瀬尾まいこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
結婚を控えたさくらの元に、自分の兄だと名乗る年下の男の子が訪ねてくるお話。今まで読んだ瀬尾まいこさんの小説で一番好きかもしれない。小説から溢れだす春の空気感に思わず深呼吸したくなった。表紙も、読み終えたあとに見ると温かい気持ちが溢れて、涙腺が刺激されてしまう。お兄さん、好きだなあ。忙しないのに一緒にいると暖かくなる、春のようなひと。
自分を蝕んでいくような記憶は根こそぎ封印したくなるけれど、その閉じ込めたなかには貰ったままの優しさもたくさんあったこと。「一度出会ったら、人は人をうしなわない。」という言葉を思い出す。いつの間にか疎遠になっていたひとや、いつも不安定で気掛かりだったあのひと。もう会 -
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さりげない表情
原作は、私の好きな作家である瀬尾まいこの代表作である。コミカライズ版はどうかなと思って読んでみたが、原作の良さをたいへんうまく絵にしている。ヒロインのやや度が過ぎるほどの健気さを、さりげない表情のカットで巧みに表現している。セリフも原作の中の印象的な言葉をよく選んで喋らせているところがとても良い。
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読了感が最高でした
ずっと穏やかな様子で進んでいくこの話の中で、泣くことはないだろうと思いながら読み進めていました。
けれど、読んでいく中で主人公の優子がいかに愛されているかを感じ、最後には涙を流してしまっていました。
穏やかに心に染み込んでくるような優しさが詰まっていると思います。後味スッキリと読み終えることができるお話でした。 -
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やりとりが可愛いです
悩みがないのに悩みがあるんじゃない?と聞かれ、そのせいで悩んでいる主人公と、そのお父さんとのやりとりを可愛く感じました。
個人的には、悩みがないのに悩んでいるのではと決め付けられることはある種の重圧に思ますが、主人公はまた違う受け取り方をしていて、ここからどう進むのかが気になりました。
製品版も読んでみようと思います。 -
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意外だけど
優ちゃんとぼく、色々あったけど、上手くやってた。もちろん、色々の中身は、結構ハードだけど。淡々と語る内容は、あまり気分のいいものじゃない。生々しく語られても、いいものじゃない。でも、冷静な主人公に救われた。
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嗚呼、青春兄弟!
町の人気中華飯店の家族の物語。親の思い、子の思い
。父、母の思い、長男の思い、次男の思い、チグハグでおもしろいけど、なんだか哀しいと思ってしまう。親って難しいな、子育てってなんだろなと、考えさせられました。いつもながら、瀬尾作品はおもしろいです。
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温室って、そういうことなのね。
ある意味温室、だけど中はぬるすぎて腐ってしまっている。温度設定を間違えると、育つものも育たない。でも、生物は強い。それなりに、順応する。どの子もそれなりに強い。それなりに悩む。そんな自分をやめたいと悩む。これじゃダメって、みんなわかってるのに。温室を出たみんながどうなるのかと、余韻が残る。
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Posted by ブクログ
著者の中学教師時代を描いたほっこりエッセイ。
エッセイと言うものは初めて読んだ気がするが、大好きな瀬尾さんの筆致ということもあり全く退屈せずにひとつひとつのエピソードを心地よく読んだ。
特に「N君のこと」と「サプライズ部」のエピソードがじんわりと心に来て好きだった。
瀬尾さんは文中で頻繁に、「2組を心から愛している」、「2組は本当に優しく温かい学級だった」、というような言葉を使われていたが、もちろんその生徒たちの素晴らしさも間違いなくあるが、何より瀬尾さん自身が生徒たちを包み込めるような温厚な人柄だったからこそ、そんな生徒たちが育まれていったのもあるんじゃないかと思う。