瀬尾まいこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初の文章から世界観がすごくて一気読み!
はじめは、ファンタジーか?と思ったけど、全然そんなことない。
さくらがお兄さんに心を開いていく描写がたまらなく好き。
まずは、家に通い詰めるお兄さんに
「仕事帰りにここまで来てくれているのだ。夕飯くらい食べさせてあげてもいいだろう。いつもより心なしか疲れた男の子を見たせいか、心地よい春のせいか、私は太っ腹な気持ちになっていた」
不審に思いつつも、はじめから若干心を許していたように思えたのは、お兄さんの日頃の行いや、心遣い!頑張りが伝わっていたからなのかな。
お兄さんとの記憶を思い出している中、具沢山のきんぴらの味で封印していた過去の記憶を思い出したさくら。
お兄さんが、時間をかけて丁寧に向き合ったことで、嫌な思い出としてではなく、良い部分も思い出せたんだろうな。
思い出したくない過去の中にも光はある。
封印してしまうよりも、肯定してあげるほうが、生きていく中でラクになるのかなあ…なんて思ったり。
辛い記憶には蓋をする、その蓋が開く時、心の傷が癒えているかは、開き方次第で変わるのかもね。
結末がわかるまで、ありえない!ファンタジーすぎる!とおもっていたけど、人の心は、時に人間関係で傷付き、時に人間関係で救われることも。深いな〜と。
「あんなにも方法があるのに、愛情を形にするなんて、無意味だって僕は最初から放棄していました」
と山田さんがこれに気づけたところも良い。
誰かを思うことが、こんなにも温かくて、自分が知らないところで密かに思われてるいることの尊さを感じて、こんな気持ちをずっと心に留めておきたいな、と思った。
何度でも読み返したい!! -
Posted by ブクログ
ネタバレうっすい小説だなぁと思いながら購入したら、この薄さで3つのお話があるというのに驚きました!
表題作にもなっている『夏の体温』は、入院している男の子たちの友情のお話。私たちの普通をすること、感じることが当たり前じゃないって改めて心に刻んだ。暑い寒いと年がら年中、文句を言っている私ですが、それは、健康で仕事ができる、家に帰る、買い物へ出掛けられるからこそ、感じることができること。
それらが当たり前じゃない彼らも、置かれている環境で精一杯生きている姿に応援したくなりました。
『魅惑の極悪人ファイル』は、とにかく笑えました。極悪人と言いつつ、めちゃくちゃ愛があるお話でした。
『花曇りの向こう』は、とても短い掌編でしたが、転校生特有の悩みについて少し触れることができました。仕方ない部分もあるかもだけど、転校って理不尽だよね…。 -
Posted by ブクログ
2021.10.20
★5.0
「あと少し、もう少し」の2区を走ったヤンキー大田くんの高校生になったある時のお話。ひょんなことから知り合いの頼みで、1歳の鈴香の世話を任されることになる大田くん。
鈴香と一緒に過ごすひと夏の経験を通して大きく成長する物語。
最初はあたふたしたり、周りの目を気にしすぎたりする大田くんだったけど、鈴香と接してるうちに鈴香のことを第1優先に考えてる姿に涙ちょちょぎれた。人が成長するのを見るってすごくいい。ラストはちょっと切ないような寂しいような感じがしたけど、決意というか前向きな姿が見れて良かった。
大田くんの人柄がすごくいい不器用だけど優しい。
あと少し、もう少しのすぐあとに読んでよかった。
✍︎「あと少し、もう少し」どこかで苦しいそんな願いをもてるのはきっと幸せなことだ。
#さとの本棚 -
Posted by ブクログ
ネタバレ思わずバスの中で涙が出るほど心に残る作品だった。優子が多くの人に愛されながら育ってきたことに感動し、「こんなに愛されて育ってくれてよかった」と感じた。
特に印象的だったのは、最後に優子がバージンロードを歩く場面で、隣にいるのが森宮さんだったことだ。この描写から、血のつながりではなく、「旅立つ場所も、この先戻ってくる場所も森宮さんのところ」だという言葉がすごく感動した。物語の終盤は森宮さんの目線で描かれていることで、彼の優子に対する深い愛情がより伝わってきて良かった。
梨花さんも想像以上に優子のことを大切に思っていたことが印象的で、愛情の深さに驚いた。
現実ではなかなかないありえないかもしれないが、とても温かい物語だと感じた。
物語の中でも特に印象に残ったのは、「親になること」について語られる場面である。梨花さんはそれを「明日が二つになること」と表現していた。
314ページ
「自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、やってくるんだって。親になるって、未来が二倍以上になることだよって」
と森宮さんも、優子と暮らす中でその言葉を実感していた。
「自分のと、自分のよりずっと大事な明日が、毎日やってくる」
この場面を読んで、大切な人ができるということは、自分の人生だけでなく、その人の未来も一緒に考えていくことなのだと感じた。その考え方がとても素敵だと思った。
また、自分もそのように大切に思われている存在なのだとしたら、失敗を恐れず、さまざまなことに挑戦し、経験を積んでいきたいと感じた。
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Posted by ブクログ
結婚を間近に控えた望月さくらのもとにある日兄を名乗る年下の男の子が現れる。まったく覚えのない(しかも年下の)兄にさくらは戸惑うもいつのまにかこの「お兄さん」のペースに巻き込まれて自然と心を許していく……と同時に過去のトラウマが顔を出す……。
再読。何回読んでもお兄さんの自由な振る舞いが可愛くて癒やされる。
瀬尾まいこの作品に出てくる男性って良い意味で現実味がなくて好き。生臭さがなくて掴みどころがなくてどこかおとぼけてて。こんな人がいたら絶対に仲良くなりたい!実際に見ず知らずの男から意味不明な理由で付きまとわれたら恐怖以外の何物でもないけど、さくらがお兄さんに心を許してしまうのもわかる。
引きこもっていた時期のことを鎖国と呼んだり和菓子屋に嫁ぐさくらのことを団子屋の一味になると表現したり言葉選びがユニークなのも面白くて好き。無駄にお姑さんに対抗意識を燃やしながら料理を作るシーンは笑った。
とりたてて大きな出来事が起きるわけじゃないんだけどじんわり心が温かくなるお話でした