芦沢央のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日常に潜んでいる怖さを描いた短編集……でいいのかな。
題名にもなっている「あなたが正しくいられたとき」はヒヤリとする(自分もそうじゃないかとかんがえて)怖さがあって、読後もずっと印象に残っている。確かに「自分は正しい」と思い込んでいる人間はいる。私はいい加減な人間なので、何か気後れしてしまうから近づかないのだが。
正しさについてしばらく考えてしまった。
(いくら理由があっても娘を川に落とす母親はさすがにいないだろうから、その点では現実感ゼロだけど、男が好意を持たれてると誤解しやすいところなんかはリアリティあり。)
他の作品はそれほど……という感じ。
トータルでは星3つが妥当と思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ心に残ったのは、最後の『九月某日の誓い』だった。『火のないところに煙は』は、神楽坂の印刷会社に染みが寄る人怖だった。『夜の道標』は灰色の町の社会派だ。波留が車に飛ばされる場面は、わっしわしと心臓を摑まれた。非常にいい。『おまえレベルの話はしてない』は、短編の形を取りながら長編文学といっていい。将棋だ。奨励会の切っ先が自分に返ってくる。これも非常にいい。名人戦の観戦コラムでいらしたときの、将棋界への視線が温かかったのを、いまも思い出す。
表題作は、未婚のまま死んだ者同士が結婚できる世界だ。律子は浅葱を推してい、死後に結ばれたいと願っている。正直、ピンとこなかった。推し活への理解が足りないのかもしれない。ほかの短編も独創的だ。面白いなと思いながら読んだ。ただ、胸をえぐられる感じではなかった。
久美子は操を蔵で世話する。操は、殺意を向けられると相手を窒息死させる、と本人は言う。軍に知られてはいけない。三条家は操を蔵に閉じ込めて隠す。ある日、植野が骨董を売って解雇され、灯油を持って戻る。火がつき、操が手を伸ばす。火は消え、植野が倒れる。能力は誰のものか。芦沢央作品のこういうところが好きなんだよなぁ。 -
Posted by ブクログ
一話目の表題作がまずこの作品全体のイメージを作る。単純な正義を拒否する元カノが、自分の目的のために、その信用していない正義を利用する。
「そんなことのために」「そんなことをする」彼女は怖い。ただ、理解し得ない思考だと思う一方で、自分の正義を点ほども疑うことができなかった窪田に対しても、気持ちのどこかが距離を置こうとする。
「そんなことのために」「そんなことをする」女性は「立体パズル」にも登場する。うっすら怖い。
決して幸せな結末ではないが、「投了図」は、未来の才能に託すことで自己を振り返るラストに光がある。「代償」も、望んだ結果ではなかったが、物書きとして生きる道を選ぶ結末に未来を感じる。
なぜか十時警部補のドラマシリーズができているのにちょっと笑った。
文庫ではないのだが、珍しくご本人によるあとがきがある。今作はご本人によるとごった煮のような作品集だそうだ。私としては一話目に強く引っ張られ、そのイメージで読んでいたので、ごった煮という印象ではなかった。野菜の中にチーズが入ろうがヨーグルトが入ろうが、味はまとまっている。
競作アンソロジーがお好きというのは意外だった。作家さんにとっては楽しいことなのかな?