国内小説 - 講談社文庫作品一覧

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  • 危険な依頼人 告発弁護士・猪狩文助
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    美しき相棒(パートナー)を襲った卑劣な罠に猪狩、怒る!――京都・五条大橋で女性を轢き殺した久世山朝子は、「幽霊(ゴースト)が牙を剥き、私を襲ってきたのでアクセルを踏んだ。殺意はなかった」と、弁護人の猪狩文助(いかり・ぶんすけ)を困惑させるような弁解をした。だが20年前、朝子の一族に起きた失踪事件が未解決のままだと知った猪狩は、審理の行方を逆転させる荒業に出た!
  • 群青の湖
    4.0
    琵琶湖のほとりにひとり嫁いできた瑞子は、旧家の重みと夫の背信から、幼い櫻子をつれて生まれ育った四谷に戻る。かつて美しい染めや織りの技を競いあった仲間にむかえられ、瑞子は群青の湖の永遠の神秘を、その片鱗でもよいから1枚の布に止めたいと願うのだった。精魂をこめ格調高く織りあげた傑作長編。
  • 午後の行商人
    4.0
    カメラマンを目指し、メキシコを旅する香月哲夫は、ある夜、暴漢に襲われたが、タランチュラと名乗る老いた行商人に助けられる。彼は、民族解放運動に揺れる南東部へ、行商の途中だった。香月は強引に頼んで旅に同行するが、タランチュラの真の目的は、冷徹・非情の復讐行だった! 直木賞作家による、灼熱の長編冒険ロードノベル。
  • 龍神丸/豹の眼
    -
    1巻1,320円 (税込)
    世界の富の半ば以上と噂される、龍神丸の秘宝。そのありかを記す、「古記録」と「謎の紙片」を巡る、奸計と正義のせめぎ合いを活写する、少年伝奇小説の画期的作品である『龍神丸』。また、大インカ帝国の王統を伝える唯一の人は、日本の少年。王宮の財宝のありかの謎をとく「王位の指環」と、「ツンガ王の碑」をめぐる、虚々実々の駆け引きを描く『豹(ジャガー)の眼』。いずれも、少年の胸を高鳴らしめた少年小説の大傑作。
  • 誘惑教室
    -
    男女共学高校・青空学園の卒業式の日、英語教師の菊池は、卒業生の竹村順子を愛車に乗せ、ドライブに誘った。今日から順子は、教え子ではない。男と女としてつきあっても、かまわないのだ。セーラー服を脱いだ順子とは、もう男と女のつきあいができる。菊地は部屋へ誘った……。だが、密かに学園を蝕む、女子高生売春と大学不正入試。思春期の女子高生を相手に奮闘する青年教師……。思春期の欲望渦巻く学園を舞台に、若き独身教師の正義感と愛を描く。
  • 木乃伊館
    -
    備前・黒井山中に隠された宇喜多秀家の財宝は、はたしてあるのだろうか……。かげろふ太刀で真っ二つに両断された冥官胄と、その幻の剣法の使手・下山新八郎の妖気漂う謎の死を結んで、黄金伝説を伝える「黒井館」の怖るべき謎が解かれてゆく……という「木乃伊館」のほか、「下郎君平」「八代目団十郎」「片耳奴」「寺田屋兇変」の5編。「夢と恐怖と妖しさと謎」をはらむ、迫力の伝奇時代小説集。
  • 秘剣揚羽蝶 源氏九郎颯爽記
    -
    白装孤影の剣士・源氏九郎の秘剣揚羽蝶は、凄絶な死闘の中にも、華麗に舞う……。消えた公儀御用の純金の行方を追い、佐渡金山の大陰謀をあばく「花の幻」、上野寛永寺の御府庫金をめぐる「秘剣の宴」、琉球王女の哀愁を托す「夢の舞曲」、千年黄楊の櫛の謎を究明する「血汐櫛」の4篇を収録する、伝奇時代小説。
  • 鷹ノ羽の城
    4.0
    大友義鑑のいたずら心から、肥後の巨漢武将と南蛮女との間に、子が生まれた。容貌のため人鬼と称された彼は、父から嫌われ、周囲から怖れられつつ、堂々たる偉丈夫に成長する。彼が合戦の先頭に立つと、敵はその迫力に逃げ腰となった。怪異な容貌と優しい心をもつ武士の数奇な人生を描く、ユニークな異色歴史小説。
  • 柴錬水滸伝 われら梁山泊の好漢(一)
    3.0
    天下泰平の宋の時代、泰平に狎れない型破りの好漢たちがいた。義を重んじて財を疎んじ、危うきを助けて困しめるを救う、天下に名だたる好漢108人は、腐敗政治を掃討すべく、梁山泊に集い、天下を騒がす。中国四大奇書の一つ、超人的で魅惑的な英雄譚。「ブルース・リー」が「ジャッキー・チェン」が躍る、柴錬水滸伝。好漢たち108人が梁山泊に屯集し世間を大いに騒がす一大長編伝奇を、超人的で面白い好漢たちの武勇伝に焦点をあて描いた大傑作。<全4巻>
  • 剣と旗と城 剣の巻
    -
    弱い奴は、死ぬがいい。強い者が旗を奪い、城をとるのだ! 応仁の乱後の四分五裂した天下に、黄金5枚で雇われた、いわば戦争を商売にする「戦争の犬」の眉間(みけん)景四郎と等々力権十郎。そして、忍者、荒法師、女剣士、孤児、それぞれに野望を胸に、あるいは、宿運に生きる、乱世ゆえの人間群像を描く、戦国長編ロマン。<全3巻>
  • 血太郎孤独雲
    -
    将軍家献上宇治の御茶壺行列にやくざの群が斬り込んだ! 虹壺をねらい黒八、闇兵衛の伊賀者が、盗っ人が躍り、浪人者、莫連女、妖尼が躍る……。公家、茶壺、刺青、やくざを結ぶ因縁とは? 「和麿さま」と瓜二つ、男っぷりの無宿者、血太郎の忍法「流れ雲」が冴える――破天荒! 奇妙な人物が織りなす忍法復讐譚。
  • スポーツマン一刀斎
    4.0
    奈良の山中から武者修行の旅に出た若者が、なにげなくプロ野球場の打席に立った時から、大騒動は始まった。連続本塁打37本、目かくしでも打球はスタンドへ一直線! 巨人軍に入団、とてつもない強打を連発した男こそ、一刀流始祖・伊藤景久17代目の末裔だった。そして1年後、故郷に引きこもった彼を口説くスカウトに、一刀斎は、あっと驚く条件を出した! 奇想とユーモア溢れる空前の快作。
  • 復讐するは我にあり(上)
    3.8
    1~2巻660円 (税込)
