内田樹のレビュー一覧
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ネタバレ尊敬できるような先生に出会えないのは、先生が悪いのではなく、漫然とえらい先生の出現を待っている自分が悪いのだと内田センセイはおっしゃる。
それはまあ、そうかもしれない。
どんなに先生が素晴らしいことをおっしゃっても、聞く気のない人の耳にその言葉は届かない。
逆に先生が何の気なしに言ったことが、人生を変えることだってある(かもしれない)。
そもそも、万人向けの言葉の中に大切な言葉はない。
たった一人の自分のために言われた言葉だから価値があるのだ。
わかりやすくある必要はない。
この人の言う言葉がわかるのは自分だけだ!くらいの勘違いが、尊敬できる先生との出会いのきっかけになるのだそうだ。
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著者が,いろいろなところで書いた論文を集めたもの。いつも通り,内田さんの筆はよく動く。視点が面白くて,しかも難しくないので読みやすい。本のタイトルにある「コロナ後の世界」は,本の4分の1くらいで,あとは,違う話題が多い。最終の第Ⅳ章では,4人への弔辞?がまとめられていて,ちょっと変わった編集となっている(これは編集者の工夫らしい)。内田さん本人は,「この本を通じて僕が一番言いたかったことは,(吉本隆明を含めた)4人の死者たちに向けて書かれたこれらの言葉の中に表現されていたように思います」と言っていて,ここだけでももう一度読んでみようかな。
気に入ったところに付箋を付けながら読んでいたら,付 -
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自由な生き方を自分自身で選んでるようで、実は選ばされているという視点が、今までの私にはなく新しい視点だった。
格差が広がる過程がよくわかる本。
格差が広がる。社会が助け合いを忘れギスギスする、自己責任を強く問われ弱者がどんどん追い詰められていく、一部の上流階級以外みんな弱者になっていく。じゃあそれをどう解決していくか、ということがあまり書かれていないが、著者的には自分で考えろってことなんだろうな。
でもどうしようもなくね?って思ってしまう。それも短絡的なのかな。
家族の絆や地域の絆を程よく保つみたいな取り組みはNPO法人でチラチラ行なっているのをみるから、そこに期待。
そして、私自身も、人 -
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ネタバレ著者の鋭い洞察は、現在の日本社会の成り立ちについて改めて眼を見開かされる思いがする。例えば、日本国憲法について、「本来は存在 しない 9条と自衛隊の葛藤を苦しむという不思議な病態を演じることを通じて、日本人はその疾病利得として世界史上 例外的な平和と繁栄を手に入れた」と喝破し、兵隊にとられた我々の親世代が「子供たちには戦争犯罪について何の責任もないのだから、戦争の醜い部分は自分たちの心に封印して墓場まで持って行くのが戦後生まれの子供たちへの贈り物」と考えていたとの推察も、良い悪いは別として強く同感する。また、大学については、91 年の大学設置基準大綱の目的は18歳人口の減少の結果、増えやしすぎ
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三軸修正法の池上先生との対談本。いつも通りの内田老師のトーン。
・哲学は複雑な学問であると思われがちだが、世の中の方がよっぽど複雑であり、その点ではかなり正直な学問である。
・頭で感じる快不快と、身体で感じる快不快は異なっている。それを識別できない人が多い。頭で感じる快というのは幻想的なもの多い。政治的陶酔やイデオロギー、はたまた身体毀損によるもので、おおむね幻想的な快楽であるが、身体的な快はじっくり、ゆっくり感じるもの。多くの人が、幻想に惑わされやすい。過度なダイエットやピアスなどは明らかな身体毀損であり、身体的には不快であるにもかかわらず、頭で感じる快の強さに押し負けて、快楽と誤認しがち。 -
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つまり、予定調和的な混乱や破壊が起きてそれに対処できる才能を持つ者よりも、予測できない事態が起きた時にそれからの方向性をきちんと掴むことができ、それを世に示せる才能を見出すことのできるのが、武道ということなんだろうな。こういうことを考えているもしくは考えられる人、そしてそれを実際に使える人がどのくらい世の中にはいるのだろう。
この自分が、そうなれるかは全然わからないけど、何かしら武道を、この齢五十を過ぎた身体で、心で、始めようと思うのは無謀かもしれないが、今までそんな使い方ができると思っていなかった体の一部が、ある日突然できるようになるというような経験をしてみたい。それはもちろん、仕事も生活も -
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ネタバレ問い
・なぜ、共同体論が必要なのか
答え
・消費社会の行き過ぎた進展とともに家族が解体され、格差社会が出来上がった。同時に、学校教育も解体され、われわれの子供の世代の学力は極めて低い状態のまま、われわれは老後という弱者に転落する時代を迎える
以下、現代の日本社会の特徴
父親が没落し、母親による家族支配と呪縛がもたらされるようになった。
・父と息子の葛藤はドラマにならない
・圧倒的な支配力をもつ母親が誕生した
・母親の育児戦略は「弱者デフォルト」
・母親の「父親兼任」はきつい
拡大家族論
・賢い男は「家族内序列2位」を選ぶ
・人を傷つけると全能感が味わえる
・ヴァーチャルが実で、リア -
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日本戦後史論 内田樹×白井聡
白井氏の提唱する永続敗戦レジームなどの新しい概念があり、面白かった。日本は、歪な戦後史を辿っているという認識のもと、現代の諸問題を読み解いていく。戦後、アメリカの冷戦対応に伴い、日本は戦前の官僚体制を温存したまま、戦後を迎えた。そして、東条英機をはじめとする戦犯の首を挿げ替えただけで統治機構を温存させたまま戦後レジームが形成される。その際、白井氏が「敗戦の否認」と呼ぶような、敗戦へのごまかしを進めてきた。ごまかしとは何かと言えば、日本は米国に負けたという感覚を少しずつ減らしていくというもの。これはなるほどなとも思ったのであるが、普通、戦争に負ければ臥薪嘗胆として -
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手軽に読めるエッセイだけど噛めば噛むほど味がでる書物(あとがき)なのが、内田先生らしい良書です。
この方、物凄く頭の良い方だと思うので、権威ばって難しく書こうとすればいくらでもできるのでしょうけど、どうやら無知蒙昧なバカな子供(私も含め)を啓蒙することをご自身の天職とお考えのようです。本書のテーマの一つに、「修行や学びは成し遂げた後になって初めて回顧的に理解できるように構造化されている」ということで、本来は、「分かってる人たち」と「分かりようもない人たちたち」に分断されているばずなのですよね。低いレベルに居着いている我らには、文字通り想像もつかない世界があり、そこは本来隔絶されてるのだけど、そ