歴史・時代小説作品一覧
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3.9将門は著者の最も食指を動かした人物の一人である。反逆者としての歴史の刻印を除きたい気持ちもあったが、純粋で虚飾のない原始人の血を将門にみたからだ。都にあっては貴族に愚弄され、故郷では大叔父国香に父の遺領を掠められ、将門はやり場のない怒りを周囲に爆発させる。それは天慶の乱に発展し、都人を震撼させる。富士はまだ火を噴き、武蔵野は原野そのままの時代だった。
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3.5桓武天皇の子孫にして、陸奥鎮守府将軍・平良持の子、将門。右大臣藤原忠平卿に仕えることになった将門は、父の命で従兄弟で幼なじみの平貞盛とともに京にのぼることになる。都では市中を荒らしまわる群盗を退治したり、先の左大臣藤原時平の娘で、忠平の姪の褒子に恋をしたりと多忙な日々を送る将門。しかし父良持の死がきっかけとなり、運命は一変する。なんと故郷の地で将門を待っていたのは、一族相手の血で血を洗う抗争だった。父の遺領をめぐって戦いを仕掛けてくる伯父達を相手に必死で戦い、打ち破ることに成功する将門。紛争を解決するうちに、坂東一円の豪族達から支持を集めるようになった将門は、「新皇」として朝廷からの独立を宣言する。しかしその野望を打ち砕かんと一人の男が都から帰ってきた。圧政に苦しむ領民たちを助けるべく、あえて逆賊の汚名を被る覚悟で、朝廷に叛旗を翻した男の壮絶な生涯を描く歴史人物小説。
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-第11回日本歴史時代作家協会賞作品賞受賞作 大根おろしの中に小判がざくざく!? 祭りのために命がけで蜜柑を運ぶ!? 江戸っ子たちの英雄だったこの男は、なぜ一代で店を閉じたのか? 謎に満ちた紀伊國屋文左衛門の生涯に迫る、痛快なる歴史×経済小説 時は元禄。文吉は、幼い頃に巨大な廻船に憧れたことをきっかけに、故郷の紀州で商人を志す。だが許嫁の死をきっかけに、彼は「ひとつの悔いも残さず生きる」ため、身を立てんと江戸を目指す――。蜜柑の商いで故郷を飢饉から救い、莫大な富を得ながらも、一代で店を閉じた謎多き人物、紀伊國屋文左衛門。天才商人の生き様に迫る痛快作。
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2.7「おもしろき こともなき世を おもしろく」――幕末長州藩の風雲児・高杉晋作が詠んだというあまりにも有名な辞世である。松下村塾で吉田松陰門下の逸材として久坂玄瑞と併称され、武士だけでない庶民参加の軍隊「奇兵隊」を日本史上初めて組織し、長州藩を「討幕」に向けてまとめ上げた。しかし後年、病に伏した高杉は明治維新を見ることなく29歳で病没している。この若さで、これほど気宇壮大に生きながら、この辞世の意味するところは何か。著者は、高杉の生き方を「面白くもない世の中を、面白く生きられるように仕掛けて行った」ものと喝破する。そして、激動の生涯を追いながら、かれが自分で自分にどう仕掛けて行ったかを、現代的な視座でたどりながら描いていく。歴史小説であるとともに、「面白い生き方は、自分が面白く作っていかなければならない」という著者のメッセージが込められている。2015年大河ドラマ「花燃ゆ」の主要登場人物。
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-黒船をひきいて、一八五三年、ペルリが浦賀に来航した。開国佐幕派と勤皇攘夷派に二分された国内は混乱をきわめた。そのさなか、革新を叫ぶ吉田松陰の刑死は、松下村塾の塾生たちを動揺させた。師の志をどうしたら活かせるのか? 欧米列強の脅威におののく日本を遊歴するうち、高杉晋作は勤皇の志士として開眼していく。やがて上海へ渡って海外事情にも目覚めた長州の“鼻輪のない暴れ牛”は、松陰の志を継いで倒幕への道を歩み始めた。動乱の世を生き、奇兵隊を結成し、内外からの攻撃に遭いながらも、維新回天の偉業に尽力した若き志士高杉晋作の生涯。