    ここには、犯罪の出発から終結までの全てがある。昭和38年秋、福岡で起こった殺人事件の容疑者は、犯罪史上空前の捜査網をかいくぐり、詐欺と殺人を重ねながら、広島―静岡―東京―千葉―福島―北海道と逃げまわった。そして、78日間の逃避行の末、熊本で10歳の少女に正体を見破られて逮捕され、刑場に消えた。今村昌平監督・緒形拳主演で映画化された不朽の名作! 直木賞受賞作。<上下巻>
  • 逃亡
    -
    俺を嵌(は)めた奴は誰だ! 真野建設工業の沢克彦は、婚約者の浮田冴子と両親が住む北海道へ渡る。原野開拓に絡む汚職を追っていたルポライター・片岡治が殺され、沢は逮捕された。片岡未亡人と冴子は何者かによって、この上ない辱めを受ける。最愛の婚約者を辱められ、殺人者の汚名を着せられた男による、許されざる者たちへの処刑が始まる! 噴き上げる怒りの焔、傑作バイオレンス長編。<「逃亡原野」改題作品>
  • 大将とわたし
    -
    「守れ、墳墓の地」を旗印に、住民の先頭に立った〈大将〉は、暴には暴、法には法で、権力の横暴と闘い抜いた……。熊本〈蜂の巣砦〉を拠点に、10余年にわたるダム反対闘争を展開した老主人公の、痛憤と痛快な闘い振りを描いた、記念碑的作品。ほかに、組合長選挙を諷刺した「△」、単行本未収録の「その箱はなぜ黒いのか」を併録。
  • 正義の剣
    3.0
    現代社会のゆがみが引き起こした犯罪。罪を問われる被告人は、裁判では孤立無援の存在となる。そこで温情あふれる若き判事補が、婚約者の応援を得て事件を解明していく。――都内のアパートで一人暮らしの女性が、部屋に侵入した男に現金を盗まれ、猥褻行為を強要された。現代版「金さん」こと遠山欣一の温情あふれるお裁き。強制わいせつ、家庭内暴力殺人、子供置き去り、幼児誘拐……現代社会のゆがみを糾し、英知と温情で裁く、連作裁判小説集。
  • 処刑猟区
    3.0
    無念の涙はオレが拭う。復讐のエロス&暴力! 惨殺された家族のため警視庁覆面特殊部隊員となった男がいま決起する……。警視庁覆面特殊部隊員・関敏彦。両親と姉弟をドス黒い陰謀の果てに惨殺された過去を持つ彼は、父親の手記に残された犯罪者たちへの怨念を胸の奥に刻印し、復讐に必要な力を身につけるために警察官の道を選んだ。11年の時を経て、いま、エロスとバイオレンスの吹きすさぶ処刑が始まった! <『血の狩人』改題作品>
  • 裁判長 大岡淳三
    -
    裁判における公正とはなにか。裁きの規準とはなにか。政治家をめぐる贈収賄事件、経済犯罪、悦楽的な殺人、外国人の不法滞在など、現代日本のゆがみを象徴する事件を、裁判官の側からリアルに描きながら、裁判の実態、裁判官の生活や心理に肉迫した連作集。犯罪者や法廷を描いて定評のある著者の秀作。
  • 成就者たち
    4.0
    少年の「心と行動」の闇。小説「オウム事件」。――出家修行者たちは、麻原彰晃を信じて従えば、ハルマゲドン後に生き残り、自分たちの時代がくると信じていた。そういう事件をモデルに小説を書くにあたり、わたしが選んだ主人公は、15歳の少年だった。「王様は裸だ」と見破ったのが子どもであるように、醜悪な教祖たちを描きたかった。(佐木隆三)
  • 幸腹な百貨店
    3.9
    1~3巻726~792円 (税込)
    食べて、働いて、みんなで笑おう――。バブル部長VS.若手社員。老舗デパート再生なるか? 中部事業部長となった高橋伝治は、以前店長をしていた堀内百貨店が閉店の危機にあることを知る。古巣のピンチに自ら乗り込んだ伝治だが、何でも「気合い」で乗り切ってきたバブル部長を若手店員たちは煙たがる。伝治は彼らと旨いお店で腹を割りつつ、お祭り復興に取り組む地元店主たちとも知り合って……。
  • 九十八歳になった私
    4.0
    こんな作品は橋本治以外の誰にも書けない。 内田樹氏、欣喜! 人生百年時代に捧ぐ、橋本流・老後賛歌。 一体今日は、いつなんだろう? もうすぐ九十八だ。多分。ゆとり世代(もう五十だけど)の編集者に「戦後百一年」なんて原稿頼まれたり、ボランティアのバーさんが紅白饅頭持ってきたり。東京大震災を生き延びた独居老人の「私」が、老境の神髄を愉快にボヤく人生賛歌の物語。ああ、年をとるのはめんどくさい!
  • 近いはずの人
    3.6
    2019年本屋大賞2位『ひと』で話題の著者が贈る、死に別れた妻の本当の姿を探す物語。 突然、交通事故で妻が死んだ。 わずかな繋がりを求め、妻の携帯電話のロックを解こうと「0000」から打ち込みはじめる俊英。 しかし、ついに解いて目にしたのは、事故当日に妻と“8”という男が交わしたメールだった。 <19時前に着けると思います。待っててね、エミリン> <エミリンは待ってます。お茶でも飲んで待ってます> “8”とは誰か? 妻とはどういう関係だったのだろうか。 妻の姉や友人に会い、彼女の足跡を辿るうち、怒りや哀しみとは別の感情が頭をもたげ――。 残された夫は再起できるのか。感動が胸を満たす物語。 313ページのたったひと言に、あなたはきっと涙する。
  • 紙の城
    3.5
    新聞、本当になくなってもいいですか? 躍進著しいIT企業インアクティブによる、東洋新聞買収宣告。マスコミの寵児となった会長の驫木は、世論を味方に、役員会を切り崩しにかかる。“ウェブファースト“を掲げ、新聞の価値を根底から揺ぶる彼らが、本当に買おうとしているものは何か? 社会部デスク安芸と部下たちの、記者魂を賭けた死闘が始まる。 『傍流の記者』で直木賞候補となった著者だから描けた、メディアの裏側の熱き攻防! 情報化社会? 何を言ってやがんだ。本当の情報は クリックすれば出てくるもんじゃないんだ。 本城の作品には、「情報」というものの深みを教えられる。 本作は「新聞社は生き残れるか」を人間ドラマに広げた秀作だ。                       ――佐高 信 「朝日新聞」「産経新聞」「日経ビジネスオンライン」「サンデー毎日」「週刊朝日」「アサヒ芸能」「J-novel」ほか新聞25紙で紹介された話題沸騰の話題作!!
