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Posted by ブクログ
参考文献の引用の丁寧な書き方、最初に本全体の概要、
流れを説明し、章ごとに深掘りしていき、
きちんとそれまでを振り返りまとめて終わり、という本の構成が好みで、読んでいて満たされました。
自分語りや、表立った感情論はなく、根拠として事実関係の引用を用いて自分の意見の方向性を述べるところが読みやすかったです。
給食の恩恵は受けてきたけれど、その当時は子供だったため、どれほどの苦労や思いがあってのものか露知らず。年齢的には、今度は親になって給食に関わる段階でしょうがいまだその機会はないため給食はテレビで報道される異物混入の報ぐらいでしかほぼ触れることがなくなっていました。「おいしい給食」というドラマに出会い、面白く楽しんで見ていましたが、そんな風に楽しむだけで、取り立てて真剣に、真面目に大事な問題として給食に思いを馳せるという概念がなく、この本に触れて初めて、給食の歴史、政府、保護者や栄養教諭の活動などを見て、多くの人の尽力で成り立っているんだなと感心しました。
この本に出会わなければ、知ることもなかったです。
この本を手に取ったのは「ゼロからの資本論」に引用されており、興味を持ったからです。
効率化、コストカットなど、利便追求をしてしまうと大事なものを見落としてどんどん味も温度もなくなっていくんだなとしみじみ思わされました。
生きる上で欠かせない身近な「食」に関わることだからその危機感がわかりやすかった気がします。
資本主義に飲み込まれ振り回される世の中で、効率優先ではない体制がまだ残っていること、それが給食だということ、盲点というのか灯台下暗しというのか。
失われず残っていってほしいし残していかなくてはならない。
給食に対して絶対にブレてはならないこと、貧困児童のスティグマとならない。はい。
この視点、心に刻んで生きたいです。
Posted by ブクログ
とても良かった。日本で生まれ育った日本人は、学校で給食を経験しているはずである。もちろん海外にも同様の制度はあるが、本書では日本で給食が始まった理由、進化の過程、さまざまな葛藤、今後の課題と給食の持つ役割が論理的に書かれており、興味深く学ばせてもらった。本書を読めば日本の給食の成り立ちから意義からすべてがわかる。
日本の給食は江戸時代終盤ごろ始まったとされるが、その意義は常に貧困家庭の子どもの救済にあった。その過程で常に、助けを受ける子どもが恥をかかないように、との細心の配慮がされてきた。
戦後はGHQが給食の復活を強く推し進めたことも初めて知った。もちろん、アメリカの意図としては、日本の子どもたちの健全な発育以外にもアメリカ製の食材を売りたいという下心があったわけだが、結果として子どもたちが救われた側面もあったようだ。
給食職員(今は給食教諭と呼ぶらしい)の人たちや、母たちの働きかけで制度や法律がどう変わっていったのかも知る意義がある。
小学校時代の給食を思い出しながら読んだ。本書で出てくる、脱脂粉乳やクジラ肉やソフト麺は経験したことがない。中学と高校は弁当だったが、当時働いていた母の負担を考えると、給食があったらよかったと思った。
Posted by ブクログ
こんなに給食について考えたのは、給食をいただいていた小学校以来どころか35年の人生初だと思う。
私の中の給食の思い出に強烈に残っているのは小学2年時、イワシか何かのマリネがどうしても食べられなくてベランダに机ごと出されて食べ終わるまで放課後ずっと残されていた…という苦い記憶。
そんなような感じで、少なからず各々の給食の思い出を呼び覚まさせる新書。
が、本書の意義や趣意はもっと広範で、戦時下の強兵育成というところから始まりアメリカによる小麦・ミルク市場としての給食、中曽根首相時代の新自由主義方針と給食の変容、と新たに知った事・考えさせられた事が沢山。まさかソフト麺や先割れスプーンにこんなに背景があったなんて!
「学校給食感謝の日」についてはもっときちんと広めた方が良いと思う。
本書参考文献の『ナチスのキッチン』、フレーベル館『日本全国給食図鑑』とみすゞ書房『味と雰囲気』は一度読んでみたい。
1刷
2021.5.18
素晴らしい新書
給食を軸に、日本の近代史を辿ることで、教育はもちろんのこと貧困問題や食糧政策など、日本社会の実相を明らかにする。そもそもの着眼点とその意図を明確に論じられている著者の力量に敬意を感じます。学べたことはたくさんありますが、子どもの発達と食との密接な関連を知ることができました。私も使っていた先割れスプーンが使われた経過なども分かります。
Posted by ブクログ
学校給食は子供達を飢餓から救うことから始まった。
今でも「学校給食が唯一栄養バランスの取れた食事」である子は存在する。給食費の未納を給食の停止につなげて、子供に大きなしわ寄せが行くことはあってはならない。
センター方式では給食の品質が劣化する。自校方式では人件費がかかるが、食べる人と作る人、互いのの顔が見える。それが調理員のやりがいにつながる。子供達も残しては申し訳ないという気持ちになる。
中学校の給食提供率が低いこと。
給食のもたらす意義は大きい。給食は母親の怠慢ではない。弁当では格差が浮き彫りになり子供同士が気まずい思いをする。家庭だけに食育を押し付けることは限界がある。みんなで同じ物を食べることで家では食べられないものが食べられたり、栄養バランスの取れた食事の目安を知ることができる。
税金はこういう部分に使われるべきだ。子供も大人も、今一度、食の持つ力を見直し、大切にするべきだと思った。疎かにしてしまいがち。
そんなことを思わせてくれた一冊。
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