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母親の再婚相手とその息子。中学生という多感な時期を血は繋がっていなくても、互いに相手が自分にとってかけがえのない存在だと気付いていく過程に、心を鷲掴みにされた。愛するということ。歳を重ねたからこそ、共感できる箇所が多かったのかもしれない。
人間の弱さ脆さと、強さを同時に感じられる作品。
#心友 #愛するということ #家族の絆 #子育て
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虐待の話だったのでかなり構えて読みました。でもやっぱり瀬尾さんの本でした。どんな理由があったとしても虐待の加害者を認めることなど絶対に有りませんが、このような大人は世の中に案外たくさんいるのではないかと思います。ただし、この様な子供は絶対にいません。虐待の被害者が虐待の加害者を救済するなどということは現実にはあり得ませんが、このフィクションの物語りでは何とか3人で暮らす日がまた来て欲しいと思い読み終えました。
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虐待という重いテーマなのかなと思いきや、読み進めていくと、少年が家族のぬくもりを守るために奮闘し、成長していくポジティブなストーリーで、面白かった。
意外だけど
優ちゃんとぼく、色々あったけど、上手くやってた。もちろん、色々の中身は、結構ハードだけど。淡々と語る内容は、あまり気分のいいものじゃない。生々しく語られても、いいものじゃない。でも、冷静な主人公に救われた。
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制御された悪の重要性。
臨床心理士・いわみやけいこさんのあとがきがとてもスッキリと説明してくれている。
本の内容には共感が多かった。
部活内での問題になるシーンについては、私が子供の頃に正しいと考えてやったことを怒られて親にまで話しが行った時のことを思い出した。
人生でした経験が、考え方に影響を与えているという感覚を私に与えてくれた。
お気に入り。
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人の感情がうまく描かれている。
知らない世界だからわからない世界でもある。
あったかいような切ないような変な気持ちになるけど後味は悪くなくて、サクサクと読まされたという感じ。
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2022/01/06
神田歯科の委員長である優ちゃん(お父さん)と再婚をしたお母さんの子どもである隼太は家の中で優ちゃんからDVを受けていた。
しかし、自分自身をなかなかコントロールできない優ちゃん自身もそのことや、隼太との関係性に悩んでいた。二人で、どうしたら優ちゃんが虐待をしなくなるのかを考えようと試行錯誤する日々が始まる。
この本の中で出てくる優ちゃんは虐待モードになってしまう部分を除けばとっても良いお父さんのように思える。自分でも感情をコントロールできなくて隼太のことを殴ってしまうのはどうしたらいいのか考えていたし、それに色々と答えようとする隼太も優ちゃんのことが好き…なのだろうか。
何だかとても不思議な家族の関係が織りなすお話しでした。
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虐待する継父と僕(隼太)の物語。というと、無職で酒浸りの父親を想像してしまうが(私だけ?笑)、この父親(優ちゃん)は近所でも評判の優しい歯科医。普段とても優しくて穏やかなだけに、スイッチが入った時にガラッと変わってしまうのが怖い。でも我に帰ると、猛反省…ものすごく小さくなってしまう。
2人で“優ちゃんがキレないよう”色々試し、努力する日々を見守る感覚で読み進める。
ラストは予想と違ったけれど、2人の絆がここまで強くなっていたのかということに感動。その先を想像させられる終わり方だった。
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虐待という重いテーマなのにどこかほっこりする作品。ゆうちゃんが来たときのことを、「クリスマスとお正月が一緒に来たくらい嬉しかった」という表現をしていたのが、すごく、心に残っています
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虐待の話なはずなのに逃げてとか誰か助けてあげてとか思わない、なぜか爽やかな風が吹いている気すらする不思議な話だった。
もちろん優ちゃんがしたことは許さないしこれを知らされず知った時には息子から泣いて気持ちをぶつけられるお母さんの気持ちを思うと辛いどころの話ではないけど、優ちゃんと隼太にしか分からない事実がそこにはあった。
「戻ってくる」…どうかな、戻らない気はするしその方が良い気もする。