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4.0「彼の一生は失敗の一生也。彼の歴史は蹉跌の歴史也。彼の一代は薄幸の一代也。然れども彼の生涯は男らしき生涯也。」――芥川龍之介 平安末期。十二歳の少年・駒王丸は、信濃国木曽の武士・中原兼遠の養子として、自然の中でのびのびと育つ。兼遠の息子たちとも実の兄弟のように仲良く過ごすが、彼は父と母の名も自分が何者なのかも、いまだ知らずにいた。 ある日、駒王丸はささいなきっかけから、同じく信濃の武士の子・根井六郎と喧嘩になる。だが、同等の家格であるにもかかわらず、六郎と根井家当主が後日謝罪に訪れる。二人は畏れ多そうに深々と頭を下げて言う。 「駒王丸殿はいずれ、信濃を束ねる御大将となられる御方。我ら信濃武士は、ゆくゆくは駒王丸殿の旗の下に集わねばならぬ」 初めて知る実父の存在、自らの壮絶な生い立ち。駒王丸、のちの木曽義仲の波乱の生涯が始まろうとしていた。 類い希なる戦の腕で平家を追い落とし、男女貴賤分け隔てない登用で、頼朝・義経より早く時代を切り拓いた武士。 彼が幕府を開いていれば、殺戮の歴史はなかったかもしれない。 日本史上最も熱き敗者、「朝日将軍」木曽義仲の鮮烈なる三十一年。
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-一族の通字「信」の字を与えられなかった勝頼が、武田家を継ぐことになるとは誰も思わなかっただろう。まして、最後の当主になろうとは…。 数々の合戦で培われた勇猛すぎる気性は、指導者としての勝頼の人生を狂わせていく。その数奇な運命の軌跡をたどる。
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-信玄の跡を継いだ武田勝頼は焦っていた。重臣たちに、父と比較され軽んじられていることに腹を立てていた。そして信玄の遺言である「三年は死んだことを伏せ、守りに徹しよ」に背き、奥平貞昌が守る長篠城を攻めた。だが落城寸前、織田・徳川連合軍が押し寄せてくる。勝頼は討って出るが、予想をはるかに超える三千の鉄砲を前に苦戦。全国の武将に恐れられた武田騎兵団の運命は……。 天正三年(一五七五年)の「長篠の合戦」を舞台に、武田勝頼、奥平貞信、徳川家康、織田信長、鳥居強右衛門など各人の思惑をつぶさに描く。 ●多岐川恭(たきがわ・きょう) 1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。
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-戦国時代の三英雄といえば、武田信玄、上杉謙信、北条氏康である。戦国版・「関東三国志」ともいうべき戦いを繰り広げた三人。家臣団、領国支配、経済、交渉術そして国家ビジョンを比較することで、見えてくるものとは一体何か。三人の戦略を徹底比較。
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-軍神・武田信玄の戦略を支えたのは、整備されたインフラ網だった!? 信玄が手掛けた巨大プロジェクト、「信玄堤」「棒道」「狼煙台ネットワーク」を解説。難治の国、甲斐を発展させた、信玄の領国経営者としての一面にスポットを当てる!
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-戦国最強との呼び声も高い武田軍団の強さの秘密を、軍制と外交の二面から解説! 信玄の才能は戦場だけに留まらず、税制整備などの軍団運営、同盟締結といった外交にも手腕を発揮した。晩年にはその総決算として信長包囲網を形成し、西方侵攻を開始するが…。
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-永禄十二年、戦国最強の武田信玄ですら、身震いを禁じ得ない災厄が起きようとしていた! 今川・北条・上杉・徳川の四大名による武田包囲網ができつつあったのだ。信玄ともあろうものが、なぜこのような危機に陥ったのか? その経緯と打開策を徹底検証!
