国内小説 - PHP研究所作品一覧

  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者
    4.5
    時は江戸中期、算学の才能に恵まれた最上徳内は、師の計らいで蝦夷地見分隊に随行する。そこで徳内が目にしたのは厳しくも美しい北の大地と、和人とは異なる文化の中で逞しく生きるアイヌの姿だった。少年フルウらとの出会いを通して、いつしか徳内の胸にはアイヌへの尊敬と友愛が生まれていくが……。松前藩との確執、幕府の思惑、自然の脅威など、様々な困難にぶつかりながらも、北の大地へと向かった男を描いた著者渾身の長編小説!
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者
    4.1
    1巻1,699円 (税込)
    直木賞作家の新たな到達点! 江戸時代に九度蝦夷地に渡った実在の冒険家・最上徳内を描いた、壮大な歴史小説。本当のアイヌの姿を、世に知らしめたい――時は江戸中期、老中・田沼意次が実権を握り、改革を進めていた頃。幕府ではロシアの南下に対する備えや交易の促進などを目的に、蝦夷地開発が計画されていた。出羽国の貧しい農家に生まれながら、算学の才能に恵まれた最上徳内は、師の本多利明の計らいで蝦夷地見分隊に随行する。そこで徳内が目にしたのは厳しくも美しい北の大地と、和人とは異なる文化の中で逞しく生きるアイヌの姿だった。イタクニップ、少年フルウらとの出会いを通して、いつしか徳内の胸にはアイヌへの尊敬と友愛が生まれていく……。松前藩との確執、幕府の思惑、自然の脅威、様々な困難にぶつかりながら、それでも北の大地へと向かった男を描いた著者渾身の長編小説!
  • 陸奥宗光(上巻)
    -
    1~2巻750~880円 (税込)
    不平等条約の改正、日清戦争、下関条約、そして三国干渉――。激動の時代にあって日本の命運を担い、近代日本外交の礎を築いた陸奥宗光。その前半生は一家流浪、坂本龍馬や伊藤博文との出会い、明治政府への参画と4年間の投獄など、波瀾に富んでいた。宗光の遠戚である著者による本書は、膨大な資料と父祖からの伝承をもとに描かれた実像・陸奥宗光として、近代日本史に一石を投じる力作である。
  • 森にあかりが灯るとき
    4.2
    1巻1,699円 (税込)
    介護の現場に、光の種を撒く努力をしたい。お笑い芸人の夢に挫折し、特別養護老人ホーム「森あかり」で介護士として働くことになった星矢は、初めての夜勤の日に、利用者の鼻に酸素を投与するためのチューブが人為的に切断されているという医療事故に遭遇。さらにその原因が星矢にあるのではないかと施設長から疑われてしまう。介護士としての将来に自信を失くし、仕事へのやりがいも感じられないまま過ごしていた星矢は、ある日、施設で厄介者扱いされている医師・葉山彩子を街で見かけて、意外な場所に連れていかれる。お笑い芸人になる夢に破れた新人介護士、自分の信念が周囲に理解されない医者、過去に利用者の遺族から訴えられた施設長――。それでも彼らがここで働く理由とは。吉川英治文学新人賞受賞の著者が贈る、感動長編。
  • 野心と軽蔑 電力王・福澤桃介
    3.5
    1巻1,799円 (税込)
    憎まれて世を渡れ! 華々しい経歴の一方で、悪評も多かった稀代の実業家の生涯に迫る歴史小説。日本の電力事業の基礎は、この男が築いた! 明治元年、貧しい家庭に生まれた桃介は、大いなる野望を抱いて慶應義塾に入学。福澤諭吉にその才能を認められ、娘婿となることと引き換えにアメリカ留学を果たす。帰国後、結核や妻との不和に苦しむも、相場で財を成した桃介に対し、世間からの評判は厳しかった。自身が何を為すべきか悩んだ桃介は、急流木曽川を舞台に水力発電に挑む。そこから関西電力・中部電力の礎を築いて、ついには「電力王」と呼ばれるまでに至った男の仕事観と波瀾の人生を描いた渾身の長編小説。 〈目次〉プロローグ 第一章 美少女 第二章 名門 第三章 アメリカ生活 第四章 新入社員 第五章 失意の時 第六章 裏切りは世の常 第七章 勤め人の生き方 第八章 電力は面白い 第九章 木曽川開発 第十章 桃介流に愉快に生きる エピローグ 参考文献
  • 野望の峠
    -
    正体不明ながら、不思議な威厳をもち、人心収攬の才に長けた牢人者、伊勢新九郎。行き倒れの娘(後の今川義忠の室・北川殿)を助けた縁で今川氏の内紛を解決し、やがて北条氏の婿となって一城の主に……。壮年を過ぎてから面白いように出世していった北条早雲をえがいた「破顔」ほか、服部半蔵、山本勘介、明智光秀、小早川秀秋らを主人公に、野望を抱えて戦乱の世を生き抜く人間群像を、哀感あざやかに描く歴史短編集。
  • 山本勘助 武田軍団を支えた名軍師
    -
    1巻950円 (税込)
    隻眼跛行。しかし、戦場では片鎗の無双の遣い手にして、軍略智謀は湧き出るが如し……。戦国乱世、甲斐の武田軍団にあって、希代の謀将として活躍した山本勘助。長年の諸国放浪の末、五十一歳にして武田信玄に仕官し、川中島の合戦で壮絶なる最期を遂げるまでの十有余年、信玄の天下獲りの夢に一身を捧げた。その遅咲きながらも堂々たる生涯を描く長編歴史小説。山本勘助といえば、近年までその存在さえ疑問視されていた人物。著者は、「親類衆や譜代の重臣たちとの争いを避け、あえて表に立たずに裏から信玄を支えていたからではないか」と推測している。仕官して日の浅い身を鑑みて、よく身を処し、幅広い見識と軍略を以ってただ一途に参謀として忠義を尽くした勘助にこそ、信玄は全幅の信頼を寄せたのであろう。五十歳を超えてからの活躍で歴史に名を残した山本勘助の生き様は、人生後半の生き方が問われている現代人にとっても一つの指針となるであろう。
  • 山桃寺まえみち
    3.5
    山桃寺まえみちにある小さな居酒屋「福乃」のママ・ミラちゃんは、現役の大学生。体調の悪い祖母に代わって急遽店を切り盛りすることになり、孤軍奮闘している。大らかでマイペースなミラちゃんの店にやってくるのは、一風変わった客ばかり。彼らに支えられ、店が軌道にのりはじめた矢先、ミラちゃんのことを探る謎の男が現われて……。不器用に生きる人々の悲喜こもごもを温かい眼差しで描いた物語。解説:瀧井朝世。