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子どもがもしできたら、
なるべく家にいれるようにしたいと思った
夜誰もいない孤独を知らないから、その寂しさを作品を通して感じることができた
ラストは、
暴力がなくなってこのまま幸せが続けば
と思ってた矢先に日記が見つかってしまい
父親が出て行く
精神病院に通ってでもカウンセリングを受けてでもまた許してもらえるよう戻ってくる
このシーンはグッと来た
辛い状況でも本人同士にしか分からないことがある
けど暴力はいけない
学びのある作品だった
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お母さんの再婚相手から虐待されている。
その事実だけだととてもヘビーな話題なのに、この2人はとても暖かく前向きだ。
いつも仲良しなのにキレると手がつけられなくなってしまう。そんな自分がコントロールできなくて苦しむ。
隼太はすごく父親というか一緒にいてくれる存在を求めているけど、なんというかドライだ。
ほとんどの虐待はこんな関係性じゃないんだろうけど、なんとかがんばって乗り越えよあとしている姿はいいなと思った。
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読みやすくてすぐ読み終えられた。
DV、ひとり親、思春期、反抗期、再婚、貧困、義務教育など色々な環境に影響される主人公の思いが描写されていて、1年ぶりくらいに久しぶりに小説を読んでみて、小説も良いなぁと改めて感じた。
自分と通ずる部分もあるし、読んでいて切なくなる部分、はたまた心が温まる部分もあった。
登場人物の物語って捉えるとそこで終わるけれど、主題が虐待じゃなくて善悪だという解説を読んで、そういう捉え方もできるのか、とびっくりした。
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一瞬で読めた 瀬尾さんの文章はほんとに読みやすい
虐待がテーマなのに、心がずしんと重くなったりしない。子と親で虐待を一緒に克服する斬新な視線。感想を書くには語彙力が足りない…隼人くんは誰よりも大人だ。
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最後は希望が見える感じになるのがよかった。とは言え、原因は暴力。優しいタッチで描かれてはいたが壮絶なのだろう。それでも明かりのついてない部屋に一人でいるよりか、誰かを求めてしまう、という隼太の感情はわからなくはない。そして暴力を知ったお母さん。優ちゃんと一緒にいたいがための隼太の今までの苦労や想いが分かるだけに、お母さんの想いに思いっきり賛成できないのがややこしい。
タナケンのiPodd解決方法は秀逸だったな。
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虐待のテーマを扱っていて、瀬尾まいこさんの小説としては重い内容かなと思ったが、主人公である隼太の成長が描かれており、心温まる話であった。
ただ最後の結末には驚いたけど、決してアンハッピーな結末ではない。
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血の繋がっていない父の虐待を受ける中学2年の男の子の話。名前は優ちゃんと隼太。
急にキレて手を出してしまう優ちゃんは、感情をコントロールできない。隼太はそれでも周りには言わずに、2人で解決しようとする。
だんだん殴ることをしないようになる。
隼太は反抗期だが少しずつ成長してるように見えた。また、思春期だなーって思われるような描写もあった。
最後はまさかの展開だった。
私は円満に3人で終わって欲しかったな。
優ちゃんが戻って来ますように。
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虐待してくる義理の父。
それだけ聞くと最悪だと思ってしまう。
でも、それでもいてほしい、大好きな人だって事も当の本人達にとってはありえるのかもしれない。
幸せは周りが決めたり、押し付けたりするものではなくて、自分の心でわかるものなんだろうなぁ。
普通と違っても、それでもいいのかもしれない。
この作品、「虐待」や「暴力」「家族の在り方」がテーマかと思いきや、「善と悪」「優しさや正しさとは」など、壮大なテーマが潜んでいて、本気で道徳の教科書に載せてほしいぐらい、深い。。
それにしても、元中学校教諭の瀬尾さんだからこそ、中学生を描くのが毎回上手ですね( •ꙍ•́ )✧
人の心って複雑で、冷静に考えたらよくない行動をなぜか取ってしまったり、自分の本来の姿と他者の評価に差を感じて戸惑ったり、勝手に幻滅してしまったり。
自分が思っている善が、誰かの悪になりうることもあると気付かされた。
隼太の気持ちが痛いくらい伝わるのだけど、母親の気持ちも勿論わかる。
どの選択が正しいかは、人によって違うかもしれないけれど、この終わり方は清々しくて、ある意味ハッピーエンドと捉えることも出来るかもしれない。
