【感想・ネタバレ】雲と風と ――伝教大師最澄の生涯のレビュー

あらすじ

第22回吉川英治文学賞受賞作品。
比叡山延暦寺を創建、天台宗の開祖となった最澄。激動の時代の中、最澄は、長岡京の遷都に失敗した桓武天皇を支えながら、桓武の魂を救済することが、国家を救うと尽力する。仏教の本質を求め続けた最澄の生涯を、直木賞作家の永井路子が描く。

大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。
小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。
男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。
また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。

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最澄.空海.そして桓武

最澄の話というよりは、桓武も同様のウェイトを置いて描かれている。そして空海の存在も際立っている。今日における弘法大師と伝教大師の名声の格差も含めて、「密教」という当時流行の「科学」の波に乗り切れなかった最澄の運の悪さがなんだか可哀想に思えてくる。司馬遼太郎の「空海の風景」に描き出されている最澄像との比較も面白い。

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2025年09月01日

購入済み

小説というより研究発表

昔日本史の暗記にてんさい・しんくう(天台宗最澄・真言宗空海)と覚えたのが懐かしくて購入してみました。
読んでみると様々な文献や仏教系の大学、中国現地にまで足を運んだ日本史の研究発表の様相でした。
しかし、つまらないという訳ではなく宗教とは何か日本国はどのように出来上がってきたのかと考えさせられ深く心に残りました。
特に奈良・平安時代僧侶は国家公務員だったといった表現とか長岡京遷都の理由は僧侶道鏡の悪事等による腐敗であるが比叡山ものちに僧兵やら金権争いやらおかしくなったが法然や親鸞、日蓮等が出現して未来が開けたという記述が興味深かった。
これを読んでイスラム国家の憲法はイスラム法典であるという意味がやっとわかったような気がしました。
新刊だけではなく古い本を読むのもなかなかいいものです。

#深い #タメになる #共感する

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2024年02月22日

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