瀬尾まいこのレビュー一覧
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自分がきっと犯してしまった罪。自分がもがき、変わることで、許され、新しい世界に飛び立つことが出来る。
色々な文学作品が出てくる。川端康成、石川啄木、夏目漱石、山本周五郎。
舞台は明確に書かれてないけど、盛岡かな、岩手のどこかかな。あ、盛岡じゃないわ、違うわ。海辺の街だから。
私、間違ってないよね?。そんな押し付けがましい事、恋人にしか言わないよね。→これは、小説の中の高校の講師である主人公と、主人公がつとめる文芸部のたったひとりの男子高校生とのやり取り。
私、間違ってないよね、という言葉。
よく発する人います。自分の正しさを他人に強要する人。あー確かに押し付けがましい!とこの文を読んで納得。
私、間違ってないよね、から主人公は少しずつ脱皮する。それも文学と文学を愛する人との関係性から。なんて素敵で、でも脱皮は痛みを伴う。 -
Posted by ブクログ
2023.11.9
「いつもなみちゃんは、僕が家に行くことをとても嫌がる。」
――「優しい時間」の1行目。ここに伏線がある。
何気なく読み始めたときは心に残らなかったが、読み返してみると、この1行目がとても重要だと気づく。たけるくんとちなみちゃんの心の動きが、ここにすでに表れている。
2度目に読むと、きっとまた違って見える。
タイトルの「優しい時間」も、まさにこの章のためにつけられたものだと思う。優しさにはタイムラグがあり、それが心に刺さった。
P95の一文。
「なんか深雪さんってイザベラに似てるね」
さなちゃんが深雪に言った言葉。
馬みたいなイザベラは意地悪だけど、ピンチのときにはおいしい食べ物を食べさせてくれて、優しい気持ちにさせてくれる存在。
「相手に優しくして勝つんだもん」
さなちゃんは、パパの不倫相手である深雪を劇場に見に来たけれど、その中で深雪の優しさに気づいていたのではないか。
ピンチのときに助けてくれるイザベラのように、深雪もまた、さなちゃんにとってそういう存在だったのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
兄を名乗る青年が突然現れ、料理を教えてもらったり、
婚約者の実家(和菓子屋)に偵察に行ったり。瀬尾まいこさんの作品には、飄々とした雰囲気の人物がよく出てくる。今回はこの兄。カラリとした態度の奥にある素顔や、過去が明かされる場面をいつも楽しみにしている。
悩みが無さそうに見えても、誰だって何かしら辛い記憶を持っているんだなと思わせてくれるから。
最後の方、「今まで誰にも話さなかった出来事は、口にしてみると取るに足らないことに変わっていた。これぐらいの挫折は、生きていくうえでごく自然に起こることだ。ふたを閉めて自分で重苦しい記憶に変えていただけで、その時々にすてきな出会いも出来事もあった。表に出せば、そのすべては懐かしい記憶になっていく」と、主人公は気づく。わたしも、学生時代は嫌なことばかりだった!と普段は思っているけど、久々に友達と話してみると案外色んなことを忘れているな、実際以上にネガティブな面ばかりを覚えてしまっているなと感じる。嫌な記憶と向き合うというのも、たまには悪くはないのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
コロナ禍に小学生で、
別々に育っていった二人の女の子の話
他の人のコメントで
どちらの話かわからなくなるとありましたが
話の切り替わりでの絵が目安になります。
リンゴマーク:冴ちゃんの話
チューリップ:心晴ちゃんの話
カバン:子供時代の話の合間の大人になった二人の面接の話
「一年で辞める宣言ってなんなの」とか
「登校日、なんで行かせてあげないの?」とか、
「引きこもりのキッカケって、これ?それがこんなに長くなる?」とか、
ぷりぷりしながら読んでましたが、
全部読み終わって、いい本だったと。
登場人物の何人かには、
色々思うところがあるけど、
現実もそんなものかもね。