講談社選書メチエ作品一覧

  • 滅亡するかもしれない人類のための倫理学 長期主義・トランスヒューマン・宇宙進出
    4.5
    核戦争、環境破壊、パンデミック、超AI……人類滅亡の可能性はきわめて高い。 しかしそれを切り抜けたならば、人類は宇宙を征服するだろう、と言われる。 そのとき「人類」は果たして「ヒト」だろうか?  そして存続を目指すべき「人類」の範疇とは? 超未来を想定すると、問うべき倫理と答えは変わる。 イーロン・マスクやテック企業家たちを熱狂させ、先端技術の基底思想になりつつある「長期主義」を軸に、ポストヒューマニズムの最前線を追う。 [本書の内容] はじめに 1 『風の谷のナウシカ』と考える超未来 2 長期主義とは何か?  第一章 最大多数の最大幸福 1 長期主義はどこからやってきたのか?:ピーター・シンガーと功利主義の革新 2 未来のための行いが未来のためになるとは限らない:デレク・パーフィットと世代間倫理 第二章 人類が滅びる可能性 1 ニック・ボストロムと存亡リスク 2 カタストロフ保険はありうるか?  3 ポストヒューマン時代 第三章 未来への対立軸 1 道徳哲学における長期主義 2 加速主義とテクノ・リバタリアン 3 これは新しい優生学か? 第四章 動物たちの未来と反出生主義 1 奴隷的存在は生まれてこない方がよかったのか? 2 動物・AI・人造人間の尊厳 第五章 倫理は常識に合致するか? 1 功利主義と不平等 2 「いとわしい結論」 3 未来のために現在を犠牲にするべきか? 第六章 あなたが存在する世界と非同一性問題 1 枝分かれする世界線 2 道徳か、人生の意味か? 3 不死は悪か?  第七章 シングルトンの困難 1 ノーマル・アクシデント 2 宇宙へのエクソダス? 第八章 宇宙には他に誰かいるのか? 1 フェルミ・パラドックス 2 この世界はシミュレーションか? 第九章 本当に人類は宇宙に出ていいのか? 1 引きこもり文明 2 暗黒森林理論 第十章 それでも宇宙を目指す意味 1 星間文明 補論 星間スーパーコンピューター 2 分岐する人類 おわりに 現在と未来 1 まとめ 2 『風の谷のナウシカ』と考える現在 3 終末なき終末論 注 あとがき
  • 目に見えない戦争 デジタル化に脅かされる世界の安全と安定
    3.8
    本書は、ビッグデータの専門家としてさまざまなメディアで活躍する著者の話題作です。 現代の戦争は、実際の兵器を用いた侵攻も含め、すべて「目に見えない戦争(インヴィジブル・ウォー)」である――これが本書で明らかにされる事実です。その実態が多くの具体的な事例や事件を題材にして語られます。 まずは、デジタル空間における国家の諜報・妨害活動。活動家、テロリスト、ハッカーなど、表面的には国家の委託を受けていない個人によるサイバー攻撃は、国際法上の「戦争」の資格を満たしていません。しかし、今や他国に対する攻撃の要は、相手国の国民の自国政府に対する信頼を切り崩すことにあります。その典型例が2016年のアメリカ大統領選におけるロシアの介入であり、2022年のウクライナ侵攻でも同じ手法が用いられているはずです。こうした情報空間の分断とデマゴギーがもたらす効果は何でしょうか。 続いて取り上げられるのは、自律型致死兵器システム。人の手を交えずに人命を奪う危険な新兵器です。ドローン兵器やキラーロボットなど、現在の戦場における主力兵器のそばに人間の姿はありません。しかし、その使用に規制をかける動きは鈍く、これらの兵器に対抗できる手段を開発するしかないのが実情です。その手段が攻撃してくる相手に対する「逆ハッキング(ハックバック)」ですが、その開発は国家ではなく民間企業によって行われています。 「目に見えない戦争」が一方の西側諸国、他方の中国とロシアという対立の中で進行していることに異論はないでしょう。両陣営は異なる戦略をとり、西側諸国は経済的競争力を高めることを、中国とロシアは経済的な価値のある資源を政治的・軍事的に管理することを目指しています。二つの体制の対立に直面する今、ヨーロッパは、そしてアジア諸国はどうすればよいのか? この喫緊の問いに答えるための材料を本書は惜しみなく与えてくれるでしょう。 【本書の内容】 [1]兵器としてのコード [2]情報戦 [3]人工知能軍拡競争 [4]ハックバック [5]主導権をめぐる戦い [6]「条件つき防衛態勢」
  • もうひとつの「帝銀事件」 二十回目の再審請求「鑑定書」
    5.0
    本書では帝銀事件の「犯人」とされる平沢貞通が、無実なのに虚偽自白に落ちたという無実仮説、また目撃者たちも平沢を見て、「犯人と似ている」とか、「犯人だと断定する」という目撃過誤を犯したという無実仮説を提起する。もし自白と目撃について、この仮説が心理学的に成り立つとすれば、そのこと自体が検察側の有罪仮説への「合理的疑い」となるはずである。本書では、こうした戦略で目撃と自白の供述鑑定を進める。
  • 本居宣長『古事記伝』を読む I
    3.0
    1~4巻1,595~1,925円 (税込)