  • 蜜の報酬
    -
    ハワイのホテルのベッドで、女が男の耳にささやいた――「大きな仕事をして、おいしい暮らしをしようよ」。女は高級クラブの美人ホステス、男は未収金の取立屋。そして、女が店の金を持ち逃げし、男が女を追いかけるふりをする、という計画を実行した。ほとぼりがさめた後、女を訪ねた男を待っていた、意外なとんでもない罠……。男と女のだまし合いを描いたハード・バイオレンス・ロマン。
  • 蜜の私刑
    -
    同棲していた女が、ある晩、突然死んだ。男は女に亭主がいたことを知り、女の骨壺を抱いて、札幌の亭主を訪ねた。しかし、男を待っていたのは、黒い罠だった。やくざの親分に弄ばれた男は、姐さんと恋におち、たった一人で大組織に立ち向かう。凄絶なバイオレンスと究極のエロスを描く長編。<「野良犬の謝肉祭」改題作品>
  • 築地川・葛飾の女
    -
    銀座の老舗「森むら」を舞台に、少女が一人前の女になるまでを、旧家の誇りに生きる人々を絡めて描く「築地川」。師である日本画家・滝川清澄への思慕を絶つため、葛飾に嫁していった女弟子の懊悩を、水郷の景物を背景に美しく描く「葛飾の女」。胸奥に火を抱く、繊細で華奢な女たちの、ひたむきな生をうたいあげた、下町の感性を受け継ぐ女三代記の名作2編。
  • 会社人類学入門
    -
    本書は、現在ヤポネシア群島の一部分で生活する「ビジネス族」の宇宙観と行動様式を、『企業小説』と呼ばれる資料に登場する多様な人間像をもとに、調査=解析し1冊にまとめたもので、早い話が、アナタの上司や同僚の「集団的無意識」の奥底を、小説の登場人物のモデルへの取材をつうじて描き出した、会社人必読の書。KKニッポン族の生態とコスモロジー大研究。《両義的存在》であるミドルを描く『懲戒解雇』や『生命燃ゆ』、《異界》に挑むビジネスマンを描く『炎熱商人』など、経済小説を通して迫る、我ら会社人間の野性の思考!
  • 子どものための哲学対話
    3.9
    人間は遊ぶために生きている! 学校なんか行かなくたっていい。うそをついてもいい。クジラは魚だ。地球は丸くない。……ぼくの家の猫のペネトレは、そんな普通じゃないことばかり言う。でも考えてみると、ペネトレの言うことの方が正しいんじゃないかって気がしてくる……。子どもも大人も考え方が変わる、ペネトレとぼくの40の対話。 ※本書は1997年7月、小社より単行本として刊行されました。
  • 蝋涙
    -
    蝋の雫のような真珠のアクセサリー。それを見るたびに蘇る、密やかな思い……。若き日への感傷をつづる表題作をはじめ、娘の出生に疑問を持つ父親の愛憎を描く「渚にて」や、夫婦の日常を通じて「老い」を語る「冬の月」など。人生の深奥を見つめた、珠玉の名作7編を収録。第38回女流文学賞に輝く、自伝的作品集。この7つの物語の中にきっと、あなたもいる。 誰もが経験する、生と死、愛と性、青春と老い、そして希望と悔恨。
  • 欲望十字街
    -
    暴力とエロスの饗宴。バイオレンス短編集! おれは現ナマ以外は手をふれぬ「怪盗117号」。ある日忍びこんだマンションに、全裸の美女がいて、押し倒したのが運の尽きだったとは……。男の黒い欲望と女の赤い欲望が、汚れた夜空で交叉する十字街……。という表題作のほか、「夜の哄笑」「罠の報酬」など、傑作7編を強烈に収録。
  • 蜜と牙
    -
    義母を愛してしまった、中学3年の少年・敏彦――。ふたりの関係が濃密になるにつれて、敏彦の父に対する憎悪は、ますますふくれ上がっていく。そしてそれはある晩「まさに空に輝く勇士オリオンに啓示を受け」て、現実的な殺意へと変わる……という「オリオンの殺意」はじめ、禁じられた性と暴力のゆえに滅ぶ人間を描いた短編傑作選。表題作のほか5編を収録。
  • 風紋
    -
    東方食品株式会社の新製品は、大宣伝の結果、看板商品として浸透し、同社はたちまち、大企業にのし上った。しかし、サラリーマン社会の錯綜する人間関係の予期せぬ破綻が、会社の運命を大きく変える――新製品の開発とその成否に命運をかける、食品業界の内幕とマスコミの魔力! 一企業の繁栄と衰退を見事に描く長編。
  • 風の中の瞳
    -
    中学校は、高校の予備校か!――現代中学生にも共通する、進学・恋愛・友情の悩み、喜び……。東京郊外の、まだ武蔵野のおもかげを残す飛塚中学の生徒たちと、新任の先生との1年間の物語。新制中学3年生が直面した問題を、作者が作者自身の子供という身近な題材をえて鋭く描いた、感動の名品。
  • 写楽の謎の「一解決」
    3.5
    役者絵で名高い浮世絵師・写楽は、その生涯がまったく謎につつまれ、今日まで多種多様の人物像が描かれてきたが、その決着はついていない。本書は、美術に造詣の深い、日本文学界の巨匠である著者が、その鋭い分析と大胆な推理に基づいて、日本美術の点と線を明かす、興味深いひとつの試論である。
  • 紫の山
    -
    8年前、スイスの国境近い町で、自動車事故にあった夫。車を運転していたのは、日本人女性だった。その死に納得がいかないまま暮しに追われてきた歳月の中で、男との逢瀬が祥子の胸に、忘れていた甘い安らぎと希望を満たしていく……。という表題作のほか、「白萩」「変身」「隠れ谷」「双生」「二つの棺」「晩秋」を収録。揺れ動く微妙な女性の心の襞を細やかに描き上げた、全7作の名品集。
  • 殺し屋
    -
    一匹狼の殺し屋・谷一生は、太腿に牡丹の刺青を持つ女・由起を、裏の世界から操る黒幕・石井小三郎の手から匿(かくま)うことになった。しかし、立野組に裏切られ石井のもとに監禁された谷の目の前で、誘い出された由起が凌辱された。怒りが爆発した谷と暴力団との間で、凄惨な闘いの火蓋は切られた。長編ハードアクション! 恐怖の絶叫に血塗られたハード・バイオレンス。
  • 孤独な噴水
    -
    新人王をめざす若きプロ・ボクサーの孤独な戦い! 暗い家庭を逃れてボクシング・ジムに通う〈私〉は、連戦連勝、やがて新人王の有力候補にのし上がり、小さなジムの期待の星となった。だがある日、心の支えだった恋人が、何者かに暴行された。ボクシング界の内幕をえぐり、若者の愛と孤独を鮮烈に描く長編小説。
  • 京の小袖
    -
    結婚をめぐって揺れ動く女心をきめ細かに描き、高雅な香りあふれる短編小説集。忍ぶ恋に悔いのない生き方を想い、密やかな愛のなかで男の優しさを求める女の心情。「幻の辻ケ花」と呼ばれる家康着用の小袖を、京都・南禅寺でかつての恋人とともに見る知佐子を描く表題作など、現代の女の生き方を問う名品8編。
  • 下町の空
    -
    愛の波紋のさまざまを鮮やかに描く、恋愛小説集。芸大で邦楽に打込む陽子は、東京・築地川育ちの下町っ子である。先輩の新進演奏家との恋の行方を、青果仲買店「吉長」の暖簾に生きた祖父や、移りゆく町と人情への哀惜をこめて描いた表題作のほか、「舞台のあと」「青春の傷」「松の木の家」など、珠玉作9編を収録する。
  • 引き裂かれた夏
    3.0
    事件の発端は、奥多摩の山中で釣りに行く途中、全裸女性の暴行現場を男が偶然目撃したことだった。脅迫者からの執拗な暴行の後、娘を轢殺され、妻を凌辱殺害された男は、ついに復讐の鬼と化した。平凡な幸福を奪われた男が狼となったとき、誰も阻止できない。鮮烈なエロスとハードバイオレンスの長編傑作。妻と娘を殺された男は、狼と化して復讐を誓う!
