【感想・ネタバレ】その日のまえにのレビュー

あらすじ

余命の告知を受けた妻と、新婚時代のアパートを訪ねる僕たち…「その日のまえに」。妻の最期を、二人の息子とともに見届ける「その日」。妻が亡くなった病院の看護師さんから、ある日、お目にかかりたい、と連絡がきた…「その日のあとで」。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか──。死と向かいあう人々の切なくもけなげな姿を描き、幸せの意味をみつめる連作短篇集。“王様のブランチ”で「BOOK大賞」を受賞した涙の感動作!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

とても悩んだ時、本や映画に縋った。
その一冊がこれ。

終わってないから。まだ。1番大事なことは終わってない。だから間違っても間違ってもやり直せるのよ。

1
2025年09月08日

Posted by 読むコレ

購入済み

危険な一冊w。途中から通勤電車での読書を諦めました。新幹線で読了グチョグチョです。

1
2013年10月15日

Posted by ブクログ

死について考えました。私はまだ、近い親戚も友達も亡くしたことが無い。けれど、たまにぼんやりと、自分の死が、周りの死が怖くなる。そんなことを思うからこの本を読んでみた。正解だったんだと思う。

0
2025年12月01日

Posted by ブクログ

プロローグ

教室の廊下側の席に着くと、目線を窓側に向けた
ガラス窓は半開きになっており、そこから
爽やかな風が舞い込んでくる
その風の出入口に彼女は座っている

彼女の香りは僕まで届かない、なんとも近くて遠い
そして、僕の想いも彼女には届かない

彼女は、艶のある唇で鉛筆を挟みながら、
いつも窓の外を眺めていた


本章
『その日のまえに』こういう本に出逢いたかった!
感動の★5
NSFMさんの本棚から
あの冷静沈着にレビューを書かれるNSFMさんが
生涯トップクラスの感動!
屋外で読まないで!
との文言で即断!!!

6編の短編小説
どれも共通しているのは、過去と現在そして死
それぞれの家族や友人が突然の“その日”によって
過去を振り返り、今を見つめ直し“その日”と
対峙する

『その日のまえに』
『その日』
『その日のあとで』の
後半3編の短編は、一つの小説
そして前半の3編が、折り重なっていく
重いテーマではあるが、決して対岸の火事ではない
後半3編は、泣きっぱなしであった

是非、家で読んで沢山泣いて欲しい

久しぶりの重松氏であったが、やっぱり泣いちゃいました
本作と出逢えて幸せでした



エピローグ
放課後、校庭に出て空を見上げると夕焼けの空に
ひこうき雲が一直線
僕のジグザグとしたこの想いとは対照的だ
飛行機とひこうき雲を追っていくと、グルっと
校舎側に目線が移動した
やがて自分の教室に目を転じると
彼女はまだ、遠くの空を眺めていた

彼女の目には何が映っていたのだろう
そして、彼女の目に僕が映ることは
決してないのだろう

今もそしてこれからも、、、




                    完












後日譚

「もしかして、8さんですか!?」
社会人になって間もないある日、最寄り駅のホームで、とある女性に話しかけられた
なんでも、件の“彼女”と女子大で親友となり
その“彼女”から卒業アルバムを持参され
しょっちゅう講義室で私の話を聞かされていたようだ

その日、電話番号を交換して別れたが、その後
その女性とお付き合いをすることとなった
お互い後ろめたい気持ちもあったのか、お付き合い自体は短命に終わってしまったが、今思うと
僕は、彼女に“彼女”を重ねていたのかもしれない
そして、彼女は僕に何を重ねていたのだろう
復讐!?優越感!?それ以外の何か!?
彼女は“彼女”にお付き合いの件は伝えていたのだろうか

今となっては、少し甘くて、切ない思い出

本書を読むと、そんな睡っていた記憶の奥底の
小さな思い出を、ふと引摺り出させる
何とも不思議でノスタルジックな小説だ

彼女もそして“彼女”も今、何をしているのだろう
そして僕は、彼女そして“彼女”が思い描く僕に
なっているのだろうか


そんな、どうでもよい自問自答を繰り返し
本書の最終頁を閉じた


この後日譚は、蛇足だな
最後にため息をつきながら、そう思った(¯―¯٥)