    誰もがその名は知っている本居宣長の大著『古事記伝』。しかし、全巻読み通した人はほとんどいないといっていいだろう。つまみ食い的に読んで彼の思想を語る前に、まず、細部まで精緻に読み抜こうではないか。とはいえ、宣長の注解は多岐・厖大にわたり、簡単に読み切れるものではない。本書は、現代の代表的『古事記』研究者が、その責任において、徹底的に、かつわかりやすく『古事記伝』全44巻を読み解いていく画期的なシリーズである。そこに浮かび上がってくる宣長の無類のおもしろさ、そして思想の核心とは──。(講談社選書メチエ)
  • 本居宣長『古事記伝』を読む 全4冊合本版
    値引きあり
    -
    本居宣長の歴史的な名著『古事記伝』。「古事記」を古典として再評価し、一字一句、詳細に読み解いた大著だが、そのあまりの大著ゆえに、これを読み通せる人は、ほとんど皆無である。本書は、現代の「古事記」研究の第一人者である著者が、『古事記伝』全44巻を、細部にわたり、懇切丁寧に解説した、画期的な労作。便利な合本版でどうぞ。
  • 物語論 基礎と応用
    3.6
    動物もコミュニケーションを行うが、物語を語れるのは人間だけである。「物語」とは、人間の言語活動に特徴的かつ本質的なものである。では、ここでいう「物語」とはいったい何か――。フランス構造主義の物語論を中心に、その理論を紹介しつつ、カフカ、田山花袋、マルケスから、「シン・ゴジラ」「エヴァンゲリオン」「この世界の片隅に」まで、具体的なテクストを分析し、物語そのものの構造を論じ、設計図を明らかにしていく。
  • モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る
    4.0
    13世紀にユーラシアの東西を席巻したモンゴル帝国。その創始者、チンギス・カンは、質素倹約、質実剛健なリーダーだった。それを物語るのが、著者が近年、発掘成果をあげているチンギスの都、アウラガ遺跡である。良質の馬と鉄を手に入れ、道路網を整備することで、厳しい自然環境に生きるモンゴルの民の暮らしを支え続けたチンギスの実像を、さまざまな文献史料と、自然環境への科学的調査を踏まえ、気鋭の考古学者が描く。
  • モンゴルvs.西欧vs.イスラム 13世紀の世界大戦
    4.0
    世界勢力三つ巴、殺戮と外交の時代。世界制覇に動くモンゴル。十字軍と奮闘するイスラム勇将。数千キロの彼方に親書を届ける西欧の宣教師。世界の3大勢力が武力と外交力の限りを尽くし覇を競った「中世の世界大戦」の時代を活写! (講談社選書メチエ)
  • やさしくない国ニッポンの政治経済学 日本人は困っている人を助けないのか
    4.0
    ―「政府は貧しい人々の面倒を見るべきか?」 これは、世界47ヵ国を対象にして、アメリカのピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2007年に行った調査に含まれる質問の一つです。この質問に「面倒を見るべき」と答えた人の割合が最も高かったのはスペインで、実に96%にのぼりました。では、その割合が最も低い59%だったのは、どの国でしょう?――それが、日本にほかなりません。つまり、約4割の日本人は、貧しい人や困っている人を自分で助けないばかりか、公の力で助けることにも同意していないのです。では、次の質問はどうでしょう? -「社会の多くの人は信頼できるか?」 これは、2019年に行われた第7回「世界価値観調査(World Values Survey)」にある質問です。この質問に「信頼できる」と答えた人の割合は、オランダでは58.5%、ドイツでは41.6%だったのに対して、日本では33.7%。しかも、「信頼できるか」どうかの対象を「他国の人」に変えると、オランダの15.4%に対して、日本は実に0.2%、という驚くべき結果になります。つまり、日本人は日本人同士でも信頼していないし、他国の人はほとんど信頼していない、ということです。 本書は、こうしたさまざまな調査の結果を紹介しながら、「おもてなしの国」と言われ、自分たちでもそう思っている日本人が、本当は「やさしくない」ことを明らかにします。この「やさしくない国」をもたらした歴史的・社会的な要因を探ったあと、このまま進んでいった先にはどのような国が待っているのか、その姿が浮かび上がってくるでしょう。すぐに「自己責任」や「自助」が叫ばれる現状を変えるには、どうすればよいのでしょうか。長年ヨーロッパで教育・調査に携わってきた気鋭の著者がクリアに描く日本の姿と、明るい日本を実現するための方策――本書には、確かにこの国の「今」と「未来」があります。 [本書の内容] 序 章 人にやさしくない、貧しい国ニッポン 第1章 他人を信頼しない日本人 第2章 そもそも、なぜ人は他人を助けるのか 第3章 日本人の社会参加 第4章 利己主義の社会的帰結 第5章 日本はベーシック・インカムを導入すべきか
  • 山に立つ神と仏 柱立てと懸造の心性史
    4.0
    柱を立てるとはどういう行為だったのか。神を祀り天と地の通路を探った古代人の憧憬は、高く太い柱を求め、やがて神仏の近くへと山に分け入っていく。 山中に見出される聖なる岩座、そこに建てられる堂舎は懸造と呼ばれ、人々が観音や権現に伏し、籠もり、苦修錬行する拝所となる。 岩、岩窟、湧水に神仏を感じ霊験を求める日本人、形としての山岳建築に、浄所への畏敬と崇拝の心性を読む。
