歴史・時代小説作品一覧
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-堅物の侍が殿の下命で町の裏長屋の大家に。 店子は元藩士の隠密! 瓦版に描かれた奇妙な絵…。 藩主から真相を探るように仰せつかった元藩士たち。 隠密に姿を変えた十人が、絵に隠された真相を暴く! 小栗藩主の松平若狭介から「すぐにも死んでくれ」と言われて、権田又十郎は息を呑むが、平然と落ち着き払い、ひれ伏して、「ご下命とあらば…」と覚悟を決める。ところが、なんと「この後は日本橋の裏長屋の大家として生まれ変わるのじゃ」との下命だった。勘兵衛と名を変え、藩のはみ出し者たちと共に町人になりすまし、江戸にはびこる悪を懲らしめるというのだが……。
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-名奉行、大岡越前の知られざる若かりし日々。自ら犯した過去の過ちを自ら裁く! 希代の名奉行、大岡越前。長じて後は八代将軍の徳川吉宗の享保の改革を町奉行として支えるが、年若い頃の彼は世俗に流されるままに日々を送り、人の道を踏み外した男女の関係を持ち、子供も出来るのだが、彼は別の許婚の元へ…。紆余曲折を経て抜擢されるのだが、彼の前に昔の彼女が現れる。お白州の場で復讐をする彼女に対する大岡越前の裁きは…。 【著者プロフィール】 1892年8月、神奈川県生まれ。小説家。様々な職を経て作家となる。『鳴門秘帖』などで人気を博し、1935年より新聞連載が始まった『宮本武蔵』は読者を魅了、大衆小説の代表的作品となる。『三国志』、『新・平家物語』、『私本太平記』『新・水滸伝』など後世に残る大作を執筆。
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3.0名奉行といえば、第一に名前をあげられる大岡越前。だが、彼の前半生は決して人に誇れるものではなかった。元禄の悪風に染まり、水茶屋の女お袖との間に一女までなしたが、一緒にはなれない。やがて、江戸町奉行へ抜擢された時、お袖の復讐が彼を待っていた。――みずから蒔いた種をみずから裁く人間大岡越前の苦悩。戦後の混乱した世相に、深い想いを託して描いた意欲作。
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-抑えの利かぬ血気をもった転々流浪の戦国武将、塙直之。土佐大名から牢人へと転落していた、長宗我部盛親。秘めたる闘志を胸に、大坂の陣に参戦した二人には、一体どんな夢があったのだろうか。歴史的合戦に見果てぬ夢をみた二人の武将にせまる。
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-天下の御意見番として知られた大久保彦左衛門。 その子孫である直参旗本の彦右衛門は、御書院番頭として、将軍家定に仕え、自身も〈天下の御意見番〉と呼ばれている。 ある日、家族総出で菩提寺に先祖供養に行ったおり、「寄進すれば、救われる」と叫ぶ、怪しげな修験僧たちに遭遇する。 それは、恐るべき陰謀の端緒だった。 黒船の来航で世情が騒がしくなるなか、千石の直参旗本の彦右衛門は、十二人の子供たちと孫たちとともに困難に立ち向かっていく。 各社で人気シリーズを持つ著者による書下し痛快時代小説の第二巻! 第一話 人を欺くなかれ 第二話 慈悲をもって 第三話 悪しき友とは 第四話 まずは民の利 井川香四郎 著作リスト
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-大坂の陣、大量の兵力が動員された合戦は、秀吉自慢の巨城をしだいに削り取っていった。しかし。兵力の差以上に、大坂方には決戦に敗北する決定的な理由が存在した。そして、大坂の陣に出没した三人の真田幸村の謎とは。せまる大坂の陣、最終決戦。
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-ついに勃発した大坂の陣。元大名や浪人などが大坂城に集まった。その中に真田幸村もいた。軍師として迎えられたはずの幸村だが、そこで内部抗争の渦へと巻き込まれていく。また幸村の遺児たちはその後どうなったのか。真田幸村、大坂の陣を巡る2篇を収録。
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-大坂方の総軍総司令官、大野治長。その弟・治房。生涯相合わぬ兄弟の鬱積はついに、大坂の陣中にて爆発する。一方、キリシタン大名明石全登は、十字架を掲げ、彗星の如く、大坂入城を果たした。大坂に集った多様な顔。大坂の陣をとりまく人々。
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-片桐且元、豊臣方からの訣別の理由。失敗続きの徳川秀忠が持っていた、将軍の資質。家康の側室から秘書官的存在にまでのぼった、阿茶局。東西の融和の橋渡し的役割を果たした、常高院。四人の登場人物から、歴史的合戦・大坂の陣にせまる。
