芦沢央のレビュー一覧
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ネタバレ綾崎隼さんが将棋のアンソロジーに寄稿してると聞いては読まないわけにはいかない!
今回の綾崎さんの作品は、「僕らに嘘が一つだけ」の2人と同世代の朱莉さんが主人公。もう一度僕らに〜も読み返した上で、こちらも読み返したいな。
一話目は青山さんのお話らしく、前向きな気持ちになる門出の話。
葉真中さんは初読み。ただただ少年の手腕に鳥肌。
弟子にしたかった少年を冤罪から救うという白井さんの話にはびっくり。そういう将棋との絡め方もあるのか。
橋本さんも初読み。この一戦を勝てば夢が叶うという相手への対応って悩ましい。そこで手を抜かれて夢を叶えること、本気で相手してもらって破れること。
芦沢さんは気になっていた単行本の表題作?思いがけず読めて嬉しい。本気で目指していて、応援もしてもらって、でもそれを辞めたい時の気持ちを思うと胸が締め付けられた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこんなにも読むのが辛く、苦しい本は読んだことがないです。
同じ歳くらいの子どもを持つ母親として、そしてどちらかといえば(自分は母親になるべきじゃなかったのでは?と思う意味では)繭子寄りの自分にとっては共感なんでしょうか、震えるほど怖くなりました。
自分は大丈夫だと思う一方で、自分の子供がいなくなる恐怖を背後に感じながら、自分の子供が泣いている姿を思い浮かべながら読んでしまったので、本を読んでいるのが電車の中だったとしても涙目だったと思います。
本当に辛くて帰ってからは焦るように子どもを保育園に迎えに行って、抱きしめました。
実際に自分が他の子と取り替えをするかといえばたぶんしないけど、してしまうほどに追い詰められる気持ちは出産したからこそわかります。まだ母親になりきれない自分がこの子を本当に幸せにできるのか?そう思いながら私も育児をしてきました。
保育園でしっかりしている子を見て働く人を羨む気持ちも、本当はもっと子どもと一緒に過ごすべきなのでは?と思う気持ちもどちらもわかります。そして、いつか終わりが来るということを常に感じていないと子供との時間を本当に大切に出来ない皮肉も感じます。
私が思う母であることの辛さが全部詰まってる本でした。繭子がタグを取り替える前に踏みとどまる世界線を想像して幸せを願ってしまいます。 -
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少し想像していたものとは違っていたが、解説を読んでいろいろ腑に落ちた。
それぞれの物語の友情が今後どうなるか分からないけれど、もしこの先は離れてしまったとしても、この時過ごした時間に嘘はないはず。
私自身、昔からの友人はほとんどご縁が途切れてしまって、自分の友人との関わり方が良くなかったのかなぁと少し自分を責めていた。
けれどもそうとは限らないのかなと思えた。あの時、仲良かった“あの子“たちは、“今だけ“だったのかもしれないけれど、大切な人だし、色んなものを与えてくれた。きっと私も“あの子“にとって、そんな存在だったはず。
私が時々、何してるのかなと思い出すように、“あの子“たちも、ふと思い出す瞬間があるのかもしれない。それだけで十分。 -
Posted by ブクログ
著名作家による小学生向けホラーンソロジーシリーズ。
学級日誌版より、こっちの方が読み応えあって、面白かったです。
サブタイトルになっている作品の著者が斜線堂有紀だったので、それもちょっとうれしかったかも。このメンバーだと、宮部みゆきか?って思ったのですけどね。
ルビは中学年程度です。文字も大きめで、一話に一つ挿絵があります。
「えんまさん」黒史郎
嘘をつくのが大好きで、それもとても上手に嘘をつくハルト。家族に怒られてもけろっとしています。おばあちゃんはえんまさんのことで諭します。おばあちゃんが話すえんまさんはちょっと具体的で...。
「おはよう、アンちゃん」太田忠司
絶対に空き地がなかった場所に空き地ができて、家ができてアンちゃんがいた。みんな普通に受け入れているけどアンちゃんなんていたっけ?そう、穂香にだけは通じないと思っていたよ、だって穂香も...。
「青いコップ」加門七海
おばあちゃんのお葬式に行った家で青いコップが変なところに置かれていた。飲んではだめよ。そういう食器は高いところに届かないものたちのための器なの。
「きれいずかん」井上雅彦
開かない引き出しをずいぶんほったらかしにしていた。なんとか開けてみると中からノートが。自分が書いたものみたいだけど、覚えていない。ずいぶん変わった絵が多いような?
「部分地獄」斜線堂有紀
藤本は自分は子どもの罪深い部分一部だけを地獄に落とすのを仕事にしている男と、公園で会う。たとえば、罪深い嘘をついた子ども。ほとんど溺れているけど口だけ息ができるとか。蹴った子ども、足だけすりつぶされるとか。
「おやすみ、ママ」宇佐美まこと
期間限定できたサーカス。鏡の迷路で僕は変なものをみた。偽物を追い出すためにはどうする?ちゃんと、追い出せた。
「靴と自転車」澤村伊智
正樹は転校し、三田と仲良くなったが、三田は自転車を停めるとき、幼稚園くらいの子どもの靴を、向きを必ず同じにして置く。霊能者の人に教えてもらったそうだ。
「ログインボーナス」芦沢央
ログインボーナスみたいに考えて、百日間通い続けると願いが叶う神社があるって、お姉ちゃんが聞いてきた。離婚していなくなったお父さんに会いたい。お姉ちゃんは何を願っているのかな?
「宮部みゆき」よあるきのうた
私の両親は夜勤のある工場で働いていて、私はしょっちゅう夜に一人になる。でも、リサイクルショップでかってもらった大きなテディベア「ダンク」がいるから大丈夫。あと、部屋を掃除するのも好き。お金をもらって、必要な洗剤をスーパーに買いに行ったとき、変な抑揚でしゃべる女の子と友達になった。 -
Posted by ブクログ
芦沢央さんの短編集。この本の短編は、全て将棋をテーマに扱っています。”将棋の短編でミステリーが成立するのか?”と思いましたが、読んでみたら見事に著者の作り出す世界にハマってしまいました。
アマチュア大会優勝者の小学生がプロ棋士とのイベント対局であと一手での詰みをことごとく外す手を選択する。優勝するほどの棋力がありながら、なぜそのような指し手を選択していたのか。読み間違いではなく”対局を敢えて終了させない”ための選択の裏側には盤面以外での悲しい戦いが絡んでいた…「弱い者」
三段リーグ最終戦前日に訪問してきた友人棋士。ところが、ふとした不注意と悪い偶然から主人公である棋士は、彼の死に関わってしまう。訪問時に彼から示された対局の展開を予測した棋譜通りに対局を進めれば、自らのアリバイが成立する。プロ棋士へ最後のチャンスである対局において、アリバイを成立させる保身と、棋士として自らの判断で指し手を選択する矜持のはざまの葛藤の末に主人公が選択した手は…「神の悪手」
他短編3編とも、将棋の知識が無くても十分楽しめる内容でした。芦沢央さんにちょっとハマっていますが、本書も期待を裏切らない完成度でした。