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目の前で剽軽な笑顔を見せる木下藤吉郎に、半兵衛は次第に心ひかれていく自分を感じていた。「この男と、もう一度戦場に立ってみるのも悪くはない。あるいは戦火の絶えた世の中が実現できるやもしれぬ」。――名利を求めず、ただ天賦の軍略の才を縦横に駆使して秀吉を勝利に導いた男、竹中半兵衛。名誉よりも人生に美学を求め、三十半ばで夭折した名軍師の生涯を描く長編歴史小説。
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Posted by ブクログ
誰もが天下を夢見て覇権を争った戦国時代。 そんな中、野心を抱くことなく自らの生きる意味を探した知将・半兵衛。 僅か36年で幕を閉じた彼の生涯は、自らは天下を望むことは無くとも、天下統一の為に明け暮れたものでした。 戦乱の世を憂いていた半兵衛は、若き日の秀吉に懇願されて軍師を務めます。 当時は不治の...続きを読む病だった肺病を患いながらも、その知略を秀吉のために使い、天下への足掛かりを築き上げました。 自らの頭脳を驕ることなく、欲望に走ることなく、自らの生存意義を探し続けた半兵衛。 そんな彼の生き方に憧れます。 どうでもいい余談ですが、私の筆箱には半兵衛の家紋のストラップが付いています。 学業成就祈願です(笑)
前野将右衛門がとても癒し系!この小説の中での半兵衛と前将の関わり方が大変好きです。小説としても好きです。
希代の軍師「竹中半兵衛」の生涯。 いろいろな小説に登場しているが、「竹中半兵衛」ものとしては初めて読みました。 今までの彼とは描かれ方が違っていて、とても新鮮な感じがした。
美濃の斉藤龍興の家臣でありながら、龍興を諌めるため、たった16人で当時難攻不落と言われた稲葉山城を乗っ取った天才軍師・竹中半兵衛。城を龍興に返した後、隠居をしていた彼の目の前に、木下籐吉郎というひょうきんな男が現れ・・・。 己の立身出世は望まず、籐吉郎を陰で支え、軍略の、そして人生の美学を追い求めた...続きを読むその一生を描いた大作。
竹中半兵衛重治の生涯を描いた本。PHP文庫にしてはしっかり書かれた小説となっている。自らの美学を大切にする半兵衛の心。そして前将と半兵衛のつながりなどが書かれているところが新鮮な感じがした。
一巻で完結というのは珍しいなという印象。 半兵衛の生涯について描かれている。大体このような本は何巻かであるものだが、一巻に纏まっているため気軽に手を伸ばせるのではないか。 内容自体も一巻だから薄いというわけではなく、半兵衛の人物像について著者からのイメージを受け取ることができる。主だった出来事につ...続きを読むいてしっかりと描かれているため薄く感じない。 しかしどうしても細部にまでとなると若干物足りなく感じるか。
無欲を貫いた竹中半兵衛が一体本当は何を求めていたのか。 自ら学んだ軍略の発揮、天下の平穏、友情、そして愛。 知的でありながら周りの人に好かれる竹中半兵衛の人物像を描くことが試みられている。
さほどの厚さではないのに 進めるのには存外時間を要した。 理由の第一は 半兵衛の内向性の強さ そこから生ずる内省が 死の間際まで執拗に繰り返される処にある。大軍師たる者 無論己を律することには他者に対するより厳しいに違いない そして筆者は そんな半兵衛の孤高というものを著したかったのかも知れなくても...続きを読む 剰りに幾度も目に見えるかたちで綴られるが為 私にはかえって 優柔不断な・線の細い・似非完璧主義者のような――まるで自身のような――半兵衛重治像しか結ばれなかった。安寧なる天下を志して居る筈だのに 実の処は 暴虐を極めたとも映る信長の天下布武を 其れを未だ畏れることしか知らぬ秀吉を 助けて己もまた暴虐を尽くしただけである。「わが一身の非力 わが生の矛盾」――半兵衛はこの自己反駁に呵まれ続けて逝く。作中引用された 死を前に宛てたとされる前野将右衛門への書状に見られる「一人雲にのって遊ぶような気分」の行とは裏腹に まるで失意の内に逝ったような印象を受ける。 第二は 比叡山焼討ちの辺りから 半兵衛が信長への対抗心をハッキリ自覚し 且つそれを実施に移して居る点にある(以前何処かで記したように 私は二人へ「ぬるい関係」を求めて居る / 笑)。増してや信長でなく秀吉に天下を取らせるべく目論むようであれば それは半兵衛讃歌の主題である「無私無欲」どころではない。家中の誰より密かに想いもよらぬ大望を温めて居るのであり 「無私無欲」というのは特大の隠れ蓑である。そう書いてみれば これはこれで半兵衛らしい謀り事ではある。現代に於いて比叡山焼討ちに際し最も強固に反対を唱えた者として挙げられる明智光秀でさえ 未だその叛意を明確に自覚するには至ってなかったのではないか。 「あとがき」の中で 半兵衛への思慕並ならぬことを筆者は明かしている。そうした熟しきった個人の理想が このような半兵衛を産んだのかも知れない。日頃 何を考えて居るのか肚の内の全く知れない人物として語られることの多い半兵衛は この作品に於いては読者の前へ胸の内を吐露して憚らない。そういう意味では異色であり 人間味を備えた半兵衛である。型で押したような像にそろそろ飽きた向きには佳いかも知れない。 又 これまで採ったうちではどれより前野将右衛門について詳しく触れられてある。その人物像の純朴で温かなことが 半兵衛と共に反駁する私の途上に唯一の慰めだった。軍師という立場に張り詰める半兵衛が好意を寄せるのも道理と想われた。表情豊かに描かれた「前将」は 物語の幕引く役をさえ担っている。
冷静なだけかと思いきや戦場の只中に駆け込んで行ったり病弱ゆえフラフラしてたり人間らしさを感じる半兵衛さんでした。秀吉を天下人にしたかはわかりませんが、足がかりは確実に作ってましたよね。
目の前で剽軽な笑顔を見せる木下藤吉郎に、半兵衛は次題に心ひかれていく自分を感じていた。「この男と、もう一度戦場に立ってみるのも悪くはない。あるいは戦火の絶えた世の中が実現できるやもしれぬ」。―名利を求めず、ただ天賦の軍略の才を縦横に駆使して秀吉を勝利に導いた男、竹中半兵衛。名誉よりも人生に美学を求め...続きを読む、三十半ばで夭折した名軍師の生涯を描く長編歴史小説。 1996年5月30日初読
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竹中半兵衛 秀吉を天下人にした軍師
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