猛き朝日

猛き朝日

2,530円 (税込)

12pt

「彼の一生は失敗の一生也。彼の歴史は蹉跌の歴史也。彼の一代は薄幸の一代也。然れども彼の生涯は男らしき生涯也。」――芥川龍之介

平安末期。十二歳の少年・駒王丸は、信濃国木曽の武士・中原兼遠の養子として、自然の中でのびのびと育つ。兼遠の息子たちとも実の兄弟のように仲良く過ごすが、彼は父と母の名も自分が何者なのかも、いまだ知らずにいた。
ある日、駒王丸はささいなきっかけから、同じく信濃の武士の子・根井六郎と喧嘩になる。だが、同等の家格であるにもかかわらず、六郎と根井家当主が後日謝罪に訪れる。二人は畏れ多そうに深々と頭を下げて言う。
「駒王丸殿はいずれ、信濃を束ねる御大将となられる御方。我ら信濃武士は、ゆくゆくは駒王丸殿の旗の下に集わねばならぬ」
初めて知る実父の存在、自らの壮絶な生い立ち。駒王丸、のちの木曽義仲の波乱の生涯が始まろうとしていた。
類い希なる戦の腕で平家を追い落とし、男女貴賤分け隔てない登用で、頼朝・義経より早く時代を切り拓いた武士。
彼が幕府を開いていれば、殺戮の歴史はなかったかもしれない。
日本史上最も熱き敗者、「朝日将軍」木曽義仲の鮮烈なる三十一年。

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猛き朝日 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    結末分かってても、やっぱり哀しい。悲劇の起点が義仲側から描かれてないところが、より情緒を乱された。頼朝には色々と苦情を言いたい。

    0
    2025年08月11日

    Posted by ブクログ

    読み終えて呆然としている。ものすごくよかった。木曽義仲と、それから同時代に生きた人々が、それぞれの生を生き、それぞれの戦いを戦い、それぞれの死を死んでいく。読みながらメモをとった登場人物が全部で百四名。それぞれが血肉を持った人物として眼前に浮かぶ。あの日本史の教科書では「以仁王の令旨」との文字でしか

    0
    2023年05月28日

    Posted by ブクログ

    よかった。結末を知っている後半がつらいけれど、仲間の結束が揺らがないところが、また泣ける。子どものくだりは大河ドラマと重ねて...ついでに行家も大河と重ねてしまった

    0
    2023年04月23日

    Posted by ブクログ

    木曽義仲は源平合戦の先駆けで千運に恵まれず一敗地で生涯を閉じるまでの一生を語った物語は人の心を鷲掴みにして離さない。時代が違っていたら人格者で人望もあったろう。登場人物も多士済々時の経つのも忘れて読み終わってしまった!

    0
    2023年03月15日

    Posted by ブクログ

    余り馴染みの無い時代の話だが、読み易く漢気溢れる内容で面白く読めた。
    木曽(源)義仲の生涯を描き、父が同じ一族の源氏に討たれ、信濃木曽の地にて養育され物心ついて源頼朝の従兄弟で有る素性を知り、「平家にあらずんば、人にあらず」と荒れ果てた京の都で人であることを踏みにじる平家の世を目の当たりにし、平家に

    0
    2024年06月15日

    Posted by ブクログ

    祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
    沙羅双樹の華の色、盛者必衰のことわりをあらはす。奢れる者は久しからず、唯春の夜の夢のごとし。
    たけき者もつひには滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ。

    人は塵みたいなものかもしれないけど それぞれ 色んな色で光ってる。
    この物語の義仲さんの生き様は せつなすぎます。

    0
    2023年04月01日

    Posted by ブクログ

    木曽義仲の物語。これまで読んできた歴史小説では、義仲は、暴虐で愚かな田舎侍のような描き方をされているものが多く、そのようなイメージを持っていたけど、本書ではすごく魅力的で凛々しい武者として描かれている。もちろん、田舎っぽさや無邪気さはそのまま描かれているが、決して暗愚ではなく、仲間を思いやり、民衆を

    0
    2025年10月22日

    Posted by ブクログ

    木曽義仲の小説。会話の口調など、文体が少し現代に寄り過ぎている感はあるが、良い作品ではあった。1000年余りが経った今、義仲の求めた世の中になっているかな?

    0
    2023年05月06日

    Posted by ブクログ

    木曽義仲を描いた歴史小説

    前半、信州の豊かな自然の中でおおらかに育つ義仲と中原兄弟との絆が印象的

    決起してからは、歴史にifはなく、散りゆく哀しい結末
    エピローグに救われます

    0
    2023年04月02日

    Posted by ブクログ

    大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にて強烈な印象を残した源義仲の太く短い生涯。

    どうしても大河ドラマと比べてしまうのだが、この作品がドラマと違う一番の点は女軍師がいたこと。
    村山義直の娘・葵は書物好きで、歴史書で培った知識で数に劣る義仲軍を勝利に導いていく。
    だが彼女は『今の今まで、自分の頭の中だけで戦

    0
    2023年03月12日

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