0
2025年11月29日

Posted by ブクログ

連作短編集。
連載を大きく改稿した単行本で、独立した短編としても読めるし、繋がった世界としてもさらに楽しめる。

生きること、死ぬこと、のこされること、歩き出すこと。それらに深く触れられる。
死という泣かせの常套句を扱ってはいるが、これほど素晴らしく表現されている作品はなかなかない。

・ひこうき雲
小学6年生の時に入院した、嫌われ者の女子、ガンリュウ。時は流れ、40代になってから同じ街の介護施設に入所している、認知症の妻の祖母。
病気。生と死。言葉や態度。正直な気持ちと建前。じわりと胸を締め付けられた。

・朝日のあたる家
マンション14階に住む、高校教師のぷくさん。夫を亡くして娘と二人暮らし。偶然出会った教え子の武口は写真家を目指す30歳。同級生の睦美がぷくさんと同じマンションに住んでることを知る。
毎日の繰り返し。永遠とも思える日々は、心を折る。一方で、前触れもなく突然終わる。どっちがいいのか。そんなことを考えさせられるストーリー。

・潮騒
余命を宣告された俊治が向かったのは、もう30年も訪れていなかった、子どもの頃2年間だけ過ごした海辺の街。そこで再開した当時の同級生。2人で思い出すのは、当時の友達。
こういう過去の悔恨と今のやるせない感情を表現できるのって、ほんとすごい。じんわりと浸った。

・ヒア・カムズ・ザ・サン
どんぐりのような体型の母とそこ息子、そしてストリートミュージシャンの物語。
号泣。死の病は泣かせの鉄板だけど、きちんと泣かせてくれる描写ができるのはやはりすごい。同じ素材を与えられても、これだけ心震わせてくれる作家は多くないだろう。
焼き鳥とか、ラストとか、もう最高。

・その日のまえに
歳を重ねるのって、いいよね、って思わせてくれる。
不安のほうが悲しみよりも、っていうのがすごく思慮に富んでいて良かった。
「朝日の当たる家」とつながる。

・その日
号泣。
子どもたちと話すシーン、歯ブラシのシーンが特にたまらなく刺さった。タンポポのエピソードも好き。
「潮騒」、「ヒア・カムズ・ザ・サン」と重なる。

・その日のあとで
翌日以降も、生活は続く。
郵便受けに届くDMで生きた証を感じるというのは体験してみないとなかなか気づかない、絶妙な表現だと思った。
婦長の山本さんとか花火大会とか、つながりも良い。

0
2025年11月10日

Posted by ブクログ

昨日の続きに今日があり、今日の続きに明日がある。過去から未来は繋がっていて、当たり前のように続くと思っている日常。
いつかは訪れる『その日』
そして、その日のあとも続いていく。
素晴らしい連作短編。
当たり前に続くと思う日常を大切に思いたくなる1冊。

0
2025年11月03日

Posted by ブクログ

友人に「泣けるから読んでみて」と勧められて、まぁ、と思いながら移動中に読みました。移動中に読まなきゃよかったです。泣きました。

「その日」を迎える短編が最後にゆるっとオーバーラップ。どの話も温かくて、けれど寂しくて、涙なしでは読めません。

私は若い頃に「その日」を迎えており、病室に泊まり込んで管が刺さった母の痰が少しでも取れるように、加湿器の位置を変えたり、モルヒネの影響で意識が混濁し、意味不明な事を言ってる母の背中を泣きながら摩っている状況がフラッシュバックし、「あの日」一生忘れる事のできない出来事でした。

その日の前に、後悔がないように生きたいものです。

0
2025年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分に関わりのある人のその日(人の死)を前に人々が何を思い、成していったかを綴った短編集。最後の物語は、それに加えて「その日」と「その日の後」も綴られている。

