瀬尾まいこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
人との出会いで少しずつ自分の思考が変化していく、行動が変化していく。知らず知らず変化した自分に気づいたタイミングで自分と向き合っていく。さらに人との繋がりに喜びを感じる。PMSとパニック障害、人物に特徴を持たせることでわかりやすく物語が進む。運命的な出会いでもなく劇的でもない緩やかに変化だけど微笑ましい展開で、藤沢さんと山添くんが距離を自然と縮めていく様子を微笑ましく見守ってしまう作品であった。ずっと『あの頃の自分に戻りたい』と思い続け、戻れないと諦めていた山添くんが、気付けば『あの頃の自分』以上に『今の自分』が好きになりつつあることに気付けるところが良かった。『輝かしいあの頃』よりも輝ける自分をほんの少しでも見いだせるのは希望だと思うし私もそうで在りたい。
-
Posted by ブクログ
書店にまつわる短編5編。読んでから1週間経って内容はもうすでにうろ覚えだけど、5編ともみんな良かった!
読書って内容をずっと覚えていられなくても(私の記憶力の問題かも)読んでる時が楽しくてワクワクしていればその時間を楽しめてるってことでもうじゅうぶんな気がする。
その点でこの本は合格!
特に一穂ミチと三浦しおんの短編が好きだった。
三浦しおんは書店勤務があるかのように書店員の仕事内容に詳しかった。
商店街にある小さな書店、でもしっかり固定客もついていてパートとバイトも雇える余力がある。カブで配達ついでに見守りもして(お得意さんが倒れてるのを救ったり)こんな書店が実際あったら働いてみたいなぁ。と思ったなり。 -
Posted by ブクログ
主人公の優子は親が変わっても、いじめに遭っても深く悩むことはない。
学校行事で責任のある役目に就いてもそつなくこなし、男子にもモテる。
人間的に完成していて、冒頭で悩みがないのが悩みのようなことを言っていたのも納得だ。
そんな彼女も森宮さんと一緒にいる時は年相応の子供に見える。
二人の食卓漫才や優子が叱られる姿を見るとどこかほっとした。
本作では森宮さんが一番好きだ。
終盤では森宮さんと同調して、こんな奴に優子をやれるか!とキレそうになってしまった。
ラストがあっけないという声も多いようだが、これ以上の尺があると本気で泣いてしまいそうなので、私には丁度良い頁配分だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ平凡なことが悩みの主人公、梨木匠。
匠という名前にも、両親の期待の重さを感じている。
中学生のころに、同級生の心を読め、以来自分には人の心を読む力があると信じている。
実際に心が読めなくても、あの性格の悪い店長の気持ちをおしはかるだけでなく、他の人に対しても実際に行動ができるところは本当にすごいと思う。
秋音の声は...私にもあったのだろうか、と思ってしまった。
二重人格かな、ぐらいの想像しかできなかった。冬香と元カレの話もフォーカスしてほしい。
文庫限定なのか、店長にフォーカスしてくれたのが、とてもよかった。
河野さんとのことも、多くをかたらず、彼女いますよね、ぐらいの感じで出てきたのもよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大人の都合に振り回され7回も親が変わりながら育っていく少女が、彼女自身の結婚を迎えるまでのお話。
宮森さんが好き。
高校生の優子の父親としては若く、コミュニケーション能力が頗るいい訳でもない彼が、優子の父親を一生懸命に全うしようとしている様子がとても良かった。
始業式の朝にカツ丼を作るとか、優子が虐められてる時はスタミナをつけなきゃ!って餃子ばかり作るとか。やる事はちょっとズレているのだけど、完璧ではないそこがいい。どの場面でも森宮さんは、父親業を真剣に、そして本当に楽しんでやっているんだなと。優子を最優先に、自分を犠牲にしなきゃ、みたいなのではなく、娘を育てる事が本当に生き甲斐になったんだな、幸せなんだろうなと。
見ず知らずの人の子供の親になるなんて、なんで自分がそんな損な役割を担わないと行けないんだと思うのかと思いきや、
「本当にちっとも嫌じゃなかった」
「自分のために生きるって難しい。何をしたら自分が満たされるのかさえ分からないんだから。優子ちゃんが笑顔を見せてくれるだけで、育っていく姿を見るだけで、十分だって思える。これが俺が手にしたかったものなんだって」
こう言い切るんですもんね。決して綺麗事を並べている訳では無いんですよね。これが彼の本音。子供は宝とかよく言いますけど、本当にそうなのかもしれないですね。
暖かい愛のお話しでした。
卒業、結婚を迎える時に、自分がいかに周りの人や家族に大事に歩む道を守ってもらってここまで来たのかを振り返りたい方、そして、自分がバトンを渡す側である人にも読んで欲しいお話ですね。