芦沢央のレビュー一覧
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密室にまつわる5編の作品が載っている。
第一話は「このトリックの問題点」。密室事件にまつわる白玖の推理と俺(真中)の、麦ちゃんをめぐる突飛な行動が面白い。
第二話は「大叔母のこと」。すでに亡くなっている天才ケーキ職人だった大叔母が残したもの(遺産)を主人公である女性とその彼氏の二人で、密室での盗難事件を解いていく。
第三話は「神秘の彼女」。突然枕元に現れた盧遮那仏像の話。現実と夢が交錯する。同室の玄馬先輩の仮想の彼女と工学部の美人女子大生鴻巣の意外な関わりが面白い。
第四話は「薄着の女」。女優として少しずつ仕事が増えていく中で、過去の繫がりが引き起こした殺人事件。どう逃げ切るか。
第五話は「世 -
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ネタバレ主に小学校が舞台の日常系ミステリ連作短編で、全四章+エピローグの構成。
第一章は亡くなった祖母が作った桜茶をダメにしちゃった主人公が、自らそれを作って祖父に飲んでもらったら、祖父が体調をくずしちゃう、という内容。
途中、子猫の存在が絡んでくるところに少し違和感を覚えましたが、祖父の体調不良の原因に絡んできて納得。しかし真の原因は……題材的に友井羊さんの「スイーツレシピで謎解きを」を連想させられました。
第二章はクラスメイトの川上さんに関するエピソードが二つ。一つは同じクラスの女子に突然バケツの水を浴びせられるお話。もう一つは父親のパチンコ通いをやめさせる話。
バケツの水の件は、偶然タイ -
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幼いころに階段から落ちて視力を失った愛子。
そのときは親とはぐれ親切にしてくれた母娘にくっついて行ってしまったことからの事故だった。
そして友達と行ったライブ会場で視力がないために騙されて誘拐されてしまう。見えないままの愛子の感覚で状況が描かれているせいか、不安感が強くなった。
幼少期の愛子とはぐれた母親、事故に立ち会ってしまった母娘の心境、本筋の事件の脇にある人の心や状況がどこかいびつ。でもその状況になったら誰でもそのいびつさに囚われるのではないか。
この世はいびつな気持ちの運用で流れているから。
予定調和でものごとが流れない苦しさがとても面白いと思った。 -
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どんな風に感想を書こうとも、詳しく感想を書こうと思うとどうしてもネタバレになってしまう。
が、これをネタバレしてしまうと面白みがないだろうから、極力ネタバレをしないで感想を書きたい。
本文が終わった後の解説で瀧井朝世さんが書き出しに、
『芦沢央は、「逆算する」という。
トリックや動機を考えて、そこに向かって逆算して、物語を作り上げていくのだそうだ。』
と書かれていましたが、まさにその通りの本でした。
読んでいて違和感がなく、とぅるんと喉元を通り過ぎるゼリーのように入ってくる文章。
伏線にクセがなく、明かされる真実に無理がない。
この“明かされる真実”がこの本最大のネタバレになる部分なの -
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将棋の事は全く分からない僕ですが、”このどんでん返しが切なすぎる!!”の帯に惹かれ読んだ一冊。
僕は常日頃、言葉とは何と不完全なコミュニケーションスキルなんだ!と感じていて、だからこそアートというものが人の心を打ち、そしてそれは言葉では言い表せられない何かを感じる事が出来るからだと思っているのですが、この5篇からなる将棋の物語はその9x9マスの上で繰り広げられるゲームに関わる人達それぞれの思いや葛藤、そして何に向き合い何と戦っているのか、実に面白い5篇でした。
そして読み終えてその何かが分かった時感じるのは”切なすぎるどんでん返し”などでは無く、言葉では言い表せられない”何か”だと思いました