真梨幸子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレいやー、真梨幸子節炸裂という感じ。良いイヤミスだった!
読み進めるごとに様々な事実(らしきもの)か明らかになるのだが、「本当にこれが真実なのか?」「もしくは、真実の一部に過ぎないのではないか?」というモヤが晴れないまま物語は進行していく。
それは、全てが語られないことであったり、何となくの違和感であったり。
それが終始拭えないままどんどんと降り積もっていくので、後味の悪さだけでなく、読んでいる最中もずっと暗く重い気分を味わい続けることができます。(褒めています)
最後に真相がわかった後は、ほんとにスッキリ。でも、当然黒幕はお咎めなしなので、後味の悪さもしっかりあります。
いやー、橋本に関してはほんと、ずっと怪しかったよね。早すぎた自叙伝の「蒸しパン」と橋本の実家が蒸しパン売ってて…という繋がりも、うーん?と気になってはいた。
そして橋本が家族の話をチラ見せする度に感じる違和感。
コイツは、何を隠しているんだろう?何を考えているんだろう?と。
ああ、冒頭の【わたし】はコイツだったか〜!と最後にきちんと答え合わせさせてくれる仕掛けはとても気持ちが良かった。
そして橋本の手のひらの上で踊らされる面々。
読み終えてから橋本の立場で読み返してみると、一気にスカッと物語になるお見事な働きぶり。笑
特に市川聖子がいい仕事している。
逆に登場時の大物感とは打って変わって察しの悪い笠原智子が何と言うか、アホっぽく見えて癒されます。
ちなみに、この物語で一人勝ちしているのは橋本のように見えるが、約一千万円を手にして逃げおおせているエイコもなかなかだ。(最初、エイコも誰かの差し金?と思ったけど違うようだし、殺されることもなく、ほんとに一人勝ちでは?)
どの「犯人」「関係者」も、生まれ育った家庭に影響を受け、歪んでいったという人格形成の過程を垣間見れるのも良い。
さらに言えば、そこには「嫉妬」が満ちている。
自分より優遇されるきょうだいを見て。もしくは、恵まれた環境にいる他者を見て。
澱んだ負の感情が渦巻いて、大きな負のエネルギーとなって表出されてしまった感じ。
これぞイヤミスですね。 -
Posted by ブクログ
真梨幸子『まりも日記』講談社文庫。
自虐的な連作短編風猫ミス小説。
何とも判然としないストーリーなのだが、ドロドロした感じは、いかにも真梨幸子らしい。女流作家の数奇な激動の人生を傍らでひっそりと眺める猫のまりも。
猫という生き物は余り媚を売ることが無く、我関せずという感じで、なかなか手強い生き物である。それでいて、突然懐いて来るのだから、全く不思議だ。
『第一話 まりも日記』。猫の奴隷と化した憐れな独身女性の物語を描くイヤミス風猫日記。猫を飼い始めてから、坂を転げ落ちるように破滅へと向かう女流作家。
派遣社員で食いつなぐ年収200万円弱の売れない女流作家が猫を衝動買い。僅か5万円という売れ残りのブリティッシュショートヘアに『まりも』と名付け、自宅マンションで飼い始めるが、これが何とも金の掛かる猫だった。餌代に病気に手術に暖房費と次々と金が出ていき、カードキャッシングも限度額に達し、最後の頼みと消費者金融に走り、ついには自己破産という状況に。
『第二話 行旅死亡人〜ラストインタビュー〜』。これもイヤミス。創作と現実とが混沌とするストーリー。こんな結末になるとは。
デビュー30周年を迎えた55歳の作家、平間唯子が雑誌のインタビューを受ける。インタビューの中で言及される『カロート』という小説に描かれた内容は創作なのか、それとも……マノンという名前の猫が登場。
『閑話』。白いペルシャ猫のマノンとブリティッシュショートヘアのまりもの邂逅。
『第三話 モーニング・ルーティン』。やはり猫が登場。都内から田舎に移住するまでがドロドロ。
都内のマンションに暮らす年収1,700万円の夫婦共働きのパワーカップル。東日本大震災の日に起きたある出来事を切っ掛けに離婚する。離婚した女性は原発事故の放射能を恐れ、田舎に移住し、格安で古民家を借りる。その家にはクロスケという猫が居付いていたが、首輪には『まりもさん』という名前が……
『閑話』。再び猫同士の会話。
『第四話 ある作家の備忘録』。急展開の第四話。そして、やはりイヤミスな展開に。
『第五話 赤坂に死す』。作中作と言ったらいいのか、何とも複雑な構造。
