あらすじ
弥生時代の遺跡で発見された《古代文字》。情報工学の天才島津は、その解明に挑んだが、次第に驚くべきことが明らかになる。それは、人類には理解できない言語構成だったのだ。この不可思議な言語をあやつるのは、人類をはるかに超えた存在“神”ではないのか! その時――突然、島津の心に現われた男が、すさまじいオーラを発散させながら叫んだ。〈全て忘れろ〉。もし、これが神だとしたら、我々は神に挑戦することになるのか? 神は人類に対して悪意に満ちているのだろうか。
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Posted by ブクログ
言語構造から<神>の存在を探り当てるとは!SFの設定にしても、なかなかないアプローチで斬新。この作品だけでは未完というしかないが、続編が出ているようなので期待。
何だこれは?
この著者の本をはじめて読んだのだが。これは一体何なのでしょうか?はじめて読むタイプの読みもので、少々面食らいました。面白かったのですが、読み終わってポカーンとしてしまいました。
連想コンピュータって
ミステリー以外のものも読みたいと思い買ってみた。50年前の執筆だけど古臭くはない。コンピュータ翻訳の若い研究者が主人公ですが登場する連想コンピュータって現在の機械学習、AIの原型でしょうか。
神が人間をいたぶって楽しんでいるというなんとも不思議な表現は斬新だけど違和感はぬぐえないかな。イエスを殺したのも神って。最後は火星まで登場して壮大だけど終わり方はすっきりしない。しかしSFとはいえ宗教とは神とはと考えたこともない感覚で接したのは記憶に残る小説です。
Posted by ブクログ
これが山田正紀のデビュー作か。論理記号が2つしかないとか、七重以上に入り組んだ関係代名詞があるとか、”古代文字”を解析する部分を読んでいるときのぞくぞくする感じは、まさしくSFの醍醐味。長編としては短めのせいなのか、無駄な部分がなくてすっきりしている。
けど知りたいのは、この小説のラストの後がどうなるかなんだけどなあ。神は存在するのかという、古典的かつ究極的な問いに対する答えを期待したのに。人間には神は理解できないというんならそれでもいいんだけど、ここで神と呼ばれている存在は、そこまで絶対的な存在ではないような気がするし。火星の話まで出しておいてこれはないよな。
それと人物の造形はちょっといただけない。主人公はみんなから嫌われてるけど、普通こんな優秀な奴だったら、同僚から妬まれるのはともかく、上司は絶対手放さないと思うけどなあ。ユリアが生きているうちは主人公を受けつけなかったくせに、死んだとたん守ってくれてるというのもちょっとね。
まあ不満な部分はあるにしても、デビュー作でこれを書いたというんだから、山田正紀はやっぱすごいっす。