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  • ユア・プレゼント
    3.8
    1巻1,500円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 頑張るあなたに、大切なあの人に――「癒し」と「元気」をプレゼント。2022年本屋大賞第2位『赤と青とエスキース』の著者と装画家が贈る、大好評アート×ショート・ショート第2弾! 華やかな赤い水彩画と心動かす物語を48篇、オールカラーで収録。本書は、新進気鋭の水彩作家・U-ku(ゆーく)氏のアートから受けるインスピレーションを手掛かりに、ハートフル小説の旗手・青山美智子氏が短い物語を綴った特別な作品集。美しい絵画と優しい言葉のコラボレーションが、あなたの心にそっと寄り添ってくれるはず。日々を懸命に生きる自分へのご褒美にも、大切な人への贈り物にも最適な一冊です。 【目次】●ソフトランディング ●切って貼って ●脈々と ●晴れの日に
  • 幽霊長屋、お貸しします(一)
    4.0
    1~2巻750円 (税込)
    江戸で起こる刺激的な事件を集めて記事を書く、読売の“種拾い”の少女・お奈津は、親方から“事故物件”専門の家守(不動産屋)・直吉の話を聞く。見た目は良いが、無愛想でどこか陰のある直吉に興味を持ち、彼から家を借りた者たちを調べるお奈津は、各家の幽霊騒動に巻き込まれるうちに、霊の切ない事情や秘密を知っていき――。江戸を舞台に、死後も続く縁や思いを温かく描く、時代小説シリーズ第一弾!
  • ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話
    3.0
    気鋭のホラー作家14人が集結! 一四〇字以内で綴られた、恐ろしいのに癖になるホラー掌編アンソロジー。試し読みは、Twitter「#44秒でぞわり」を検索! 【内容例】●祖母から「開けてはいけない」と言われていた引き出しの中身とは……「引き出し」(織守きょうや) ●母の死を知らせる兄からの電話。けれど、その死の真相は……「兄弟の電話」(澤村伊智) ●体験入部で先輩から手渡されたのは、刀やカッター。部員が全員死んでしまう、その部活動の名前は……「部」(百壁ネロ) 文庫オリジナル。 【著者】岩城裕明、藍内友紀、一田和樹、井上竜、織守きょうや、最東対地、ササクラ、澤村伊智、白井智之、百壁ネロ、堀井拓馬、円山まどか、矢部嵩、ゆずはらとしゆき(敬称略)
  • 夜明け前と彼女は知らない
    3.3
    三十歳を前に、このままでいいのだろうか――。仕事に不満があるわけではないが、漫然と毎日を過ごす真帆。職場を見渡せば、“いい大人”なのに、自称・できる美人や勘違いモテ男、BL好きの人妻といった、言動が伴わない子どもな人ばかり。そんな彼らをやり玉に挙げて楽しむ同僚に、抵抗を感じながらも同調してしまう自分。真帆の胸の奥に生まれた小さな疑問はやがて……。