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-奇謀奇略を駆使した辣腕の政僧で「黒衣の宰相」と呼ばれた、金地院崇伝。元禅僧で、幕府の最前線機関京都所司代の任についた、板倉勝重。徳川幕府を陰から支え続けた、二人は大坂の陣において、どのような役割を果たしたのか。
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-筆太にまっすぐひかれた士魂とその優れた人柄で、大坂方の精神的支柱とも呼べる名将、後藤又兵衛基次。凛とした美丈夫で壮絶なる最期を遂げた、大坂の陣の「花」、木村重成。歴史的合戦・大坂の陣を美しく彩った二人の武将にせまる。
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-生涯、徳川家康にとって疫病神であった真田昌幸・幸村親子。稀代の横着者として、乱世を泳ぎ切った父・昌幸と、言葉少なにして柔和な幸村。親から子へ、すべては大坂の陣へと収斂していく。真田家の真髄。親子がたどった大坂の陣への道。
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-勝利を手にしながらも心境複雑な、伊達政宗。名門復活を望んだ、上杉景勝。戦功をあげてなお報われなかった、松平忠直。単純な勝者と敗者では、括り切れない三人。彼らにとって大坂の陣とはなんだったのか。歴史的合戦・大坂の陣を形づくった人々にせまる。
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-生え抜きの「秀吉子飼い」であり、賤ヶ岳七本槍の一人でもある福島正則や、秀吉によって理想的武将として育てられた加藤清正は、関ヶ原合戦・大坂の陣と、大坂方の敵として振る舞った。その理由は何か。歴史的合戦・大坂の陣を形づくった人々にせまる。
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5.0大坂の陣にて奮戦し、壮烈に散った豊臣方の七人の大将――木村重成、長宗我部盛親、後藤基次(又兵衛)、毛利勝永、明石全登、塙直之、薄田兼相を紹介! 味方を鼓舞し、敵方から畏敬された猛将たちの最期の煌めきを堪能する一冊!
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-戦国史上最大の合戦、大坂の陣。戦場では実際に何が起こっていたのだろうか。壮大な防衛構想「大坂城浮き城化計画」、豊臣・徳川両陣営の動員力比較、包囲網と迎撃戦の詳細、勝敗を左右した大砲解説など、多数の図表を駆使して、大坂の陣を視覚的に徹底解析。
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-将軍任官の資格のなかった徳川家康は、力づくでその資格を手に入れた。しかし、そこまで固執した将軍職を、異例ともいえるスピードで、三男秀忠に譲ってしまう。徳川の威光を示す、将軍就任そして代替わりの儀式の裏にあった、家康真の狙いを推理する。
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-遠くない将来、豊臣方との一戦を想定していた家康は、大坂包囲網を計画する。駿府城への移転・大修築を含め、各国で築城を推し進める家康は、遂に実践城郭の完成形ともいえる名古屋城の建設に着手した。築城にみる、家康大坂包囲網の実態とは。
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-宮本武蔵と佐々木小次郎が剣技を闘わせた巌流島の決闘と、徳川家康が突如として持ち出し、大坂の陣開戦の発端となった方広寺鐘銘問題。一見、縁遠い二つの出来事は、大坂の陣という補助線によって結ばれる。歴史の細部からせまる、大坂の陣への道程。
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5.0関ヶ原合戦で西軍側についた武将に、厳しい処分が下ったときから、大坂の陣勃発は必然であったのかもしれない。豊臣秀頼のカリスマ性を恐れる家康は、大坂方の弱体化を謀って、莫大な数の寺社の造営や修復を奨励した。大坂の陣へといたる長き行程をたどる。
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-あらゆる身分、あらゆる思惑が渦巻き、激流のごとく流れぶつかり合った合戦、大坂の陣。徳川譜代・外様大名。豊臣直臣や浪人。茶人、商人、僧侶に公家。果ては農民までが結集した戦国史上最大の合戦を、それぞれの視点から描ききる力作論考。
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-同時代を生きた武人、太田道灌と北条早雲は戦乱の関東で一度だけ対面している。名将として世に知られた道灌と、虎視眈々と飛躍の時を待つ早雲。一瞬の邂逅にふたりは何を思ったのか? 後の世に語り継がれる英雄たちの出会いとその後の対照的な人生を追う!
