【感想・ネタバレ】茜さす(上)のレビュー

あらすじ

直木賞作家・永井路子氏の作品が遂に電子化!
お嬢様大学に通う友田なつみは、自らの名前のルーツでもある吉野を訪ねる。
そこで知り合った会社社長の泉のことが気になりながらも、卒論、就職活動と慌ただしく日常が流れていく。
友人の死を乗り越えつつ、なんとか編集に携わる仕事を得るが、他方で大学のゼミで勉強した万葉集の額田王の生き方に魅かれていく……。

【目次】
優雅なる喪服
むらさき
夏の川辺
斜光

山茶花
白いコート
霧の夜
沈める寺
行く人なしに
街路樹

【著者プロフィール】
大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。
小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。
男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。
また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。

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50年経てかえって新鮮

1980年当時の主人公がちょうどそのころの自分の年齢に近く、その時代を生きてきた人生を振り返って感慨にふけった。作者は自分の母親と同じ世代、大した筆の力だなと感心した。結婚とは何だろうか、生きる目的とは、飛鳥時代と1980年代さらに今の若者は変わってしまったところと人間の本質は変わらないというところと実に面白かった。現代の結婚のかなりの部分はマッチングアプリだとか。
飛鳥時代のことは歴史の番組等で知ってはいたが、持統天皇が実の叔父と結婚していたとはびっくら仰天である。遺伝子にゆがみが生じて短命な皇族もいたのかなとも。オス猫は近親相姦を避けるためにその地を去ることが本能に埋め込まれてるとか。このような人間の権力争いは動物の本質を逸脱してますかね。
明日香地方をめぐるところを読んで、石舞台に中学の修学旅行で行って上に登って遊んだな、今思うとなんと不敬だったと苦笑してしまった。

#深い #シュール #タメになる

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2025年10月03日

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