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  • 佳川奈未のミラクルハッピーコミック 「ありがとう」の魔法力 幸運があふれるHAPPY STORY
    4.0
    1巻1,300円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 同名ベストセラーの原作をコミック化! 「ありがとう」。この言葉がステキな奇跡になる ☆すべての願いが、叶いだす! いつもこの言葉を口にし、何事にも感謝の気持ちを持つ人にはたらく奇跡の力を描きます。あなたは運命に守られ、愛されている! 「ありがとう」の魔法のパワーをみかたにすれば、“幸運のサポート”を受け取るようになるのです。夢は叶い、幸せになりすべてはうまくいくのです! 『運のいい女、悪い女の習慣』につづくミラクルハッピーコミック第2弾!
  • 佳川奈未のミラクルハッピーコミック 運のいい女、悪い女の習慣 キラリとカナコの夢を叶えるHAPPY STORY
    -
    1巻1,300円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 仕事よりも恋愛! フツーのOL・カナコは結婚を目指して彼氏に尽くしていた。しかし、同じ会社の後輩に彼氏を取られ大ショック! 会社にも居づらくなり退社することに……。夢も希望も見出せないまま派遣社員として再就職した会社で美人で有能、ツキまくりのラッキーガールとウワサのスーパーOL・キラリに出逢う。全くツイてない女カナコのミラクルハッピー化計画が始まった! 恋愛も仕事も輝く夢もすべてを思いのままに叶える! そんなハッピーでミラクルな毎日をあなたも送れるとしたら? ミラクルハッピーなみちゃんこと佳川奈未さん同名ベストセラーを女流漫画家・池田ユキオが完全漫画化!
  • 佳川奈未のミラクルハッピーコミック 恋が叶う魔法のルール 運命の人と結ばれるHAPPY STORY
    -
    1巻1,200円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 佳川奈未先生のミラクルハッピーコミックシリーズ第3弾! 友人が次々ゴールインする中で焦る結子・三十路手前。友人の結婚式で手にしたブーケに愛の妖精が現れて驚く。愛の化身だと名乗る妖精は「恋愛革命しよう」と語りかけてくる……。◎愛される女になる「秘密のルール」 ◎みるみる恋が叶う「心の持ち方」 ◎運のいい女になる「話し方」 ◎やたらと愛されモテモテになる「自分の磨き方」 ◎運命の人と結ばれる「必須条件」……など、あなたの恋を叶える「恋愛成就」の最強エッセンスを、「胡蝶伝説」で人気の漫画家・池田ユキオ先生と三たびペアを組んで完全コミック化!
  • 義経不死伝説
    5.0
    1巻709円 (税込)
    NHK大河ドラマ「平清盛」でも後半に活躍した源義経は、一ノ谷・屋島・壇ノ浦と連勝し、平家を滅亡に追い込んだ立役者ながら、兄・頼朝との確執から奥州藤原氏の平泉に落ち、そこで自害に追い込まれた「悲劇の英雄」として語り継がれる。だが、『吾妻鏡』をはじめとする史料には、本当にそこで死んだのか、疑わしい記述が散見される。義経は生きて平泉を脱出したのではないか? だとすれば、かれはどこへ行き、何をしようとしていたのか?本書は、東北各地に残る「義経北行伝説」などを踏まえつつ、推理作家ならではの想像力で義経の「不死伝説」を長年検証してきた著者による決定版。第一部で史実として語られる義経の人生を整理し、第二部で「平泉から消えた」あとの足跡を推理し、第三部で周辺人物から見えてくる義経伝説の真相に迫っていく。2012年4月に急逝した著者が、最後まで手を入れた渾身の書。『義経はどこへ消えた?』に加筆し、再編集。