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-武田信玄のライバルは上杉謙信だけじゃない! 二度にわたり信玄を撃破した北信濃の雄・村上義清。三方ヶ原での惨敗を教訓に、天下人に上り詰めた徳川家康。信玄の侵攻を幾度も退けた西上野の守護神・長野業政など、信玄に挑んだ勇将たちを紹介!
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-領土拡大に野心を燃やす信玄には敵が多かった。関東三国志と呼ばれた上杉謙信、北条氏康との抗争をはじめ、信濃の諸豪族や織田信長、徳川家康とも刃を交えている。好敵手たちは、どのように信玄と戦ったのか? 対立の原因とともに徹底検証する!
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-戦略家武田信玄の戦いを徹底分析! 戦国最強と呼ばれた信玄だが、その強さの真髄は合戦指揮の巧みさだけにあるのではない。むしろ敗戦や苦境に陥ったときの施策こそ、信玄の叡智の真骨頂といえる。冷静沈着な戦いぶりに指導者のあるべき姿を学ぶ!
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-あらゆる場所であらゆる戦闘を。諏訪そして佐久へ侵攻し、信濃の地で暴れる武田信玄の前に、遂に永遠のライバルが立ちふさがる。川中島を挟み、信玄と十二年間、五度にわたる戦いを繰り広げた上杉謙信。数多くの戦闘の中で、龍虎の激闘はやはり特別だった。
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-蛸足のごとく、戦線を広げていった武田信玄。たとえ侵攻戦が失敗しようとも、何度でもアタックし続けるのが信玄の流儀である。そして最後にはその領土を拡大することに成功する。「甲駿同盟」を破棄し展開した南進政策の結果やいかに!?
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-たとえ相手が強大であろうとも、手当たり次第に周辺国への侵攻を繰り返す武田信玄。信濃、西上野侵攻戦、どの戦いをとってみても一進一退である。しかし、確実に領土を拡大した信玄は、遂にその矛先を西へと向けた。家康を撃破した先に何があるのか?
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-甲斐の虎・武田信玄を取り巻く一族衆を、ルーツである名門・甲斐源氏にまでさかのぼって研究! 信玄の父にして智勇に優れた信虎、血気盛んな後継者勝頼をはじめとした子供たち――甲斐の地に生まれた屈強な戦士たちの生涯とは?
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-武田信玄の軍師は山本勘介だけじゃない! 甲州法度之次第の草案者にして優れた外交官だった駒井高白斎、信虎追放を首謀した板垣信方、信玄の信頼厚き実弟武田信繁、不死身の馬場美濃と畏れられた馬場信房――宿将たちの比類なき活躍を解説する!
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-老いてなお領土拡大の野望に燃える武田信玄が、台頭著しい織田信長に刃を向けた! 美濃を舞台に、戦国屈指の戦略家である両雄の駆け引きが交錯するなか、信玄の野望を頓挫させる事件が発生する。信玄の侵略はなぜ失敗したのか? 詳細に分析する。
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-武田信玄晩年の西方攻略戦を解説! 信玄は外交、調略を駆使し万全の態勢を整え侵攻を開始する。それは、上洛さえも視野に入れた信玄渾身の作戦だった。稀代の策略家としての信玄の足跡を辿りながら、その天下取りの構想を分析する!
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-武田家繁栄のため、戦場に散った二人の勇士を紹介。 異形の軍師・山本勘助は第四次川中島合戦で渾身の策をもって軍神・上杉謙信に挑み、歴戦の猛者・真田信綱は長篠合戦で獅子奮迅の活躍を見せた! 後世に語り継がれる男たちの散り様に刮目せよ!
