瀬尾まいこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何事も卒なくこなす兄と、出来が悪くても皆んなに好かれる弟と、好対照な兄弟の物語。
大阪で中華料理を営む両親の元で、常に店を手伝う弟、小さい頃にトラウマとなって手伝わない兄。兄は明確な目的もなく東京で学校に通うが、すぐ辞めてアルバイト生活に。弟は家を手伝おうと進路も安易に考えていたが、親子面談で父親に怒られて進学へ。
この父親が素晴らしい。兄の東京行きに無言で大金を渡し、弟には家を出ることを薦める。最後は父親が密かに思い描いたところに落ち着いたように思う。
大阪生まれの作家が、吉本の漫才のノリで描いたような軽快にクスッと笑えて、ジーンと感動が来るような作品だった。 -
Posted by ブクログ
「友情」をテーマに描かれた3作品。
「夏の体温」では病院に入院中の小学生の瑛介が、低身長の検査入院に来た壮太との短くても濃い友情を描いている。
検査や治療の不安の中、瑛介の芯の強さに胸がぎゅっとなった。
あとがきで瀬尾さんが、ご自身の娘さんも低身長の治療を受けていると語っている。
「魅惑の極悪人ファイル」では、空想癖のため、現実の人間関係がうまくいかない大原さんと、過去を引きずり自己肯定感が下がったままのストブラくんの大学生同士の恋愛とも違う心の繋がりにほっこりさせられた。
「花曇りの向こう」はサクッと短い作品だったが、転校生の緊張感、そして温もりが伝わってきた。
人間関 -
Posted by ブクログ
瀬尾まいこさんの代表作の一つかな?中学駅伝をテーマにしたザ・青春小説です。読後感が最高です。僕も中学時代、陸上の長距離をやっていて、3年間駅伝にも出たのでその時のことも思い出しました。
三浦しをんさんの解説にも有りましたが、なんでただ走っているだけなのに、あんなにも感動を与えるんでしょうね。陸上ってあまりにもシンプルな故の奥深さを感じます。
この小説では、その内面を爽やかに描き切ったと思います。1区ずつ走者の視点で、前の走者、次の走者との関係性に焦点を当てながら襷(たすき)を繋いて行くので、1章が終わるたびに涙目になっていました。登場人物みんなの優しさが溢れているのも瀬尾まいこさんらしく、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後の行を読み終えて、良かったなと思い、少しだけ胸が熱くなった。長い旅を終えて、ヘイスケの人生が始まって、良かったな、の良かったな。
コウスケが帰ってきて、自分が継ぐはずだった戸村飯店で料理をしている兄を見て怒るだろう。自分の居場所が奪われるような気がして、不安で叫ぶだろう。それでも、すぐに仲直りするだろうと思う。思えるようになった。二人で店をやっていくのかもしれないし、戸村飯店が東京に出店するのかもしれないし、そもそもコウスケは埼玉の大学で自分のやりたいことを見つけるかもしれない。どれにしろ、良い方向に向かうだろうという予感がある。この二人なら大丈夫だろうという安心がある。素晴らしかった。