小説・文芸の高評価レビュー
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「実力のあるエッセイ漫画家は文章力にも秀でている」
長いことマンガを読んでいてそんな傾向があるなと考えてはいたのですが、さくらももこさん、才能があり過ぎるにも程があるでしょう。
かつて「まる子」だった子供が成長して「さくらももこ」として「あの家族たち」と自分のその後を文章で書く。しかも『ちびまる子ちゃん』特有のユーモアと毒はそのままに。読者の多くはあらかじめ予備知識がありイメージしやすいというアドバンテージはありますが、それこそが作者の才能と努力で勝ち取ってきたもの。賞賛こそあれ文句などあるわけがない。
ここ数週間、病院の待ち時間対策として本書を再読していたのですが、これがまあ危険極まりない。待合室でいつ吹き出すか分からない大変スリリングな時間でした。
『メルヘン翁』の破壊力は十分記憶していたので一旦飛ばしてその次の『恐怖との直面』へ移ったのですが、ここで見事に吹き出してしまい、無事にやべー奴の仲間入りをしてしまいました。さくらももこ恐るべしです。
これに懲りずに次回の受診からは『さるのこしかけ』に移ろうと思います。病院を出禁にならないように注意する所存でおります。
余談。『恐怖との直面』でまさに私が吹き出した箇所に男性のシンボルを表す単語が出てくるのですが、この言葉はハリウッドザコシショウ(敬意を込めて敬称略)の造語だと思っていました。さくらももこさんもザコシも出身は同じ静岡県。調べてみたら静岡の方言のようでした。 -
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ネタバレ事件の犯人と思われる少年が病院に運び込まれた。その犯人とは主人公である女性医者の婚約者を殺害し遺体をバラバラにした挙句、婚約指輪をつけた左手を持ち去ったと考えられている「真夜中の解体者」と考えられる人物であった。しかし、その少年は自分が犯人ではないと言っている。自分の婚約者を殺害した犯人を殺したいと考えている主人公はこの少年が本当に犯人なのか疑問に思う。そして、最後にたどり着く犯人は果たして誰なのか。真犯人は誰なのか。最後に明かされる驚愕の真実とは?って感じの紹介文を書きたくなる内容でした。最後の最後に騙されたというか、あーーー、あーーー!あーーー見たいな感じでした(笑)面白かったです。
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寺山修司『懐かしのわが家』
“ぼくは不完全な死体として生まれ、何十年かかって、完全な死体となるのである”
人体の水分比率は60〜70%で、人間、焼いたら気体になって空に昇って雲になる。
雲は水になって降りてくる。その繰り返し。
人なんて、あってないようなもの
まじで葬送の仕事師のみなさまには頭が下がる
火葬場で実際に焼くお仕事の人たちの話すごいなぁ
きれいにちゃんと焼けるように、手作業で、遺体を棒で動かしながら焼く…!
棺に入れた花とか思い出のものたちはすっかり燃え尽きるのかと思ってたけど、炉の温度を下げたり火の回りを悪くするからって途中で除けられる…!
本当にもう職人技だし感謝と尊敬しかないわ
いやぁやっぱしロッカー式とかビル内で管理されるお墓とか考えられんわぁ全然成仏できる気がしない
お通夜お葬式は簡素化大賛成だけど、お墓はねぇ…
雑草抜いたり手がかかるの込みでお墓参りっしょ
死=心が肉体から離れて自由になることだから、死亡後の肉体は生物的役割を終えたもので、極端に言えば“使用済みのゴミ”
使用済みのゴミを尊んでも意味がないのに、なんで葬式の形式が要るのか
一方で、霊魂は不滅だから、心のうちでは亡くなった人は永遠に生き続ける -
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ネタバレデフ・ヴォイスシリーズ、完結作。
コロナが落ち着き、荒井の手話通訳士としての活動も戻ってきた。美和は目指していた高校に奇跡的に入学することができ、英知と同じ学校に通うことが出来るようになった。高校生になったことで、英知と一緒に帰ってもはやし立てられるということはなかったが、果たして英知と自分は彼氏彼女の関係なのか、と悩む美和。そして家で白紙の離婚届を見て、荒井とみゆきが離婚するのでは、と動揺する。
美和が私立の高校を選んだことで、学費の心配と声でのコミュニケーションを本当になくしてしまっていいのか、という心配もあって、瞳美は日本手話をベースにした公立のろう学校に進学した。みゆきは刑事としての経験を積みつつ、警部補任用試験を目指すことになり…
美和が主体の章では高校生って、こういう日常の細々としたことで悩んでいたよなあ、と思う。
この本に触発されて、という訳ではないが、今、手話講習を受けている。日本手話だ。
荒井が裁判で独立当事者参加という立場で出廷する場面が出てくる。日本のろう児が学ぶ機会を損なわれている、という内容だ。ろう児は日本手話でコミュニケーションを取るので、教師が日本手話で話さないと言っていることが分からない、という。
最近、ある地方に行き、その地方の方言の歌を家族がよく聞いているのだが、同じ日本語のはずなのに、何を言っているのか、さっぱり分からない。文法が同じ日本語でもこのようなことが起こるのだ。日本手話と日本語対応手話は文法が違う。小学校低学年、しかもそれまで日本手話で授業を受けていた児童が理解できなくなるのは当たり前の話だと思う。
