近藤史恵のレビュー一覧
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なぜ火をつけたのか?束縛の夫婦生活から逃れようと足掻く女性たちを描いた表題作ほか、ミステリ中心の短編集。
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近藤さんの短編集ですが、なんとイヤミスがたくさんありました。近藤さんのミステリはけっこう際どい線を行っていてもイヤミスと言えるほどのものは読んだことがなかったのですが、これらははっきりイヤミスですね。うーん、と思いながら読んだのが多かったです(つまらないということではなく、面白く読みながらも読後感が・・)。
読めば読むほど迷路の奥に誘われるような「孤独の谷」と女性の憐憫に絡め取られるモラハラ夫を描いた「老いた犬のように」が好きです。 -
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ネタバレ海外旅行の新人添乗員、遥が主人公。
行ったこともない、興味もない国へのツアーでは、よく知ってますよ感を出すために必死で勉強。場を乱す失礼な参加者や、おにぎりを食べたいという無茶振り、万里の長城にパンプスや革靴で来る人にも、真摯な対応を心がける。ロストバゲッジにも遭い、参加者からの非難も受け止める。本当に大変な仕事だな〜と思う。
遙が仕事で訪れるアイスランド、クロアチアとスロベニア、パリ、北京。風景や食べ物の描写が丁寧で、感心する。行ってみたい!と思わせてくれて、旅行ガイドのような側面もある。
遙の添乗員としてのツアーごとの短編が4話続いたあと、5話目では突然、コロナ禍に仕事を失った遙が、沖 -
Posted by ブクログ
近藤史恵さん読書キャンペーンがそろそろおわりそうです。『天使はモップを持って』、キリコちゃんシリーズの第1作目。キリコちゃんと新入社員の大介の出会いから、社内の色々なトラブルを、解決していく連作短編です。
どの短編もライトに読めるので、気楽に読みたい方にオススメでしょうかね。でも、近藤先生らしく、人間のもつ闇のようなココロ、粘着質な女性の内面と、男優位社会からぬけだせない男の弱さがチラホラブレンドされていますのでご注意を。
ワタシも女性ばかりの職場で20代を過ごしました。自分的には女性は優秀で、優しいなぁと思っていました。いい匂いするし。しかし、その女性先輩達はみな言っていましたね。
『女 -
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海外ツアー旅行の添乗員のお話。
確かに、全世界取り扱うツアー会社だったら、ベテランでも初めて行く国のこともあるよなぁと…言葉だって通じないところもあるだろうし、毎回ドキドキする仕事だろうなぁと、初めて思いを巡らした。
コロナでキャンセルしたヨーロッパ旅行。ツアーではなかったけれど、一部のチケットは会社が潰れてしまい返金に一年近くもかかって、関係者はきっととても大変だったろう。
その後、泊まる予定だったホテルからは素敵なメルマガが届くようになっていて、まさに本書の最終話のように「いつかまた」という思いが込められているのだろうと、この話から思い至る。
いまや、逆にオーバーツーリズムの方が問題か