瀬尾まいこのレビュー一覧
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ネタバレ心温まる小説でした。
特に、藤沢さんが虫垂炎で入院する場面。
山添くんが藤沢さんに対してできることを、ほぼ無意識の範囲で自発的に考えて行動に移すようになっている場面が印象的でした。
優しさの連鎖とはこういうことなのかもしれない、と思いました。
損得勘定や相手への期待を込めて行動するのではなく、相手のことを思って行動する優しさは素敵だなと改めて感じました。
しかしこの話はあくまでフィクションなので、現実世界と真っ向から照らし合わせるようなことをすると、苦しい感情を抱かれる方もいるかもしれません。
ただ、あくまでフィクションとして読む分には心の安定材料となりうる、非常に素敵な作品であると感じ -
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ずっと手元におきたい作品。
自分がパニック障害を患ったのもあり、心に染み渡る物語でした。抱える不安の大きさ、太刀打ちできないと思ってしまう無力さ、同時にこのままでいいのかという焦り。綺麗に描写されており、その感情たちが人との関わりや日常的な変化によって、徐々に解けて、扱いやすくなり、好きなことを思い出していく。不安を無視せず、病気と戦うわけでもなく、今の自分からできることを少しずつ増やしていこうとする、その一歩進むまでの歩みがとても丁寧に描写されてました。そんなチグハグな自分でも、今の自分を信じることを試してもいいと、背中にそっと手を添えられた気がします。読んでよかった、ずっと大切にしたい。 -
Posted by ブクログ
勉強も運動もいたって普通で何の取り柄もないことがコンプレックスな梨木匠は、人の心の声が聞こえるという能力を持っている。
その力を悪用せず、いつも人を救うことに使っている所に梨木くんの人柄の良さを感じた。
心に傷を抱えた河野さんや、香山くん、口の悪いバイト先のオムライス屋さんの店長が梨木くんとの交流で心が解きほぐされていく様子は、私までほっこりしてしまった。
なかなか心が読めなかった常盤さんと秋音ちゃんのシーンは少し切なくもあった。
そして、周りの人と打ち解けていく中で、梨木自身も自分の存在価値を見出していく。
ラストの、大竹店長の心情を描いた「アフターデイズ」も温かい気持ちにさせ -
Posted by ブクログ
バトンは渡されたと聞くと、陸上のトラック競技を思い出す。前へ前へ進むような展開を想像していたが、この話を読み始めると、後ろめたさを感じる場面が多くあった。
母がいないことを知り、父親と母親が入れ替わりバトンが受け継がれる。
ここでは主人公がバトンであり、受け渡されるのは自分の意思には関係がなく、相手もその時の着順も選べない。
そんな環境の中で、多感な青春時代を悩みながら生きる主人公の強さに大変惹かれた。
またそれぞれの親の気持ちにもフォーカスすると、主人公のために強引に、裕福に、優しくついていけない速度で環境を変えてしまうくらい彼らも悩み生きていたと思わされる。
主人公も大人になり、歴代の親と -
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夜明けのすべて
2026.01.09
レビューが良かったので読んでみた。ストーリー展開はよくある感じで新鮮さはあまりなかったけれど、心温まるストーリーだった。
流浪の月のような、一言では言葉では表せないような2人の関係性が描かれていてお互いをかけがえのないものとして少しずつ前進・成長していく過程が素敵だったし、第三者目線で嬉しかった。特にお互いの好きだったこと、閉じ込めてしまっていた自分に気がつくシーンは何度でも読み返したい。
そして、山添くんへのお守りを送った人が特定されるシーンで伏線が回収されたのは気持ちよかった。
登場人物のみんなが優しくて温かい人すぎて、読んでて幸せだった…
栗田金 -
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ネタバレ月に一度、PMSで感情を押さえられなくなり、大手の会社から栗田金属というこじんまりとした会社に転職した美紗。最近入社した山添は、覇気がなくぼんやりとした今どきの若者。
ところが、ひょんなことから彼がパニック障害で苦しんでいることを知る。
大手の会社を退職し、必要最小限の人間関係の中だけで、ただその日を送るのが精いっぱいの山添。
狭い場所、自由に動きが取れない場所(電車や美容院、映画館など)に行くことができず、いつ発作が起きるかわからない不安を抱えている。
ふたりとも自分のことで精いっぱいの時は何もできないのだが、誰かのためには動くことができる。
ずっと自分を否定してきた二人が、少しずつ自分