  • 維摩経の世界 大乗なる仏教の根源へ
    -
    紀元1~2世紀頃、インドで興起した大乗仏教。それまでの教理を批判し、自利よりも利他行を強調する考え方は広く中国・日本にも及ぶ教えとなった。同時代にその教理は「法華経」「涅槃経」「華厳経」などの経典にまとめられたが、日本では「法華経」「勝鬘経」とともに「維摩経」の三経を仏教の根本として聖徳太子が注釈を加えている。本書の主題「維摩経」はやはり紀元1~2世紀頃の成立とされ、支謙(3世紀)、羅什(4~5世紀)、玄奘(7世紀)らが漢訳するなど、大乗経典のなかでも特に重要な経典であったが、もともとサンスクリット語で記された原典はこれまで存在が知られていなかった。それが2001年、大正大学の研究チームによってチベット・ポタラ宮の書庫でサンスクリット語写本が発見され一大ニュースとなった。その経典のなかで教えを説くのは、在家仏教者でありながら悟りを開いたとされるの「ヴィマラキールティ(維摩詰)」である。病を得た維摩のもとへ、世尊シャーキャムニの指示により訪ねてくる弟子・シャーリプトラ、マハーカーシュヤパや文殊菩薩たち。そこで繰り広げられる弟子や文殊たちと維摩との真理に関する問答。核心にあるのは「空」「煩悩即菩提」の思想であり、菩薩とはなにか、仏国土とはなにかという大問題が展開されるが、それぞれの場面は芝居仕立てによって読む者・聞く者を強く惹きつけていく。本書は、サンスクリット語原典写本からの和訳を引用しつつ、人びとに強烈なインパクトをもたらす大乗仏教の利他行思想を紹介する。
  • 遊牧王朝興亡史 モンゴル高原の5000年
    値引きあり
    4.0
    ユーラシアの遊牧民が、世界史のなかで果たしてきた役割の大きさについては、近年、広く知られている。黒海沿岸にまで黄金文化を展開したスキタイや、歴代の中華王朝を脅かした匈奴や鮮卑、突厥などの存在、さらに13世紀にモンゴルが築いたユーラシアの東西にまたがる大帝国は世界史の転換点になったといわれる。 しかし、こうして語られる壮大な歴史像に、本書の著者は心を躍らせる一方で、不満も感じてきたという。そのなかに「遊牧民の姿は見えなかった」というのだ。 ユーラシア大陸を人体に見立てれば、モンゴル高原がその心臓部にあたるという。そこに暮らす遊牧民たちの動静が生み出す人と物の流れが、血流のように各地に行きわたり、人種、民族、宗教の垣根を越えて新しい細胞を目覚めさせてきたのだ。本書は、30年以上モンゴル各地の遺跡を発掘してきた著者が、その成果を集成した「遊牧王朝全史」である。 近年の考古学は理系研究者との協業により、新たな知見を次々もたらしている。例えば、出土人骨の最新のゲノム解析では、多数の東ユーラシア人を少数の西ユーラシア系エリートが統治していた匈奴という遊牧王朝の実態がわかってきている。また、歯石からは摂取していた乳の種類もわかるという。さらに、権力の源泉となる鉄はどこから来たのか、モンゴル帝国が営んだカラコルム首都圏の実態は――。文献史料には表れてこない、遊牧と騎乗の起源の探究に始まる「馬と遊牧のユーラシア史」を知る必読の書。 目次 はじめに 第一章 始動する遊牧民族――青銅器・初期鉄器時代 1 遊牧民の登場 2 家畜馬の到来 3 エリート層の形成 4 遊牧王朝の萌芽 第二章 台頭する遊牧王権――匈奴、鮮卑、柔然 1 ゴビ砂漠の攻防 2 シン・匈奴像 3 単于の素顔 4 みずから鮮卑と号す 5 カガンの登場 第三章 開化する遊牧文明――突厥、ウイグル 1 トルコ民族の勃興 2 大国の鼻綱 3 突厥の再興 4 ウイグルの興亡 第四章 興隆する遊牧世界――契丹、阻卜、モンゴル 1 契丹と阻卜 2 モンゴル部族の登場 3 最初の首都 第五章 変容する遊牧社会――イェケ・モンゴル・ウルス 1 国際都市の繁栄 2 大造営の時代 3 亡国の影 おわりに 参考文献 索引
  • 夢と虹の存在論 身体・時間・現実を生きる
    値引きあり
    -
    『なぜ世界は存在しないのか』でその名を轟かせたマルクス・ガブリエルをはじめ、「哲学」が注目を浴びることが多くなっています。出版界を眺めれば、古典や現代哲学の日本語訳、初心者向けの入門書、専門家の研究書などなど、幾多の書籍であふれかえり、何を手にすればいいのか、本当に「哲学する」ことを教えてくれるのはどの本なのか、すぐには分からないのが現状だと言わざるをえません。本書は、実力者として知られる著者が、入門書から一歩でも二歩でも先に進み、自分自身で「哲学する」ことを求める人に向けて、そのために役立つモデルを提供するものです。 哲学を始めるには、まず過去のさまざまな哲学者たちの議論を知ろうとすることでしょう。そのための入門書や解説書はたくさんありますが、そこで展開される思考が、今ここで生きている自分と、あるいは自分が生きているこの現実と、どのように切り結ぶものなのかは、誰も教えてくれません。本書でも、デカルト、スピノザ、ライプニッツといった17世紀に生きた哲学者たちを取り上げますが、目的は彼らの思想を手軽に知ることではなく、それを自分の問いにするとはどういうことのなのかを示すことにあります。 本書が表題に掲げる「夢」と「虹」は、いずれも、存在しているのか、存在していないのかを明確には言うことのできない、曖昧なものです。