  • 15年目の処刑
    -
    資産家に生まれた矢部徹は、幼くして両親と死別し、姉・今日子と二人暮らし。最愛の姉を金蔓として食い尽くし、身籠もった子まで殺して、死に追いやった弁護士・小関は、事情を知る徹をも消そうとする。15年の雌状を経て復讐の修羅と化した徹は、奴の罪なき妻や娘、息子を……。渾身のハード・バイオレンス! すべてをかけヤツを追いつめる。心を揺さぶる男の執念!
  • 天路 TENRO
    4.0
    人を殺した少年は、どうすれば、罪を償えるのか? 担任の中学女教師を刺殺してしまった幸雄は、児童自立支援施設を出た後、自らの罪を告白しながら、日本じゅうを歩いて周る「償いの旅」に出た。犯した「罪」の重さに値する「罰」とは何か? 暴力の連鎖を止め、残された者たちに、魂の再生が訪れる時は来るのか? 人を殺した少年の果てなきデスロード!
  • 恋ゆうれい
    -
    10年連れ添った恋女房が、交通事故で死んだ。悲嘆にくれる男のもとに、四十九日の法要の晩、妻が幽霊になって帰ってきた。生前と変わらず家事をしてくれる「恋ゆうれい」との、奇妙な同居生活が始まる。彼女は恨みはないと言うが……。危うい怖さのなかにある、せつない想い、涙、そして愛。もう一度会いたい。たとえ幽霊であっても……。<『ブルー・デビル』改題作品>
  • 戦場のニーナ
    3.8
    自分が拾われたのは戦場だったということ以外、両親の名前も、自分が何人であるかも、ニーナには分からない。しかし、ロシアへ遺骨収集に訪れたフクシマとの出会いが、ニーナに流れる日本人の血のルーツを呼び覚ました。エカテリンブルグから日本へ、ただひとりのロシア残留孤児・ニーナの、魂が震える究極の愛の物語
  • 奏者水滸伝 全7巻合本版
    5.0
    1巻3,300円 (税込)
    聖者と呼ばれた偉大な奏者は予言を残して死んだ。時は過ぎ、人を探し日本を旅する者たちがいた。北海道、沖縄、京都、川越で見出されたのは古丹、比嘉、遠田、猿沢の四人の男たちだった。僧侶・木喰の導きで集結した彼らは音楽業界を席巻した。 「奏者水滸伝」シリーズ・7巻合本 『阿羅漢集結』『小さな逃亡者』『古丹、山へ行く』 『白の暗殺教団』『四人、海を渡る』『追跡者の標的』『北の最終決戦』
  • 特殊防諜班 シリーズ全7冊合本版
    3.0
    1巻3,630円 (税込)
    宗教団体教祖の奇妙な誘拐事件が相次いで発生した。教祖たちは無事解放され、一様に何も覚えていない。だが、雷光教団・東田夢妙斎の事件は違った。真相を追う「首相の代理人」真田は、陰にある巨大な陰謀と遥か古代から受け継がれた血の伝承を探しあてる。『新人類戦線“失われた十支族”禁断の系譜』改題『連続誘拐』ほか。『組織報復』『標的反撃』『凶星降臨』『諜報潜入』『聖域炎上』『最終特命』。「特殊防諜班」シリーズ・7巻
  • 忘れ蝶のメモリー
    -
    記憶を1日に2日分ずつ忘れ、蝶に食べられてしまった彼女は、20歳の誕生日には、すべての記憶を失なってしまう。しかも、それは明日なんだ!! 不思議な少年といっしょに帆立貝転送機に乗った私は、忘れ蝶をさがして、記憶装置の迷宮へ……。取り戻したのは、彼女の?それとも私の記憶? 俊英が放つ異色の長編作。
  • 蔦燃
    3.0
    真砂子の前に、突然現れた、夫・光司の異母弟・末次郎。垣根に絡みつく蔦のように、友江の家にひび割れを作ろうとしているのか、復讐から始まった出会いは、白く透けるような肌を持つ真砂子をエロスに浸し、魔女のように変えていく。会わずにいられなくなった二人は……。鳥清恋愛文学賞に輝いた大人の名作長編。性愛が人の心を変える男女の物語。
  • 追放と自由
    -
    おれには生きる場所があるのか……。朝鮮人からも日本人からも疎んじられる、曖昧な存在に苦悶する、石時雄の叫びである。天皇へのテロを妄想し、自殺を計る長い苦悩の闇。焦燥や挫折の果てにみた、希望の光。日本人の妻の愛と友人の励ましを受けて、力強く再生の道を踏み出す、帰化朝鮮人青年の心の遍歴と成長を描いた力作。
  • 虫たちの墓
    -
    米軍将校を処刑した村井を縦糸とするこの長篇小説は、多彩なエピソードによって、戦中・戦後の時代精神、風俗を浮き彫りにする。今でも、B・C級戦犯容疑に問われた元兵士たちの胸の中を、なお、乾いた風が吹き抜けるのはなぜか? 生死を賭して戦場から辛うじて帰国した兵士たちを通じて、一兵士・一市民にとって国家とは何かを問うた問題作。
  • 海鳴りの街
    -
    30年近く「兄妹」として暮してきた義兄への愛が、日ましに深まっていく。苦しく重い試練に耐え、完璧な愛を求める稲子。義妹の愛に応え、この街に根を張ろうと決意する宏之。繁栄した過去の幻影が重くのしかかる運河の街・小樽を舞台に、「兄妹」から「他人」に昇華して、未来へはばたこうとする男女を描いた、本格恋愛小説。
  • 牡丹の庭
    -
    後添いとして14も年上の男に嫁いだ彰子は、家にも、夫と息子の日々の習慣にも色濃く残る先妻の幻影に怯え、とりわけ彼女が丹精した牡丹の庭に憎悪すら覚えるようになった。後妻に入った女性の微妙な心のゆらめきと翳りを、柔らかな筆で繊細に描く表題作はじめ、「白い打掛」「隅田川べり」など、女性のさまざまな生き方を情感溢れる筆致でとらえた7編を収録。清冽な抒情で心理の襞を描く純文学短編集。
