成瀬は自意識だけで世界を押し切っていく人物に見えた。でも不思議と嫌味にならない。近くで見るほど超人ではなく、偏りや不器用さを抱えた一人の人間が浮かぶ。そんな成瀬のそばに島崎がいる。その関係は青春のきらめきというより、他人と並んで生きることの奇跡に近い。
私も以前、地元の友人とM-1に出た。目標にした同い年の芸人のコンビが優勝し、私たちは一回戦で負けた。あれから8年経ったが、今はその友人と仕事をしている。蒔いた種のうち、漫才の芽は出なかったが、別の何かが私たちの縁をつないだ。ジジイになっても、成瀬と島崎のように笑い合えるだろうか。