藤原辰史のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
とても素敵な本。「自治」の実際が語られていて,なんか,やる気が出るような来ます。著者によっては,少し難解な部分もあるのですが…。
最後の斎藤幸平さんの「「自治」の力を耕す〈コモン〉の現場」より,今の教育現場にも通じる話を引用します。
…労働問題に取り組むNPO法人POSSEの代表である今野晴貴さんは,次のように指摘します。
ブラック企業問題が解決しない原因は,労働法が存在しないからではない。むちゃくちゃな働かせ方を取りしまう法律自体は日本にもある。あるけれども,労働組合が弱体化した日本では,企業のほうが圧倒的に強く,労働者には力がない。そのせいで,法律の運用が形骸化し,「違法労働」がまか -
Posted by ブクログ
「当事者意識を持つこと」の重要性を実感しました。
「自治」というテーマのもと、様々な分野における「自治」のあり方について論じられていました。
特に、現代社会における「上から」の改革の限界を指摘し、真の社会変革は、一人ひとりが「当事者」となることから始まることを強調していました。
この著書における「市民科学」の例は、この「当事者意識」の重要性を感じられます。専門家だけに任せるのではなく、市民自身が社会問題の解決に向けて積極的に行動を起こす「市民科学」の動きは、従来の「上からの」改革ではカバーしきれない問題に取り組む、新しい可能性を感じられました。
p125~武器としての市民科学を (木村あや) -
Posted by ブクログ
他の本で紹介されていた一冊。
5年前の出版だが、子どもの頃に出会うと良いかと。
パルシステムの事務所で、12〜18歳の男女と京大人文科学研究所の准教授、藤原辰史ふじはらたつし氏とで座談会をした記録の一冊。
12歳小学生の意見が鋭く、今までに食べたなかで1番美味しかったものは?から始まり、食べることとはどこまでなのか、噛みごたえのない食品はどうなのか、五感を総動員させて語り合う。
これぞ哲学。と「一つの本を書こう!」と思考を広げまとめていく。
面白かった。
小腸6mに及ぶチューブの旅、消化酵素で炭水化物がブドウ糖や麦芽糖に、脂肪と脂肪酸とグリセリンに分解され、それらが腸に吸収。大腸では、消 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分と興味の方向性の違う本を人におススメ頂くのが大好きで、本書も人におススメいただいた本です。
「トラクターの世界史」・・・文字通りトラクターの登場の背景から現在、そして未来への流れについて書かれた本です。自分では絶対に手に取らない種類の本ですが、興味深い内容でとても面白かったです。
19世紀半ばごろの欧米で、蒸気機関型のトラクターや脱穀機が生産されはじめましたが、当初は重量が重く、石の橋でも重量に耐えられず崩落事故が多発し、また、爆発事故も多くトラクターは危険なものでした。
それでも人がトラクターを求め続けた理由は、役畜の世話、長時間の農作業などから解放されたかったからです。
実際にトラ -
-
-
-
-
Posted by ブクログ
みんなの共有財、コモンについての話の前に、今の現状は新自由主義によって生まれた資本主義はどう出来上がってきたか、白井聡さんの説明から始まります。
60s-70s学生運動から始まったとされ、その中の日大紛争がまさか最近の日大理事長田中氏につながるとはびっくりですね。それに、反共産主義の統一教会、東大駒場寮や早稲田学生会館を取り壊した経緯、段々と学生運動は衰退しやっぱり綺麗な大学が魅力的になり、そして今では学食プリペで家族にも安心など、学生を孤立化させ、安心安全の無菌室へと誘導することで国の指示通りが一番安心だと信じ込ませた現在。なるほど、本当の自由がなくなっているのに、これだと気づかれにくいです -
-
-
Posted by ブクログ
トラクターという存在が歴史的にどういう立ち位置だったのか分かる。
「〜の歴史」という本が好きですが、この本もどストライクでした。というか、参考文献がめちゃくちゃ多いです。これほどの量があるのに、新書として読めるという点が筆者の凄まじい努力が伝わります。
トラクターが世界大戦の際に戦車に派生し、世界恐慌の一要因になり、またソ連の集団農業を進めることになる。
個人的に興味深かったことは、戦時中の人々のトラクターの見方である。
男性陣が戦場に駆り出され、農業人口が減ってしまった時に、トラクターが農作業を効率化したこと、また、トラクターという機械に慣れておくことが、戦場での応用に効くと国が考えていた -
Posted by ブクログ
現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。
気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる -
Posted by ブクログ
一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。
例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。
詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対 -
-