ずいぶん昔だが、その当時にいた県では口話法を小さい頃から習うので、その県のろう者の文章は上手だという話を聞いたことがある。一方で今いる県のろう者の方に質問事項があり、手話がまだ練習中で分からないので紙に書いて欲しい、とお願いした方がいて断られた、という話も最近聞いた。文章を書くことが苦手だったり字の上手下手を気にしたり、ということがあるのかもしれない。ろうの女性が出演する有名な映画では声にコンプレックスを持っていた。この小説の「デフ・ヴォイス」と同じだ。
この話の最後で美和とみゆきは大きな決断をする。
瑠美と荒井、司とルイ、美和と英知、彼らの関係が傍目にははっきりとしないまま、「デフ・ヴォイス」は完結する。彼らの時間は流れていくようで、何森シリーズで見ることもあるかもしれないようだ。
表紙の絵の手話は「友達」→「お父さん」→「分かる」→「お姉さんor お母さん(本の筋からしてお母さんかなあ)」→「家族」。「美和」→「美和」→「英知」→「瞳美」→「高校生の美和」だと思う。
幸せな決断になるのかどうか、分からないが、「デフ・ヴォイス」の始めの頃のような荒んだ感じの荒井に戻ることがないといいな、と思う。 -
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この本のタイトルを見たときは、スリラー小説かと思った。
サブタイトルの原発不明がん、こちらで理解した。
数か月前だったら、原子力発電所関係の話と思っていただろう。
それほどまだ認知度の低い、難病、原発不明がん。
どこかでがんの症状が発見されたとしても、その部位から発生したものでなく、
最初にどこでできたかがわからないがん。
その場合は治療のしようがないのだ。
最近このがんで亡くなる方がちらほら出てきた、ということは、
認知がすすんできたということなんだろう。直近では山田五郎さん、
その前は森永卓郎さん。いかりや長介さんもそうとは知らなかった。
書評家である妻が、夫の発症から死までを克明に記録した、ある意味、
ドキュメントになっている。
コロナ禍での原因不明の腹痛、入院、検査をしてもわからぬ病名、
面会もできない状況、そんな中での新病棟への引っ越し、混乱、転院、
病名確定、抗がん剤中止、退院、在宅介護、緩和ケア、最期、、、
壮絶な記録となっている。
最初に入った病院の不手際の数々。コロナ禍で旧病棟から新病棟に移る混乱のせいか
病院内のコミュニケーションがとれておらず、困惑する二人。
医師は必死に病名を探したがわからず、患者にセカンドオピニオンを求める。
転院後はそのストレスはなくなる。
・・・病院選びは難しい。システムがうまくいっているかどうかなんてわからない。
それと、その病気を経験している医師がいるかどうか。
彼の原発不明がんはどちらの病院にも症例はなかったようだ。
それくらい珍しいがん。
家に帰りたい、という彼の意志を尊重するが、病院からは
「移動中に亡くなる可能性もある」とはっきり言われる。持って一週間とも。
しかし彼は16日生き、多くの人の見舞いを受ける。
固形物は食べられなかったが、グルメでもある彼に、関係者に頼んで、
凝りに凝った出汁やスープを用意し、味わってもらう。
そして別れ、、、、
夫婦共働きで子供がなく、蓄えは普通の人以上にあったにせよ、
これだけの在宅介護ができれば、亡くなった夫は満足だったと読めた。
彼女は後悔は残ったようだが、はたから見れば精一杯やったと思う。
後悔は転院が遅れたことというが、最初からその病院だったとしても、
結果が変わったかどうか。
つまらぬ連係ミスによるストレスは減ったことは間違いないが。
腹痛はいつも通うジムで起こったという。
健康、細マッチョでも突然そうなる。いや、実はもっと前から起こっていたはずが、
気づかなかったようだ。
明日は我が身、かどうかはわからないが、人間ドック程度で発見できるものでは
ないらしい。
自分の身体の変調に向き合うしかなさそうだ。
書評家だからこそ書けた本だと思う。
なんか以前こういう闘病記を読んだ気がするが、、、思い出せない。
良書。
第一部
発病と焦燥
診断と転院
治療と断念
第二部
保雄のこと 私のこと
退院 そして緩和ケアの開始
在宅介護
ベッドのかたわらで
最期の時
第三部
永遠の別離
喪失感と罪悪感
原発不明がんとは何か
医療従事者から見た実態 都立駒込病院編
医療従事者から見た実態 住宅緩和ケア編
T医師からの返信
第四部
寄る辺なき日常
希少がんセンター
終章 -
Posted by ブクログ
エッセイ本を読むのは初めてですが、とても読みやすくて面白かったです。
杏さんのことは、テレビで見る女優さんで、YouTubeもやってるアクティブな方、というフワッとしたイメージしか持っていなかったのですが、この本を通して、杏さんの人となりを少し知れた気がします。
パリへの移住から、引っ越し後のこと、その先での生活など、なかなか波瀾万丈で、日本生まれ日本育ち、海外経験ゼロの私にとっては視界が開くような世界を味わいました。
犬たちとの話は、同じく犬を飼っている身として共感できることも多く、最後のヤマト期では思わず涙が溢れました。
杏さんの快活で楽しい面、苦労された面など、色々な表情を知ることができる、とても素敵な本でした。
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