涙、涙で読み進んだ小説だった。
特に、二人の息子のいる妻のその日の物語は、「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」で描かれていて、特に印象深かった。前編に出てきた登場人物が出てくるのもよかったし。
「その日のあとで」、亡くなった妻が何度も何度も書き直した夫への手紙が、息子達の未来を託すとかの内容でなく、

「忘れてもいいよ」

のただの一言だったのが印象的だった。

死期を悟った時、私自身、または親族がその日を迎える前にどう思い、どう行動するかを考えさせられる物語だった。

しばらくして、もう一度読んでみようかな。。。

0
2025年09月21日

Posted by ブクログ

無垢な子供が誰かの死に初めて向き合い、無垢が故の過ちに後悔する話。
人の死を経験したことのある大人と、誰の死も経験していない大人の話。
自分の死と向き合うこととなった父親のやるせない回顧の話。
最愛の妻が死んでしまう「その日」の前、「その日」、「その日」の後の、家族の話。

様々な視点で、自分の経験・記憶とも照らし合わせながら、人の死について向き合える良い本だと思った。
子育て世代に一番刺さる本かなと思う。

0
2025年08月14日

Posted by ブクログ

自分の中で一番大切な本です。
死という、重いテーマでありながら、心理描写が非常に丁寧に描かれており、心に響きます。この本を読むと1日1日を大切に生きたいと思わされます。

0
2025年08月06日

Posted by ブクログ

生きることと死ぬこと。残された人や残された人生を考える人、そして大人と子供。いろんな人がそれぞれの立場での葛藤が丁寧に描かれていて、心に染み込みます。最初はただの短編小説だったのが、後半になって接点ができ、最後は全てが繋がっていくことに読んでいて思わず声が出てしまいますし、涙も止まらなくなります。悲しい物語なんだけど、いいお話でした!
是非あとがきまで読んでみてください。そこまで読んでやっとこの小説に終止符を打てる気がします。そしてなんだかトシくんを思い出すのは自分だけかな。

0
2025年07月13日

Posted by ブクログ

「その日」は、すべての人に等しく訪れる。

本作は短編集ではあるが、後半に収められた一編が、この本の核心といえる。
そこでは、“人がこの世を去る日”を「その日」として捉え、
「その日の前」、「その日」、「その日のあと」という三部構成で描かれている。

死は、誰にも等しく訪れる避けがたいものだ。
しかし、もしその準備をする時間が与えられたとしたら――それは不幸ではなく、むしろ幸福と言えるのかもしれない。

誰しも「いつか伝えよう」と思いながら言えなかった言葉がある。
感謝の気持ちや謝罪、大切な人への想い。
だが、そうした言葉を伝える「その時」が、必ず与えられるとは限らない。
余命を告げる病は、残酷であると同時に、そうした時間を“用意してくれる存在”とも言える。

余命宣告を受けた人は、「その日」までの時間を、自らの人生の“最終章”として生きることができる。
これまでの人生を振り返り、思い出の奥底に眠っていた記憶と向き合い、自分なりの集大成を形にしていく。
悲しみや痛み、恐怖や苛立ち——それらを抱えながらも、「その日」という明確なゴールがあるからこそ、人は前に進む覚悟を持てるのだろう。

綺麗事だと感じる人もいるかもしれない。
それでも私は、この作品をすべての人に読んでほしいと思う。

ここまで「死」と「生」をまっすぐに見つめさせてくれた作品はなかった。
そして私は、いつか訪れる「その日」を、少しでも前向きに迎えられる自分でありたいと思う。

0
2025年07月03日

Posted by ブクログ

命の終わりにどう向き合うのか。
最後まで諦めないということがベストとは限らなくて、受け入れて、寄り添うという優しさもあるよなぁ…もし自分が死んでく側だったらむしろそっちの方がありがたいかもなぁ…なんて、色々考えさせられた。
電車で読んでたら途中からは涙が止まらなくなってきてあわてて中断。お家でゆっくりかみしめながら読みました。素敵な夫婦、素敵な家族、素敵な友達。泣けるけど悲しいだけじゃないのが良かった。