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4.32017年12月、第9回日経小説大賞(選考委員:辻原登、高樹のぶ子、伊集院静)を高い評価で受賞した小説「義と愛と」を改題、作品の舞台となった戦国時代の史実をタイトルにして世に問う本格歴史小説。 本作は戦国時代の有名な武将の戦や権謀術数を巡る物語でもなければ、下克上の物語でもない。主家に仕える重臣たちの内面を通して熾烈な勢力争いを繰り広げる戦国大名家の生身の人間ドラマをあますところなく描ききった点で新しい。大型新人のデビュー作である。 物語は、天文19年(1550年)、九州・豊後(現在の大分県)の戦国大名、大友氏に起こった政変「二階崩れの変」を、時の当主・大友義鑑の腹心、吉弘兄弟を通して描く。 大友家20代当主・義鑑が愛妾の子への世継ぎのため、21歳の長子・義鎮(後にキリシタン大名として名をはせた大友宗麟)を廃嫡せんとし、重臣たちが義鑑派と義鎮派に分裂、熾烈なお家騒動へと発展する。家中での勢力争いに明け暮れる重臣の中で、一途に大友家への「義」を貫いた吉弘鑑理と、その弟で、数奇な運命で出会った姫への「愛」に生きた鑑広を主人公に、激しく移りゆく戦国の世の武将たちの生き様を迫力ある筆致で活写していく。派閥争い、裏切り、暗黙の盟約、論功行賞、誰に仕えるか……それらを「義」と「愛」を貫き、筋を通した兄弟を通して描くことで、現代の組織と人間との関係にも通じる普遍的なドラマに仕上がっている。良質なエンターテイメント作品だが、組織人が読めばビジネス小説の側面も併せ持っているだろう。
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4.0「新人離れしたデビュー作」と各紙誌が絶賛した『大友二階崩れ』のその後を描いた新作が早くも登場。「泣く英雄」を描いた前作に対し、「武に生きる」男たちがやはり「義」をめぐり繰り広げる熱き物語。大友義鎮(のちの大友宗麟)が当主となった「二階崩れの変」の6年後、強大化した大友家に再び熾烈なお家騒動が出来。通称「小原鑑元の乱」を重臣たちを通して描く。 物語を引っ張るのは『大友二階崩れ』の主人公の長男。当主・義鎮が「政」より美と女を重んじた結果、「二階崩れの変」を平定した重臣たちと当主との間に権力の二重構造ができあがり、政変が勃発する 前作で描かれたのは「義と愛」だったが、今作はもうひとまわりスケールが大きく、一寸先は闇の乱世における「義と利」「情と理」のせめぎあいがダイナミックに描かれる。一貫して流れているのは戦国の世とは言え、誰も戦を望んでいないこと。やむなく戦に臨まねばならなくなった時、どこで人としての筋を通さねばならないか、を各人各様に考え抜いている姿が描かれ、現代にも通じる普遍的なテーマが隠されている。
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4.5奇跡の三夫婦が奏でた大恋愛と大家族の物語。 明治時代に、北海道・大沼を開拓した者たちの係留として、大沼の地で自分たちらしく根を張ろうとした小さな母と長身の三兄弟。また、この地を新天地と考えて、第二次大戦後、山梨より順に嫁いでいくことになる、個性溢れる三姉妹。この大家族は、様々な困難に見舞われながらも、この地に新風を注ぎ込んでいく……。そして、母の死に際に、三夫婦に明かされた謎とは? 北海道を舞台に、数々の小説を発表してきた著者が、5年の歳月をかけて紡ぎ上げた、実話をもとにした感動長篇。 ※本書は過去に単行本版として配信された『大沼ワルツ』の文庫版です。