  • リンゴの唄、僕らの出発
    -
    戦争は終わった。しかし、出征した兄は帰ってこない。肩身の狭い疎開の日々は、なお続く。不甲斐ない父と、変節する大人たち。少年は哀しみを抱きつつも、試練を乗り越え成長していく……。教科書に収録され読み継がれてきた、知る人ぞ知る傑作。戦後のあの青空と唄声が鮮やかによみがえる。
  • これは懺悔ではなく
    -
    傍目には誰もが羨む、大学助教授同士の夫婦。知的で経済的にも恵まれて。愛情のたぎる季節が過ぎた時、妻は偶然幼なじみの女性と再会した。少女時代、彼女によって植え付けられた不思議な心のしこりが疼き始めて──。女性の心と性の変容を大胆、そして緻密に描き切った表題作を含め、5作品を収録した秀作集
  • 大雪物語
    4.0
    ある冬、N県K町が観測史上初の99センチという豪雪に見舞われる。町民をはじめ観光客、仕事のため車でK町に訪れた人々は、駅や車中など長時間足止めを余儀なくされた。町、県、国レベルの除雪作業も追いつかず、町の深刻な状況から災害救助法が適用され、自衛隊の派遣も要請される。そんな非日常のさなか、紡がれる6つのストーリー。、避難所を設ける花屋、車に閉じ込められた人たちの救済支援にあたる自衛隊員、独居老人を救った青年の過去など、雪は冷たいからこそ、より一層心の温もりを感じられる短編作品集。
  • ウォーク in チャコールグレイ
    -
    都の西北にある大学の新聞学科に入学した山木信子は、新しい大学新聞の創刊を志す男子学生たちに交じって、キャンパスの周辺で新聞作りに励み始めた。蔦の緑濃くなる頃、初恋に心揺らぎ、悩みながらも信子は、ひたむきな学園生活を送る。60年代の青春群像を描いて今に甦る、早世した作家の自伝的長編小説。学生新聞の創刊にかける男女の愛と苦悩の日々は、チャコールグレイだった!
  • 密会
    4.5
    夜の林の闇の底で、彼女は、興奮のすぎさった後のけだるい体を横たえていた――。大学教授夫人・紀久子が、夫の教え子である学生との密会中に起った、思いもかけぬ殺人事件。女の心の中に渦巻く生々しい情念を、ミステリー・タッチで描く「密会」ほか、「動く壁」「目撃者」など、「男と女」を描く名短編9編を収録。
  • 仮面の火祭り
    -
    アル中気味の私立探偵・布施稔・47歳。生まれたばかりの子供ほ実の子ではなくすりかえられた、妻の浮気相手を捜してほしいと、ある日、妙な依頼人が現われた。調査を進めるうちに、人間関係は意外な方向へ展開し、やがて殺人事件が起こる……。はぐれ者の探偵が見た人生の一断面を、ミステリー・タッチで描く長編ロマン。私立探偵が暴いた意外な事実とは?
  • 一路
    5.0
    人間の業とは、かくも深く重いものなのか? 愛欲に身を任せ、夫を裏切りつづけた加那子の背信の行為は、21年の歳月を経て、どんな報いを受けるのか? 過ちのすえ生み落とした娘は、次男・聡との〈近親相姦〉の責めを負ってみずからの命を断つことに……。愛欲の深淵にひそむ人間の宿業と救いを、豊饒な筆に描く、丹羽文学の真髄を示す長編傑作。読売文学賞受賞作品。
  • 悪女軍団
    -
    息つく暇もなく展開されるセックス・アンド・バイオレンスの強烈シーン――。堀越組組長の堀越軍次を殺された妻の涼子と娘の真紀・昌子たちは、豊満な女体を武器に、つぎつぎに真犯人を責めたてる。燃え上がる官能と立ちはだかる巨悪の接点に、恐怖の叫びと快楽の呻きが飛び交うのだった。「儀式は終りよ。さあ、送ってあげるわ。地獄に」……。女の秘密兵器で悪魔の城に突撃し、美貌のママと娘たちが演じる死とエロスの復讐物語。巨悪に鉄槌を!
  • 秋と黄昏の殺人
    -
    「人が殺された。あなたのせいよ」……別れた妻からの突然の電話。放送作家の岩城浩平は、姿を消した元妻を探すが、何者かに襲われ、持っていた原稿を奪われた。残酷で淫らなビデオに映された「生け贄のイブ」という都市伝説の少女が、岩城を危険な迷宮へ引きずりこむ。愛と官能が渦巻く、長編サスペンス・ハードボイルド。殺人レイプ・ビデオに仕組まれた罠!
  • 薔薇の血を流して
    -
    オートバイに憑かれた、イギリス人の父親と異母弟たちに、突然呼び寄せられ、マン島の死のロード・レースに挑む、安城はるな。疎外し、拒絶しあう日英の家族チームを死闘に向かわせる、魔のレースの狂熱。マシンに憑かれた父娘の葛藤と激情。血と炎の歓喜を濃密に描く表題作のほか、異邦に捧げられた、若い日本女性の情熱の悲劇を語る、初期傑作集。
  • 恋愛さがし
    -
    学生時代に同棲し辛い別れを経た、阿沙子と伸行。一度は傷つけ合い別れた二人が8年後、夕方のラッシュの駅でバッタリ再会した。ビデオ作家として不安定ながら、自分の世界で生きていた伸行。別々の道を歩いていた二人の道がまた重なり合った時、その世界が揺れ始め、阿沙子はニューヨークへと飛び立とうとする。心模様を見事に描いた、長編恋愛小説。再び巡り会い、愛し合う男女の感情を描く!