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  • 夜と跳ぶ
    4.2
    1~2巻1,600~1,699円 (税込)
    切り撮れ、その一瞬を。スケートボードの《消えた金メダリスト》×崖っぷち中年カメラマン――熱き二人が魅せる新感覚スポーツ青春小説、第一弾! ◇あらすじ不祥事を起こし謹慎中の中年スポーツカメラマン与野は、ある夜渋谷で、東京五輪金メダリストの大和エイジと偶然出会う。金メダリストでありながら、次のパリオリンピックに出ようともせず、自由気ままに滑るだけのエイジに反感を覚えつつ、その圧倒的な力に魅了され、与野はエイジの専属カメラマン、通称「フィルマー」として、彼の日常の滑りを撮影することに。ともに最高のトリック(ジャンプ、空中動作、回転などの技)を追い求める二人だが、次第に連続窃盗事件や通り魔事件など、深夜の渋谷を取り巻く奇妙なトラブルに巻き込まれていく……。 2024年冬、第二巻発売決定!
  • ライジング・ロード
    4.5
    大手電機メーカーをある事情で退職したエンジニア・野口陽子は、存続が危ぶまれる東北の三流大学に非常勤講師として招かれた。彼女に課せられた使命は「ソーラーカー」を作り、レースに出て大学の知名度を上げること。しかし集まった学生は落ちこぼればかりで資金も技術も足りない。一流大学や大企業チームとの圧倒的実力差、そして震災……。あらゆる逆境を跳ね返すべく、彼女たちの挑戦が始まった。

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  • ライバル
    3.3
    1巻1,699円 (税込)
    2人一緒だから、強くなれる! 小学校から一緒にプレイしていた葉奈と宇希恵。ゴルフへの姿勢がストイックな宇希恵は、全国大会で3位に入るほどの実力者。一方、葉奈は、楽しくプレイするものの、成績は鳴かず飛ばず――。練習帰り、「私のライバルは葉奈よ!」と言い出した宇希恵に、葉奈は戸惑いを隠せない。迎えた大会で、予選トップ通過もねらえた宇希恵が、まさかの予選落ちをしてしまう。ゴルファーにとって、最大の危機に陥ったことが判明した宇希恵に対し、葉奈は……。天才vs.天然。対照的な二人の女子の奮闘を描く純度100%の青春ゴルフ小説。
  • LINEがイタい女は、恋が恋にすらならない。(大和出版) 一瞬で距離を置かれる「ふとしたあやまち」に気づく本
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 うっかり、こんなことをしていませんか? □気になる人に、LINEで「好きな人いるの?」と早い段階で聞いている □返事がなかったら、スタンプくらい送るのは許されると思う □さりげないふりして、加工しまくった写真を送っている □既読スルーされたら、相手のインスタにメッセージを送る □「寝てたから返信するのが遅れた」と言われたら、そのまま信じる 「あるあるすぎて共感の嵐!」「自分すぎて泣けてくる」など話題沸騰。ドキッ! としたあなた、今すぐこの本をお読みください。 〈著者紹介〉ポイズンちゃん 周りの男女を観察し、抱いていた本音をTwitterに吐き出していたところ話題となり、たちまち、フォロワーは約29万人に。毎回「いいね」とコメントが殺到している。本書は、LINEで恋をだめにしがちな男女のやりとりを、解説つきでバリエーション豊富に書き下ろしたものである。Twitter:@poisoncookie00
  • ラストで君は「まさか!」と言う 傑作選 トパーズの誘惑
    3.0
    3分に1回、あなたは騙される!? パン職人のレンは恋人のリリィに11月の誕生石であるトパーズを贈ろうと決心するが……?(「誕生石」)、父の作った自分によく似たロボットが気に入らない少女は怒って……(「そっくりロボット」)、売れない作家の元に守護霊を破格で貸すという男が現れて……(「守護霊レンタルサービス」)。全ての話がどんでん返し! 読み終わるまでの3分、あなたもきっと騙される――珠玉のショートショート36篇。新規書き下ろしを加え再編集。
  • ラストで君は「まさか!」と言う 傑作選 魔性のガーネット
    3.0
    3分で驚愕。ホラー、ミステリー、SF、ラブコメ――一気読み必至の新感覚ショートストーリー傑作選、第2弾! 「盗まれたガーネットを取り返して」と祖母に頼まれた男は犯人の家に乗り込むが……(「盗まれた宝石」)、学生が借りた部屋には幽霊が「出る」という噂があって……(「出ないんです」)、荒んでいく人間界に心を痛めた天使は、人々を救おうと奔走し……(「優しい天使」)。全ての話がどんでん返し! 読み終わるまでの3分間で、あなたもきっと騙される! 新規書き下ろしを加えて再編集。
  • ラプソディ・イン・ラブ
    3.7
    1巻1,600円 (税込)
    ろくでなしでも、世間は名優と呼んでくれる。役者とはそういう職業だ。山と海に囲まれた、とある町の古い日本家屋。かつてそこは、日本の映画界を支えてきた笠松市朗が、愛する家族と過ごした家だった。笠松の息子、俳優・園田準一、笠松の前妻であり女優だった園田睦子、そして人気俳優で、笠松の二番目の妻との間に生まれた岡本裕。岡本の恋人である、人気女優の二品真里。バラバラになっていた彼ら五人が笠松の家に集まった。彼らの葛藤と思いが交錯するドラマの幕がいま開く。みな役者という彼らが、ひとつ屋根の下展開していくドラマ。「ラプソディ・イン・ラブ」――監督、紺田がつけたタイトルだ。彼らの言葉は、台詞か、真実か……。「東京バンドワゴン」シリーズの著者が描く家族の肖像。