「夢」については、第I章で取り上げられる『千一夜物語』の「目覚めて眠る男」が恰好の題材になります。それは、バグダードを舞台にして、ハサンという男がカリフ(イスラームの最高指導者)のアル・ラシードに騙される物語です。酩酊から醒めたとき、ハサンはカリフとして丁重な扱いを受けます。これはアル・ラシードが悪戯で命令したからなのですが、はじめは困惑していたハサンも徐々にその気になり、自分は本当にカリフなのだと思うようになるのです――さて、ハサンが体験したのは「現実」なのでしょうか、それとも「夢」なのでしょうか。ここには、まさに「哲学する」ための最高の問いがあります。 本書は、このように「夢」と「虹」という題材から始め、さらには「身体」と「時間」という私たちとは切っても切れないものに進んで、最終的には「存在」を取り上げ、マルクス・ガブリエルの議論と対決します。各章の末尾には、みなさんが「哲学する」ための練習問題を設けることで、さらなる一歩にいざなってくれるでしょう。中には難しいところもあるかもしれません。でも、本書を手ががかりにして根気よく思考していったとき、そこには見たこともない光景が広がっていることでしょう。 [本書の内容] 第I章 夢――デカルトとライプニッツから始める 第II章 虹――現象と幻想の存在論的距離 第III章 私の身体――因果と表象の二重性 第IV章 時 間 第V章 現実の存在論
  • 夢の現象学・入門
    3.7
    夢は未来予示あるいは想い人からのメッセージなのか。充たされない願望の幻覚的充足なのか。さらに脳科学や進化心理学的研究による「解明」もある。しかし、それらは私たち自身の夢実感からはかけ離れている。本書では、著者自身の夢日記や学生からの夢報告を材料として、夢という「世界」がどのような原理によって構成されそれをどのように体験しているのかを、現象学の方法によって、実際に解読していく。
  • 養生の智慧と気の思想 貝原益軒に至る未病の文化を読む
    3.0
    世界に満ちる「気」。人の身体をも流れる陰陽二気のバランスは病と健康それぞれの相に大きく影響する。中国由来の「気」の世界観と未病を善とする文化は、江戸時代の貝原益軒『養生訓』において花開く。
  • 義経の冒険 英雄と異界をめぐる物語の文化史
    -
    「義経」の物語は、どのように生まれ、そして時代とともに変容していったか。大国主から鬼の国に至るまで、物語の基層を探る旅! 一篇の御伽草子『御曹子島渡』を手に携えて、英雄・義経の物語をめぐる旅が始まる──。『古事記』の大国主神話、吉備真備入唐譚、坂上田村麻呂と悪路王、鞍馬寺の毘沙門天信仰、陰陽道、蝦夷ヶ島などなど、古代から近世までを縦断する義経物語の遍歴を検証し、跡づける冒険的力作! (講談社選書メチエ)
  • ヨハネス・コメニウス 汎知学の光
    5.0
    ヨーロッパの知られざる巨人ヨハネス・アモス・コメニウス(1592-1670年)。近代教育学の祖とされるこの人物が示した無限の広がりを一望する初の本格的概説書! 哲学者として、宗教家として、そして政治家として、ヨーロッパを舞台に縦横無尽の活動を繰り広げたコメニウスを支えたものは何か? 世界のあらゆる事象を把握しようとするコメニウスの「汎知学(パンソフィア)」の構想を「光」をキーワードにして読み解く。
  • 甦るリヴァイアサン
    -
    近代政治という「怪物」の正体に迫る。現代世界は「万人の万人に対する闘争状態」か? 「国家権力」は「悪」なのか? 悪名高きホッブズのテーゼの真意を原典に即して解明し、アレント・ネオコン・ネグリ=ハートの思想と対峙させながら、近代政治哲学を切り開いた古典を「希望の書」として読み直す。(講談社選書メチエ)
  • よみがえるロマノフ家
    4.0
    ピョートル大帝、アレクサンドル1世、エカテリーナ2世、ニコライ2世etc. 1613年ミハイル選出から1917年ニコライ退位に到るまで19人を数える君主の家系はいかに継がれていったのか。西欧派・ピョートル大帝やパリに入城したアレクサンドル、女帝の世紀の啓蒙君主・エカテリーナなどの事績を追い、強い君主を希求するロシアの民衆とツァーリ一族の300年を描く。(講談社選書メチエ)
  • ヨーガの思想
    4.4
    ヨーガの歴史と思想のすべてがわかる決定版。身体の操作により精神の究極の解放を目指す。悠久のインド文明とともに生まれ、現代セレブたちに愛好されるまでに世界的ブームとなったヨーガ。豊饒にして混沌たるインド思想を通底する特異な身体観とその背景にある哲学的思弁の本質を、インド思想史の専門家の立場からわかりやすく解説する。(講談社選書メチエ)
  • ヨーロッパの地理哲学
    値引きあり
    -