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-乱世に翻弄された武田義信と武田家の女たちの生涯を解説! 武田信玄の跡取りとして期待された義信は、なぜ悲壮な謀反を計画したのか? 信玄の野望成就のため、政略に利用された女たちがたどった運命とは? 覇道の裏で涙を呑んだ人々に光をあてる。
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-甲斐の虎と呼ばれた名将・武田信玄。父・信虎を追放し権力を握ったとき、生涯続く戦いの日々が幕を開けた。立ちはだかるは、上杉謙信、北条氏康ら名将たち。風林火山の御旗を翻し信玄は戦場を駆ける! 乱世を震撼させた武田信玄の闘争の軌跡を追う!
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-武田信玄が死なずに西上作戦を遂行していたら――歴史の「もしも」をシミュレーション! 包囲網への対応に四苦八苦する織田信長の間隙を突き、信玄は全身全霊をかけた西方への大規模侵攻を開始。天下取りのビッグチャンスに甲斐の虎が咆哮する!
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3.7上洛した織田信長に呼び出された明智光秀は、とある任務を下される。数の信奉者である信長は、敵対する大名の武力を把握する必要があった。中でも武田と毛利の資金源である湯之奥金山と石見銀山の見定めは不可欠である。ただし、そのためには敵地の中枢に潜り込み、金銀の産出量を示した台帳を確認しなくてはならない。見つかれば命の保証はない危険な道中である。光秀は盟友の新九郎と愚息を伴って隠密裏に甲州へ向う。駿河湾の港・田子の浦にたどり着いた三人は、そこで土屋長安と名乗る奇天烈な男に出会い――。 『光秀の定理』『信長の原理』に連なる、直木賞受賞第一作!
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3.5江戸時代において「まことの武将」と評されるとともに、その家訓が武士の心得として読み継がれるなど、後世の武士に大きな影響を与えた仁徳の武将、武田信繁。父・信虎に廉直な気質を愛され、次代の後継者とも目されていた信繁だったが、家臣・領民のために兄・信玄に従って父を追放。兄弟、親族同士が争う戦国時代にあって信玄を献身的に支えた。家臣の統制と領国経営に力を発揮するとともに、権力の大きさゆえに道をはずれそうになる信玄を、自身を犠牲にしてでも正す役目を負う。そして川中島の合戦では、信玄を守るために壮烈な戦死を遂げた。信玄は遺骸を抱いて号泣し、武田家臣団からは「惜しみても尚惜しむべし」といわれるだけでなく、敵である上杉謙信さえもその死を悼んだという。武田二十四将、随一の副将の生涯を爽やかに描く長編小説。
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3.5天正18年(1590)、豊臣秀吉は戦国乱世の時代に終止符を打ち、天下統一を成し遂げた。この偉業を支えた二人の名軍師が、竹中半兵衛重治と黒田官兵衛孝高である。わずかな手勢でやすやすと美濃・稲葉山城を盗り、そのあとで城を主に返して隠棲した無欲の天才・竹中半兵衛。秀吉が織田家臣団の中で台頭する時期、戦場における半兵衛の貢献は計り知れないほど大きかった。一方、播磨の国人に仕える一家老でありながら、天下への志を抱いた智謀と誠実の人・黒田官兵衛。本能寺の変に際して中国大返しを実現させ、官兵衛は秀吉に天下人への道を開いた。「二兵衛」と並び称された半兵衛と官兵衛は、置かれた環境は異なり、性格も正反対だった。にもかかわらず、互いの才を認め合い、相手を信頼し合って、秀吉の天下取りを補佐した。二人が抱き続けた志と友情は、今日の我々の胸を打つ「熱さ」を帯びている。不世出の軍師二人の人生を描いた力作長編小説。
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-娯楽文学の王道を貫く門田泰明時代劇場の神髄に酔う! 寺音肥前守武念(じおんひぜんのかみぶねん)――神楽坂に無傳一刀流の大道場を構える白皙にして容姿端麗な剣客だ。 門弟は三百人。 拵屋の銀次郎が偶然知り合った美咲・京の母娘は夫と義父を謀殺した寺音を追って長崎から江戸に移り困窮に喘いでいた。 次第に明らかとなる寺音の悪行に、ついに銀次郎の刃が一閃した! 特別書下ろし中篇「黄昏坂七人斬り」他、門田泰明娯楽文学の神髄が堪能できる、待望の中・短篇集成! 黄昏坂 七人斬り 悠と宗次の初恋旅 思案橋 浮舟崩し 苦難をこえて くノ一母情 残り雪 華こぶし の全6編!