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  • ラプソディ・イン・ラブ(PHP文芸文庫)
    4.0
    おそらく、これが父の最後の映画。きっと家族で過ごす、最後の時間。俳優たちの台詞は演技か、真実か。――日本映画界を支えてきた名優・笠松市朗は、ろくでなしだった。そのせいで、家族は崩壊した。その笠松の最後の撮影がはじまった。共演者は別れた妻と息子、後妻の息子と彼の恋人、みな、かつて笠松が愛した家族だった。ひとつ屋根の下、それぞれが役者としての矜持を胸に秘め、父でもある笠松とカメラの前に立つ。彼らは「家族を演じる」ことで、再び家族に戻れるのか。虚と実の交錯する物語の幕が開く。連続TVドラマ「東京バンドワゴン―下町大家族物語」の原作者が描く、もうひとつの家族小説。解説:西山繭子。

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  • 蘭医繚乱 洪庵と泰然
    3.4
    1巻2,200円 (税込)
    【電子書籍限定! 特別あとがきに加え、海堂ワールド作品相関図他、豪華9本立て巻末付録を収録!】「チーム・バチスタ」「ブラックペアン」の著者が挑む新境地! 幕末、東西に私塾を創った二人の蘭方医が天然痘撲滅に挑む、著者渾身の歴史医療小説。〈STORY〉江戸時代後期、医者に憧れを抱くひとりの青年が、大坂なにわ橋の上で佇んでいた。青年の名は田上惟章――のちに「緒方洪庵」と名乗る人物である。貧乏藩士の三男坊だった彼は、大坂で師・中天游と出会い、蘭学にのめり込んでいく。同じ頃、江戸で祝言を挙げるひとりの青年が、医者の道へ歩み出そうとしていた。彼の名は田辺昇太郎――のちの「佐藤泰然」である。知り合いの商人から異国の話を聞いた昇太郎は、蘭学がこの先の世に役立つと考え……。真面目な洪庵と、破天荒な泰然。長崎で同じ時期に蘭学を学んだ二人は、互いをライバル視しつつも、その歩みは蘭学を大きく発展させ、それぞれ立ち上げた私塾は「西の適塾、東の順天堂」として、若者にとっての憧れの学び舎となっていく。そして二人は、世間を脅かす「天然痘」の撲滅に挑むのだった――。
  • リトル
    4.0
    1巻999円 (税込)
    第1回「ありがとう大賞」大賞受賞作品。「生きものってね、0から生まれて、100になって、また0に戻ると思うんだ」突然7歳のアッコちゃんの家にやって来た子犬、リトル。その日から、リトルとアッコちゃん、お父さん、お母さんたち家族の、長くて短い9年間が始まった。新しい家族、リトル。アッコちゃんの「おねえさん宣言」。日々繰り返されるリトルとアッコちゃんのバトル。初めて見るもの、聴くものに、目を輝かせるリトルとアッコちゃん。でも、そんな幸せな日々は長くはつづかなかった。リトルが病に倒れてしまい……。 犬は家族にとって、単なるプラスαではない。家族の心の中に棲んで、一人一人を変えていく。リトルという犬を通して、アッコちゃん、そして両親までもが成長していく姿を描いた感動作。

