あらすじ
「平和」な日常を送る高校生の六花。でも、この家には掘り出してはいけない蔓がある――。傷ついた心をやさしく包みこむ、瑞々しい「冬」の青春小説! 氷室冴子青春文学賞第5回準大賞。
町田そのこさん激賞! 瑞々しい「冬」の青春小説
森川六花、17歳の高校2年生。ふざけがちな母、穏やかな父、「お姫様」のお姉ちゃん、朝でも夜でもいつでも来るやさしいケイティ。
片思いしている同級生・森沢とはバカ話でいつまででも話せて、なんだかいい感じ。平和な日常に見えるけど、この家には掘り出してはいけない蔓がある――。
ユーモアあふれる家族の生活に潜む暗い影に向き合おうともがく少女の姿を、現在と過去を交錯させながら真摯に描いた、高校生たちの瑞々しい青春も眩しい「冬」の青春小説。
氷室冴子青春文学賞第5回準大賞。
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「どうして彼らはユーモアを必死に纏おうとしているのか。ちらちらと影を感じさせながら不穏に進んでいく様子は、読み応えがあった。そんな中で主人公と森沢の微妙な距離感はキュンとした」--町田そのこさん(審査員講評より)
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人それぞれ、悩みや人に言えないことを抱えていることがあると思う。森川六花の家族は一見仲の良い家族に見えるが、触れてはいけないなにかがある。森川家に昼夜を問わず通い詰めている女装家のケイティ。六花が出会った虐待されている少女。六花の惹かれている同級生の森沢。森沢との何気ないやりとりにも微妙な影が差す。みんなが何かを隠しながら明るく振り舞おうとする。頻繁に出てくる「蔓」を掘り下げてはいけない何かとは。六花と姉の風花、そしてケイティ、羊蹄山を前に止まっていた時が動きだす。心痛く、そして切ない青春物語でした。
Posted by ブクログ
女子高生のきらきら明るい青春生活ーと思いきや、その裏で漂う不穏な気配。
六花はその不穏な気配に気づいているけれど、
明確な理由がわからず、明るく元気に過ごしている、ように見せている。そんな生活の中で、同級生の森沢が気になっていたりと甘酸っぱさのある日々。
けれどある日、その不穏な気配の正体に気づいてしまう。気づいてからの展開に涙が止まりませんでした。
姉は妹を、妹は姉を、お互いに思い遣っていた。そして六花が思っていたより、姉の風花は自身の力を取り戻していた。またケイティは風花のために姿を変えてでも寄り添い続けた。
約束を叶えるために。
「被害」を受けた人の人生だけではなく、家族や周りの人の人生まで大きく変えてしまう。
改めて「被害」の影響について考えさせられました。そして読み終えてタイトルを眺めたとき、この願いが叶いますようにと心から思いました。
Posted by ブクログ
テーマはすごく重いのに辛い描写がなく、ずっと「今」を軸に書かれているところが好きです。
高校生男女二人のやりとりと、友情もうらやましくなるほど良いものでした。
1時間ほどでイッキ読み( ≖ᴗ≖)