芦沢央のレビュー一覧

  • おまえレベルの話はしてない

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    見下したり軽んじたり過小評価したり意地の悪い見方をしたり、そうして自分で自分を認めたり面子を保ったり正当化することがある、それはまあ単なる処世術みたいなもので、そのもっと奥底には目の前の他人に対する羨望や嫉妬、あるいは尊敬の気持ちがある。そういう関係の友人がいたら、それはそれでいいなと思う。
    最後の一文は、2人の関係性を象徴する素敵な言葉だった。

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    2025年10月12日
  • おまえレベルの話はしてない

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    この作品を書くにあたり、芦沢さんは他の執筆依頼をすべて断り、ご自身の作風を顧みて「これは修行だった」と語っていました。
    きっかけは、直木賞候補となった際の選考委員による講評だったそうです。
    その厳しい言葉を受け、作風を一度リセットして臨んだ挑戦作。

    芦沢さんの小説といえば、私はいつも「歪みの表現」が魅力だと感じています。
    日常の中にあるわずかなねじれや、感情の軋みを描く。その緊張感が、彼女のエンタメ性の核になっていると思うんです。
    だからこそ、その「歪みの作家」が、何を削って何を残したのか、とても関心を持って読み始めました。

    直木賞の講評を改めて確認すると、たしかにかなり厳しめの意見が並ん

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    2025年10月11日
  • おまえレベルの話はしてない

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    将棋の世界のお話。
    一章は将棋の世界でもなく芝が主人公。なかなか勝てない焦りが伝わってきて、なんだか読んでいるこっちが不安になってきてしまった。
    二章は元々は芝とともに将棋をしていたが、高校生のときに将棋の世界を出て東大から弁護士になった大島が主役。弁護士として働く大島もクライアントとのやり取りで悩むことも。

    うーん、難しいなー。あまり将棋を知らないから余計かもしれないけど、この世界は厳しそうだなということが伝わってくる一冊だった。まぁどの世界も厳しいことは絶対あって、それはその人じゃなきゃわからないんだよな、と思ってまさにタイトルだと思った。

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    2025年10月08日
  • 火のないところに煙は(新潮文庫)

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    ネタバレ

    各章、不思議なお話として面白い。ただ、ホラーとなると少し物足りなく感じた。
    伏線回収がくどすぎて、途中で読むのをやめようか…と思ったが、最後まで読んだ。
    さすがに、「書評」は流し読みしました。
    全体的には面白かったです。

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    2025年10月08日
  • おまえレベルの話はしてない

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    物語は将棋の世界。プロ棋士の芝と奨励会を辞めた大島の二つの視点で語られる。視点が入れ替わるのではなく、前半は芝、後半は大島、と2人の目線で同じ時間をなぞるのは新鮮で面白い。

    また、2人のキャラクターのイメージを引き立てるためか、前半の芝は純文学のように書かれ、後半の大島はエンタメ小説的に読みやすく書かれている。著者の芦沢央が、『小説に人生を賭ける中で、どうしても挑戦したかった作品です』と言うように、新たな試みに興味がそそられる。

    芝の章では詳細な情報は与えられないので、将棋の世界の現実、葛藤、諦め、執着を手探りで感じ取れる。追い詰められた時にこそ、全く突拍子もない想像が頭を支配し狂っていく

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    2025年10月07日
  • 夜の道標

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    親から虐待を受ける子供とその友人、殺人犯と匿う女、厄介者扱いの刑事とその部下。2人組×3組の話が平行して進んでいく。

    その3組が交わればこの話は終わりなのだ、ということがわかっているだけに、終盤は早く読みたい気持ちとゆっくり読みたい気持ちが押さえきれませんでした。
    とてもおもしろかったのですが、つい忘れて現代の話と思ってしまいました。ちりばめられた当時の描写が弱かったのかもしれません。
    そこだけが残念でした。

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    2025年10月04日
  • 罪の余白

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    「火のないところ…」でガッチリ心を掴まれた芦沢作品2冊目は、2015年に内野聖陽さん主演で映画にもなった芦沢央デビュー作。
    妻が急逝して以降、男手1つで育てた一人娘 加奈が、学校のベランダから転落死する。
    事故か自死か?真相を探るなかで2人のクラスメイトが浮上。最愛の娘を死に追いやった女子生徒へ安藤は復讐を決意する・・・
    いじめ絡みで子を喪くした親の復讐劇だと「人間・失格」や「告白」が強く印象に残っていますが、それとはまた違う角度からのアプローチに胸がきゅっと苦しくなります。
    ワタシも基本少年少女には性善説を信じたいと思うけど、咲みたいな羊の皮を被ったモンスターも一定数いる訳で…。後味は良

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    2025年10月01日
  • いつかの人質

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    芦沢央の4作品目の長編。
    始まりは、幼少期の偶然が重なったことで起きた誘拐事件から物語が始まる
    誘拐された宮下愛子は、不幸にも負傷して盲目になってしまう。
    12年後に再び愛子が誘拐事件に巻き込まれるのだが
    その背景に、12年前の誘拐事件が浮かび上がる

    途中までは、盲目状態で誘拐される描写にハラハラしたが、物語の視点となる主役が誰なのか分からなくなり、興味が削がれてしまった
    ミステリーをテーマというよりは、加害者側の心情や背景がテーマだったようだ。
    芦沢作品は、心情を描くのが上手い作家だと思う

