藤原辰史のレビュー一覧
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とても素敵な本。「自治」の実際が語られていて,なんか,やる気が出るような来ます。著者によっては,少し難解な部分もあるのですが…。
最後の斎藤幸平さんの「「自治」の力を耕す〈コモン〉の現場」より,今の教育現場にも通じる話を引用します。
…労働問題に取り組むNPO法人POSSEの代表である今野晴貴さんは,次のように指摘します。
ブラック企業問題が解決しない原因は,労働法が存在しないからではない。むちゃくちゃな働かせ方を取りしまう法律自体は日本にもある。あるけれども,労働組合が弱体化した日本では,企業のほうが圧倒的に強く,労働者には力がない。そのせいで,法律の運用が形骸化し,「違法労働」がまかり通ってしまうのだ,と。(本書245ぺ)
斎藤氏は,このように引用した上で,マルクスの主張を取り上げて次のように述べています。
…私が専門としているカール・マルクスは,トップダウン型の法制度改革を「法学的幻想」だと批判し,「下から」の変革を重視しました。具体的には,マルクスは,「自治」を育むボトムアップ型の組織を「アソシエーション」と呼び,このアソシエーションを広げていくことが,社会を変えていくための基礎だと考えたのです。(本書246ペ)
今ある労働組合をどうするのかも大切なことですが,今一度,現場の教員にとって大切にしたいものはなんなのかを話し合い,それを実現するために,どんな風にボトムアップしていくのか,どのように仕掛けていくのか,下からのしたたかな自治を作り出していくことが必要ですね。
言うは易く行うは難し…ですが,諦めないで,ときには,子どもの人権に関わることが明らかならば,現場で闘うしかないでしょう。
その積み重ねが,職場の過ごしやすさにつながると思います。
既存の労働組合の「とにかく数だけを守る闘い」からの脱却が必要なのでは。 -
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「当事者意識を持つこと」の重要性を実感しました。
「自治」というテーマのもと、様々な分野における「自治」のあり方について論じられていました。
特に、現代社会における「上から」の改革の限界を指摘し、真の社会変革は、一人ひとりが「当事者」となることから始まることを強調していました。
この著書における「市民科学」の例は、この「当事者意識」の重要性を感じられます。専門家だけに任せるのではなく、市民自身が社会問題の解決に向けて積極的に行動を起こす「市民科学」の動きは、従来の「上からの」改革ではカバーしきれない問題に取り組む、新しい可能性を感じられました。
p125~武器としての市民科学を (木村あや)
このような当事者意識を持つことの重要性を、様々な角度から浮き彫りにしています。 「上から」の改革に依存するのではなく、一人ひとりが「当事者」として社会に関わっていくことの重要性を、再認識することができると思います。 -
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他の本で紹介されていた一冊。
5年前の出版だが、子どもの頃に出会うと良いかと。
パルシステムの事務所で、12〜18歳の男女と京大人文科学研究所の准教授、藤原辰史ふじはらたつし氏とで座談会をした記録の一冊。
12歳小学生の意見が鋭く、今までに食べたなかで1番美味しかったものは?から始まり、食べることとはどこまでなのか、噛みごたえのない食品はどうなのか、五感を総動員させて語り合う。
これぞ哲学。と「一つの本を書こう!」と思考を広げまとめていく。
面白かった。
小腸6mに及ぶチューブの旅、消化酵素で炭水化物がブドウ糖や麦芽糖に、脂肪と脂肪酸とグリセリンに分解され、それらが腸に吸収。大腸では、消化酵素はなく、かわりに無数の微生物が住んでいる。
あなたの中の繊維を発酵させて活性化する。 p. 75
哲学や歴史の議論では、AとB、違う話が出てきて、簡単に解消されない対立をどういうふうに解決させていくかということが重要に目標になる。p. 88
プロテインバーなどの携帯食の発達は… アメリカの軍人のために開発されたもので、戦争すると密接に関わっている食品であることを補足しておくp. 121
2016年、飢餓状態にある人は、8億1500万人、地球上の11% その半分以上は紛争地帯。戦争を止めることが、飢えをなくすために必要。 p. 127
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ネタバレ自分と興味の方向性の違う本を人におススメ頂くのが大好きで、本書も人におススメいただいた本です。
「トラクターの世界史」・・・文字通りトラクターの登場の背景から現在、そして未来への流れについて書かれた本です。自分では絶対に手に取らない種類の本ですが、興味深い内容でとても面白かったです。
19世紀半ばごろの欧米で、蒸気機関型のトラクターや脱穀機が生産されはじめましたが、当初は重量が重く、石の橋でも重量に耐えられず崩落事故が多発し、また、爆発事故も多くトラクターは危険なものでした。
それでも人がトラクターを求め続けた理由は、役畜の世話、長時間の農作業などから解放されたかったからです。
実際にトラクターの登場により農作業は効率化され、人は時間的拘束から解放され様々な自由を手にすることが出来ました。
ただし、家畜を手放したせいで肥料を生み出さない、牧草の代わりにガソリンと潤滑油を購入品けれればならない、怪我をしやすい、というリスクが新たに浮上します。
さらに、糞尿が出ないため、農家は化学肥料も購入することになり、空いた時間で別の仕事をして稼がなかればならない羽目に陥ったり、もちろんトラクター導入のためにローンを組み、機械化貧乏の道を歩む農民も多く輩出します。