0
2025年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人にはいつかやってくる死へのカウントダウンという重いテーマだが、周りの人達の感情をストレートに描写しながら穏やかに表現する書き方はとても心に響き涙が止まらなくなった。大事な人との最後はいつ訪れるか分からないがその時までをどう過ごすか、後悔の無いよう生きていきたい。

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2025年06月21日

Posted by ブクログ

人生の転勤に立った普通の人の、普通じゃない一日を描く。重松清の物語に登場する人々は普通の人だ。知り合いにいそうな人々の生活がなぜこんなにも魅力的なのだろう。

周囲にいそうな人が、大切な存在を失う日。誰にでも起きるが、人生で何回も起きるようなことではない。

0
2025年06月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

家族の余命、、とても考えたくはないけど日々を過ごしているとこの毎日が当たり前ではないということをついつい忘れそうになる。
この物語を読んで、改めて家族との毎日を大切にしようと心から思った。

子供達に和美の余命を告げるか告げないか。
夫婦で話し合う中での和美のセリフ。
「わたしね、最後の最後のもうギリギリまで2人の元気な顔を見ていたいの。ママは治るんだって信じてる顔を見せてほしいの、少しでも長く。悟ったような顔は似合わないって、あの子達には」
「子供から希望を奪う権利は、親にもないと思う」
後悔なく過ごして欲しいから子供達にも告げるべきではないかという夫の気持ちもよくわかるが、母になった私にはこの言葉がとてもよく沁みた。
子供達は、真実を知らないながらもきっと子供ながらに気づいていることがあるハズ。だからこそ、真実を聞く必要はない、母親がいなくなるかもしれないなんて事実を小さい体で受け止めるのは酷だと思う。
それよりも子供達には最後まで笑顔でいて欲しい。
希望がある中でそっといなくなりたい。私も和美と同じ事を思うなと感じました。

0
2025年05月18日

Posted by ブクログ

何度も涙腺が崩壊しました。

「その日」がいつ来るかはわからないけど毎日を大切に過ごそうと思えました。

短編のお話が最終的に繋がっていくところがよかったです。

0
2025年02月27日

QM

購入済み

泣きどおし

大変。短編編成なんだけどどの話も泣けるのはもちろん、冗談抜きで10ページに一度はウルっときた。最後のお話は本当にずっと泣きどおし、泣きながら読んだ。

#泣ける #感動する

0
2024年03月13日

購入済み

読み終わって「よーし、変わるぞ」と鼓舞した訳ではなく、「その日」を意識するようになり少しづつ自分の意識が変わった気がする。

0
2020年09月26日

ネタバレ 購入済み

こういう話もいいですね。

死に向う人々のオムニバス。
本人だったり、家族だったり。
癌の闘病が多い気がした。
お別れの時間があるからかな?

当たり前だけど忘れてる。
私達はいつ死ぬか分からない事を。
癌の余命半年位が準備するのに
ちょうどいい。

0
2014年03月02日

Posted by ブクログ

死と向かい合わせな局面ではあるものの、
本人よりも残される方が辛いのかもしれない、と感じる場面があった。
日々後悔がないように生きることなんて無理だろうけど、その時を迎えた時 一緒にいてくれる誰かがいるといいな

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

忘れてもいいよは悲しいなぁ。
自分の奥さんにそんな手紙残されたら号泣どころじゃ済まないわ。最初は絶対忘れてほしくないもんなぁ、絶対最後まで覚えててほしいし何なら再婚だってしてほしくないし、でも色々考えたあげく最終的な結論がそれっていうのは本当何とも言えない悲しさがある。カフェで読んでたから泣かなかったけどいい小説だった。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