    ヨーロッパは、没落していくことをみずから欲せざるをえない。 そして没落していく者としてのみ、到来する者となるだろう――。 アガンベン、エーコ、ネグリ、エスポジト……イタリアの思想家が世界を席巻するなか、その隆盛を牽引してきた最も重要な哲学者でありながら、日本ではいまだその全容を知られていない、マッシモ・カッチャーリ(1944年生)。クザーヌスやブルーノなどの異端的な思想を愛し、ニーチェに基づく「否定の思考」を信条とする著者が耳を傾けてきた「希望に抗する希望の声」とは、いかなる声なのか。一筋縄ではいかない知性に裏打ちされたヨーロッパ論にして共同体論。 本書は、ヨーロッパがいかにして自らを「ヨーロッパ」として同定するに至ったかを、古典古代のテクストに準拠しつつ、中世から近代、そしてさらにはシモーヌ・ヴェイユやカール・シュミットなど現代において提出されてきたさまざまなヨーロッパ像と突き合わせながら丹念に読み解いていく。 エピローグにおいて、カッチャーリは「ヨーロッパの唯一の未来」を示唆する。冷戦終結後、ヨーロッパの統合と拡大が一気に進むなか、EU誕生の翌年にあたる1994年に本書は刊行された。その後、国際情勢は大きく変動し、いまやヨーロッパはロシアの脅威にさらされる一方で、中国をはじめとする新たな国家の台頭をうけ、各国でこれまでになく右派勢力が拡大し、EUも大きく揺らいでいる。40年の時を経た今、本書の対となる書物『アルキペラゴス(多島海)』とあわせてカッチャーリが示したヨーロッパ像、そしてヨーロッパの未来は、分かりやすくはないからこそ、そこに開かれる可能性を示唆している。イタリアが、そしてヨーロッパが誇る知性が描きだすヨーロッパとは――。 【本書の内容】 第1章 ヨーロッパの地理哲学 第2章 戦争と海 第3章 英雄たち 第4章 歓迎されざる客 第5章 不在の祖国
  • ラカンの哲学 哲学の実践としての精神分析
    3.5
    フロイトが創始した精神分析を刷新し続けた不世出の存在、ジャック・ラカン(1901-81年)。1953年から最晩年の1980年まで続けられたセミネールでは何が起きていたのか? 主著『エクリ』をも読み解きつつ、セミネールの全展開を時系列順に通観していく本書は、ラカンを「哲学」として読むことによって前人未到の眺望を獲得していく。気鋭の哲学者が渾身の力をそそいで完成した、平易にして画期的な本格的概説書!※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • 乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか
    -
    我々の現代性の黎明期、日中戦争の前/日米戦争の後、江戸川乱歩と横溝正史――二人は探偵小説の夢を創造する。個人の日常生活を成立させるリアリズムの場に深い〈穴〉があき、あるいはリアリズムの〈場〉が〈死者〉の声に触れて崩れるとき、人間に関わる真実が独特の顔をして垣間見えることがある。だが、この真実を表象する手段は限られている。乱歩と正史はこの真実を寓喩――殺人とその不可能図形によって描き出す。
  • 理性の呼び声 ウィトゲンシュタイン、懐疑論、道徳、悲劇
    値引きあり
    -
    知ることを求め、懐疑へと沈む人間。 本書はその真実を掴まえた。 ――古田徹也(東京大学准教授) 世界も、他人の心も、決して本当に知ることはできない。もし、心からそう考える人がいたら、不安に押しつぶされてしまうだろう。人間の実存に関わるこうした考えを初めて哲学的に追究したのはデカルトである。それ以来、この哲学的懐疑論は近代哲学のかたちを決定づけてきた。だとすれば、哲学自体はこの懐疑論を克服できないのだろうか? ウィトゲンシュタインやオースティンの日常言語哲学から、ソローやシェイクスピアなどの文学、また映画、音楽をも横断し、これ以上なく透徹した論理と文体が、哲学の限界を切り開く。言語哲学、認識論、道徳理論を揺さぶり、大陸哲学と分析哲学を調和させ、哲学に人々の日常の「声」を呼びもどすとき、そこに立ち現れるものは何か。 アメリカ哲学の巨人が遺した、哲学史に残る傑作! [本書の内容] ペーパーバック版への序 序文 第1部 ウィトゲンシュタインと人間的知識の概念 第1章 規準と判断 第2章 規準と懐疑論 第3章 オースティンと実例 第4章 物の何たるか(何と呼ばれるか) 第5章 自然と慣習 第2部 懐疑論と世界の存在 第6章 伝統的認識論の探究(プロローグ) 第7章 ウィトゲンシュタインの言語観についての補説 第8章 伝統的認識論の探究・結び 第3部 知識と道徳性の概念 第9章 知識と道徳性の基礎 第10章 道徳性の不在 第11章 規則と理由 第12章 道徳の自律性 第4部 懐疑論と他者の問題 第13章 承認と忌避のあいだ 訳注  訳者解題  『哲学探究』出典索引 人名〔著作名〕索引
  • 琉球王国 東アジアのコーナーストーン
    4.0
    海の通商王国=琉球。その繁栄の糸口は明の倭寇対策にあった。国家の中枢に食い込み交易の実務を担う華僑たちの実像。「死旅」と呼ばれた中国皇帝への進貢の旅の実際、薩摩支配下での中国・日本「両属」を巧みに使い分けた生き残り政策など、新史料を駆使し新たな琉球像を提示する。(講談社選書メチエ)
  • レヴィナス 無起源からの思考
    4.0
    倫理=政治=哲学論考。人間の起源についての真実。存在を・欲望を・責任を・正義を・国家を考え抜いたレヴィナス。「他者」の「顔」が私に到来するとき哲学が始まるとは、どういうことなのか? 「砂嵐のような文体」で語られた真理に迫る渾身の書き下ろし。(講談社選書メチエ)
  • 恋愛の授業 恋は傷つく絶好のチャンス。めざせ10連敗!