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4.5出世のために、信長の無理難題を乗り越えろ! 今川義元率いる軍勢が、三河から尾張へと侵攻せんとする頃。小者頭の藤吉郎は、清洲城で見かけた美しい娘に、身分も顧みず求婚していた。 浅野又右衛門の養女・於禰に、「儂は天下人になる男じゃ!」と吠えてみたものの、にべもなく振られる始末。 今川との戦いに際し、織田信長に同道するが、出世はなかなか見込めない。 だが、西美濃侵攻に際し、信長から木曽川の川筋衆の主・蜂須賀小六の調略を命じられる。 川筋衆を味方につければ、犬山城攻略は圧倒的有利に運ぶ。 千載一遇の機会を得た藤吉郎は、小六の許へ乗り込むが、信長を嫌う小六は一筋縄ではいかなかった──。
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4.0老中から町奉行所の同心まで、江戸幕府の職制には数あれど、一番怖い権力を持つもの──それが高級旗本「大目付」であった。なにしろ、自分より禄高が上の大名を監察するだけでなく、その気になれば、将軍直訴という特権を使って、老中の首さえも飛ばすことができたのだ。そんなおっかない役職に、若き正義漢、朽木隼人正三郎頼光が着任する。彼は下城すると、無役小普請組“光三郎”に変身して町を徘徊。世継ぎ騒動、抜け荷、家老の謀反などなど、諸大名の噂や情報を収集し、お殿様たちの不正、腐敗を容赦なく暴いていった。だがその行く手に、本人も真っ青になる大物の陰謀が明らかに!大目付光三郎、果たしてどうする!!頭が高いお大名たちを捕縛する、斬新な捕物シリーズ、いざ開幕!
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4.2【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 明治初期、商売をたたんで一家で移り住んだしもた屋の離れに、一人の泊り客ができた。離れには、主人が没落士族らしき男から買い受けた木彫りの猿の仮面が掛けられていたが、夜も深まったころ、どこからかうなり声が聞こえてきて…(「猿の眼」より)。怪談の名手・岡本綺堂の短篇13本を選りすぐったおそろし噺傑作集。江戸から明治、大正時代までを舞台にした怪しくて不可思議な噺が、百物語形式で語られていく。ほかに、雪夜の横丁に座る老婆を目にした若侍たちの顛末を描く「妖婆」、新婚の夫がある温泉場から突然行方不明になる「鰻に呪われた男」など。
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-池田屋に踏み込む近藤勇以下四名の新選組隊士。そこには三十名を超える志士が潜んでいた。志士と隊士、入り乱れての大乱闘。怒号と悲鳴の轟くなか、突如、総司の意識は徐々に遠ざかってゆく――各種メディアで、新選組が話題となるなか、近藤勇、土方歳三とならび、最も人気のある人物の一人、沖田総司にも注目が集まっている。しかし、隊士きっての剣豪でありながら、出生からその死まで、多くの謎に包まれている。土方や近藤のように本人だと断定できる写真も残っておらず、肖像画と伝えられるものも血縁者をモデルにして書かれたものだといわれ、わずかに自筆の書簡七通が残されている程度である。伝説的な逸話も多く、現代からは「沖田の実像」というものはなかなか見えてこない。本書は、これまでに書かれた文献を踏まえつつ、断片的な資料のすきまを紡ぎ、幕末の動乱を駆け抜けた男の雄々しくも儚い生涯を力強く描く、著者会心の長編小説である。
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5.0沖縄県発・おきなわ文庫シリーズ第8弾。 「『沖縄問題』『基地問題』をめぐる論調の閉塞感を憂え、三人の琉球大学教授が「沖縄のタブーを敢て破って提示する問題提起。沖縄を愛し、沖縄にこだわりつつも「開かれた議論」の場を提供しようとする強い決意がみなぎる。本シリーズ『沖縄批判序説』『沖縄の自己検証』と併読すると、新しい認識の枠組みが鮮明となる。大城常夫、真栄城、守定両氏は経済学者、高良倉吉氏は歴史学者。(2000年当時のあとがきより)。」 