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  • リンゴの木の神さま
    -
    1巻1,600円 (税込)
    「子供たちが大切に育てていたリンゴが盗まれた?!」盗んだのは誰? 信州の美しい街のリンゴ並木と不思議なホテルを舞台にした子供たちの冒険、表題作の『リンゴの木の神さま』。「セミだって、ミミズだって、モグラだって、カラスだって、みんな自分たちの時間を一生懸命、楽しく生きている!」大きな木で繰り広げられるセミの子供たちや動物たちの交流物語、『ムクの木の大王物語』。心あたたまる、ファンタジックな物語です。
  • 流転の中将
    4.5
    「なぜ朝敵と言われなければいけないのか。我に何の罪があるというのか――」心ならずも「朝敵」とされた桑名藩主・松平定敬(さだあき)は、兄で会津藩主の松平容保(かたもり)とともに徳川家のために戦おうとするが、新政府に従うことを決めた最後の将軍・徳川慶喜に遠ざけられてしまう。一方、上方に近い桑名藩は、藩主不在のなか、重臣・酒井孫八郎のもとで官軍に白旗を掲げ、藩主を幼君に挿げ替えて新政府に恭順することを決める。藩主の座を追われた定敬は、わずかな家臣とともに滞在していた江戸を離れることに……。帰国することもできず、越後、箱館、そして上海まで彷徨うことになった男は、心に如何なる哀しみを宿していたのか。美濃高須松平家の四兄弟の運命を描いた、本書の姉妹編『葵の残葉』で新田次郎文学賞&本屋が選ぶ時代小説大賞をW受賞した作家が、幕末の悲劇を炙り出し、明治維新とは何だったのかを改めて問う傑作歴史小説。
  • 流転の中将
    3.7
    1巻1,899円 (税込)
    「なぜ、朝敵と言われなければならないのか。我らに何の罪があるというのか」幕末、火中の栗を拾うようなものと言われながらも、京都守護職を拝命した会津藩主・松平容保の弟である桑名藩主の松平定敬は、京都所司代として、兄と共に徳川家のために尽くそうとする。しかし、十五代将軍・徳川慶喜は大政奉還後、戊辰戦争が起こると容保、定敬を連れて江戸へ戻り、ひたすら新政府に恭順。慶喜に裏切られる形となった定敬らは、恭順を認めてもらうには邪魔な存在として遠ざけられてしまう。一方、上方に近い桑名藩は藩主不在の中、新政府に恭順することを決める。藩主の座を追われた定敬は、わずかな家臣と共に江戸を離れることに……。朝敵とされ、帰るところも失い、越後、箱館、そして上海にまで流浪した男は、何を感じ、何を想っていたのか――。新田次郎文学賞&本屋が選ぶ時代小説大賞受賞作家が、哀しみを心に宿しつつ、転戦していく松平定敬の姿を感動的に描く歴史小説。
  • 鹿鳴館の花は散らず
    4.2
    1巻1,799円 (税込)
    明治初期、近代国家としてスタートしたばかりで、東洋の小国に過ぎなかった日本にとって、国際的地位の向上は急務だった。公家の娘として生まれた榮子(ながこ)は、岩倉具視の長男に嫁ぐものの、若くして死別。最後の佐賀藩主で侯爵、外交官だった鍋島直大と再婚し、その美貌と気品で「鹿鳴館の花」と讃えられるほど、外交面で活躍する。しかし、鹿鳴館外交は条約改正に至らず、榮子は自分の役目を模索し――。
  • 路地裏の二・二六
    4.2
    1巻2,200円 (税込)
    昭和10年(1935)8月12日、陸軍省にて相沢三郎歩兵中佐が軍務局長・永田鉄山少将を惨殺する事件が起きる。そのとき、部屋にはもう一人の人物がいた――。憲兵大尉・浪越破六【なみこし・ばろく】は、この事件には、語られていない「真実」があると確信する。そんな折、浪越は渡辺錠太郎陸軍大将から、密命を受ける。そして運命の日に向けてのカウントダウンが始まった。気鋭のミステリ作家が、2.26事件と同時進行していた「ある事件」を大胆に描き出した本格長編。昭和史を揺るがす重大事件の謎をめぐる圧巻の歴史ミステリ。伊吹亜門氏デビュー10周年を飾る勝負作!
  • ロング・ロング・ホリディ
    3.3
    1巻1,600円 (税込)
    でも、僕らは探していたんだ。見えない未来を。この場所で――。夢、進路に、恋……、真剣に向き合ったあの日々が、いまの僕を支えてくれているんだ。1981年、札幌。喫茶店<D>でアルバイトをしている大学生・幸平のもとに、東京で働いているはずの姉が「しばらく泊めて」と突然、現れた。幸平は理由を聞き出せないまま、姉との暮らしを始める。一方、<D>では、オーナーと店長が「金と女」のことで衝突してしまう。そんな二人を見て、幸平たちは“ある行動”に出る。それは一人の女性を守るためだったが、姉の心にも影響を与え……。「東京バンドワゴン」シリーズで人気の著者による喫茶店に集う若者たちの苦悩と成長を描いた長編小説。

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  • ロング・ロング・ホリディ(PHP文芸文庫)
    3.5
    感じる、圧倒的ノスタルジー――。手探りでも懸命に未来を探した、「あの頃」が蘇る! 1981年、札幌。喫茶店〈D〉でアルバイトをしている大学生・コウヘイのもとに、東京で働く姉が「しばらく泊めて」と現れた。コウヘイは彼女がやって来た理由を聞けないまま、共同生活を始める。一方〈D〉では、店長が突如「辞める」と言い出して……。平和に思えた人間関係の綻びが垣間見えたとき、コウヘイたちがとった行動とは? 見えない未来に焦り、それでも前に進もうともがく若者たちを描いた傑作青春小説。

