芦沢央のレビュー一覧
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どんな風に感想を書こうとも、詳しく感想を書こうと思うとどうしてもネタバレになってしまう。
が、これをネタバレしてしまうと面白みがないだろうから、極力ネタバレをしないで感想を書きたい。
本文が終わった後の解説で瀧井朝世さんが書き出しに、
『芦沢央は、「逆算する」という。
トリックや動機を考えて、そこに向かって逆算して、物語を作り上げていくのだそうだ。』
と書かれていましたが、まさにその通りの本でした。
読んでいて違和感がなく、とぅるんと喉元を通り過ぎるゼリーのように入ってくる文章。
伏線にクセがなく、明かされる真実に無理がない。
この“明かされる真実”がこの本最大のネタバレになる部分なの -
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将棋の事は全く分からない僕ですが、”このどんでん返しが切なすぎる!!”の帯に惹かれ読んだ一冊。
僕は常日頃、言葉とは何と不完全なコミュニケーションスキルなんだ!と感じていて、だからこそアートというものが人の心を打ち、そしてそれは言葉では言い表せられない何かを感じる事が出来るからだと思っているのですが、この5篇からなる将棋の物語はその9x9マスの上で繰り広げられるゲームに関わる人達それぞれの思いや葛藤、そして何に向き合い何と戦っているのか、実に面白い5篇でした。
そして読み終えてその何かが分かった時感じるのは”切なすぎるどんでん返し”などでは無く、言葉では言い表せられない”何か”だと思いました -
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第34回将棋ペンクラブ大賞
「文芸部門」優秀賞受賞作
芦沢央さん読み残し作品制覇中
将棋界、棋士を題材とした短編5編
どの作品も独特な将棋界の魅力があふれ、それに加えてミステリーを詰めていく
惜しいかな、私が将棋をほぼ知らない…
「弱い者」で、避難所の将棋大会で出会う才能と将棋界の男性主体性まで読ませて
「神の悪手」で、三段リーグの厳しさと そこから発生する事件のアリバイに棋譜を使い
「ミイラ」で、フェアリー詰将棋と特殊な状況で幼児期を過ごした少年の過去を追い
「盤上の糸」で、事故で記憶障害を持ちながら棋士となった男のタイトル戦
「恩返し」で、駒師の仕事に対する姿勢とタイトル戦で弟子にタイ -
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僕が頼りにしてしまうのは、みんなから「神さま」と呼ばれている水谷くんだ。
桜漬けの瓶を僕の不注意で落としてしまい、楽しみにしている祖父にどう取り繕うかと相談したのは、水谷くんで…。
この第一話から気になる謎解きだと読み進めていくと第二話からは、転校して行った川上さんの少し重い話になり、第三話、第四話といろいろな出来事を挟みながらも川上さんのことにも繋がる連作短篇になっている。
小学生らしからぬ水谷くんの洞察力に驚く。
それだけではなく人の感情も読みとることができ、どのようにすれば良いのかを瞬時に判断している。
小学五年生なのにとても冷静でもあり、軽い謎解きと思えない。
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ネタバレ第1話「春の作り方」
第2話「夏の「自由」研究」
第3話「作戦会議は秋の秘密」
第4話「冬に真実は伝えない」
エピローグ 春休みの答え合わせ
小学5年生の「僕」が
神様のように頼っている「水谷くん」に
助けてもらう連作短編集
↓↓ネタバレ
猫が!酷い目に!遭います!
序盤がほんわかしたお話だから
油断していると後半どんどん物騒になっていきます。
人死はないけれど。
おばあさんは最初から亡くなってはいる。
作り方を覚えていることを
しみじみされて良かったな、と思う。
最後、水谷くんと距離を置くことを決めた僕。
これからどうなるんだろう?
助けての秘密は明かされる時がくるのだろうか。 -
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全編オリジナル(小説推理 双葉社には掲載)の贅沢な短編集。ただ、ちょっと胸くそ悪い系のお話が多かったので、好みは分かれるかも。双葉社のThe どんでん返しシリーズはこれが6冊目(自薦3巻+新鮮、特選、斬新)みたいですが、どの本も豪華な執筆陣なので、他にも手にとって新しい作家さんとの出会いを楽しみたいです。解説で本作品の解説とともに、他の著作に触れられているのも良かったです。
芦沢央「踏み台」
アイドルグループで巻返し必要な位置にいるみのり。色を出すために麻雀を趣味にして、そこで出会った洸平のことが好きになってしまい…。
阿津川辰海「おれ以外のやつが」
おれはカメラマンで殺し屋。今度の仕事は双子 -
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芦沢央の作品は、これまで『許されようとは思いません』、『悪いものが、来ませんように』、この2作品読んだことがあったのですが、そのときは、面白いけど、これを「素晴らしい!」と絶賛するのは、どこか抵抗があった。
しかし、本作は、面白かった。
夢中になって最後まで一気に読み終えた。
「芦沢央、面白い」と素直に思った。
今まで私は強がっていたただけではないか。
芦沢央の作品を絶賛するって、どこか幼いんじゃないか、と。
だから距離をとって、「もし学生のときに読んでいたら、とてもハマっていただろうな」なんていう、言い訳のようなことを言って、素直に認められず、強がっていたのではないか。
そう思って