2000年3月那覇市で開催された「アジア太平洋アジェンダプロジェクト・沖縄フォーラム」(日本国際交流センター主催)の第1日目の最初のセッションにおいて、私たちは「『沖縄イニシアティブ』のために─アジア太平洋地域のなかで沖縄が果たすべき可能性について」というタイトルの「討議用草稿」を発表した。 本書を出版する意図は、私たちの考え方の枠組みを提示し、正確な情報を伝えたいためである。憶測や曲解等にもとづいて文章を書くという安易な風潮を正すという意図もある。本書は次のような内容で構成されている。 冒頭に私たち三人の鼎談を置き、問題点のアウトラインを示す導入部。第1部には問題となった「沖縄イニシアティブ」(討議用草稿)の全文とこれを補足する文章を掲載。第2部・第3部は私たちの考え方を示すために、最近新聞や雑誌に発表したものの中からテーマにふさわしい文章を選んで収録。 そして付録として、「沖縄イニシアティブ」の英訳。さらに「沖縄イニシアティブ」の経過と批判・非難の流れが一覧できる記事・文献目録も掲げた。この共著において、沖縄の二一世紀を考えるための問題提起ができればと念じている。初版から12年の時を経て、新たに電子版あとがきを追記した電子復刻版。
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-沖縄県発・おきなわ文庫シリーズ第3弾。 2012年5月15日は沖縄県本土復帰40年の節目の年である。 沖縄をめぐるテーマにこだわり、多彩な執筆者を得て沖縄本としては最も大きな森を形成してきたおきなわ文庫シリーズ。 本書の著者は日本銀行第8代那覇支店長。沖縄を愛するひとりのヤマトンチューとして主に地元紙への寄稿文をまとめた貴重な1冊である。 23年の時を経て新たに著者本人による電子版あとがきを加えた電子復刻版。 「日銀那覇支店長として二年半、沖縄で暮らした著者の活動は県民各界・各層の耳目を集めた。ひとづきあいの良さ、しなやかな個性、明朗と知性を同居させるその人格など、実に県民に愛されたエコノミストであった。 求められてエッセイを書き、迎えられて演壇に立った。こうした多彩な活動の一端を集めたものが本書である。一読して、仕事、ひと、文化風土を愛する著者の息吹がさりげなく伝わってくる。「沖縄」を見るたしかな視点がまた一つ加わったのである。(1989年初版発行時の作品紹介文より)」
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-沖縄県発・おきなわ文庫シリーズ第6弾。 著者は元琉球大学教授であり、自らを地域プランナーと称した真栄城守定氏。エコノミストとしては、沖縄社会で最も露出度の高い知識人であったが、2005年10月11日心筋梗塞が高じて帰らぬひとになった。67歳という若さであった。 本書は地域プランナーとしての真栄城守定氏が、沖縄県下の将来計画を立案するために旅した地域での感懐や沖縄認識そのものを綴ったモノローグである。 著者自らが沖縄経済の語り部となり1981年から85年までの間にインタビューや講演、執筆依頼を受けてきた原稿を集成したものとなっている。 沖縄経済の7不思議とは…1つ目「時の氏神」による沖縄の経済成長、2つ目は人口増加、3つ目失業率が高い、4つ目は格差、5つ目第三次産業が高いシェアをもつこと、6つ目は企業倒産、そして7つ目は、移入依存度の高いこと。このように沖縄経済には、常識的にはちょっと頭をかしげたくなるような現象がしばしばみられる。この他7章から構成されていて、沖縄の状況を正しく捉え実によくまとめられている。現在の沖縄経済と比較してみるのも本書の活用方法である。 今回は復刻にあたり、亡き真栄城守定氏の友人でもあり本シリーズにもたくさんの作品を発表している高良倉吉氏(琉球大学教授・琉球史)による追悼文を新たに追記した電子復刻版。 「「沖縄経済」-島嶼のなかで生活する百万県民の経済の営み。知りたくても、なかなか適書がみつからないというのが現状です。それに、経済はむつかしい。という風評があって経済書は敬遠されがちです。本書はわかりやすい口調で、しかも若者の問題意識、豊富な経験とデータをまじえて「沖縄経済」を語ってくれてます。沖縄経済を知る確かな手ごたえを感じさせる書です。(1986年当時の作品紹介文より)。」