それでも、優ちゃんが隼太に掛けた(ちゃんと大事に思っていて、嫌われたくなくて、愛している。だから戻ってくる。という)言葉は、嘘ひとつないと感じるから、これからも、二人の良い関係が続くことを願わずにはいられない。
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強がってる隼太だけど、やってることも発言もむちゃくちゃだって思うところがたくさんあって、やっぱり中学生だなって感じた。
「本当に解決しようと思えば解決できるでしょ!」と思ったり、
「その状況が明らかにおかしい。」「もっといい形で解決できそうなのに。」
って感じるところもあるけど…
優ちゃんが自分は後からやってきたと思ってるし、
隼太を大切に思っているからこそ、必ず隼太の気持ちや意見を優先しているんだなぁと感じた。
あくまでも作品の中の2人の判断が正しいとは言えないと思うけど、必死にもがいている2人の様子がイメージできた。
この作品は読む人によって感じ方が全く違うと思う。
みんな一生懸命生きてるからこそ、誰かを責めることはできないけど、読み終わるとなんかあっけなくて、なんとも言えない気持ちになった。
でも、それはそれで素敵な作品だった。
隼太の中学生らしさ。
優ちゃんのファミリーマートを選ぶ理由が笑えた笑
だけどそこまで家族という形に不安があったのかな。
ごはんを作らずにいられないお母さんの優しさが心に染みる。
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最初のページから“優ちゃん”という典型的なdv男が登場し、この話は虐待の話なのかと思いました。でも、少し違いました。確かにこの後も隼太は父からの暴力に悩まされますが、2人は仲を深めていきます。どう時間がすすんでも仲良くなんてなれるはずのない父と息子。
お互いに自分の「悪」の部分を知り、受け止め合うことで2人は絆を深めていきました。
暴力を受ける隼太が辛いのはもちろんのこと、優ちゃんも止められない暴力に苦しんでいました。そこに隼太の思春期が重なり家族の繋がりは崩れてしまったけれど、わたしが想像した続きでは3人はまた家族に戻れていました。
「自分は良いところだけでなく、悪いところもあるのだ」という自覚を持つことが人との仲を深める上で大切なんだと気づきました。
隼太の周りの人たちはやはりとても暖かかったです。
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なんだかもやもやする感情で読み終えてしまった。
してしまったことは取り消せない、その後どうするかが大事というけれど、そういう綺麗事で済まされない虐待というテーマ。かといって当人同士が解決した後にたとえ家族であってもきっぱり切り捨てて良いものなのか。本当に解決したのか、時間が経たないとそれは分からないけれど。
加害者を庇うわけではないが、本人も辛い、病気と紙一重だと思う。それでも被害者の心の傷は消えないわけであって。
そう思うとやっぱり他人にはわからない本人同士の長期的な解決が1番なのかな。
皆が皆、主人公の隼太のように強く優しく理解があるわけではないけれど。
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『ずしりと重い頭を振ってみる。今日は何度か床に打ち付けられたから、まだぼんやりしている。そっと目を開けると、さっきまで僕を殴っていた優ちゃんは、すっかり力をなくして部屋の隅に座り込んでいた』
全国の児童相談所に毎年13万件を超える対応依頼があると言う児童虐待。多くの親は虐待を行っても、それを認めようとはしない現実があると言うその実態。”虐待をする特別な親”というものがこの世に存在するわけではありません。誰もがその可能性を秘めている児童虐待。『親に殴られたらことがトラウマになって、虐待を繰り返す人が30%もいるんだって』という虐待の連鎖が生む悲劇。虐待をする側にも何らかの理由がある。虐待をしてしまう何らかの理由がある。この作品は、当時、現役の中学教師だった瀬尾まいこさんが、虐待される側の中学生の視点で、虐待のある家庭の日常を淡々と描いていく物語です。
『いつの間にか部屋の中は真っ暗になっていた。一時間くらい攻められていたんだ』と気づくのは『二年生に進級すると同時に、僕は上村隼太から神田隼太になった』という主人公の隼太(しゅんた)。『スナックローズの息子だった僕は、スナックローズの息子兼神田歯科の息子になった』という再婚者の歯科医でもある父・優ちゃんは『すっかり力をなくして部屋の隅に座り込んでいた。苛立ちの塊だった優ちゃんは、今はただの抜け殻になっている』といういつもの光景。『何をきっかけに、何のはずみで?ちっとも思い出せないし、思いつかない』というその原因。『結局僕にも優ちゃんにも原因なんてわからないし、そもそも原因なんてないんだから』という虐待の理由。『ごめん…。どうして同じことを繰り返すんだろう』と『優ちゃんは少し震えたまま、ぼそりと』つぶやきます。『俺は本当に最低な人間だよな。