瀬尾まいこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ父さんは父さんを辞めようと思う、から始まる。
よくあるようで、変な家族の日常を眺めているような本。みんなそれぞれちょっとずつ面白くて、変なところや危ういところがある。前半は家族の性格だったり、どんな家庭なのかなど、家族中心の話だったように思う。
後半から前半でも出てきていた、大浦くんの存在が大きくなる。明るく快活で真っ直ぐな男の子。佐和子と正反対だけど、そこがうまく噛み合っていると思った。
だから、終盤で三浦くんが唐突に亡くなった時、読み手であるこちらも鈍器で殴られたような衝撃を受けて、苦しくなった。
人生では、亡くなるだけでなく、様々な別れがあると思うが、その時の感覚になった。実際に起きたわけではないのに、その時の胸が詰まるような、胃が痛むような感覚になり、瀬尾さんの人の心情を書くレベルの高さに感動した。
最初からインパクト大だったヨシコが、最後に主人公に自分なりに慰めようとしていて、主人公と同じようにこの女性の良さに気づいた。
全体的に日常が進んでいく話ではあるものの、終盤で大浦くんが亡くなり、その後のヨシコの言葉で、良くも悪くも家族の切っても切れないような不思議な濃い繋がりを感じた。
主人公の成長でも、恋愛でも、日常でもなく、家族との不思議な縁を書いた物語だと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ中学生の駅伝を舞台とした青春小説。
襷を繋いでいく章の構成が面白くて一気読みした。
駅伝を走る男子生徒6人+陸上部顧問それぞれの魅力があって、読み終わる頃にはみんなのことが好きになる。
私の中でスポットライトが当たったのは渡部君。
頼み事を断れないジローにたいして、「俺は選んでするべきことを決めている」と言い切った場面は、
まだ中学生なのに判断軸をしっかり持っているなんて素晴らしすぎないか?!
と感心したが、彼の章を読み終えた後だと、ある事情のためどういうふうに自分を見せるか考えて行動しているのだとわかり、このセリフの印象が変わる。おばあちゃんの「中学最後になって、孝一もやっと好きなことができるんだね」というセリフは芯をついている。
とはいえ、彼の行動基準はそれだけではないはず。
物事の本質を見抜く力があり、またその本質から目を逸らさない強さと勇気がある。
周りの雰囲気に呑まれずに、「ジローが100パーセント正しいだろ?」と言う場面も私の中で拍手喝采。彼は社会人になっても、【誰が正しいか】ではなくて、【何が正しいか】で物事をきちんと見ることができる大人になるだろうなと勝手に妄想。
そしてもう一つ特筆したいのは俊介君とのやり取り。俊介君自身も避け続けているある質問をズバリするけど、それって相手が打ち明けてきても受け止めるという覚悟や度量がないと、こんな質問できない。その前に出てきた俊介君の友人修平君との対比になっているなと思った。
なんだかんだ渡部君は、短い言葉ではあるけれど、随所で仲間のこと救ってるよなと。一見わかりにくいけど、優しさトップクラスだと思う。
これは私の勝手な考察だが、両親の離婚により父母どちらにも受け入れてもらえなかった痛みと、今一緒に暮らすおばあちゃんからの愛情、どちらも知っているからこそ、状況を俯瞰して見られるし他人の気持ちや傷ついた可能性に気付けるのでは?愛されてまっすぐ育ってきた人が持ってる優しさとはまた違う、静かな優しさを渡部君は持ってるなと感じた。 -
Posted by ブクログ
4.3
思わずぶんぶーとこちらも口真似したくなってくる。
子どもをもったことはないけれど、おいでと呼んだら笑顔で走ってこられたら、それだけで子育ての辛いこととか吹き飛んでしまうんだろうなあ。
小学生時の頃になぜ親戚のおじさんやおばさんはいつも会うたびに、こちらをにこにこと見ているのだろうと思うことがありました。
きっと、私が忘れているだけで、おじさんおばさんの中にも小さい頃の私の記憶や、思い出が残っているんだろうな。
だから、私がモジモジしだす年齢になっても、モジモジしている姿さえもおじさんおばさんにとっては、大きくなったなあ、可愛いと思える姿だったのかも知れないと思いました。
たくさんの大人に可愛がってもらえて、今度は私が可愛いがってあげる番だな。きっと君が忘れてしまっても。