あらすじ
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明治初期、商売をたたんで一家で移り住んだしもた屋の離れに、一人の泊り客ができた。離れには、主人が没落士族らしき男から買い受けた木彫りの猿の仮面が掛けられていたが、夜も深まったころ、どこからかうなり声が聞こえてきて…(「猿の眼」より)。怪談の名手・岡本綺堂の短篇13本を選りすぐったおそろし噺傑作集。江戸から明治、大正時代までを舞台にした怪しくて不可思議な噺が、百物語形式で語られていく。ほかに、雪夜の横丁に座る老婆を目にした若侍たちの顛末を描く「妖婆」、新婚の夫がある温泉場から突然行方不明になる「鰻に呪われた男」など。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
夏に読むのにぴったりな怪談集。発表から100年近くたつが、無駄のない綺麗な文章でページが進む。猿の眼、一本足の女、影を踏まれた女、鰻に呪われた男、白髪鬼あたりが特に好み。綺麗なオチのつかない不気味な話はあとを引く、やはり綺堂の怪談は素晴らしい。
Posted by ブクログ
「想像力が乏しい読み手」なので怖さはわからないんだけど、美しさはわかる。
静かに美しい。
選集だから当然だけど欠けている分を読みたい。元の本で読みたい。
Posted by ブクログ
秋来ぬと…、などと感じた今日なのに、「夏に読みたい珠玉の13篇」なんてものを見つけちゃった。見つけちゃったものはしかたない、今晩読んでしまおう。私の「好きなタイプ」の怪談ばかり。
Posted by ブクログ
初めましての作家さん。
「利根の渡」「猿の目」「蛇精」「清水の井」「蟹」
「一本足の女」「笛塚」「影を踏まれた女」「白髪鬼」
「妖婆」「兜」「鰻に呪われた男」「くろん坊」の
13本を収録。
現代の怖がらせるための話ではなく、読み終わってから、
読み手に想像させて、それって怖いわぁ~と、思わせる
不可思議な話が怪談なんだと思ってみたり。
だからホラー系の怖さはないです。
涼を求めるなら、ホラーではなく、清く正しい
「怪談」ですね♪
Posted by ブクログ
わかりやすく怖いというよりは、じわじわと怖くなったり不思議な気持ちになるような話が十三編。
好きだったのは、以下の三作。
『白髪鬼』
下宿仲間が何年経っても弁護士試験に受からない理由とは。
そしてお土産の鰻からまた様相が一変する。
『妖婆』
雪夜の横丁に座る老婆を目撃した若者たちの顛末。
その老婆にどう対応するのかによっては…。
『くろん坊』
いわゆる人獣婚姻譚の恐怖。
恐ろしさと切なさがあった。