  • 踊るひと
    4.0
    世にも不可思議な物語の扉がいま開かれる。死んだ姉に送られた義兄からの愛の書簡は盗作? 疑いを持った妹はたった一行の葉書を残して消えた。という表題作「踊るひと」をはじめ、7つの短編の迷宮。変幻自在に妖しい魅惑の旋律を、直木賞作家が奏でる。あなただけのお耳に届けましょう──。変幻自在に奏でる短編の妖しい魅力! <『あなたのお耳に』改題作品>
  • 泥棒たちの昼休み
    -
    刑務所内の木工場、45分しかない昼休み。8人の泥棒たちが、思い思いに自分の過去を語りだす。結婚詐欺、金庫破り、暴行致傷、ノミ行為……。その塀の中の懺悔の告白には、ドジあり、未練あり、なんとも可笑しく、ホロッとさせる哀愁がただよう。裏人生の泣き笑い、「罪と罰」の顛末、そして人生の機微がここにはある。数多くの名作を生み急逝した著者が、最後に遺した短篇小説集。
  • 死体置場は空の下
    -
    親切、確実、迅速、果敢、そして誠実をモットーとする久里十八探偵事務所。最低の料金で最高の調査、久里十八はあなたの味方です、などと格好のいいことをいっているが、腕のほうはなんとも頼りない。いつもフリーの私立探偵・佐久の力によって、事件が解決されている。この対照的な二人のコンビが活躍する、コメディ仕立ての連作推理小説。
  • 死んだ夜明けに
    -
    インテリヤクザの佐度井が絞殺された1ヵ月後、佐度井の友人・宮下の婚約者が、同じ手口によって全裸のまま絞殺された。事件の真相を究明する佐度井と宮下の学校時代の友人・石津は、自分も生命をねらわれていることを知り慄然とする……。という表題作「死んだ夜明けに」のほかに4篇。いずれもハードボイルドの傑作。
  • 死もまた愉し
    -
    「余生だから、まず1年、目いっぱい新鮮に生きること」――数々の名作を生んだ著者が、死の直前に語った「人生最後の志」。澄明な語り口の中から軽妙さが鳴り響く。〈まだ生きてゐるかと蚊にも刺されけり〉これは諦念ではなく、死さえ愉しくしてしまった強(したた)かさだ。遺された珠玉の句集「歳月」「余色」も併録。死と対峙して語る生への「詩と真実」!
  • 死の報酬
    -
    社長令嬢で、元映画女優だった女性の突然の失踪、そして彼女と思われる変死体。同じ日、彼女を愛人にしていたテレビ俳優が、死体となって発見される。が、その死体は何処ともなく消えさってしまう。御存じ私立探偵・佐久と久里十八の名コンビが、男女の死体をめぐって大活躍をする、ユーモア・サスペンスのヒット作。
  • 午後の砲声
    -
    1巻660円 (税込)
    パレスチナ解放勢力とイスラエル軍がきびしく対峙するレバノン南部――日本人ジャーナリスト峯元彦は、PFLPのコマンド隊の軍事行動に参加。銃弾の飛び交うベカー高原、火を吹くカラシンコフ自動小銃、轟く対空砲火……。戦争の悲惨さと人間解放の困難さを目の当りにした峯は、それでも戦火の中で真の自由と解放を獲得する道を探し求めた。戦火のレバノンで戦う男たちの革命と愛の讃歌!
  • 夏目漱石・美術批評
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 大正1年、夏目漱石は、文部省主催の官設美術展の会場を訪れ、批評「文展と芸術」を残した。それは、漱石の、まとまった形では唯一の、美術批評であって、風雲の時代を背景にして、美術史上、重要な証言であるとともに、諷刺と諧謔にあふれた叙述、作品への誠実な対応とによって、美術に親しむ恰好の案内役となっている。
  • ルイジアナ杭打ち
    -
    父親の仕事の都合でルイジアナ州バトンルージュで暮らす日々を、両親や周囲の人々、風物を、少年の目を通して書きとめた新しい形式の短編集。深南部(ディープ・サウス)に住む異邦人としての非適応感覚を、クールに、しかもユーモアも交えて捉えた意欲作。野間文芸新人賞受賞の表題作に、群像新人賞の「ジパング」を併録。
  • メロンと鳩
    -
    「生と死」をドラマチックに描く短編小説集。処刑を目前にした死刑囚と面接委員との心の交流を鮮やかに描いた「メロンと鳩」、毎月数十人もの自殺者が飛びこむ断崖をひかえた村を舞台に「その瞬間」を警察官の子供の眼からとらえた「島の春」など、吉村昭の多彩な小説世界のエッセンス10編を収録する。
  • スケバンのいた頃
    4.0
    2年10組、42人中、8割方が、暴走族の集会に集まるワルそなやつらばかり。なかでもスケバンのノンコは、女教師に目つぶしを食らわすほど。そんなクラスに産休代理で、新任熱血教師・江(こう)健一が赴任した。もちろんその後は、難儀なことばかり。江の熱い想いは、ノンコや生徒たちに伝わるのか。中場流青春学園小説。熱くて悪いか! スケバンvs.熱血教師。
  • 心はいつも荒野
    -
    階段から落ちて頭を打ち記憶を喪った男。気がついた時には、重しをつけて海に沈められそうになっていた。いったい私が何をしたというのか? そして私は何者なのか? 混乱と焦燥の中で私が掴んだ複数の事実は、自分が有名人らしいと告げていた……。人間存在の根幹に迫る、ノンストップ・サスペンス。私は誰? なぜ私は命を狙われるのか?
  • 百合の心・黒髪 その他の短編
    -
    九州高速道路パーキングエリアに始まる、バラバラ死体遺棄事件。交友関係のもつれによる事件の経緯を私は「黒髪殺人事件」として書こうとしていたが、その企画は打ち切りとなってしまった。しばらくして届いた亡き友の講義録「黒髪考」をひもとくうちに……。というブッキッシュな作品「黒髪」を含む、初期傑作短編自選集。
  • アイスクリン強し
    3.5
    西洋菓子は開化の夢――。 明治の築地居留地近く、甘い香り漂う風琴屋(ふうきんや)。今日もまた、お菓子目当ての若様たちが集って嵐が巻き起こる! お江戸が東京へと変わり、ビスキット、アイスクリン、チヨコレイトなど西洋菓子が次々お目見え。築地の居留地で孤児として育った皆川真次郎は、念願の西洋菓子屋・風琴屋を開いた。今日もまた、甘いお菓子目当てに元幕臣の警官たち「若様組」がやってきて、あれやこれやの騒動が……。キュートな文明開化(スイーツ)物語。
  • 若様とロマン
    3.8
    明治二十三年、ミナこと皆川真次郎は西洋菓子店を開いた。店には、旧幕臣の「若様組」の面々や、女学校に通うお嬢様・沙羅が甘い菓子と安らぎを求めてやってくる。しかし平和そうに見える世の中に、不穏な空気が漂いはじめていた。数年以内に“戦争”が始まるかもしれない――。 明治になって現れた「成金」のひとり、小泉琢磨は、戦へと突き進む一派の意向を押さえるべく動いていた。が、このままでは開戦派のやりたいようになってしまうという懸念から、今いる仲間以上に人を集めようと考える。 その秘策がなんと、「若様たちのお見合い」だったのだ! はたしてその成り行きは――?
