芦沢央のレビュー一覧
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本作に収録されているのは、いわゆる「イヤミス」と呼ばれる5つの短編。
直接的な残虐描写があるわけではないのに、読み終えたあとに背筋がゾクッと凍りつくような感覚を覚えます。
この作品の何が恐ろしいかというと、登場人物たちの心理描写があまりにも生々しいこと。
「自分の失態を、なんとかして隠したい」「少しでも良く見せたい」
そんな誰しもが抱く小さな虚栄心や保身が、雪だるま式に大きな取り返しのつかないミスへと繋がっていく。
読みながら、「もし自分だったらどうするだろう?」「自分も同じように、嘘を重ねてしまうのではないか?」と、他人事とは思えない苦しさが込み上げてきます。
そして何より巧みなのが、 -
Posted by ブクログ
ネタバレどの章も人間の弱さや醜さがじわじわ滲み出ていて、読んでいて気持ちがざらつくのに、目が離せない感じがある。
各話の感想を少し書く。
第1章 ただ、運が悪かっただけ
夫が自分の過去の罪を妻に語る。
その回想の構成がうまく効いていて、ちょっとした謎解きのような面白さがある。
妻が導いた答えが本当に正しかったのかはわからない。でも、もしそれで夫が少しでも罪の重さから解放されたのなら、それはそれで救いのある終わり方だったのかもしれないね。
第2章 埋め合わせ
これはもう、自業自得の一言に尽きる。
一番腹が立ったのは、主人公が自分の失敗を子どもたちのせいにしようとしたところ。教師としてそれは違うだろ! -
Posted by ブクログ
自分の読書歴では初のアンソロジー。
トリック満載のミステリとコロナ禍で起きた世の中の異変に触れた作品もあり。
六者六様のお話が展開されているので、合う合わないは結構大きく分かれたかも。
やはりトップで読み応えあったのは、
辻村深月『2020年のロマンス詐欺』だった。
"闇バイト"に関する話は年月の経った今でも、
というか更に横行しているからこの作品は教科書に載せて恐ろしさを知ってもらいたいくらい。
孤立無援の環境で追い込まれていく緊張感がとにかく怖い。しんどい時期でも不逞な輩を近付けないように日頃から対策していけますように。
芦沢央『投了図』もコロナ禍が招いた事件。あの -
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「悪いものが来ませんように。幸せだけがたくさん訪れますように」
子供が生まれた時きっとたくさんの親が願うこと。
でも芦沢央さんなのでほんわかストーリーになるわけはなく、じんわりと嫌な感じが滲み出る。
助産院に勤め不妊に悩む紗英と大学中に子供ができて専業主婦になった奈津子。
お互いの家を行き来したり休日一緒に過ごすほどには仲が良いが、読み手としては立場的に気遣う関係性が気になって仕方ない。
それも「子供を産み育てるのは幸せだよ」と言ってしまうあたり、何を言ってるの?と読んでるだけなのにひやひや。
そんな中2人の近くで事件が起き、紗英と奈津子の独白や周囲の人から見た2人という構成でストーリーは進 -
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ドキドキ、ひりひり、ザラザラしながら読み終わった。
芦沢さんはオカルトチックなヒトコワ系のイメージだったんだけど、これはそういう娯楽小説ではなく、胸にしばらくずーんと残るような話だった。
帰結がそんな社会問題に関わってくるとは、と驚くとともに、それが動機になるっていうのがピンと来ないのは私も「こちら側」だからだなと思う。
彼にとってそれ自体の衝撃だけでなく、絶対に信じていた唯一の人にある種騙されていたということ自体が天変地異であり全てを揺るがすものだったんだろう。
ラストシーンで少年たちの関係が修復する兆しはあるものの、それでは覆せない現実の厳しさや今後の苦悩を思ってしまう。
少年も彼も、