謝るならしなきゃいいのに、本当に最低だ』と悔悟の父に『いいって。でも、優ちゃん、頭はやめて。マジでくらくらした。目の前に星が見えたし』と冷静に答える隼太。『こんなにちっぽけな弱々しい大人を、僕は優ちゃん以外に知らない』と感じる隼太。『許せないことを俺は繰り返している。俺、もうこの家で生活できない。この家にいちゃいけない』と続ける父の言葉を『また始まった。僕を殴り始めてから、何度も聞いた優ちゃんの告白』とあくまで冷静な隼太。『自分のことをなぎさに打ち明けようと思う。隼太に、暴力を振るってしまうことだ』と言う父に『僕がいいって言ってるんだからいいじゃない。それに、そのうち収まるよ』とあくまで二人だけの秘密にするという隼太。『僕だって、殴られるのは嫌だ。ただただ痛い。突然豹変して、止まらなくなる優ちゃんは恐ろしい』と思う隼太。しかし隼太は、『でも、僕はもっと怖いものを知っている』と過去を振り返ります。『いつも頭に浮かぶのは一人で過ごしていた夜だ』という幼い頃の隼太。『お母さんは夜も働きに出た。僕はたった一人で夜が終わるのを待った』という幼き日々。『優ちゃんが来るまで、僕はそんな夜を何年も何年も過ごしてきた』と一人の夜の辛さを思い出す隼太。そんな隼太は『優ちゃん、治してみよう。一緒に治そう。殴るだけ殴って、自分の都合で出て行くとか、最低だよ。そんなこと僕は絶対に許さない。裏切らないでよ』と父にはっきり言います。『あ、ああ』と『優ちゃんは心細そうにうなずいた』という父と子の虐待を乗り越えるための試行錯誤の日々が始まりました。
中学生に対する児童虐待という非常に重いテーマを取り上げたこの作品。そしてそんなテーマを描く瀬尾さんは執筆当時、現役の中学教師という立場でした。中学校における授業風景、部活への取り組みなどのリアルな描写は現場での経験が間違いなく反映されているのだと思います。そして、中学生という思春期の中でも一番微妙な年齢にある主人公・隼太の描写で思春期ならではの感情をもリアルに取り上げていきます。『「うざい」や「死ね」という言葉をみんな平気で親に言っている』という友人たちを一人冷めた目で見る隼太。『もう大人になりつつある僕たちには、かまってくる親がうっとうしくてたまらないのだ』、でも『もちろん、僕だって同じだ』と言う隼太。しかし『だけど、反抗したってどうしようもない。結局、面倒なことになるだけだ。百害あって一利なし』と努めて冷静に考えます。『少し学校のことを話して、ちゃんと返事するだけでスムーズにいくし、お母さんも良い気分でいられる』と思う隼太。長らく母子家庭で育った母と子の関係から来ると思われるその冷静な感情を持つ隼太。しかし、一方で母がよく言う『女手一つで育ててるんだから』という言葉に反応します。『父親がいない大変さを僕にアピール』していると受け止める隼太には、その言葉が『「女手一つ」の家じゃない子どもに、絶対劣ってはいけない』と『お母さんが想像している以上に、威力』をもって伝わります。『僕なりにやるべきことをしっかりやってきた』ものの『「女手一つ」という言葉は重荷で、「女手一つ」じゃなくなったら、どんなにいいだろうと』思う隼太。この思春期ならではの複雑な思いが、父からの虐待を乗り越える原動力になっていきます。そしてこれらの隼太のなんとも複雑な思いに胸が詰まるものを感じる一つひとつの丁寧な描写が作品に強い説得力を与えていきます。
『「女手一つ」という縛りから解放されること、夜一人ではなくなること』など、優ちゃんが父親になることの喜びを享受する一方で『お母さんが悲しむ』という理由で虐待を受けていることを誰にも話さない隼太。その虐待のシーンさえも淡々と描かれていくところにとても瀬尾さんらしさを感じる作品ですが、この作品が単なる児童虐待の実態を描いた作品ではなく、児童虐待をされている側が、努めて冷静に、児童虐待をする側に、その事実を訴え、力を合わせて自分たちだけで虐待問題を解決していこうと動く展開がとても新鮮です。それ故に虐待のシーンがリアルに描写されても決してそこに悲壮感が漂うことはありません。それは隼太のこんな考え方にも現れてきます。『優ちゃんは、虐待とか暴力という言葉に萎縮する』と父をあくまで冷静に観察する隼太。『けれど、深刻になったらなっただけ、はまってしまうだけだ』と分析していきます。そして『僕たちの問題に触れるときは、なるべく軽くおもしろく』、そう捉えるようにしていくことにした隼太。『イライラを防止する役割』のあるカルシウム、『いつどういうときに優ちゃんがキレるのかがわかる』記録としての日記など、児童虐待を受ける側が積極的にその解決方法を提案し、行動に移していくという展開は、瀬尾さんならではの切り口だと思います。そして、それが『優ちゃんがどうすればキレなくなるのかは、まだつかめていない。だけど、優ちゃんが絶対にキレないという日はなんとなくわかるようになった』と進んでいく物語からは、冒頭の衝撃的な暴力シーンを乗り越えた先の未来を感じることができました。しかし、瀬尾さんは物語を単純にそのようには決着させません。ある意味で予想された、ある意味で全く予想できなかった結末へと進む物語からは、児童虐待というものを少し高い位置から俯瞰したような独特な視点から見ることができたように思いました。
