kekeさんのレビュー一覧
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50年経てかえって新鮮
1980年当時の主人公がちょうどそのころの自分の年齢に近く、その時代を生きてきた人生を振り返って感慨にふけった。作者は自分の母親と同じ世代、大した筆の力だなと感心した。結婚とは何だろうか、生きる目的とは、飛鳥時代と1980年代さらに今の若者は変わってしまったところと人間の本質は変わらないというところと実に面白かった。現代の結婚のかなりの部分はマッチングアプリだとか。
飛鳥時代のことは歴史の番組等で知ってはいたが、持統天皇が実の叔父と結婚していたとはびっくら仰天である。遺伝子にゆがみが生じて短命な皇族もいたのかなとも。オス猫は近親相姦を避けるためにその地を去ることが本能に埋め込まれてるとか。この -
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現代の生きずらさと旅立ち
保険業界に身を置いた経験から、そうだよねと思わせる書き出し。逃げることは悪くないという内容が不自然でなく無理なく表現されている。
恋愛小説ではないこともそうさせているのでしょう。一番記憶に残るのは主人公より民宿の主人です、ぜひその振る舞いを読んでお楽しみください。
著者が中学の国語教師をやっていて田舎に赴任した実体験をもとに書かれたというのも納得。
個々人と家という主体単位のとらえ方が欧米とは違うということも思い起こされ、今昭和100年、次の100年は日本人はどのように進んでゆくのでしょうか、そんなことも考えさせられました。 -
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小説というより研究発表
昔日本史の暗記にてんさい・しんくう(天台宗最澄・真言宗空海)と覚えたのが懐かしくて購入してみました。
読んでみると様々な文献や仏教系の大学、中国現地にまで足を運んだ日本史の研究発表の様相でした。
しかし、つまらないという訳ではなく宗教とは何か日本国はどのように出来上がってきたのかと考えさせられ深く心に残りました。
特に奈良・平安時代僧侶は国家公務員だったといった表現とか長岡京遷都の理由は僧侶道鏡の悪事等による腐敗であるが比叡山ものちに僧兵やら金権争いやらおかしくなったが法然や親鸞、日蓮等が出現して未来が開けたという記述が興味深かった。
これを読んでイスラム国家の憲法はイスラム法典であるという意