  • 若様組まいる
    3.8
    明治二十三年、ミナこと皆川真次郎は西洋菓子店を開いた。店には、旧幕臣の「若様組」の面々や、女学校に通うお嬢様・沙羅が甘い菓子と安らぎを求めてやってきた。その少し前――。徳川の世であれば、「若殿様」と呼ばれていたはずの旧幕臣の子息・長瀬とその友人は、暮らしのために巡査になることを決意。今は芝愛宕の巡査教習所で訓練を受けていた。ピストル強盗の噂が絶えない物騒な昨今、教習所でも銃に絡む事件が起きた。若様組の他、薩摩出身者、直参で徳川について静岡に行った士族たち、商家の子息たち、さまざまな生徒に、何やら胡散臭い所長や教員を巻き込んで、犯人捜しが始まる。大好評『アイスクリン強し』の前日譚。
  • ルパンの娘シリーズ 3冊合本版
    4.0
    1巻2,200円 (税込)
    テレビドラマで話題沸騰!  「ルパンの娘」シリーズ3冊(『ルパンの娘』『ルパンの帰還』『ホームズの娘』)をセットにした合本
  • アメリカの夜
    3.9
    新次元への扉を開く小説の最進化形! 本当の自分を勝ち取るため、青年は頭と体を鍛え闘いの火蓋を切る。 映画学校を卒業し、アルバイト生活を続ける中山唯生。芸術を志す多くの若者と同じく、彼も自分がより「特別な存在」でありたいと願っていた。そのために唯生はひたすら体を鍛え、思索にふける。閉塞感を強めるこの社会の中で本当に目指すべき存在とは何か?新時代の文学を切り拓く群像新人文学賞受賞作。
  • カイジ ファイナルゲーム 小説版
    3.5
    シリーズ累計2100万部を誇るギャンブル漫画の金字塔『カイジ』藤原竜也主演映画化第3弾は、原作者福本伸行自ら脚本に携わり、オリジナルストーリーを考案。全く新しい4つのゲーム【バベルの塔】【最後の審判】【ドリームジャンプ】【ゴールドジャンケン】が登場し、ファン垂涎の手に汗握る展開が繰り広げられる。
  • 大原御幸 帯に生きた家族の物語
    3.0
    「父がほんまに愛し抜いてくれたんは、このうちだけや」帯で栄華を極めた男と、父に心酔する娘。贅沢に彩られ昭和の激流を生きた、濃厚なる家族の歴史。着物黄金時代の京都、帯の意匠で一時代を築いたうちの父は、ほんまに立派な人やった。戦中は東条英機はんの私設秘書として飛び回り、戦後の活況で稼いだ財産は、祇園や道楽できれいに使う。あんなに辛い目に遭っても生きてこれたんは、みんな父のお陰や。濃厚な家族の歴史を、きらびやかに描き切る会心作!
  • 森家の討ち入り
    4.0
    赤穂四十七士――その中に、津山森家に縁が深いものたちがいた。神崎与五郎、横川勘平、茅野和助。彼らはそれぞれの理由から、赤穂藩主・浅野長矩に仕え、刃傷事件からの吉良邸討ち入り、そして最後は帰らぬ人となった。忠義のために生きた彼らと、そこには彼らを支える、「女」たちの戦いもあった。それぞれの忠義のために、己の生き様を貫いた男と女の姿が、そこにはあった――。新たな忠臣蔵の傑作が、ついに登場。『与五郎の妻』ゆいは5年前まで江戸詰めの夫と目黒の下屋敷で暮らしていた。ところが騒乱のせいで津山森家が改易、夫とは離縁を余儀なくされる。一度は実家へ戻ったゆいだったが、再び嫁ぎ、今は江戸作事奉行の妻となっていた。前の夫―神崎与五郎の消息は分からぬまま、日々淡々と過ごしていた。そんなゆいのもとに、謎の人物から、森家の家紋が入った扇が届けられた。一体誰が、何のために。そして前の夫は――。『和助の恋』国家老の密命を帯びた茅野和助は先代の死去に伴い、津山森家の家督を継ぐことになった式部衆利のもとへ急いでいた。その道中、何ものかに襲われる。そこに通りがかった、赤穂浅野家の陣屋に住まう郡奉行・吉田忠左衛門一行により助けられる。そこで和助は手厚い看護を、伊登から受ける。『里和と勘平』里和は津山森家存亡の危機を阻止するため、御犬小屋に忍び込んだ。そこで出会ったのは、かつて思い合っていた横川勘平、その人だった。遂げられれなかった思いが再燃する二人。だが、今は立場があまりにも違う二人がとった道は――。他2編収録。
  • 黒い巨塔 最高裁判所
    3.3
    いま初めて暴かれる最高裁の闇! 最高裁新任局付判事補・笹原の見た司法の聖域は、裁判官の思想統制のための牢獄(ラーゲリ)だった! 裁判官を左遷し判決の方向を差配する最高裁長官、絶大な権力を振かざす我が物顔の事務総局。司法の中枢最高裁判所内では醜悪な権力抗争が煮えたぎる。「法の支配」とは無縁の上命下服の思想統制に、司法エリートたちは次々と屈服していく。最高裁の中枢を知る元裁判官の城山三郎賞作家が、司法の真実を暴く権力小説。 解説:ノンフィクション作家 清水潔
  • 新装版 京まんだら(上)
    -
    1~2巻990~1,012円 (税込)
    京都の旅館に集まったのは、出版社社長・植田敏子と姪の律子、随筆家・菊池恭子、カメラマン・関なおみの女性4人。それを迎える祇園のお茶屋「竹乃家」の女将・雪村芙佐。『古都旅愁』という豪華本の打ち合わせを兼ね、京都でいっしょに年を越そうという目的だった。/敏子は7年前に夫と死別。その遺産で出版社を立ち上げ成功を収めるが、女性としてもやもやしたものを感じていた。/恭子は10年前にベテラン作家と不倫に走った、つらい思い出を抱えていた。/なおみは4年のブランクを乗り越えて、妻帯者だった男性との恋を実らせようとしていた。/そして芙佐。14歳でお茶屋に入り、20歳そこそこで独立して「竹乃家」を祇園で指折りの店に育て上げてきた。──彼女たちの恋情や、芸妓・舞妓の生き方を縦糸に、京都の四季の移ろいや名所の風情を横糸にして、曼荼羅のように華やかに織り込んだ名作。季節は、冬から春へ……。
  • 我々の恋愛
    -
    20世紀最高の恋愛は、間違い電話から始まった! 2001年、日本の山梨で『二十世紀の恋愛を振り返る十五カ国会議』が開催され、世界中の恋愛学者が集まった。そこで「20世紀最高の恋愛」としてグランプリに選ばれたのは、日本のありふれた若い二人の、世にも不器用で奇妙な恋だった――。1995年の日本から2001年のアメリカへ、電話線とネット回線がつなぐ、時代の転換点に生まれた恋の物語。作家・クリエイターとして幅広く活躍し、『想像ラジオ』(野間文芸新人賞受賞)で大きな注目を集めた、いとうせいこうの本領発揮、多面的な魅力に満ちた長編小説。
