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明治初期、商売をたたんで一家で移り住んだしもた屋の離れに、一人の泊り客ができた。離れには、主人が没落士族らしき男から買い受けた木彫りの猿の仮面が掛けられていたが、夜も深まったころ、どこからかうなり声が聞こえてきて…(「猿の眼」より)。怪談の名手・岡本綺堂の短篇13本を選りすぐったおそろし噺傑作集。江戸から明治、大正時代までを舞台にした怪しくて不可思議な噺が、百物語形式で語られていく。ほかに、雪夜の横丁に座る老婆を目にした若侍たちの顛末を描く「妖婆」、新婚の夫がある温泉場から突然行方不明になる「鰻に呪われた男」など。
Posted by ブクログ 2017年08月28日
初めましての作家さん。
「利根の渡」「猿の目」「蛇精」「清水の井」「蟹」
「一本足の女」「笛塚」「影を踏まれた女」「白髪鬼」
「妖婆」「兜」「鰻に呪われた男」「くろん坊」の
13本を収録。
現代の怖がらせるための話ではなく、読み終わってから、
読み手に想像させて、それって怖いわぁ~と、思わせる
不...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年01月06日
わかりやすく怖いというよりは、じわじわと怖くなったり不思議な気持ちになるような話が十三編。
好きだったのは、以下の三作。
『白髪鬼』
下宿仲間が何年経っても弁護士試験に受からない理由とは。
そしてお土産の鰻からまた様相が一変する。
『妖婆』
雪夜の横丁に座る老婆を目撃した若者たちの顛末。
その...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年03月17日
『半七捕り物帳』で有名な岡本綺堂の怪談選集。
昨今の西洋風の日本ホラー作品もいいですが、
叫びも血しぶきも肉のはじける様も
克明に描写されないのに、深深と心に積もる恐怖が
感じられる、日本独特の「怪談」という日常にふと
顔をのぞかせる怖さが、とても愛おしく感ぜられます。
作品に出てくる用語や固有...続きを読む
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