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  • 若武者 徳川家康
    -
    1巻850円 (税込)
    2023年の大河ドラマの主人公となった徳川家康。大坂の陣で豊臣家を滅ぼして天下統一を成し遂げたため腹黒く老獪なイメージが強いが、もともと天下を目指せるような境遇では全くなかった。破竹の勢いだった祖父、清康は25歳で刺殺され、跡を継いだ父、広忠も24歳で暗殺されてしまう。今川の人質となっていた竹千代(家康)には、どうすることもできなかった。城も領地もなく譜代家臣たちは今川に虐げられる日々。しかし、今川義元が敗れた桶狭間の戦いを契機に図らずも念願の岡崎城に帰還することができ、そして、そのきっかけをつくった織田信長との出会いが家康の人生を大きく変えていく……。親も城も金もなく、あるのは譜代家臣のみという若年当主が、危機と幸運に翻弄されながら国持ちとなり、ついに天下を目指す成長物語。苦労とピンチの連続だった若い家康の実像に迫る! 文庫書き下ろし。
  • 吾輩はウツである “作家・夏目漱石”誕生異聞
    4.3
    1巻1,699円 (税込)
    「おまえさん、ナニサマのつもりだ」(by猫)――『吾輩は猫である』が生まれた舞台裏には、こんなドラマがあった!?明治36年(1903)4月、小泉八雲が辞めさせられたことで学生たちの不満うずまく帝大に、夏目金之助(のちの漱石)が講師として赴任する。不穏な空気の中、学生たちの冷たい視線に晒される金之助は、毎日、不満と苛立ちを抱えながら教壇に立っていた。さらに、失恋で人生をはかなむ学生・藤村操が目の前に現れ、金之助の気持ちはますます不安定になっていく。そんなとき、一匹の小さな黒猫が夏目家に迷い込んだ。心を病み始めた金之助は、その黒猫と会話をし始める。しかし、その黒猫と会話ができるのは金之助だけだった。一方、病ゆえに突如として怒りを暴発させるようになった金之助に対し、妻・鏡子は一念発起。金之助の病を治すべく、ある行動を起こしたのだが……。夏目漱石を長年にわたって研究し続けてきた著者が、歴史的事実をモチーフに、不世出の文豪が誕生するまでをドラマチックに描く、異色の長編小説。

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  • 吾輩も猫である
    3.0
    吾輩も猫である。名前は小次郎という――夏目漱石の『吾輩は猫である』から百年、同書をこよなく愛する著者が、愛猫四匹と暮らす日常を主人公の小次郎の視点から描いた長篇小説。日常雑感のような体裁をとりながら、古今東西の名作についての考察や現代文明批評まで、その話題は幅広く、深い。主人である元新聞記者とはむろん著者がモデルだが、その知的生活の一端がうかがえる教養小説の趣もある。小次郎の名前は、主人の愛読書『宮本武蔵』の佐々木小次郎から命名されたもの。武蔵・伊織・大和ら他三匹の猫と暮らす小次郎は、主人やその家人、個性豊かな訪問客の面々の会話や特徴を、ウイットに富んだ眼で観察し、ユーモラスに語る。肩の凝らない読み物として、また猫好きの人には猫たちの愛らしい挙措とややシニカルな語り口が、楽しい作品に仕上がっている。かわいい猫の挿画との相性も絶妙。ふだん小説は読まないという人にも、ぜひおすすめしたい好著。

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  • 忘れられた叡智 詩的寓話 目に見えない資本主義
    4.0
    1巻1,400円 (税込)
    遠い昔、21世紀の初頭――。グロバリアという王国で、人々が「野蛮な資本主義」というシステムの下に暮らしていた頃。ある日、サブプリモというアメリア村の商人によって、大量の偽商品が販売され、王国全体が深刻な経済危機とパニックに陥った。ジャポニア村の智恵子と賢治は、破産によって悲しみのどん底にあえぐ両親を可哀想に思い、この危機を繰り返さないためにはどうしたらよいか、ジャポニアの村長や名高い経済学者、さらに森の聖人に教えを請いに行く。最後に、智恵子と賢治が見い出した叡智は、まるで予期していなかったものであり、同時に、深く、腑に落ちるものだった――。2010年5月の「TEDx Tokyo」で著者が英語で朗読を行い、大きな反響のあった「目に見えない資本主義 詩的寓話」を、新たに日本語と英語の両方で読める書籍として編集。この国の復活と資本主義の成熟を祈りつつ発刊する。