    4.0
    「恋愛作法の達人になるのは、ふふ、無理だろうけど、「恋する私」や「失恋した私」をながめる眼鏡くらいは、手に入るかも」(「シラバス(2019前期)」より) 「恋愛学」と学生の間で呼ばれた都立大学の人気授業を書籍化!  恋愛に正解はない――だからそれは自分や他人について考える絶好の機会になる。 オペラ、文学、哲学、映画、ドラマなど多彩な素材から繰り出される問いの数々と、出席者の等身大の声でつくりあげられた異色にして極上の授業の報告。 金曜4限の「ドイツ語圏ドイツ文化論」、学生たちがつけたまたの名を「恋愛学」。2010年頃に始まったこの授業は、「彼(彼女)にも受講してほしい」と口コミで広がり、ついには参加者200名超にも及ぶ人気講義になりました。 《カルメン》や《ドン・ジョヴァンニ》などのオペラ、太宰治の恋文、ヴィトゲンシュタインの哲学、『存在の耐えられない軽さ』にドラマ『あまちゃん』まで、多彩な素材をもとに恋愛について考えます。 授業を彩るもうひとつの重要な要素が授業のリアクションペーパー、通称「紙メール」。「草食化」、「恋愛離れ」というレッテルを貼られがちな20代の等身大の声を導きの糸に、授業は縦横無尽に展開していきます。 恋は、がんばったからといって上手くいくものではありません。相手の気持ちはもちろん、自分の気持ちもコントロールできない。「私は、私という家の主人ですらない」(フロイト)のが人間です。コントロールできない局面でどうふるまうか――。恋愛に正解はありません。だからこそ恋について考えることは、「私」やコミュニケーションについて考えを深める、またとない機会でもあります。 「パルラ・バッソ(低い声で語れ)」、「捨恋」、「オイラー図」、「136問題(「伝えたいことが10あったとする。文字情報で伝わるのは1。声の調子や表情や身ぶりなどで伝わるのは3。残りの6は伝わらない」)」……ユニークで一度聞いたら忘れられない合言葉の数々。思わず自分の恋も語りだしたくなる? 感情揺さぶる〈実況中継〉講義。 【本書の内容】 「あしたの天気は、晴れか曇りか雨です」――反証可能性 モテる男は叫ばない――136問題 「カタログの歌」――ドン・ジョヴァンニの哲学 めざせ10連敗!――ヴィトゲンシュタインの教え 「さあ聞け。男(女)が思ったが、言わなかったことを」 自分の無力に思い上がるな 手紙に書いたキス 恋愛のピリオド奏法 ふりをする――世界は舞台/そして男も女も役者にすぎない? なぜドン・ジョヴァンニはトリスタンになったのか 非接触系の愛――1対(1) 「絶望するな。では、失敬」 ……など。
  • 連歌とは何か
    3.0
    中世人がもっとも愛した文芸の全貌。創作しつつ味わい、味わいつつ創作する、機知と友愛のアート。二条良基・一条兼良・宗祗ら天才の仕事を軸に、能・茶・花をしのぐほどの人気を誇りながら、近代とともに忘れられた文芸の全歴史をたどる。[本書の内容]●長連歌の世界●連歌会の空間●式目の世界●「水無瀬三吟百韻」を読む●連歌七賢●天才宗祗とその弟子たち●安定と停滞 (講談社選書メチエ)
  • 連続講義 現代日本の四つの危機 哲学からの挑戦
    4.0
    日本を代表すると言っても過言ではない12名の哲学者たちが、一般の聴衆を前に「現代日本の危機」を提示し、その打開策を探る「哲学からの挑戦」の試み。2014年から2015年にかけて行われ、大きな反響を呼んだ連続講義を基に、熱のこもった会場の模様を完全再現する。ライヴ感あふれる口語体で「知」「ことば」「いのち」「戦争」という「四つの危機」を取り上げ、立ち向かおうとした哲学者たちによる真剣な格闘の記録。(講談社選書メチエ)
  • ロシアあるいは対立の亡霊 「第二世界」のポストモダン
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    1991年の崩壊以降、ロシアは歴史の表舞台から消えたが、今世紀その存在感を奇妙なかたちで取り戻した。ウクライナ危機では核兵器まで用意し、かつての冷戦構造を彷彿とさせた。本書では、一九六八年以後のロシア現代思想の歩みを渉猟し、「対立が終わった時代」の対立をめぐる想像力を追跡。ロシアのアイデンティティ構造(自らをつねに「xの他者」〔X=資本主義、権力……〕)を明らかにする。現代を読み解くための必読書。
  • ロシア宇宙主義全史 神化思想からトランスヒューマニズム・人新世へ
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    人間の限界を突破し、時空間の無限に到達せよ! 宗教哲学者フョードロフの「人類復活」、共産主義者ボグダーノフの「血液交換」、ロケット工学の父ツィオルコフスキーの「完全生物」、生物地球化学者ヴェルナツキーの「精神圏」、歴史学者グミリョフの「新ユーラシア主義」……人間の不死・復活および宇宙進出を謳う「ロシア宇宙主義」。その法外な思想に一貫して賭けられていたのは、個と全体のありうべき関係をめぐる理念、そして「独自のロシア」の構築だった! 西欧との同時代的相関性も睥睨しながら、現代のアメリカ・シリコンバレーを熱源とするトランスヒューマニズムや人新世の問題にまでのびてくるその射程を「全史」として描き切る、第一人者による総合的かつ野心的な試み! イーロン・マスクと同じ夢を100年前のロシアで見た人たちがいた―― [目次] はじめに 第一章 近代ロシアの空間表象――ロシア宇宙主義前史 一 無から無限へ 二 ロシアとアメリカ 第二章 フョードロフ――全人類の集合神化 一 人類復活の事業 二 人間の神化 三 自然統御の工程 四 メシアニズムの地政学 第三章 宗教哲学とコミュニズム――集団神化の実践へ 一 宗教哲学ルネサンス 二 コミュニズム 第四章 ツィオルコフスキー――無限の進化と優生思想 一 革命文化とロシア宇宙主義 二 無限の進化の夢 三 個と全体の原子論 第五章 ヴェルナツキー――進化の統御(不)可能性 一 太陽と生物圏 二 「生の跳躍」から「精神圏」へ 第六章 トランスヒューマニズムと人新世――ロシア宇宙主義後史 一 テイヤールからトランスヒューマニズムへ 二 ヴェルナツキーから人新世へ おわりに
