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Posted by ブクログ
現実とは異なる別世界を描く空想的な物語(=ファンタジー)を、宗教学と児童文学という視座から読み解こうとする一冊。
空想物語を中心に児童文学の歴史を追い、死と超自然的な異世界との関連を見ていこうとしていている。
神話や伝説、アラビアン・ナイト、近世フランスの妖精物語、ペローやグリムの物語集、アンデルセンの創作童話、C.S.ルイスのナルニアシリーズ、ハリー・ポッターシリーズ等、児童文学ファンタジーの系譜をたどり、空想物語がどのような位置づけをされていたかを俯瞰する。最後に宮崎駿のアニメ作品が挙げられている点が、現代に生きる日本人としては面白い。
異世界と死との間に密接な関係を見ている点が非常に興味深い。
アンデルセンの人魚姫、ナルニアシリーズ、ハリー・ポッターシリーズ等は、宗教的な訓話からは離れた世俗の物語であるが(ただし人魚姫もナルニアもキリスト教的色彩は強い)、いずれも死と別世界を大きく扱う作品である。
テーマ自体には大変興味があるのだが、読み飛ばし気味に読み進めたせいか、やや未消化。
Posted by ブクログ
児童文学と宗教の関係性について、古今東西、童話や神話、昔話から昨今のファンタジーまで様々に取り上げ分析を試みた本書。
児童文学という子供を読者と想定した分野は近代頃が始まりなのだそうだ。当時、乳幼児の死亡率が高かったことから、子供と死というのが強い結びつきを持って受け止められており、死生観が色濃く反映されている。それはつまり宗教的側面が強く出るということでもあり、当時の子供向け物語というのは、教育的宗教的なものだったようだ。
それが時代を経て、現代的な家庭観、子供観が生まれるにつれ、こちらの世界とあちらの世界といった多元的なファンタジーが受け入れられるようになっていったということらしい。
ピューリタンやプロテスタントの宗教的文化についてはなかなかピンと来ないので、ペローやグリムの「赤ずきん」や「シンデレラ」「眠れる森の美女」、アンデルセンの「人魚姫」「雪の女王」「マッチ売りの少女」などなど、有名でストーリーはよく知っている童話について、宗教学的視点や児童文学的視点で解析されているが、まあ、そうなのかなあ、という程度。私の教養のなさのせいではありますが。
それよりむしろ、宮崎アニメにおけるファンタジーの世界の考察は非常に興味深く、子供向けであったはずのファンタジーが大人にも受け入れられるようになった年が1997年で、それは「ハリー・ポッター」シリーズが始まり世界的ベストセラーとなった年であり、宮崎アニメの「もののけ姫」が大ヒットした年(宮崎氏自身も「ターニングポイント」と言っているらしい)でもある。つまりここが現代人の心の変容が起きた年だとしていることには、不思議な説得力があった。
奇しくも、本書が書かれた今年2月にはまだ公開されていなかった映画「アナと雪の女王」「マレフィセント」の元の童話が、ここで取り上げられていることに著者の先見性を見た!なんて言ったら言い過ぎか。
巻末には、本書で触れた物語のタイトル(ざっと数えて100作品近くあります)が索引となって掲載されているので、このあたり興味のある人は、童話を手にしつつじっくり読むとまた面白い発見があるかも。
私ももっと時間をかけて読み込んだら、もっと面白かったかもなあ。
実はファンタジー、あまり好きではないのだが、機会があったらまた本書を読んでみてもいいかも、とちょっと思っている。
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