瀬尾まいこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「子どものためなら何でもできる」という覚悟と、「子どものために何でもしてあげたい」という願い。その似て非なる二つの感情の狭間で、私たちはどれほど自分を削りながら親という役割を全うしているのでしょうか。
物語の序盤、義務感と理想、そして逃げ場のないほど色濃い現実に胸が潰れそうになりました。けれど読み進めるうちに、ふとした日常の隙間に宿る、誰にも邪魔されず、誰にも奪われることのない幸せが溢れ出していく。その光景があまりに尊くて、涙が止まりませんでした。
特に心に突き刺さったのは、美空が実の母親と対峙するシーンです。強くなきゃと自分を鼓舞し続けてきた彼女が、本当の意味でのたくましさを手に入れ、一 -
Posted by ブクログ
瀬尾まいこさんの作品を初めて読んだ一冊。
まるで他人の心が読めるかのように――いや、正確には「読もうとしすぎない距離感」で寄り添う会話が、とても印象に残った。踏み込みすぎず、それでいて見過ごさない。その絶妙なやりとりに、じんわりと心がほどけていく。
登場人物たちは、それぞれに「言わなくてもいい」「言いたくない」過去を抱えている。それを知ってしまっても、暴いたり正したりするのではなく、相手を傷つけないように言葉を選び、そっと掬い上げていく。
タイトルの“掬う”という行為が、そのまま物語全体の在り方を表しているように感じた。強く救うのではなく、こぼれ落ちないように手を添えるような優しさが、静