  • ロシアの源流 中心なき森と草原から第三のローマへ
    5.0
    第三のローマ=モスクワはいかに生まれたか。東から西から、ルーシの地に歴史の圧力がかかる。モンゴル、十字軍、異教リトアニア、そしてビザンツの正教会。中世期、激動するユーラシアでルーシがロシアへと固まってゆくドラマを追う。(講談社選書メチエ)
  • ロシアのユ-モア 政治と生活を笑った三〇〇年
    4.0
    「共産主義時代にも盗みはあるでしょうか」「ないでしょう。社会主義時代にぜんぶ盗まれていますから」体制にとって「危険な世論」でありつづけたアネクドートは、口から口へと広まる。辛辣に権力を嗤いつづけたロシア人の過激な「笑い」を通して、ピョートル大帝期から現代にいたる、激動のロシア300年を読む。(講談社選書メチエ)
  • 『論語』 孔子の言葉はいかにつくられたか
    4.0
    〈「古典」は創造される〉 儒家たちが己の思想の正否を賭けてテキストと格闘し続けた、エキサイティングな二千年の思想史! □「子曰く」……孔子は本当にそう言ったのか?□ 春秋時代の弟子たちが残した師の言行は、口承で、あるいは竹簡や木簡によって紀元後に伝えられた。 それはさらに時を経て、前漢から宋、江戸時代の日本に至るまで、儒教の思想家たちの強い意志と意図とともに編纂、継承され、ついに『論語』は東アジア最大の古典としてつくりあげられた。 鄭玄、何晏から朱子までの儒家、江戸の伊藤仁斎、荻生徂徠らはあるべき聖賢の思想をいかに追い求めたか。 『論語』テキストの系譜を、ひとつの思想史として描き出す! 「本書が扱うものは、『論語』の形成過程と、朱熹の『論語集注』が成立するまでの解釈史である。しかも、そこで明らかになることは、『論語』とは、孔子の「ありがたい」言葉が収められているものではなく、長い歴史の中で、思想家たちの意図のもと孔子の言動は作られてきた、という事実である。それでは、『論語』を読むことに意味はないのか。そうではあるまい。『論語』などの古典は、時代や個人に応じて受け取られ方が異なるからこそ、時代を超えた普遍性を持って読み継がれてきた。『論語』も、それを手にした一人ひとりの思いに基づいて読まれてきた」(本書より)
  • ローマ人の心 古代帝国の実像に迫る
    NEW
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    「人類が最も幸福だった時代」と後世の歴史家に称された、2世紀のローマ帝国。 その最盛期に生きた人々が切実に願っていたのは、愛する家族に囲まれ仕事に誇りをもち、幸せに生きたことを、後の世に記憶してもらうことだった。 政治史を中心としてきた著者が、帝国エリートはもちろん、市井の人々や被征服地の民に至るまで、古代人の「思い」に迫る。広大なローマ帝国の統合を支えたのは、彼らのどのような「心」だったのか。 新たな視点から浮かび上がる、巨大帝国の知られざる素顔。 18世紀の歴史家エドワード・ギボンは、『ローマ帝国衰亡史』のなかで、2世紀のローマ帝国を「人類が最も幸福だった時代」と評した。 「ローマの平和」と呼ばれる時期に入り、帝国の版図が最大となったこの時代、人々は珍味に満ちた饗宴を楽しみ、剣闘士の戦いに熱狂し、公共浴場の快適さを味わいながら、満ち足りた日々を送っていた――本当にそうだったのだろうか。 帝国の基本構造、ローマ人の一日、そして一生などに始まり、小プリニウスやタキトゥスをはじめとする帝国エリートはもちろん、奴隷や戦争の結果征服された土地である属州の民ににいたるまで、彼らがいかなる思いで帝国を生きたのかに迫る。 最盛期の帝国はまた、無数の碑銘が死者に捧げられた帝国でもあった。碑銘は広く人々に開かれた表現の場であり、誰もがそれを立てて、自ら、あるいは愛する者が、家族に囲まれ、仕事に誇りをもって幸せに生きたことを後世に伝えようとした。その思いは、老若男女を問わず、帝国のエリートから市井の人々、さらに被征服地である属州の民にまで共有されていた。この古代人の心こそが、広大な帝国を結びつける力だった……! 政治史を中心に研究を重ねてきた著者が、新たな視点から描き出す巨大帝国の内なる世界。 【本書の内容】 序 章 ローマ人の心を碑銘に読む 第1章 ローマ人はどんな世界に生きていたのか 一 ローマ国家の歴史/二 ローマ社会の仕組み/三 ローマ市民の「一日」/四 ローマ市民の「一生」 第2章 帝国エリートたちの生きざま 一 プリニウスの生き方/ 二 元老院議員の理念と生活様式/三 タキトゥスの考え/四 ローマ皇帝の下で生きること 第3章 生と死から見る家族の肖像 一 家族の形とつながり/二 死の習俗と家族/三 家族の外の世界 第4章 属州の人々の心 一 被征服地の変化と住民の心/二 属州支配の進展/三 支配に加わる人々と抗う人々 第5章 平穏な帝国の暮らし 一 平穏な時代のガリア/二 ガリア住民の信仰/三 墓碑や記念碑に見えるアイデンティティと生き方/四 構築された新しいアイデンティティ 終 章 帝国の危機とローマ人の心
  • ワイン法
    4.7
    500円のワインより1万円のワインは、ほんとうに20倍もおいしいのか?ロマネコンティ グラン・クリュと格安ワインの差を生み出すのは、品種か? 製法か? 醸造家か? 歴史か? あるいは国家か?高級ワインを高級たらしめているのは、ただ「美味しさ」だけではない。特定の産地、特定の生産者のワインだからこそ高く売れるのである。産地名、生産者名、ヴィンテージ、ぶどうの品種名……これらの情報が、ブランドをブランドたらしめているとも言える。とりわけワイン王国フランスにて繰り広げられた、ブランドを守るための数百年にわたる戦いと、そこから生み出された法と制度すなわち「ワイン法」について、第一人者が語り尽くす!1855年格付け、1889年グリフ法、そしてEU法。苛烈な競争、疫病と害虫、税と規制などをめぐる生産者たちの戦いは、AOC(原産地呼称制度)などのブランドを守る法と制度へと結実した。そしてAOCは、GI(地理的表示)として世界に広がり、いまや日本でもヨーロッパのワイン法は大きな意味を持つ。