これだけでもデメリットがかなりあるという印象でしたが、話しはそれだけで終わりません。
ダストボウル(砂の器)という、化学肥料の多投とトラクターの土壌圧縮によって、土壌の団粒構造が失われ、サラサラの砂塵となり(砂漠化)、それが風にあおられて空を覆う。
当時は黒い雲、赤い雪が降り、大きな被害となったそうです。現在でも土壌浸食が起きた土地は手放され、別の土地を求める、という手法は現在に至るまで続けられていて(特にアフリカで)深刻な問題であり続けいるそうです。
現在のトラクターは農業のさらなる合理化が叫ばれる21世紀において、無人化の研究が進んでいるそうです。
人間が機械を通じて自然界や人間界とどう付き合っていくべきか考えされられました。
砂漠化、待ったなしの深刻な状況ですね・・・。 -
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みんなの共有財、コモンについての話の前に、今の現状は新自由主義によって生まれた資本主義はどう出来上がってきたか、白井聡さんの説明から始まります。
60s-70s学生運動から始まったとされ、その中の日大紛争がまさか最近の日大理事長田中氏につながるとはびっくりですね。それに、反共産主義の統一教会、東大駒場寮や早稲田学生会館を取り壊した経緯、段々と学生運動は衰退しやっぱり綺麗な大学が魅力的になり、そして今では学食プリペで家族にも安心など、学生を孤立化させ、安心安全の無菌室へと誘導することで国の指示通りが一番安心だと信じ込ませた現在。なるほど、本当の自由がなくなっているのに、これだと気づかれにくいですね。こうして自治は衰退してしまったという。
松村圭一郎さんはわたしたちが思い込んでいる自治と自由とは「税という対価を払って後は専門家にお任せする」という意味になってしまっているようです。
その新自由主義マーケットをどう変えていくかが課題で、そこに古着屋とライブハウスの例え話しは素敵なエピソードでした。わたしも個人経営のショップや居酒屋、カフェなどに行って無駄話したりして楽しみながら貢献したいです。
コモンと同時にケアも含めて考える杉並区長の岸本聡子さんはアムステルダム、チリ、バルセロナなど海外の事例をもとにフェミナイゼーションで自治を変えたいと熱弁。
コラムでは斎藤幸平さんの神宮外苑再開発問題で、元々住んでいた方々のお話しの中で考えることが大前提だと納得できるお話しでした。
藤原辰史さんは、権藤成卿という思想家の失敗から自治を考え、人間にとって最も重要な「食」こそ、未来の自治ではないかと考えます。
社会を良くするために、反対運動の座り込みやデモで反抗しても失敗の歴史を見ればよくわかるという。
そこで最後に斎藤幸平さんが今までの国家から考えるトップダウン型ではなく、そこで暮らす身近な地域から課題を上げていく、ボトムアップ型で解決できないかをまとめていました。
リーダーは一人ではなく何人ものリーダーを交えて、アントレプレナーの能力を養っていくそんなイメージでした。
国家は大企業がたくさん税金を納めている以上資本主義的な政策ばかりで富裕層のための政策はこれからも続くと思います。そんな世の中ではいつまでも一般庶民は変わらないままですね。本当に良くするための具体的な対策が描かれた大事な内容でした。人任せにせず自分で考え判断して協力していきたいと思います。
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トラクターという存在が歴史的にどういう立ち位置だったのか分かる。
「〜の歴史」という本が好きですが、この本もどストライクでした。というか、参考文献がめちゃくちゃ多いです。これほどの量があるのに、新書として読めるという点が筆者の凄まじい努力が伝わります。
トラクターが世界大戦の際に戦車に派生し、世界恐慌の一要因になり、またソ連の集団農業を進めることになる。
個人的に興味深かったことは、戦時中の人々のトラクターの見方である。
男性陣が戦場に駆り出され、農業人口が減ってしまった時に、トラクターが農作業を効率化したこと、また、トラクターという機械に慣れておくことが、戦場での応用に効くと国が考えていたこと。
世界史を一通り学んでも、何か一つのものの視点から見る世界史もすごく違っていて面白い。
次は何の歴史の本を読もうかな。 -
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現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝っていけばいいのだろうか? -
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ネタバレ今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。
気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる少数派になってる…という状況がたまに起きるようになり、うかうかと思ってることを言いづらくなりました。(例えばマイナンバーカードを持つことについてとか…)
組織の中でできる活動として、教育に関するおかしな介入や締め付けに抵抗している友人の姿を目の当たりにすると、自分も黙っていてはいけないと思うものの一個人でどんな風に「おかしいぞ!」とか「ふざけたことしてんじゃないよ」と世の中に問えばいいのか、問えるのかと無力感が正直あります。
大きな声を発することができなくても、周りがみんな朱くなっても自分が白だと思ったら白という意見を曲げない強さをせめて維持し続けたいと思います。
本書は、これからまた数年過ぎたところから本書が著された当時を振り返る、そしてその時の現実・現状を見直すという、考え続けるための一つの標となる一冊だと思います。
編集部によるあとがきにも勇気をもらいました。今後もこのような良書を出版し続けてほしいです。