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-「軍下手」の石田三成が、強者である徳川家康に挑んだ、関ヶ原の合戦は、本当に無謀な戦いだったのだろうか。調略・計略に長けた三成のもとに、なぜ8万を超える軍勢が集まったのか。関ヶ原までの経緯と合戦模様、そして三成の悲劇を丹念に描きだす。
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3.5戦国最強と言われた立花宗茂が当主になる前、筑前に感動の青春群像ストーリーがあった。大国に翻弄された若き武将らを描く歴史長編! 関ヶ原の戦いに参戦せずとも、当時最強の武将と謳われた立花宗茂。だがその一世代前、宗茂活躍の礎ともなった若き武将や姫たちがいた。──時を遡ること40年、筑前国の要衝を占める立花家は、「西の大友」と呼ばれる名門であった。大友宗家から立花入りした15歳の三左衛門は、四つ年上の勇将・和泉、三つ上の軍師・弥十郎らと出会う。腕に覚えのあった三左衛門は和泉に打ち負かさられるも、すぐに弟子入り。寡兵で大軍を退けた弥十郎の知略にも驚かされる。また、当主の娘・皐月姫や和泉の妹・佳月らの恋心も絡み、三将の絆は深まっていく。8年が過ぎる。筑前では毛利の調略が進み、諸将が次々に大友を離反。立花家は孤立していく中で家中も毛利派と大友派に分裂する。そしてついに、三将の運命を変える大きな政変が……。
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-■直木賞作家が描く、見捨てられた満州開拓民の悲哀に満ちた物語 ソ連軍がなだれ込んで来ると地獄のような日々が始まった。 一方そんな状況でも、命を危険にさらしても他人を助けようとする者もいた。 「新京・哈爾賓赤毛布」「甘粕大尉とその子分」「麻袋の行列」「思い出の満鉄マン」「黒龍江の空に」5編を収録。 新京・哈爾賓(ハルビン)赤毛布 日本の傀儡国家・満州国へ、調査団の一員として訪れた著者。 ロシア人や満州人でごった返し、活気に溢れていた頃の満州を描く。 甘粕大尉とその子分 混迷し始めた大東亜戦争により仕事を奪われた橘は、生活するために満洲映画協会に仕事を得て、満州にわたってくる。 そこで、満州国のボスを呼ばれた甘粕大尉と会った。 麻袋(マータイ)の行列……オススメ 日本が敗戦しソ連軍が侵攻してくると、関東軍上層部は住民を捨てて日本に帰国してしまう。 残された開拓団は、女を陵辱しつづけるソ連兵や略奪しにくる中国人、伝染病、飢餓によりバタバタと倒れていく。 涙をのんで病人や負傷者、老人、子供を手にかけ、男も女もほとんど裸同然で憑かれたようによろめきながらハルビンへと進んだ。 思い出の満鉄マン……オススメ 冬が近づいてくると、暖をとるために入手困難となった石炭をなんとか確保しなければならなかった。 ソ連は満州鉄道により満州の資材をシベリアに運んでいたが、日本人の機関手はソ連軍の監視兵の目を盗んで、日本人のために石炭を線路脇に巻く。 しかしある日、とうとう監視兵に見つかり、事件が起きる。 黒龍江(アムール)の空に……オススメ 日本人が権勢を奮っていた時代。経理部長だった橘は、日本人の夫に捨てられ、幼子を抱えて極貧生活を送る白系ロシア人・ヴェーラを哀れむ。 しかしソ連軍の侵攻により、状況は一変。 捕えられればシベリアへ送られるため、なんとかソ連軍憲兵から逃げ回っていたが、ある夜、ついに捕まってしまう。 ■著者略歴 橘 外男(たちばな・そとお) 1894(明治27)年石川県生まれ。生後まもなく軍人たった父の転任地・高崎に移る。軍人家庭の厳しい躾に反発、中学を退学処分となり、札幌の叔父のもとに預けられる。その後、貿易商館、医療機器店など職を転々とするが、1936(昭和11)年『文藝春秋』の実話募集に『酒場ルーレット紛擾記』が入選、1938(昭和13)年『ナリン殿下への回想』で第七回直木賞を受賞。戦時中は満州に渡って書籍配給会社などに勤め、戦後、文筆活動を再開、独特の文体で数々の名作を生む。1959(昭和34)年死去。 主な作品に『妖花イレーネ』『陰獣トリステサ』『青白き裸女群像』『私は前科者である』『ある小説家の思い出』などがある。
