芦沢央のレビュー一覧
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ネタバレ
残念!
かなり序盤で奈津子と紗英の関係が判ってしまった。
奈津子の専門学校、結婚のエピソードと紗英の年齢とで二人が同い年ではないことがわかる。
とすると、「同級生でかつ親友」という片方が否定されるので、ひょっとして綴られている二人の関係をそのまま理解してはいけないんだな?と思う。
同性愛者か?と思わなくもないが、それは文章がやんわり否定している。
「友人」以上にお互いのプライベートに踏み込み、同性愛者でもない女性同士の関係となれば・・・。
そしてオムツのエピソード。今時布オムツの効用にこだわるなんて、そんな年代って考えれば・・・。
(この作者、まだお若いはずだが、布オムツのことなんてよくご存じで)
伏線のつもりなのだろうがやややり過ぎたかな、と思える。
二人の関係に気づいてしまうとその後は「ミスリードのために頑張っている文章」としか読めず苦しいのと比例して予想の確信度が増していった。
例えば奈津子の「梨里と紗英の子が遊んでるところを見るのが私の夢なの。」という台詞があるが、ふつうならば「鞠絵と紗英」でなければおかしい。
で最後に「やっぱりね」となる。
だが、この作品が表現したかったホントのところは母親の無償の愛のようなものなのでは?と思い、「もし、からくりに気づいてなかったとしたら?」という思いで帯に書かれいるのとは全く違う理由で(笑)読み返してみると、伏線の張り方も人物の個性を表す心理描写もなかなか秀逸であると思える(風景描写にややクドさはあるが)。
芦沢央さんの作品はこれが初めてで、今回はうまく引っかけてもらえなかった(笑)が、是非他の作品を読んでみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
どんでん返し×驚愕の心理トリック そのときあなたの“正義“が揺さぶられる
『嘘と隣人』が直木賞候補、『夜の道標』で日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞した芦沢央さんの最新短編集です。
日常に潜む人間の心の歪みや、「正しさ」が孕む危うさを鋭く描き出した6編を収録しています。どの物語も、登場人物が信じる「正しさ」が、思わぬ悲劇や皮肉な結末を呼び起こし、人間の心理を深くえぐる筆致に価値観が激しく揺さぶられます。
鮮烈な印象を残すのが、表題作の「あなたが正しくいられたとき」。
同窓会で再会した元カノ・黒川の娘が川に落ちるという、衝撃的な場面から物語は始まります。主人公の窪田はとっさに川へ飛び込み、少女を救助します。自らの行動を「正しい」と信じて疑わない窪田ですが、物語が進むにつれて意外な真相が明らかになり――。
「窪田くんは、正しい人だよね」「物語に出てくるヒーローみたい」と黒川に言われる窪田の「正しさ」とは何なのでしょうか。
現代社会の不安を巧みに掬い取った「立体パズル」もまた、忘れがたい一編です。
主人公の幼稚園児の息子と同い年の子どもが、「子どもは静かにするもんだろうが」と主張する犯人に殺されるという事件が起こります。
犯人はかつて神童と呼ばれたエリートでした。その犯人が、主人公が住む街をうろついているらしいという噂が流れます。子どもの安全を守りたいという親としての「正しさ」が行きついた先とは……。
本書に収められた6つの物語は読者の心に鋭い棘を残します。登場人物たちの行動は、決して他人事ではありません。損をしたくない、誰かを守りたい、過去の過ちを正したい――。誰もが抱く切実な思いが、「正しさ」という名のナイフに変わる瞬間を、芦沢さんは描きます。
あなたが信じる正義は、本当に正しいのか。読み終えた後、その問いが深く胸に突き刺さる、傑作短編集です。
【個人的な感想】
期待値が高かったため、評価は低め。
「あなたが正しくいられたとき」「代償」が面白かった。
終わり方が理解できなくて、「どういうこと?」となる作品も多かった。 -
Posted by ブクログ
5人の人気作家が描く警察小説アンソロジー。
短編集だが、「メゾン・イニシェの怪」と「コールバック」は、少し長めだった。
本格的な推理小説の味わいがあったのは、芦沢央の「コールバック」
息子のいじめで悩む夫婦から相談を受けた元警察官の探偵が調査に乗り出すが、不審な男の登場で意外な方向へ物語が展開していく。
男は、過去に子どもを失い、妻は自死していたが、その要因となったいたずら電話の相手に恨みを持っていた。
この男と相談者の息子との接点が見えてくる過程、クライマックスとなる結末は読み応えがあった。
「メゾン・イニシェの怪」は、心霊ルポライターと警察官の二足のわらじを履いた生駒と専門知識を持つ特別捜査官の八条が古いマンションで起きたオカルトめいた事件を解明していく。
「家につく猫」では、捜査資料を隣県の署に届けた二人の刑事が帰りに立ち寄ったコンビニで挙動不審な老人を見かけたことに端を発し、車のパンク修理で、老人宅でジャッキを借りることになる。刑事の一人は、その老人宅の家族の様子がおかしいことに気付く。
「プライドの隙間」では、警察署内で若い警察官が拳銃自殺、その拳銃が盗まれる。事実が明らかになるにつれ、署内でのパワハラや隠蔽体質など闇の部分が炙り出されてくる。
奇をてらうあまり、あり得ないような展開になり、かえって、興味が失せる作品もあった。