最近自分の中で瀬尾さんブームが来てます。読後感の心地いい作品ばかりで癒されます。
今作は映画化もしており、私も作品名は知っていましたが、映画は見に行かなかったので、新鮮な気持ちで読めました。
冒頭で、「母親が2人、父親が3人、家族形態は7回も変わった」とあったので、不穏な生い立ちを想像し、暗い物語
...続きを読むをかと思ってしまいました。しかし、全くそんなことない、たくさんの親からの深い愛情に溢れた素敵な物語でした。
特に家庭環境について悩みもなく、なんてことない日常を送ってきたかに思われた主人公の優子。しかし、今まで「親」という存在と何度も別れてきたが故に、心の奥底では、いつか離れていくのではないかという不安がずっと付き纏っていたのではないかと、物語を読んでいて思いました。
そんな不安を払拭してくれるかのように接してくれる森宮さん。そんな優子の幸せを一番に考えてくれる彼が最後の父親であって欲しいな、と私も読み進める中でずっと願ってしまいました。
森宮さんが特別愛情深かったとかそういうわけではなく、今作に出てくる優子の「親たち」はどの人もそれはそれは愛情深く、実の子供でもない子に対してここまで人は頑張れるものなのかと涙しました。
『私の親である人は、あまりにもたやすく子どもを優先してしまうのだから』(本文より)この文章で私の涙腺は崩壊しました。
優子も言っていたように、一読者である私にも登場した親たちに順位をつけることなんてできません。みんながみんなそれぞれの形で、優子に最大限の愛を向けていたように思います。
第2章の優子の大学卒業後のお話は涙無しには見られません。この本との出会いは私にとってかけがえのないもの素晴らしい物になりました。まだこの本を読んでない方や友達に強く勧めたい小説になりました。