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3.5筑後柳河十三万石の領主立花宗茂を描く長編小説。秀吉をして「鎮西一の忠勇、天下無双の勇士なり」といわしめた宗茂の生涯は、戦っては義戦多く、常に寡兵をもって大軍を破り、その生きざまは信義一筋、まことに誠実・清廉なものであった。これは実父高橋紹運、養父立花道雪という両父の高潔な生き方を範としており、ゆえに本編は、この三人の父子像が中心のテーマとなっている。ともに大友家の加判衆であった両父は、当主宗麟を守り立てる立場にある。たとえ非道な仕打ちにあったとしても、決して当主を見放さず、己の運命として受けとめ、恥じることのない生涯を終えるのである。この愚直なまでの廉潔な生き方を、著者は現今の知的ノウハウ重視の風潮に対するアンチテーゼとして提示、また自立する女性として描かれる妻ぎん千代と宗茂との葛藤も、今日的なテーマとして見事に描出している。現代人の心を癒し、人間の温もりをほのぼのとつたえる力作である。
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-大友家の二本柱、実父・高橋紹運と養父・立花道雪の薫陶を受けた立花宗茂は、数々の戦陣で勇躍した。生涯不敗を誇り、秀吉、家康の両天下人から絶大な評価を得た奇跡の勇将の生涯を解説! 宗茂と因縁深い岩屋城、立花城の激戦についても同時収録!
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3.3上杉謙信と、その妻・於龍 「奇妙(クィア)」なふたりは 憎悪も、愛情も、超えてゆく! 大藪春彦賞受賞後第一作 謙信の妻を描く、初の歴史小説 「抗え、戦え、歩みを止めるな。 かつても今も在り続ける魂の叫びに寄り添う物語」 澤田瞳子、推薦 父から越後守護代を奪った長尾景虎(後の上杉謙信)への復讐のため、母から“女”を捨てさせられた於龍。彼女は景虎を激しく憎むが、当人はどこ吹く風で、於龍のことを「面白(おもしょ)い奴」と気に入ってしまう。長尾の重臣たちが二人の婚姻を越後支配のために利用する一方で、甲斐の武田晴信(後の信玄)は隣国侵攻の調略を始めようとしていた――。史料を丹念に読み解き最新研究を踏まえ、生涯独身と言われてきた上杉謙信と、その妻の半生を鮮やかに描く。 謙信の妻・於龍は、どんな女性だったのか? そしてなぜ、歴史の陰に消えたのか? 装幀 二見亜矢子 装画 とびはち
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-将軍・徳川吉宗直々の命により動く、影の隠密組織「十二支組」。さまざまな能力を持つ隠密たちが集うなかで、祝辰之介は、一番の腕利きとして知られていた。ある日、商家が賊に襲われ、主の孫・真吉が誘拐されてしまう。賊の呼び名は「暗闇団」。金品ではなく子どもを拐かし、身代金を狙う、特殊な盗賊集団であった。事態を重くみた町奉行・大岡越前は、暗闇団の撲滅を目指し、辰之介に探索の命を出す。そして、暗闇団の四人の幹部・四天王も、それぞれの思惑を秘め、江戸の闇に蠢きだした。十二支組と四天王の激闘が続くなか、辰之介が最後に暴き出す驚愕の真実とは…。
