刻んでほしい。
「学校なんて休めばいいって、どうして?
だって、私何も悪いことしてないんだよ。
病気にもなってない。なのに、どうして教室に行くの、放棄しなくちゃいけないの?
どうして普通に教室に行けないの?」
現実はみちるのように強い子はほとんどいないと思うし、つらかったら優子のように逃げていいと思う。というか、現実的には精神的な疲労で逃げるしかないくらいまで追い込まれていると思う。
でも、いじめられた方が逃げればいいっていう風潮はおかしい。本来ならばいじめる方が悪いし、排除されるべき。
いじめられても頑張って学校に通う子が苦しむなんておかしいと思う。
そういう子のためにいじめっ子に闘う先生達が本書を読んで1人でも増えてほしい。
Posted by ブクログ
瀬尾まいこさんの物語からは、いつも〝癒し〟をもらっていました。でも本作を読み進めながら、心がざわつき、違和感をもってしまいました。
当然ながらその正体は、本書の大きなテーマとなっているいじめによるものです。
いじめは、これまでも多くの小説で取り上げられ、実際の学校でも後を絶たず、この場で持論を展開する積もりも毛頭ありませんが‥。
教師を経験した瀬尾さんだからこそ、生徒同士、生徒と教師の関係性の描写は上手だなと感じます。それでも物語の展開に、どうしても無理(この発想がダメなんでしょうが)と思ってしまうんです。
いじめを受ける2人の少女は、タイプは違いますが、結局のところ根っこに強さと勇気をもっていて、周囲との相乗効果もあり成長したのでしょう。心が折れてしまうのが大半だと思うのです。
こんなの理想でフィクションだから描ける、と言ってしまえばそれまでですが、瀬尾さんの教師経験者としての願望は感じます。
傍観や諦めは何も生まず、自分でできる小さな行動が誰かを動かし、そしてそれが波及していったら、何かが変わるかもしれない‥。そんなことを物語に込めたんでしょうね。
「小さな優しい奇跡」を信じながら、いじめの〝根絶〟とハードルを上げず、いじめの〝減少〟を目指し、そのサインに敏感になりたいものです。
Posted by ブクログ
読後感は悪くないけど、苦しかった。
無理して学校いかなくていいよっていう風潮、ありがたくもあるけどその言葉に甘えた先にあるのは本当に虚無。何もない時間。申し訳程度のカウンセリングと病名。趣味を作ってもテレビ見ても、瞬間瞬間は楽しい気もするし、とてつもなく楽だけど、何もした気になれない。自責劣等感希死念慮。そんな学生時代が優子の生活と少し重なったし、投稿し続けられるみちるの強さと真っ直ぐさが余計苦しかった