瀬尾まいこのレビュー一覧
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瀬尾まいこさんは、『そして、バトンは渡された』『あと少し、もう少し』に続いて3作目です。
1作目で大変感動したため、他の作品も読んでみようと2作目、3作目と手に取りましたが、あまりに作風が違っていて、びっくりしました。良作なのですが、読む順番が逆だったら、2作目、3作目はなかったかもしれません。
題名の「戸村飯店」は、大阪の住之江にある町中華です。私の町中華のイメージは、あまり綺麗とはいえない店で、壁には短冊に書かれた青椒肉絲、麻婆豆腐、酢豚、炒飯、餃子などの定番メニューが並び、何を頼んでも、某有名牛丼チェーンの「早い・安い・うまい」が味わえる店です。
私は小・中・高と住之江の隣の住吉で学び、仕事で2年ほど東京(偶然にも住吉)に住んだ経験もあります。そのため、大阪と東京の違いが描かれる場面には懐かしさを覚え、最後までほっとした気持ちで読むことができました。
4作目はどうでしょうか。今から楽しみです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ5つのさまざまな「デート」を描いた短編集。孫娘と祖父、元不良男と老教師、男子高校生ふたり、バツイチOLと大学生バイト、園児と保育士、それぞれのデートの話。
どの話も瀬尾まいこらしく、最後はあたたかい気持ちになれる話だった。瀬尾まいこ、めちゃくちゃ感動する!というよりか、じんわりあたたかくなれる。
特に不良男と老教師の「ランクアップ丼」の話が好きだった。結局人が死んでしまう話に弱い。でもこういうお涙頂戴展開を読んでも冷笑せずにしっかり感動できる自分でよかったなとも思う。上じいと三好の関係値がよかった。
バツイチOLと大学生の「ドッグシェア」も、変に恋愛っぽい雰囲気にならずよかった。 -
Posted by ブクログ
題材としてはかなり苦手。
いじめ、学級崩壊、暴力、、、かなり重い話だけども瀬尾さんが描くからこその優しさもあった。
それでも結構読んでいてきつかった。
みちると優子の頑張りで起きた奇跡はある。
でもあまりにも途中のクラスメイトの言動だったり、教師の役に立たなさとか、これって本当に中学の教室で起きていることなの??
温室ってそういうことか、と思いつつも
正直社会だってほぼ温室だぞっとなった。
むしろ社会の方が生ぬるいのでは〜〜〜環境による?
優子や斉藤くんみたいな子ばかりならいいのにね。
みちるは小学生のときのことが……あったのでどうしても好きにはなれなかった…… -
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実在の店について語られているから、ガイドブックにもなっています。
書き手28名の中には物書きが本職の人もそうではない人も。中にはちょっと鼻につくなぁって感じであまり好きになれない人もいるけれど、総じて楽しい。
余談ですが、数日前に『仮面ライダーゼッツ』でイカつ過ぎるミムラを見たばかりだったので、書き手の中に彼女の名前を見つけたときには笑ってしまった。ごめんなさい。
私は大の酒好きゆえ、ついお酒の章に目が行きつつも、酒だけじゃアカン、美味しいものも食べたい。ほかの章との合わせ技で存分に楽しませてもらいました。
コロナ下でアルコールの提供禁止になったとき、ノンアルコールの一人呑みじゃやっぱり酔えんのよと思いながらも、おかげで読書が捗ったことを思い出します。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2026/07/19
瀬尾まいこ氏の本を読むのは初めてだったが、勝手に作品に対してやわらかくて、生きていく希望があるような作品の印象を持っていた。
今回、人から勧められてこの本を読んだが、物語のスタートがセンセーショナルなわりに、進行は穏やか、円滑に読み進められる起伏がある揺蕩う波のような内容だった。
穏やかさというのは退屈さを生むが、「一度死んでいるはずだった」ことで、もう一度、ゆっくりと自分と向き合うための充電期間には、それがなかった。
五感で「味わう」ということが生きることに向いている人が、そこを働かせることなく一度死んでしまった話なのだろう、と思う。再生の話であり、回復の話であり、営みの話でもある。
主人公のアパートでの生活が、きっと向いている人もいる。しかし、無機質な「生きていない」暮らしでは、主人公は生きる希望すら無くしてしまうほど消耗していた。好きなことも、味わうことも、自分に向いている生活が行えない。それを自覚できない。
自分に合った息継ぎができないと、苦しくなってしまうのは当然のことで、彼女は民宿での21日間によって、自分なりの息継ぎの仕方を思い出す。文字通り「生活」できていたからなのだろう。
それでも、彼女にとっての天国というのを、一度死んだ身だからこそ、彼女は享受しきれなかった。
p5-l2
一度切ろうと思ったものを引き延ばすのには力がいる。
はじめの主人公の言葉は、本当だった。一度切ろうと思ったものを引き延ばす力を、主人公は田村とあの土地によって蓄えることができた。別れというのは切なかったが、続けたいと思ったものを断ち切るのにも力がいる。
主人公はその力も、この21日間で手に入れたのだろう。だからこそ、もう一度海に出ることができたのだと、私は感じた。