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-不忍池の出会い茶屋に入りびたる自堕落な侍──祝辰之介は、遊び人風の見かけとはことなり、隠密組織「十二支組」の一員である。十二支組は、将軍・吉宗直々の命によって動き、属する隠密たちには、ひとりひとりに干支の呼び名が与えられていた。数年前、ある商家が賊に襲われ、金品とともに、書き付けが盗まれる。探索を恐れた賊はそのまま行方をくらましたものの、その書き付けこそが、次期将軍候補の鍵となる重要な証「三日月」であった。賊がふたたび江戸に現れたという噂を聞きつけ、さっそく十二支組が動き出す。しかし一方で、先の政争に敗れた「尾張の虎」こと守屋甚八郎も、三日月奪還の機会を、虎視眈々と狙っていた……
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-1941年、米英の輸送船を攻撃目標とする「通商破壊戦」の極秘兵器として開発された、三胴型空母「朱雀」。その主要任務は、太平洋海域における、アメリカ軍の兵站線攪乱であった。勇将・春瀬艦長は相手の意表をつく作戦で神出鬼没の戦闘を続け、敵を翻弄していた。そして、敵の一番嫌がるところを叩け、と度肝を抜くハワイ攻撃を敢行し、大成果をあげたのだが…。 ●青山智樹(あおやま・ともき) 1960年、東京都武蔵野市生まれ。学生の頃より同人誌『宇宙塵』に参加。東海大学理学部物理学科卒業後、高等学校に理科教師として勤務。1992年、長編SF『赤き戦火の惑星』(勁文社)で商業デビュー。『合体戦艦「富士山」出撃!』(有楽出版社)、『蒼穹の海鷲』(アスキー)等、シミュレーション戦記を中心に執筆する。その他にも『零戦の操縦』(アスペクト)、『自分でつくるうまい!海軍めし』(経済界)、『世界一わかりやすい放射能の本当の話』(宝島社)等、ミリタリー関連書籍など著書・共著多数。
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4.1絶体絶命の紙問屋、大逆転の妙手は!? 時は、大老井伊直弼が惨殺され、動乱の気配が漂う幕末。 紙問屋永岡屋で誠意一筋、長年精勤してきた勘七は、主人善五郎の強い望みで跡を継ぎ、若旦那となった。 その勘七に小諸藩の上屋敷奉行高崎から大きな初仕事が舞い込む。藩札作りだ。 小諸藩は明君の呼び声高い藩主がおり、政は安定、財も潤沢らしい。藩札作りには二千両も支度してあるという。 幸先のよい出だしを切った、勘七がそう思ったのも束の間、商売仲間である醤油問屋広屋の浜口儀兵衛から、藩主が亡くなったと耳にする。 胸に不安が膨らむ中、ある夜、永岡屋が盗賊に襲われてしまう。盗賊はなんと高崎の配下だった。 配下は藩札と版木を入れた行李を盗んで姿を消したのだ。 襲われた際の傷がもとで、命を落とした善五郎を悲しむ暇もなく、主人として小諸藩に赴き、商いを質す勘七。 だが、新任の上屋敷奉行は「賂を受けていた前任の空の商い」として、二千両を踏み倒しにきた。 絶体絶命の危機に瀕した勘七に大逆転はあるのか? 幕末の三舟こと勝麟太郎や豪商高島屋嘉右衛門らの協力を得ながら、命を懸けて再建を図る勘七の懊悩と奮闘を、直木賞作家が瑞々しく描く。 商人道小説の傑作! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『福を届けよ 日本橋紙問屋商い心得』 の文庫版となります。
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