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    2025年10月01日
  • おまえレベルの話はしてない

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    将棋の世界についての小説。
    野球に戦力外通告があるように将棋の世界にも年齢制限があり、練習があるように研究がある。自分は将棋の世界についてはあまり詳しくなかったが、この本を通してその世界の厳しさや残酷さを少し垣間見ることができた。芦沢さんの本は何冊が読んだことがあるが、この本は少し文章の書き方が異なっていて新鮮だった。人の黒い部分や妬みなどの描写がぐっときた。

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    2025年09月30日
  • 雨利終活写真館

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    祖母が遺影を撮った〈雨利写真館〉で働くことになった黒子ハナ。祖母の遺言状に隠されていた謎、お客様の12年ぶりの家族遺影の撮影での真実、そしてお客様の妊婦の母と共に写された遺影の謎と向き合っていきます。それと共に自分の中のわだかまりを徐々に消化していく物語でした。

    装画から勝手にイメージを膨らませていたのとは全然違っていました。まさか謎解きみたいな感じだとは思いませんでした。

    雨利写真館で働く人たちは、それぞれ個性が強いのに、それが合わさるといい具合にバランスがとれていました。

    ハナのクイズ好きの祖母、遺影をとるために集まった親子と孫、妊婦の母達の写真、どれもが素敵な写真になったことが伝わ

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    2025年10月01日
  • だから捨ててと言ったのに

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    「だから捨ててと言ったのに」という特徴的なフレーズから始まる短編集。ちょっと不思議だったり、ホラーだったり、感動的だったり。さまざまなお話を楽しめました!いきものがかりの水野さんや、背筋さんのお話も入っていました。個人的には「母の箪笥」に涙し「猟妻」はゾクっとし、「パルス、またたき、脳挫傷」の表現に驚かされました。サクッと楽しめる一冊です。

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    2025年09月28日
  • 今だけのあの子

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    女性の友情
    もしくは始まるであろう女性の友情の話
    私は文庫本で読んだのだが、最後の解説まで読んだら「ほほぅ」と唸った
    サラッと読んだら気づいてないことが
    あるもんだなぁ

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    2025年09月28日
  • 夜の道標

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    犯人の動機がわからず、少し物足りなさを感じましたが、これが人間なんだという、理屈だけでは説明できない部分も感じました。
    解説の山田詠美さんが描く解説が、この小説を表現していると感じました。

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    2025年09月25日
  • 夜の道標

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    全然結びついて行かない登場人物達
    これどう繋がるんだ?って思いながら先へ先へ進まされて行く最後のほうでやっと、納得

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    2025年09月24日
  • 貘の耳たぶ

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    自分は出産経験が無いのだけど、解説の方のように繭子のことは好きになれません。本人を含めて全員のことを苦しめ抜いてる繭子を本当に許せない怒りの気持ちでずっと読んでいました。本当に苦しくなります。航太に1日も早い穏やかな日が来ますように。

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    2025年09月20日
  • 悪いものが、来ませんように

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    ネタバレ

    読んでいてどれが誰?どの人が誰の何?と思ってちょっとイライラしたけど、種明かしでなるほど〜となった。
    やたら冗長に感じて、このエピソード何のためにあるの、と思うところもあったけど、それも全部この二人の関係性に違和感を持たせるためだったのかな。
    友達でこれはやばいだろ、だけならまだしも、親子であってもやばいだろ、の域に達してるから、友達なのか親子なのかって曖昧さを出すのは難しかっただろうな。
    しっかりはっきり娘と言われるまでまったく気づかなかったから、分かった瞬間はすごく気持ちよかった。
    どいつもこいつも難ありというか、良くない部分を強調させたような人物ばかりで、ずっと暗くて黒い雰囲気が漂う作品

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    2025年09月18日
  • だから捨ててと言ったのに

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    色々な作家さんの話が読めるオムニバス方式で
    楽しめた
    自分も目当ての作家さんが何人かいたのでそこから読んだが、順番もバラバラで読み始めても良いので気楽でした

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    2025年09月15日
  • 今だけのあの子

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    帯か期待を持たせるものだったのと、悪いものが来ませんようにの作者さんなのでドキドキを求めてたら意外とそうでもなかった。‥はずなのに、最後の解説まで読んでそういうことだったのかと、評価0.5位上がりました。解説まで読むのおすすめです。

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    2025年09月15日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    子供向けなのですごくさらりと読めてしまう。短編なのでいきなり怖さを出してくる感じがよい。バッドエンド多めなのもよい。

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    2025年09月14日
  • 魂婚心中

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    【私はただ、自分が嫌な思いをすることより、自分を嫌いになることの方が怖いだけ】
    特殊な設定と独特な世界観で繰り広げられる芦沢さんの新境地・6篇のSFミステリー短編集。死後結婚用マッチングアプリが普及した社会で「推し」への愛の暴走を描いた表題作とこの短い物語の中に切なさを凝縮した「二十五万分の一」、そして超能力×ミステリーで先が読めない展開にハラハラさせられる「九月某日の誓い」が特にお気に入りだった。イヤミスの印象が強い芦沢さん作品の中でも読後感は良く、心地良い余韻が残る短編もあった。

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    2025年09月11日