『被害者、加害者というふうには考えなかった。どうしたら何とかなるんだろうか、そういうことを考えながら描きました』と語る瀬尾さん。『力は麻痺する。振るう側も振るわれる側も、「まあいいか」と思う幅が少しずつ広くなってしまう』という虐待が繰り返される日常。しかし、そんな虐待の当事者たちには『暴力を振るう人間と振るわれている人間の間には、他の人にはわからないものがある』という特別な繋がりがありました。
報道されるニュースの過激さに感覚が麻痺してしまっている児童虐待について、独特な視点、立ち位置から鋭く斬り込んだこの作品。瀬尾さんならではのあくまで冷静な、あくまで淡々とした筆致が、悲惨さばかりに目が行きがちの児童虐待について、逆に冷静に、視野広く考える機会を与えていただいた、そんな作品でした。
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虐待に耐えながらも優ちゃんを必要としている隼太はとても奇妙で、冒頭で惹かれ、レジへ持っていった。
第三者からすると完全な「悪」も、当事者により否定されることがある。
人間て不思議。
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僕の明日を照らして
瀬尾まいこさん。
義理の父からの虐待。
なんとも、悲しい始まりだったけど、
不思議な展開。
中学二年生の隼太。
揺れる気持ち。成長。
手に取るようにわかって、おもしろかった。
続きが知りたいです。
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「優ちゃんに殴られるより、もっと怖いことが僕にはあった〜」
世間の社会通念から考えると、優ちゃんと隼太の絆は児童虐待であり、当然引き離すべきな事
しかし被害者である隼太はそれを拒んで二人で克服しようと努力する
愛情は錯覚なんだろうか・・・
あくまで隼太視線のストーリーで優ちゃんと母親の関係は希薄
この家族3人が一緒に暮らす日は来ることはないだろう
う〜ん、どう頭の中を整理すればよいのか、危険な小説だった
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瀬尾まいこさんの作品はどれも登場人物が憎めない。暴力を振う義父と聞くと最悪だが、素敵な面もあり憎みきれない。思っていた最後とは違ったが瀬尾まいこさんの本なのできっと良い未来が待っていると信じられる。
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瀬尾まいこさんの作品は、どれも人間味があって面白い。
中学生・隼太と義理の父・優ちゃんのそれぞれの闇。闇の中から沸々芽生えてくるお互いの信頼関係と成長する姿がとてもほっこり温かい。
最後はハッピーエンドともバッドエンドとも捉え難い結末だったけれど、この家族にとっては良い結末ではあったのかなと思った。
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中2の隼太に新しい父が出来た。優しい父はしかしDVする父でもあった。この家族を失いたくない! 隼太の闘いと成長の日々を描く。
DVという言葉に持っていたイメージが覆された。隼太が義父から暴力を受けても、なぜ母親に隠そうとするのか。義父が自らいなくなろうとするのを、必死に止めるのか。
読んでいくうちに、隼太の複雑な気持ちが分かってくる。はたから見ると不幸にしか見えないことも、当事者にとってはかけがえのない幸せだったりする。
瀬尾さんはそんな家族を描く作品が多いけど、不思議と心が温まる。この本もそんな読後感でした。
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ほっこりしているのに
終始胸をぐっと押さえつけられているような
複雑な気持ちになるむつかしいお話だった。
どれだけ優ちゃんがほんとはいいやつだろうと
どれだけ隼太がこの家族の形を守りたかろうと
ふたりの問題だったとしても、これはだめだ。
どれだけしっかりしていても隼太は中学生。
大人がもっと見ていてあげないと。
優ちゃんも丸め込まれている場合じゃないし、
何より、おかあさんが何もわかっていないのが一番しんどいつらい悲しいな〜〜
タナケンという友達がよかった。
「俺だって、エブリタイム、ウケを狙ってた五分前の自分のあざとさに寒気がするよ。ついでにすべりまくるギャグセンスにも鳥肌立つし。そもそも、みんなに好かれたがってるってのが、格好悪い。でも、止められないんだよな。癖だな、もう。あーやだやだ」
Posted by ブクログ
優ちゃんと僕の関係。僕にとっては虐待をする優ちゃんであってもいなくなるなんて許せない。私も一人でいるのはとても苦手なので気持ちはよくわかる。
「キレる」に対して絵本とか、カルシウムとか、とにかくいいと言われたことを試す二人はかいがいしい。