瀬尾まいこのレビュー一覧
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一つの小説で6人分の視点を追体験しても良いのだろうか。そんな贅沢な小説だった。
毎年、県大会に出場している中学の陸上部は今年も県大会出場を目指す。しかし、陸上部の熱血顧問は異動となり、新たにやってきた顧問は美術部。更に、出場メンバーがなかなか定まらない。追い討ちをかけるように、主力の不調。
そんな不協和音な状態でもなんとか、もがき苦しみ這いあがろうとする青春小説。
当たり前だが、一人一人が別のバッググラウンドを持ち、異なる価値観を持つ。そんなまだまだ成長段階の彼らの思考や見方の変化が丁寧に描写されている。
中学の部活がもたらす人間的成長。これが大会出場が叶おうが叶わなかろうが、1番大事 -
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ネタバレ父はカメラマン、母はバイオリニスト、姉は画家を目指しアメリカにいる。そんな中、自分は何の取り柄もないと悩む梨木。小学、中学で困っていそうな同級生を助けたことで、人の心を読める能力があるね、と褒められる。
でも本当にすごいのは、気付いた異変に対してとことん考えて答えを出す辛抱強さ。そして、何とかしなきゃ!と、下手すると困っている本人より必死に解決策を出そうとする優しさと、行動に移せる勇気じゃないかな?
店長の大竹や、大学の友人たちと接するうちに、人の心なんて一緒にいれば図らずとも分かるものだ、誰かの思いに触れるのは何も特別なことではない、と気づき始める。それでも誰かを救っていることに変わりはない -
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友情にまつわる二つの中編と一つの掌編を収録。
『夏の体温』
主人公は病気のためにもう1ヶ月も入院している。病院は低身長の外来もやっていて、2泊3日の検査入院の子供たちもよく来る。次々入ってくる子たちは皆、自分より先に退院していく。先の見えない入院に、なぜ自分ばかり……と不満に思う一方、入院当初入っていた重病患者棟では自分よりはるかに深刻な状態の患者もたくさん見てきた。それに比べたら自分なんか不満を抱いてはいけないのではないか…?
そうやって心は揺れ動き、入院して自分は性格が悪くなった。外にいた時はもっと朗らかだったはずなんだけど…。
そう思っていた頃に、同年代の壮太が検査入院でやってきた。
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「当たるも八卦当たらぬも八卦」という言葉の通り、占いは必ずしも正しさを求めるものではなく、その曖昧さ自体に価値があるのだと感じた。
占いに求められているものは大きく二つあると考えた。
一つは意思決定のサポートである。人はすでに心の中で答えが決まっているにもかかわらず、最後の一歩を踏み出せないことがある。そんなときに占いは、自分の選択に対する責任や不安を担いでくれる役割がある。
もう一つは秘密の共有である。誰にも相談できない悩みや不安を打ち明けることで、気持ちが整理され、問題の半分は解決することもある。占いは、単に未来を示すだけでなく、安心して本音を吐き出せる場としての機能も持っていると感じた -
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自分がきっと犯してしまった罪。自分がもがき、変わることで、許され、新しい世界に飛び立つことが出来る。
色々な文学作品が出てくる。川端康成、石川啄木、夏目漱石、山本周五郎。
舞台は明確に書かれてないけど、盛岡かな、岩手のどこかかな。あ、盛岡じゃないわ、違うわ。海辺の街だから。
私、間違ってないよね?。そんな押し付けがましい事、恋人にしか言わないよね。→これは、小説の中の高校の講師である主人公と、主人公がつとめる文芸部のたったひとりの男子高校生とのやり取り。
私、間違ってないよね、という言葉。
よく発する人います。自分の正しさを他人に強要する人。あー確かに押し付けがましい!とこの文を読んで納得