目の前にある死に向き合う心情を描いた短編集。
「その日」が来るまで過去を見つめ直し、人生の意味を考えるその時間は不思議なほどゆったりとした時が流れていた。
過去を見つめることは人生を見つめることであると感じさせられた。そして自身が死を迎えた先の未来を思うことの切なさに心が打たれた。周囲の人間としても死に向き合う大切な人との残された時間、過ごしてきた時間を大切にすることで自分の生きる意味を考えることができるのだと気付かされた。
自分はまだ身近な人間の死に直面していない。
いつか来るであろうその時に目を背けず歩んでいきたい。また、自分もいつ死が来るかはわからない。大切な人との大切な時間に感謝をし、するべきことしなければならないことを見つめ直したいと思う。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いつか誰にも必ず訪れる「その日」
自分が余命宣告された場合、妻がされた場合。
それぞれ考えながら読んだ。
一日一日を大切に生きなければと思った。

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2025年05月08日

Posted by ブクログ

作中にある
蝉は地上に出てきた時を成虫というのではなく死装束と言えるのでは
というくだりに最近考えている
自分は上手く死ねるのかという感覚にぴったり合い身につまされました
人生100年時代にあるとはいえ誰でも死にます
その日を迎えるために歩いているとも言えます
若くして亡くなる方の無念さ喪失感はそれとは異なり
何故あなたが 何故自分がという恐怖が伝わり
時として本を閉じて そしてまた開いてを繰り返し了読しました
優しい文体に救われ
今日もまた最後の日に近くなることを思いました

0
2025年04月14日

Posted by ブクログ

泣ける。グッとくる。

ベタなストーリーだが、それがまた良い。

30代男性、子持ちには、読んでいてちょっと辛い。
読んで損はない。
人生は思うようにはいかない。それを教えてくれる。

0
2025年04月07日

Posted by ブクログ

誰にでも訪れる、その日。
出来ればそんな日は訪れてほしくない。悲しくて辛い思いはしたくない。誰だってそうだ。でも避けることはできない、その日。
今自分にできることは、来たるべきその日に向かって、1日1日を大切に生きること。自分にとっての大切なひとを、より大切にすること。
どうしたって悔いは残るだろうけど、それでもその悔いを少しでも減らしていきたい。悲しみは大きな波となって自分を飲み込もうとするだろうが、共に過ごした何気ない日々は何よりも大切で、愛おしいものだったことには変わりない。

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

重松清さんは、子供の頃の(大人になったら大人もなのかも)言葉にならないモヤモヤやしがらみがを描写するのが上手だなあ

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

連作短編集、とあるのにバラバラだな、と思って、その日の前に からその前の短編も全て繋がり始めた。

ひこうき雲
小6で癌で亡くなったクラスメイトと、90歳まで生きて認知症になり、施設で不安定な「生きすぎた」妻の祖母。神が選んだのか?

朝日のあたる家
高校教師のぷくさん、旦那を突然だけど亡くしている。昔の教え子武口と睦美。睦美は万引き依存で、旦那からDVを受け、朝日が怖い。始まるのも終わるのも怖い。コンビニのバイトで万引きを隠蔽していた武口と睦美は逃げ出す。日々を続けることはすごいことだぞ、とぷくさん。

潮騒
俊治は癌で余命三ヶ月。ふらっと昔小三、四の頃住んでいた街を訪れる。薬局で昔の友人石川に会う。昔、共通の友人オカちゃんが海に攫われて死んだ。オカちゃんの誘いを当日断っていた俊治に石川はひとごろし、と言った。母親は海を彷徨い続け、みんなで助けようとした。思い出話の後帰りの電車、オカちゃん三人の乗る電車が見えた。三人は会えたのだ。潮騒は砂に沈む音もある。

ヒアカムズザサン
女手一つで育てた母が癌になった。でも検査結果すら息子は中々聞けないでいる。最近毎日母が聞いているストリートミュージシャンに会うと母のがんを告げられ、一緒に歌を聞く。ビートルズのヒアカムズザサン。