第一話に登場した売れない女流作家は『ドロミスのクイーン』と呼ばれまでの売れっ子になり、『まりも日記』を執筆する。
『閑話』。
『最終話』。再び落ちていく女流作家。ハッピーエンドで終わるわけが無いよな。
定価770円
★★★★ -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
この作家さんは#猫で認識していて、小説を読むのは初めてでしたが、とても読みやすくほぼ一気読み。『縄紋黙示録』という自費出版予定の小説原稿をめぐってSFファンタジーなのかなという小説内容と現実のミステリっぽい展開が螺旋のようにつながっていってちょっとメタ小説ぽい感じ。なぜか途中無性に怖い怖い。宇宙レベルでスケールが広がったかと思うとすとんと話が現実に落ち着いたり、読んでて不思議な浮遊感のある小説でした。
ハハとかカカとかアラハバキが出てくる段で何か吉野裕子っぽいな~と思ってたら参考文献の筆頭でした。「蛇」読後の衝撃を小説にした感じ? -
Posted by ブクログ
久々の真梨さんだったが、結論から言うととても面白かった。と言っても、人物の心情に寄り添いそれ故に喜怒哀楽を追体験する感情移入型....では決して無く、どちらかというと本書はTHE創作。まさしく1本の朝ドラを視聴したかのような感覚だ。
ラストに向けての荒々しさは否めないのだが、大ヒットした「殺人鬼フジコの衝動」に近い臨場感を味わった
毎度の事ながらオリジナル相関図作成必須級の登場人物の多様さなのだが、本書はあちらこちらで関係が絡まることは無いので比較的読みやすい部類かと思う。
日を跨ぐと記憶が三割消える私は、残りの七割に本書の記憶が残る方に全ベットした神頼みギャンブラーのような日々を送ってしまったので、命懸けのゲームに興奮する変態じゃない限りは大人しくオリジナル相関図を制作することをオススメする
ーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、内容は省かせていただくが個人的に感慨深い気持ちになった箇所を記録として残しておく
子豚の次女ふーちゃんの娘 布由がパパ活の持論を展開した場面だ。
「私は彼に人助けをしたという恍惚感を与えている」「募金と同じだ。それが詐欺だろうと募金をしたという行為が重要であり、それにより今までの罪がチャラになったような清々しさすら感じる。贖罪をしたような気分になるのだ」
「それは頑固な便秘が解消された時の感覚にも似ているかもしれない。つまり自分は便秘症の人に整腸薬を処方しているに過ぎない」
ここら辺で強く真梨幸子を感じた(笑)
真梨さんの人間に対する偏見と侮蔑の表れが嫌味として至る所に小出しされていて性格の悪い私はニヤニヤしっぱなしであった
でも彼女の表現する棘って殺傷能力は無いんですよね
なんというか「難しくて考えてなかったけど言葉にするとそんな感じ」を見事に柔らかい闇で表現してくれている
例えるなら、ある事に気付いてなかった傷の膿を出してもらって「あれ?膿んでた?知らなかったけどスッキリしたー!」といった感覚
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドロドロな展開で想像出来る未来は割かし万人共通かと思うのだが何故、想像した時女性はこのような堕ち方をするのだろうか。悪い意味でなく「典型的な物語」だと言うのに、おそらく大体の読者は「他人事」として創作された本書を楽しむのだろう
他人事なのに典型的
これって、壁を隔てただけの隣人なんじゃございません???きっとすぐ隣に居ますね。ヒェッ -
Posted by ブクログ
大ファンの真梨幸子先生
最近、新作を活発に出されてます。真梨幸子作品は全部読もうと思ってますがちょっと追いついていません。(笑)
内容はいつも通り女性が主役、人間関係もめちゃくちゃで、「この人なんだっけ?」って読み返してしまう。それでやたら死んでしまう。
聞けば「えっ!」って思う方もいると思いますが、このいつものパターンが
面白く、欲している自分がいます。そして読後感の悪さ。今回は本当に悪かった、
これも欲している(?)ハッピーエンドや爽快感なんて必要なしです!
タイトル通りの構成もとても好き。
誰が主役だかわからず、ぐちゃぐちゃなまま進んできますが、非常に読みやすく、どんどん進んでいきます。グロ感は少ないですが、高評価。