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  • わたしの声が消えたあと
    5.0
    1巻1,699円 (税込)
    「私の声を見つけて」伯母から届いた謎の遺言状。人付き合いが苦手な青年と声優探偵(!?)がその不可解な意図の解明に挑む! 幼い頃に母を亡くし、伯母の家で折り合いの悪い従妹と一緒に暮らしていたソータ。その伯母も亡くなってしまい、しばらくしてソータのもとに遺言状が届く。そこには、ソータが伯母の声を見つけなければ、ふたりの住む家を売却し、そのお金を寄付すると書かれていた。遺言の意図がわからないソータだったが、誰の声でも真似できるという声優の少女・栗原との出会いをきっかけに、声を再現してもらうべく、伯母の過去を調べ始める。果たして伯母の遺言状の言葉に秘められた想いとは。松本清張賞受賞、「横浜大戦争」シリーズが大ヒット中の著者が紡ぐ、ほろ苦くもあたたかい青春物語。
  • 我、鉄路を拓かん
    3.5
    1巻1,699円 (税込)
    海の上に、陸蒸気を走らせる! 明治の初めに、新政府の肝煎りで、日本初の鉄道が新橋~横浜間に敷かれることになった。そのうち芝~品川間は、なんと海上を走るというのだ。この「築堤」部分の難工事を請け負ったのが、本書の主人公である芝田町の土木請負人・平野屋弥市である。勝海舟から亜米利加で見た蒸気車の話を聞き、この国に蒸気車が走る日を夢見ていた弥市は、工事への参加をいち早く表明する。与えられた時間はたった二年余り。弥市は、土木工事を生業とする仕事仲間や、このプロジェクト・チームを事実上率いている官僚の井上勝、そしてイギリスからやってきた技師エドモンド・モレルとともに、前代未聞の難工事に立ち向かっていく。来たる2022年10月14日は、新橋~横浜間の鉄道開業150年にあたる記念すべき日。この日を前に刊行される本書は、至難のプロジェクトに挑んだ男たちの熱き物語であり、近代化に向けて第一歩を踏み出した頃の日本を、庶民の目で見た記録でもある。
  • 我、弁明せず
    4.2
    明治・大正・昭和と、三井財閥のトップとして、日銀総裁として、大蔵兼商工大臣として、怒濤の人生を走り抜けた池田成彬――。しかし、日本の財界をリードしつづけたその業績と較べると、彼の名前はあまりにも知られていない。金融恐慌、2・26事件、そして太平洋戦争と、逆風吹き荒れるなか、世間の悪評を物ともせずに突き進み、歴史の荒波に消えていった池田成彬の人生に光を当てた長編小説。

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  • 花売り姫
    NEW
    -
    1巻1,600円 (税込)
    ある理由で高校を退学し、母と二人で田舎に引っ越してきた梓未(あずみ)。母が営む花屋を手伝っていたが、ある時、家の裏に紫陽花や桜、桔梗、牡丹など、咲く季節が違うはずの花々が咲き乱れる不思議な花畑を見つける。花畑の主である女性“ひい”と出会い、仲良くなった梓未は、美しい花と自分が持っていたものを交換してもらうようになるが、次第にひいの態度が変わっていき……。「本当に嫌いなものは何か」「本当に好きなものは何か」「本当に大切なものは何か」を問う、不思議で美しい物語。
  • 闇中問答
    NEW
    -
    直木賞作家・葉室麟がデビュー前に書いた小説が見つかった。織田家中の男が、信長本人も知らなかった出生の秘密に迫っていく中編小説「闇中問答」である。大胆な発想をもとに、のびのびとした筆致で描かれており、文芸評論家の末國善己氏も、「習作のレベルを超えている」と太鼓判を押す。この作品で著者は、信長の謎めいた出自について、乳母や家臣、一族の者らの証言をもとに明らかにしていくのだが、そこには著者の創作活動を知るうえで不可欠な要素を随所に見ることができる。著者の信長観が垣間見えるエッセイや読物を併せ読むことで、天下人・信長を読み解ける、ファン必読の書。解説:末國善己。文庫オリジナル。
  • とりぷるばーば 水曜日のかれーらいす
    NEW
    -
    札幌で居酒屋を営んでいた桃子の夫が亡くなって一年。「子ども食堂」だけ細々と続けていた桃子のもとに、元キャリアウーマンの百合、夫婦二人で暮らしていた澄子が訪れる。中学時代からの親友たちもそれぞれの人生を歩み、気がつけば皆、67歳になっていた。そして、桃子は二人の提案で、彼女と夫が一緒にやっていたお店を再開することにする。リニューアルしたお店では、北海道の旬の食材を用いつつ、手軽に作れるリーズナブルな家庭料理を提供。食べに来たのは、乳がん手術後の女性や、今の世の中についていけない高齢男性、近所の小学生たち。皆、それぞれ悩みや不安を抱えていて……。個性豊かなおばあちゃん三人のやさしさと、お手製のカレーライスなどの懐かしい味が、明日への元気を与えてくれる連作短編集。文庫書き下ろし。

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