その日の前に その日 その日の後で
妻和美は余命宣告された。「その日」の前に夫婦二人で新婚当初の街に来た。住んでいたアパートには、朝日のあたる家 の武口と睦美が住んでいた。
亡くなる直前に息子たちに母と会わせた。
潮騒 で癌だった俊治は亡くなっていて、友人の石川から主人公のイラストレーターに初盆の花火のポスターデザインを頼まれる。ひこうき雲 で主人公と同じクラス委員だった山本美代子は看護師になり、和美を最期まで支えてくれた。和美は美代子に手紙を託していた。一文、「忘れてもいいよ」。「その日」に病院で見かけた、ヒアカムズザサンの母は亡くなったと美代子から聞かされる。最後は息子二人と花火大会へ行く。消えた花火の輪が、残って見えた。

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2025年02月13日

Posted by ブクログ

またまた、職場の友人から貸してもらった。
その友人も、通勤電車でのみ読書を楽しむ人。
電車の中で、泣きそうになった、と言うので。

確かに、涙が。
朝から泣ける。
でも、残念ながら、文体は私には合わなかった。
それに、ちょっと、「いかにも」ってのが、気に入らない文章とか、句読点の使い方が少し気になる

でも、いい話だ。

文中にあったように、余命がわかって、「その日」の準備をするほうが、覚悟が出来ていいのかな。

その人がいなくなっても、世界は、街は、日常は何も変わらず時を刻む。それは残酷か、それとも優しさか。
絶望を背負ったまま生きていけるほど人間の心は強くないから、

とあった。
それは、その通りだ。

いなくなってしまった人のことを思って泣いた毎日も、気づけば日常の中で、その人のことを思い出しても涙が出ない自分がいる。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

死を意識する人の話が続くのかなって思ってたら、最後はその後まで描かれてて涙が止まらなかった

しかも別の話の登場人物まで出てくるという、にくい構成でした

人の生き方とかつながりに、ぐっと心を持っていかれる一冊でした

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

Audible。
妻の手紙にガツンときた。
人生は儚く短い。
やりたいことを元気でやれる、今のうちに。

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2025年04月05日

Posted by ブクログ

身近な人の死をテーマにした連作短編集。

死がテーマというより、
親の、妻の、友の、自分の死を前にした時の
子の、夫の、自分の、友の想いがテーマ。

こういう作品は、読んでおいた方がいい。
僕たちは誰もが、早かれ遅かれ、多かれ少なかれ、まずは遺された者として生き、そして、いずれは遺して逝く者となるのだから。

さすがの重松作品。

0
2025年02月08日

描写が上手い
それぞれの短編が最後に繋がるのがよかった
死に直面し受け入れた上で
普通に生活を送れることなど
私にできるだろうか
それを見守るしかない側も
残酷で辛く苦しい
今日と同じ明日が続くという前提のもとで
生活している事をありがたく受け止めて
大切に生きねばと感じた
亡くなった人は
生きていく側にとって
思いでの中で
生きていくもの
和美の「忘れていい」は
それを知っていたから
生きるためには
なによりも生活がある
仕事をする日常があり
その中で誰かと繋がり
辛いけれど 苦しいけれど
笑える時がいつか来る
それが「生きる」という事

お気に入りは「ひこうき雲」
飛行機が鉛色の塊で
空を飛ぶと言う表現ができる滑走路に
近いところに住む子供達の描写がすごくいい
初めてひこうき雲をみたのは
クラスの嫌われ者と言われた
ガンリュウとあだ名の女の子の見舞いで
降りたはまかぜ台
ひこうき雲は気温が零下50度 
高度が1000メートルから1万メートルに
ならないと見えない
ベンが子供の頃に住んでいた所では
絶対見えないのだ
一緒に教室にいた時は男まさりで
ガンガン言ってくるみんなの嫌われ者の
ガンリュウと
病室で皆んなが書いた寄せ書きに
涙するガンリュウは違っていた
その姿を見たベンは立っていることさえ
苦しい思いをしたのは
近すぎて見えなかったガンリュウの姿が
遠く離れた病室で見えたから
それで「ひこうき雲」なのかと勝手に解釈
おじさんになったベンが小学6年のベンを
振り返り進む過去と
現実に起きてる年老いたおばあさんと
家族の絡みは生きること
死ぬことを考えさせられる
亡くなった人との思い出は
心から消える事はないけれど
遠のいていく
ベンのように
おばあさんの見舞いで市街地を抜けた電車が
海沿いを走りだした時
思い出す記憶になっていいのだと思う
ガンリュウの見舞いの色紙に
飛ぶ鳥を描いた山本さんが
看護師になって登場した事はよかった