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-沖縄県発・おきなわ文庫シリーズ第6弾。 沖縄の言葉は内地の人間にはとても難しくわかりにくいが、本書はティンサグ(花の名前)、ハゴーサン(汚い)、ガンマリ(いたずら)、ゴーヤー(にがうり)、チュラカーギー(美人)、ヒサ(足)、ヒージャー(山羊)、クニブ(九年母)、フラー(馬鹿)などなど、合計79の言葉について、その語源などに遡りながら解きほぐし、そこから独自の文化的側面が顔を覗かせている。 著者は琉球文学全般をカバーする研究を行ってきた琉球大学名誉教授の池宮正治氏。本書は語源研究を目指したものではなく、ことばを軸にして琉球の文化的な側面の豊かさを共感するためのものである。散歩道を時には寄り道し、時には道草を食いながら、これらのことばたちと楽しんでみて下さい。 「本書は国語研究者による語源研究ではない。「ことばは文化の交差点、ウチナーグチでいうカジマヤー(十字路)」とする著者が琉球文学研究の過程、資料渉猟で出会ったことばを文学者の感性でまとめたものである。とはいえ、その採訪の旅は南西書とはもちろん東方区地方にまで達し、さらには「記紀」の世界にまで及ぶ。その該博さにはただただ驚嘆するのみである。とくにウチナーグチと本土中世語の思わぬ関係の豊かさには刮目される。学者の研究成果を平明に一般に還元・提示するという学問本来のあり方からすると、本書こそまさにその到達点というべきであろう。 (1993年当時の作品紹介文より)。」
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-沖縄県発・おきなわ文庫シリーズ第13弾 「沖縄における新民謡は、昭和の初期からはじまっており、それは本土で新民謡が活発になった時期と重なる。沖縄の新民謡界で活躍した、そして現在活躍している歌い手、作詞者、作曲者のなかから都合五十五名とりあげた。彼らの芸能活動を通して、沖縄の新民謡史を展開する。長く民俗芸能を研究してきた著者が、沖縄の新民謡の世界を愛情込めてわかりやすくまとめた好著である。-1996年紹介文-」 著者は沖縄の芸能文化の発展や研究に力を注いできた大城學氏。現在琉球大学法文学部教授。本書の構成は沖縄民謡歌手(個人およびグループ)のみならず、作詞・作曲者を加えて五十五名を取りあげ、その歌手の好きな民謡の歌詞一節、民謡との関わり、プロフィール、代表作品、エピソードという順に紹介している。 絶版から数年の時を経て、新たに「電子版あとがき」を追記した本書が電子書籍として復刊!
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-沖縄県発・おきなわ文庫シリーズ第3弾。 2012年5月15日は沖縄県本土復帰40年の節目の年である。 沖縄をめぐるテーマにこだわり、多彩な執筆者を得て沖縄本としては最も大きな森を形成してきたおきなわ文庫シリーズ。 本書の著者はNPO法人沖縄県芸術文化振興協会理事長を初め多くの役職をもつ。 デイゴの花が散る頃にやってくる6月23日は沖縄慰霊の日である。沖縄戦の戦没者の霊を慰めて平和を祈る日として制定された。本書は「沖縄戦とは何か」、「集団自決」「住民虐殺」はなぜ起こったのか、これらを検証する為の貴重な1冊である。29年の時を経て著者本人による電子版あとがきを追記した電子復刻版。 「沖縄戦にはナゾが多い。戦場の実相はあまり知られていない。著者は十年の歳月をかけて沖縄戦の調査・記録・研究に取り組み、従来の戦争伝説をくつがえし、沖縄戦の実像にアプローチした。本書は研究者としての研究成果の上に立って、作家としての自由な立場から自在に筆をふるった沖縄戦研究の入門書である。(1983年初版発行時の作品紹介文より)」