藤原辰史のレビュー一覧
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「食べる」をテーマとした、ある大学の先生と、中高生の議論をまとめたもの。
「食べる」とはどこからどこまでのことか、たとえば、食べ物を口に入れた瞬間や噛んでいる間、は食べる行為としてOKだとして、飲み込んで食道を通過している間や、胃で消化している間はどうなんだろう、さらにその先の小腸や大腸を通過している間は、などと考えると、意外に、食べるという言葉の表す意味の曖昧さ、というか広さを実感できます。
また「食べる」には、単に「食べる」だけでなく、誰が作ったものを食べるのか、誰と食べるのか、どういうシチュエーションで食べるのか、といったいろんな要素が絡んでいます。
そういった、「食べる」に関 -
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「トラクター」を通して、世界の農業史を振り返る一冊。
農家にとって、トラクターは「一度頼るとそれから離れられない農機具」。それを「政治的に農業と農民を管理する手段(p.84)」として使ったスターリン時代のソ連など、興味深い事例が多く紹介されている一冊。
歴史資料として「トラクターが出てくる小説」を多く取り上げているのも特徴。なかでも秀逸なのが、戦前・戦後のウクライナの政治・農業史を振り返る資料として紹介される「ウクライナ語版トラクター小史(=邦訳『おっぱいとトラクター』)」(p.114-)。舞台となるウクライナでもトラクターを通して農民を管理・抑圧する動きはあったことを示唆しつつ、一方でト -
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タイトルのとおり、トラクターの誕生から、世界各地での発展の仕方などを通じて、現在の様相まで、一本の線で歴史的にとらえられるように書かれています。さすがに1冊で書ききれる容量ではないので、全部という形ではありませんが、トラクターという普段触れることのなかった世界を、歴史的に知ることができて面白く読ませていただきました。
農業をするうえで、土を耕すという作業が大きな比重を占めているということ、それを克服するためのトラクターという機械と改良という人類の戦い、それに対する旧来の人々との闘い。そして最後に、トラクターは人類の夢に向かって着実にそれを実現してきましたが、それで良かったのかという投げかけもさ -
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主として農用のトラクター史。かつては蒸気機関を積んだトラクターも存在したが,内燃機関が採用されたことで20世紀に爆発的に普及した。
トラクターと戦車が双生児とも言えること,トラクターと共産主義の関係など,とても興味深い。
トラクターの語源が牽引で,attractとも同根であることから,「さまざまな人間を魅惑してきた」p.4という洒落っ気も好感度高い。
日本のトラクター密度が世界一だというのは,なるほど納得。農地千㌶あたりの乗用型トラクターの台数は,日本は二位のオーストリアを3倍以上引き離して386台とダントツ一位(2000年)。アメリカの40倍近いトラクター密度だとか。
農地面積が狭く集約的 -
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「世界史」「人類の歴史を変えた」となると大仰だな、といった印象だが、内容的にはまちがいではない。
トラクターの歴史から、世界諸国でどのように供給されひとびとに受け入れられてきたか、もしくは拒絶されてきたか、などが書かれている。
私自身はトラクターとは無縁である。親族に建設機械メーカーの人間はいるが、その程度。なので、当然ながら知らないことばかりが載っており、興味深かった。
最初期のトラクターは、労働からの解放もアピールされていたそうである。それまでは男の作業であったが女でも耕すことができる、ということで女性解放的な意味合いさえあったという。しかしそれも、ソ連はいいとしても中国ではうまくいか -
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コロナ後の世界というのはわたし自身にとっても明確にいろいろな意味でそれまでと変わりました。
わたし自身は50代半ばですがワクチン接種は拒否しています。
コロナウイルス自体に関しましては、日本人にとってはもともと大騒ぎをするほど大して問題ではなかったのですが、健康な人達までもがコロナワクチン注射を受けてしまうことによって、ワクチン注射を打った人たちの体内で悪いウイルス・菌が増殖をしてしまい、その悪いウイルス・菌を周り・周囲や日本中にばらまいてしまうことになるという説を信じています。
そしてコロナ以前にはわたし自身では、「何とかコツコツと学び続けてさえいけば、生きていく道はあるのではないのかな」 -
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戦争と農業は切っても切り離せない。
トラクターが戦車に、化学肥料が火薬に、毒ガスが農薬に転用される経緯は非常に興味深かった。
また、戦時中の「食糧」というものの立ち位置も重要なものであるが故に、兵糧攻めができた。
兵糧攻めというものを詳しく学べたのは非常に大きかった。
食糧を管理下に置きたがる権力者の生々しさも学べた。
なぜそんな酷いことができるのか。読むのが辛い部分もあった。
非人道的であるが、それをおかしいと思えなかったのは、結局は民主主義の欠点でもある。
大衆の意見が正義とされる。
今自分が何不自由なく食事にありつけるありがたさを痛感する一冊でした。 -