後半は話の持って行き方にそつが無く描写も秀悦で感動された方には申し訳ないけど上手すぎてきれいで少し苦手

#切ない

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2024年06月28日

Posted by ブクログ

元気になりたい時には読めないような、そこはかとなく悲しく切ない、死を扱った連作物語です。

主に、「死」というものを眼前にぶらさげられた人たちがでてくるお話。
連作短編集という形式です。

死期が迫ったひとたちの悲しみや絶望、無念さというものもありますが、
そうしたひとたちの家族なり友達なりといった周囲の人の心理、
悲しみのほかにも、思いやりも見られるし、死を前にした本人よりも
戸惑いを感じさせられるところがある。
死にざまにもよるのでしょうけれど、新聞のお悔やみ欄に、飾り気なく
載せられる名前と住所と年齢と葬儀の日程などがありますよね。
そういうのは事務的で無味乾燥なものですが、
この本を読んだ後ですと、亡くなった人の周囲も大変だったんだろうなぁ
と感じさせられます。

この本では若くして死期を考えなければならなくなる人たちがでてきます。
そうなると、余計に、老いた人がそうではないとは言いませんが、
まだ生々しい、青い「生」が摘まれるという喪失感、
それに先だった胸をえぐる悲しみ、そんなことを抱えて
非日常になった生活でちょっと成長する子供。
そんなようなことが、無理なく描かれています。

まず不幸ってものをドーンと前面にだして、読者の一番目につくところに
掲げてしまってからお話がはじまるようなところがあります。
なので、もはやフィクションフィクションした記述だと、
物語がしらけてしまうんだと思われます。
そこを重松さんは読んでいて痛いところは痛いまま、書き連ねています。
ミステリーとか戦争映画だとかに出てくる死とは
比べ物にならない死がこの本にはあります。
おどろおどろしいとか、血なまぐさいとかそういうことではありません。
いや、普通のドラマ映画の死よりも、リアルな死がそこにあるかもしれません。
作者が丹念に想像したか経験したかによって、登場人物の死の当事者であれ
周囲のものであれ、死を前にした葛藤や苦悩などが細かく描写されています。

たとえば、母子家庭の話。
自分の母が健康診断の再検査を受けることになったという、さりげない
一言を聞いたチャラチャラした男子高生が、勇気がなくていろいろ母親に訊けなくて、
想像をふくらませたり、「家庭の医学書」を調べてみたりして不安を募らせていく。
母親が重い病気で、もしかすると自分の前からいなくなるかもしれないという不安。
そういった内面の描写なんかに、よく書けるもんだなぁ、という感想を持ちました。

あまり書くとネタバレになりますが、
重いといえば重い内容の小説ですが、面白くないことはないです。
途中、「またこんな話か」とため息が漏れそうにもなりますが、
最後の3連作、これはひとまとまりの同じ話なのですが、
そこまで行きつくと、辛い話でも、それほどストレスを感じない読書体勢に
なっていると思います。それは、もうすぐこの本も終わるぞという、ほっとした
気持ちによるのかもしれませんが…。

休日を鼻歌まじりに楽しみたいという方にはおすすめできない本です。
日常の、普段は見ないけど確実にある暗い運命、それに見舞われた
人の話なので、明るい部分はあっても、やっぱり暗い雰囲気というか、
そこはかとない悲しみが小説全体に通奏低音のように流れています。
そういったものを正面から見据えてやるぞという心構えのあるかたは
読んでみるといいかもしれません。
こう、ね、さびしい冬なんかにはよく合う話だとは思います。
僕は読み終わって、夢にもちょっと影響がでたくらいなのですが、
そんなイヤな夢でもなかったです。
たまには胸を締め付けられそうな読書体験もいいのかもしれないですねぇ。

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2025年06月14日

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