芦沢央のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
男を刺殺する場面から幕が開き、
ミステリの香りが漂ってきます。
誰が犯人なのだ!?フーダニットなのか!?
芸術に人生を捧げる人々の物語。
題名のカインは言わずと知れた、聖書のカインとアベルのカイン。兄弟の嫉妬の物語なのかしら??なんて予想しながらページを捲ります。
「世界の誉田」と呼ばれる芸術監督が率いるバレエ団の主役が失踪する。
失踪をきっかけに、複数の登場人物の視点から物語が展開される。
主役の彼女、嶋貫あゆ子目線。カインの主役に抜擢された誠と連絡が取れなくなり、彼の失踪の謎を追いかけます。
誠と同じバレエ団で、誠とルームシェアをしている尾上和馬目線。
誠が失踪したことで、誉田 -
Posted by ブクログ
主人公は祖母の奇妙な遺言状の理由を知るため、生前に遺影を撮影した写真館を訪れ、遺言状の謎を解明する。
そして、写真館を訪れる客たちの人生に触れることで、自身の心のわだかまりに向き合っていくという話
連作短編 三つ収録
巻末に十年目のあとがきとあり
文庫化するのに10年の歳月がある様子
文庫化の際に大幅改稿しているので単行本とは雰囲気が違うのかも
根底にあるテーマは
突然の死によって残ってしまったわだかまりとどう向き合うか
つらい思いを抱えたまま生き続けていかなければならないことにどう向きあうか
無口なカメラマン雨利が、謎解き解明に小さな手掛かりを見逃さすボソッと指摘してくる
影の薄 -