本書で語られることは、わたしたちの生活、ビジネスにも直結する大きな問題となっている。ワインを愛する人のみならず、人々の生活が動かす歴史に興味のある人、世界の食を動かす制度はいかなるものかを知りたい人、いずれの読者にも、驚きと発見をもたらす、無二の解説書!【本書の内容】プロローグ―ワイン法はなぜ生まれ、何を守るのか/第1章 「本物」を守る戦い―原産地呼称制度の萌芽 1 フランス革命とワインの自由化 2 黄金時代の到来 3 「本物のワイン」を守る戦い/第2章 「産地」を守る戦い 1 不正ワインとの戦い 2 混迷する「産地」画定 3 原産地呼称制度の誕生 4 「コントロール」される原産地呼称へ/第3章 生き残りをかけた欧州の戦い 1 欧州統合下のワイン政策 2 ワイン共通市場制度の発足 3 本格化する生産管理/第4章 新たなプレーヤーとの戦い―畑=テロワールの思想と品種=セパージュの思想 1 新世界の「発見」 2 悩ましい新世界/第5章 「危機」から新時代へ―欧州産ワインの戦い 1 一九九九年のEUワイン改革 2 抜本的な改革をめざして―二〇〇八年の改革 3 二〇〇八年の改革は成功したか?  コラム 補糖禁止のねらい  コラム EUワイン法におけるラベル記載事項  コラム ボトルに関するEU法の規制 4 新時代のワイン法へ 5 ワイン法と日本
  • 忘れられた黒船 アメリカ北太平洋戦略と日本開国
    -
    アメリカ海軍はペリーの他にもうひとつの艦隊を派遣していた。司令長官は海軍大尉ジョン・ロジャーズ。「ペリーとハリスのあいだ」の「ロジャーズ来航」は黙殺され、まさに「忘れられた黒船」といっていい。それはいったいなぜなのか? 本書は、これまでほとんど本格的に検証されることのなかった測量艦隊の、具体的な来日の経緯と国際環境について明らかにし、日本開国の事情をこれまでとは異なる観点で描きなおすことをめざす。
  • 「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学
    値引きあり
    3.7
    今、世界で最も注目を浴びる哲学者マルクス・ガブリエル。大ヒット作『なぜ世界は存在しないのか』の続編にして、一般向け哲学書「三部作」の第2巻をなす注目の書が日本語で登場です。前作と同様に目を惹きつけられる書名が伝えているように、本書が取り上げるのは昨今ますます進歩を遂げる脳研究などの神経科学です。それは人間の思考や意識、そして精神は空間や時間の中に存在する物と同一視できると考え、その場所を特定しようと努めています。その結果は何かといえば、思考も意識も精神も、すべて脳という物に還元される、ということにほかなりません。でも、そんな考えは「イデオロギー」であり、「誤った空想の産物」にすぎない、というのがガブリエルの主張です。「神経中心主義」と呼ばれるこのイデオロギーは、次のように主張します。「「私」、「意識」、「自己」、「意志」、「自由」、あるいは「精神」などの概念を理解したいのなら、哲学や宗教、あるいは良識などに尋ねても無駄だ、脳を神経科学の手法で―─進化生物学の手法と組み合わせれば最高だが―─調べなければならないのだ」と。本書の目的は、この考えを否定し、「「私」は脳ではない」と宣言することにあります。その拠り所となるのは、人間は思い違いをしたり非合理的なことをしたりするという事実であり、しかもそれがどんな事態なのかを探究する力をもっているという事実です。これこそが「精神の自由」という概念が指し示すことであり、「神経中心主義」から完全に抜け落ちているものだとガブリエルは言います。したがって、人工知能が人間の脳を超える「シンギュラリティ」に到達すると説くAI研究も、科学技術を使って人間の能力を進化させることで人間がもつ限界を超えた知的生命を実現しようとする「トランスヒューマニズム」も、「神経中心主義」を奉じている点では変わりなく、どれだけ前進しても決して「精神の自由」には到達できない、と本書は力強く主張するのです。矢継ぎ早に新しい技術が登場してはメディアを席捲し、全体像が見えないまま、人間だけがもつ能力など存在しないのではないか、人間は何ら特権的な存在ではないのではないか……といった疑念を突きつけられる機会が増している今、哲学にのみ可能な思考こそが「精神の自由」を擁護できるのかもしれません。前作と同様、日常的な場面や、テレビ番組、映画作品など、分かりやすい具体例を豊富に織り交ぜながら展開される本書は、哲学者が私たちに贈ってくれた「希望」にほかならないでしょう。[本書の内容]序 論I 精神哲学では何をテーマにするのか?II 意 識III 自己意識IV 実のところ「私」とは誰あるいは何なのか?V 自 由
  • 笑いの哲学
    3.9
    笑いについての考察は古来さまざまに試みられてきた。西洋哲学においては笑いの底に人間の「突然の得意=優越感」あるいは「小心さ」を見た。また「笑いの空間」と「差別の空間」が重なり合うところで起きていることも意識されてきた。 では、笑いという現象を解く一個の原理があるのだろうか。 笑いとは平穏な日常の破裂である。独特の状況や人間関係のなかから生まれる。また、笑いとは生ものである、刹那的である等々、笑いという現象はいろんな側面からその特徴を見出すことができる。 本書では西洋哲学の知見から現代日本における「お笑い」さらに広く芸術まで、笑いの現場を視野に入れつつ秩序、掟への揺さぶりとしての笑いの可能性を縦横に考察する。
  • 湾岸産油国 レンティア国家のゆくえ
    4.3
    クウェイト、カタル、バハレーン、UAE、オマーン。湾岸産油国は、驚くべき特徴に満ちている。莫大な石油収入によって、所得税はなし、教育費は無料。1人あたりのGDPが日本の2倍の国もある。一方で、「経済発展が民主化を促進する」という定説はあてはまらず、君主制が維持されたままだ。2009年のドバイ・ショックで、世界経済における影響の大きさを知らしめた「石油王が統治する金満国家」を詳細に分析する。

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