  • 和解・小僧の神様 ほか十三編
    -
    透徹した人間観察の眼で、生命観にあふれた独自の世界を築き、格調高い近代日本文学の典型を創造した志賀直哉の初期中短編集。表題作のほか「網走まで」「城の崎にて」など13編を収録。原本に、志賀直哉を正しく理解するための数編の短篇と自筆の絵などを加えた完全版。
  • 単身赴任
    -
    金銭に細かく、けちで厚顔な徹底した仕事第一主義のビジネスマン。そんな上司の人間味と悲哀を部下の好意の目でとらえた表題作。偏執的なパトロンの籠から翔びたとうとするバーのマダムの重い人生を描いた「三宅坂渋滞」。ほかに、「時雨るゝや」「逃げの平賀」など、男と女の出会いと別れの人生を、著者独特の息づかいの中に描く、全9編を収めた絶妙の傑作短編集。
  • わが町
    -
    いまは失われた大阪の町並みに道筋に、ユニークな人物がぞくぞく立ち現れる。人間くさく、おかしく、ぶきっちょで、ペーソスにみち、そしてついにいとおしい人間たち。過ぎ去った幼なかりし若かりし季節、そこで出会い別れた愛すべき人々へのいちずな思いをうたって、笑いと涙を呼ぶ人間讃歌。連作長篇の名品。
  • ピラミッド社会の底辺から
    -
    企業組織の力を個人の力として錯覚し、転落するエリート。通勤を急ぐあまり路上の病者を死なせてしまう、群衆という名の殺人者。身分をひた隠しして男性社員との恋を謳歌した、社長令嬢の誤算。――ビジネス社会の残酷な底辺でうごめき、出世や左遷、そして屈辱の日々を送る、サラリーマンの生きざまを考現し、痛烈に描破した、掌編小説集。
  • としみつ
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 おかあさんと「としみつ」チャン。せんせいと「としみつ」くん。「まり子」と「としみつ」……「ねむの木学園」のとしみつチャンが、7年間の間に、宮城まり子さんと交わした、「手紙」と「絵」と「作文」を、1300通をこす中から選び、まり子さんの返事とともに、に小さな画文集にして、あなたの、やさしさに、おくります。「絵」64点&「手紙と文」55編の小さな画集――愛と祈りのデュエット!
  • 作者の家 黙阿弥以後の人びと 〈第一部〉
    -
    河竹黙阿弥の死後、長男をさしおき、娘・糸女が歌舞伎作者の家を継ぐ。相続や著作権をめぐるトラブルに巻きこまれながらも家を守る、生涯独身で謎的な女丈夫だった糸女。そして坪内逍遙の仲だちで、養嗣子・繁俊をむかえることになる。曽祖父・黙阿弥への想いと綿密な考証を重ねつつ、孫として演劇史家として渾身の力をこめ、糸女の「女の一生」と河竹家の歴史を描いた、実感的近代史。読売文学賞受賞の名作。
  • 負け犬
    -
    生き急ぎ、駆け抜けてきた。そんな風にしか生きられなかった人生を振り返ったとき、確かめずにいられない「過去」が浮かび上がる。死んだ友、別れた女、振り切るようにして捨ててきた故郷。今も胸に残る思い出を頼りに、再び訪ねゆく先は……。著者の心情が最も強く投影された、抒情豊かな8編の作品集。捨てたはずの過去、胸に迫る短編集。
  • 約束の土地
    -
    5年前に在日朝鮮人の組織を離れ、文筆活動に入った作家・重吉。南北に分断された祖国をもち、二重言語生活者として創作に従事する重吉の苦悩。日本という異国での生活を余儀なくされている困難な状況――。「約束された土地」を求め、祖国統一の日に向かって生きる在日朝鮮人のたぎる想いを描く、入魂の力作長編。
  • 同行百歳
    -
    安穏で平凡な道を望みつつ、しかし、妻と歩いてきた道は、けっこう波風が立ち、危険に満ちていた。今、よくやったじゃないかと、自分に拍手を送ってやりたいような気がしている――という表題作はじめ、来し方を思いながら、生きることの辛さに涙し、楽しさに心を暖め、人生の意味を探る、味わい深い名品11篇。男の涙の履歴書!
  • 婚約
    -
    「弱っちゃった。焦っちゃうの。最後の最後に来てこうですから」とっくに相手と同棲してしまっている息子の結婚を控えて、微妙に揺れ動く父親の心理を、哀歓をこめてユーモラスに描く表題作。筆者の青春に色濃く影響を与えたおでん屋について書かれた「たにし亭ありき」、他にイタリアの画家ボッカッチの絵にまつわる「一枚の絵」など、人生の味わい深い、哀歓と滋味にあふれた傑作短編集。全12編収録。
  • 記憶のなかに
    -
    靖国神社に近い坂道のそばにあった母の美容院。皿の底を頭に叩きつけられて泣く病弱の姉。出征の演説を小さな声で三言しか喋らなかった兄。――戦中から戦後へと、成長する童女の犀利な感性がとらえた、生活の微妙な陰影と心の動きを、詩的な散文に凝結させた表題作のほか、3篇を収録。芥川賞作家の第一創作集。
  • バラガキ 土方歳三青春譜
    3.9
    「どんなことをしても勝ちゃいいのさ」と、うそぶく男は、その名も土方歳三。茨のような鋭い棘を持った悪童、さわると棘で怪我をする危ないヤツ、だからバラガキ、と呼ばれている。攘夷が叫ばれる江戸を舞台に喧嘩三昧、そして京の街でもひと旗あげようと勢い込む。ナカバ的解釈の痛快新選組・青春グラフィティ。江戸で大暴れの新選組、京でもひと旗あげてやる!
  • 復活祭のためのレクイエム
    -
    <言語>と<笑い>にあふれる、群像新人賞受賞作。――窮極のキャッチフレーズ「買って」! これをオカマのセーラちゃんに教えられた、コピーライターの僕。あらゆる言葉になることができたし、あらゆる物になることができ、メタモルフォ-スをくり返す、W1―ダブルワン。そしてオカマに変身してしまった「彼」の、愛と笑いにあふれた物語。一分ごとの笑いの激流におぼれないで、最後まで「読んで」!?

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