瀬尾まいこのレビュー一覧
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現実にはありえない設定の人間関係で展開される3編の短編集。
「優しい音楽」は、まず出会いの時点で私ならかなり警戒してしまうだろう。
「タイムラグ」で不倫相手の子どもを預かる設定は、私だったら絶対引き受けない。
「がらくた効果」では、同棲相手がホームレスのおじさんを拾ってきて同居生活を。
これも絶対ありえない!
ありえない設定なのにどの作品も何だかほんわかと話が進み、温かく締めくくられる。
解説で池上冬樹さんが
「倫理の綱渡り」と語っているように、
実際には許されない状況も、登場人物の人柄の影響で、いつの間にか感情移入してしまっていた。
瀬尾さんの策略に見事にはま -
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ネタバレ【おしまいのデート】
複雑な家庭の事情でじいちゃんと会っていた彗子だがそれぞれの家庭ができつつあるために会うことを辞める決断をした。
本当はお互い会いたいと思っているだろうけど、いつもの軽口で流して正直には言わない様子が余計に寂しい気がする。
じいちゃんの新しい家族もいい人だと分かっているし、じいちゃんから見ても彗子に新しい家族ができるのは喜ばしいことだろう。
読んでいてもこの2人が会わなくなるのは切ない気がしたけれど、じいちゃんがまたなって言っていたのも、彗子の新しい家族の弟が思いやりのある優しい子だと分かってホッとした。
【ランクアップ丼】
母子家庭の三好が荒んでいた頃、何も聞かず玉子丼 -
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大人になっても成長は続くのだと思います。人と関わり、優しさに触れながら。おそらくそれは生涯ずっと。
忘れたい記憶、失敗や後悔とか、抱えながら前に踏み出すには、時間、勇気、自信が要ることだと、ゆっくり進むお話で伝わってきます。劇的ではなく、ゆっくりな所が後になって沁みてきます。
清がいかにも熱血ではないところがリアルで安心します。清の過去がそうさせているわけでもありますが。
垣内君との掛け合いでは、大きな変化ではないけれど、だんだんと垣内君の魅力が垣間見えてきて好感が持てました。相手に言葉で伝えるのは大切ですね。思ってはいても、つい怠ってしまうのですけど。
何をすべきかでなく、何をしたいか、その -
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現代の生きずらさと旅立ち
保険業界に身を置いた経験から、そうだよねと思わせる書き出し。逃げることは悪くないという内容が不自然でなく無理なく表現されている。
恋愛小説ではないこともそうさせているのでしょう。一番記憶に残るのは主人公より民宿の主人です、ぜひその振る舞いを読んでお楽しみください。
著者が中学の国語教師をやっていて田舎に赴任した実体験をもとに書かれたというのも納得。
個々人と家という主体単位のとらえ方が欧米とは違うということも思い起こされ、今昭和100年、次の100年は日本人はどのように進んでゆくのでしょうか、そんなことも考えさせられました。 -
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血のつながりのない家庭を複数わたってきた女の子の話。
「家族とは何か」ということを中心に描かれ、"血のつながりは不可欠ではない"という主張を強く感じる作品だった。
起伏の無い毎日を描いているのだけれど、読み進めていって飽きないのは主人公である彼女自身の魅力だと思う。傍から見ると、血の繋がりの無い家庭内に先入観的に特殊な生活を想像してしまうけど、実際にその中で流れいく"普通の家族の時間"のギャップや尊さにもまた惹かれるのかもしれない。
読者は自分の親子関係と比較して見たりもすると思う。子は子の目線、親は親の目線で感情移入できる作品。
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