真梨幸子のレビュー一覧
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くだけた口語寄りの地の文とスピーディーな展開のおかげで、サクサク読める。
伏線を小出しにする、ちょっと読み進めると「はーんこういうことなのかな…?」と少し予想が立つ、でももうちょっと読み進めるとミスリードされていたことに気づく、「あれ!?」と思ってもっと読み進めると、大きな伏線回収が来て「やられた」と思う……。そんな感じで飽きずに読め進められる作品だった。
ただ少し構成が複雑なので、伏線っぽいところを意識的に拾いつつ読まないと、読み終わった時にハテナが浮かんでしまう人もいそう。
自分は楽しく作者の手のひらの上で踊ることができ、モチーフである「教祖」の扱い方も好みだったので、機会があれば作者の他 -
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読みやすいホラーミステリー。いわゆる叙述ミステリーというやつかもしれない。
イヤミスの巨匠というイメージの作者さん、やっぱりとても上手い。
タイトル通り、何となくフシギな状況や出来事が何気なくというか当たり前のように綴られていた。
霊や怨念が人に何かを為したり、見えたりすることは本当にあるのだろうか?そんな疑問もするっと。まあどちらでもいいか、と思われた。
途中から何となく疑ったけれど、これ本当は最初からトリックとして書かれたのか、まったく普通に書かれたのか、どちらなのだろう。もし後者だとしてら自分の読解力に自信無くすわー。
ほどよく怖くて謎とフシギと、古墳だの稲荷だのと伝奇めいたところもあっ -
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ネタバレ騙されたけど、夢オチに似たもやもや感はあった。青田サヤカと大渕ヒデユキの起こした事件を取材する記者本人が記憶喪失した青田サヤカという展開に驚いたが、実は人為的にスクープを作り出して金儲けしようとする編集者の橋本と大渕ヒデユキの罠であり、語り手が記者のイイダチヨ、大渕と獄中結婚したレイコと進んで最後の数ページまでは橋本の視点にならないため語り手たちと同様に読者も騙されるという構造になっている。『5人のジュンコ』もそうだが嫉妬、貧困など人間の弱さから起こる事件について、そこに至るまでの当事者たちの心の機微を描写するのが真梨氏はうまいなぁと感じる。
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何やら不吉な感じの表紙に惹かれて購入。
テレビの『リアリティショー』とは、整形とかダイエットの密着、アイドルオーディションからデビューまで、大家族の日常、無人島生活、警察24時とか…演出の無いドキュメンタリーのことである。
この小説はテレビ局の特別番組として、1961年(昭和36年)の団地暮らしを体験するというリアリティショーを製作することになり、出演者は2組の家族で、3ヶ月を団地で生活すると各500万円の謝礼がもらえるとのこと。このお金で新たな家族の幸せを掴もうと、すぐに応募者は決まり、不自由な暮らしを2組の家族は始めるが…実は番組を面白くさせるためのテレビ曲の思惑があった。そして負の感 -
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ラスト15ページ、戦慄のどんでん返し…そんな紹介が書いてあったので、手に取ってみた。ちょっと不吉な表紙のイラストだし…
事故物件、都市伝説、呪い…ちょっと夜に一人で読むには怖い話が展開していく。死者からの定期的に届くメールは、想像するとめちゃくちゃ怖い!
後半にかけてゾクゾクとする嫌〜な感じが加速。そして最後の章では、紹介文にあるように、『え?』ってなるネタバレ。誰もがページをさかのぼり、これまでのやり取りを読み直しそう。
しかしながら、最後の事実を踏まえると、この小説はドラマ化、映画化は無理だろうなあ…たぶんこのオチは表現できないと思う。
ああ、言いたい…この小説のオチを言いたい…← -
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表紙はなんだか意味深だ。
公園でホームレスの女性(さっちゃん)が謎の死を遂げる。彼女がなぜ死んだのか興味を持った祐子という女性が、さっちゃんのこれまでの人生をなぞり、関係者の話から事件の核心に迫っていく。最後は真梨幸子さんらしい、あるどんでん返しがあり『え?どういうこと』となる。…真梨幸子さんって、『さちこ』と書いて『ゆきこ』って読むんだね…←これがヒント。
第三者の証言から人物像を浮き彫りにしていく手法は、以前読んだ山田宗樹の『嫌われ松子の一生』を彷彿する感じだった。
またこの小説は、過去に実際にあったホームレス女性が渋谷のバス停で撲殺された凄惨な事件がモチーフになっている。ある事件を -
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ネタバレ「さたけじゅんこ」という連続殺人犯の周りで起きる事件について、悪意のバタフライエフェクトがテーマになっている。5つの漢字の違う「じゅんこ」の物語が描かれるが、恐ろしいのはどの物語においても「さたけじゅんこ」が関わっているように見えて実は全くそうではないところだ。主人公たちは怨恨、貧困、嫉妬など人間誰しもが陥る可能性がある状況にあり、それが閾値を超えた時に殺人に至る。物語の中には出会い系サイトが出てきており、読み進めるほど、かの有名な結婚詐欺のあの人と「さたけじゅんこ」を結び付けて考えてしまうが、それがミスリードの仕掛けとなっている。エピローグも秀逸。個人的には極刑を待つのみのさたけじゅんこが、
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