藤原辰史のレビュー一覧
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まず著者群の面子を見て、少なくとも既知の名前において、それぞれの発信することばを追いかけている人が多いことを確認。演繹的に、その他の著者についても、かけ離れた立場にはないであろうと判断。あわよくば、今後の人生指針になり得る存在と出会えることも期待。前置き長いけど、そんな考えの下、発売前から気にかけていた本書。日本学術会議任命拒否問題についても、どこかでちゃんと読まなきゃと思っていたけど、その欲求も本書で満たされた。中曽根時代から綿々と受け継がれて今に至るってのも、何とも根深くて嫌な感じ。そのあたりまで遡って、ちゃんと勉強しなきゃ。あとは、己でさえままならない自由の取り扱いを、更に次世代に伝えることの困難も、改めて実感。自分も不断の努力を続けることにしか、それに対する答えはないですわな。
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こんなに給食について考えたのは、給食をいただいていた小学校以来どころか35年の人生初だと思う。
私の中の給食の思い出に強烈に残っているのは小学2年時、イワシか何かのマリネがどうしても食べられなくてベランダに机ごと出されて食べ終わるまで放課後ずっと残されていた…という苦い記憶。
そんなような感じで、少なからず各々の給食の思い出を呼び覚まさせる新書。
が、本書の意義や趣意はもっと広範で、戦時下の強兵育成というところから始まりアメリカによる小麦・ミルク市場としての給食、中曽根首相時代の新自由主義方針と給食の変容、と新たに知った事・考えさせられた事が沢山。まさかソフト麺や先割れスプーンにこんなに背景があったなんて!
「学校給食感謝の日」についてはもっときちんと広めた方が良いと思う。
本書参考文献の『ナチスのキッチン』、フレーベル館『日本全国給食図鑑』とみすゞ書房『味と雰囲気』は一度読んでみたい。
1刷
2021.5.18 -
購入済み
素晴らしい新書
給食を軸に、日本の近代史を辿ることで、教育はもちろんのこと貧困問題や食糧政策など、日本社会の実相を明らかにする。そもそもの着眼点とその意図を明確に論じられている著者の力量に敬意を感じます。学べたことはたくさんありますが、子どもの発達と食との密接な関連を知ることができました。私も使っていた先割れスプーンが使われた経過なども分かります。
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著者は農業の歴史の研究者である。そして、本書は農業に革命を起こしたトラクターの歴史について世界史的な視点から書かれた本である。通常、経済史の世界では内燃機関を搭載した輸送機械としての自動車の発明とその大々的な普及については特筆され、輸送革命、交通革命として論じられることが多いが、トラクターは輸送でも交通でもなく、人類史上画期的な農業生産性の向上を伴う「農業革命」の主役であった。またそれは大量の化学肥料投入と対になって進行した(牛馬の糞尿が肥料として使われなくなった)。
資本主義、社会主義などの社会体制を越えてトラクターが及ぼした変革の力はもっともっと考えられるべきテーマであろう。本書はその導きの糸となるものである。 -
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学校給食は子供達を飢餓から救うことから始まった。
今でも「学校給食が唯一栄養バランスの取れた食事」である子は存在する。給食費の未納を給食の停止につなげて、子供に大きなしわ寄せが行くことはあってはならない。
センター方式では給食の品質が劣化する。自校方式では人件費がかかるが、食べる人と作る人、互いのの顔が見える。それが調理員のやりがいにつながる。子供達も残しては申し訳ないという気持ちになる。
中学校の給食提供率が低いこと。
給食のもたらす意義は大きい。給食は母親の怠慢ではない。弁当では格差が浮き彫りになり子供同士が気まずい思いをする。家庭だけに食育を押し付けることは限界がある。みんなで同じ物を食べることで家では食べられないものが食べられたり、栄養バランスの取れた食事の目安を知ることができる。
税金はこういう部分に使われるべきだ。子供も大人も、今一度、食の持つ力を見直し、大切にするべきだと思った。疎かにしてしまいがち。
そんなことを思わせてくれた一冊。 -
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トラクターの開発・普及や、世界各地でのトラクターの導入方法などを示しつつ、農業の変化や戦争への転用など、その功罪を展望する一冊。タイトルで技術史の本かと思わせつつも、トラクターを通して農業を見る農業史の本でもあり、文化史の本でもあった。面白い。
日本のトラクター史についても、小岩井牧場や斜里農場で初期に導入していたこと、戦前日本でトラクターが意外と開発されていたこと(普及はしてなかったけど)、岡山や島根がトラクター開発の先進地だったこと、などなど知らないことも多く、読んでて楽しい。
それと、機械化でなく労働集約化の方向に進んだ近世日本の農業を考える上で、機械化による大規模農業の事例は逆にいろいろなヒントを与えてくれそうに思えた。勉強になった。 -
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作品紹介・あらすじ
藤原辰史さんは、人間をチューブに見立てたり、台所や畑を含めて食をとらえるなど、「食べる」ということをめぐって斬新な視点を提供している。本書では、「食べる」ということをめぐる3つの問いを軸に、中高生とともにその本質に迫っていく。そのなかで、現代というのは、じつは、食べる場と作物や動物を育てる場(動物を殺す場含む)が切り離された社会であることが浮かび上がってくる。それでは未来の食はどうなっていくのか。藤原さんと中高校生の白熱した議論を臨場感たっぷりに再現する。
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「食べる」ということを子供たちと共にきちんと考えてみよう、といった趣旨のディスカッションを中心に、「おいしいとは」「食べ物の気持ち」「食の未来」といった解説が記されている、といった内容の書籍である。
12歳から18歳の子供たちに3つの質問(「いままで食べたなかで一番おいしかったものは」「『食べる』とはどこまで『食べる』なのか」「『食べること』はこれからどうなるのか」)に答えてもらい、そこからディスカッションが展開する。筋書はなく、あくまでも子供たちの答えから道筋を辿っていくといった内容になっている。これが結構哲学的な内容へと広がり、読んでいてスリリングでもあった。
「食べる」というのは人間であれば、あるいは生き物であれば、必ず行う行為であり、むしろ何も考えずに惰性で行われている行為なのだろうと思う。そこをあえて「食べる」とはどういうことなのか、を改めて考えてみると、これがなかなか深いところまで思考が展開される。僕自身もいろいろと考えさせられることが多かった読書となった。
最後に少しだけ余談を述べると、「食の未来」で解説されている内容は少し怖い。こんな世界が本当に来たら(もしかしたらすでに来ている可能性も)かなり怖い世界になると思う。