窪美澄のレビュー一覧
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「真夜中のアボカド」は、婚活アプリで知り合った相手のことで悩む女性。人と関わりを深めることの難しさがじわじわと。自分の気持ちは、その時々で、自分が一番いいと思う方法で伝えていいのに。
「銀紙色のアンタレス」は、16歳高校1年男子の夏休み。同年代や大人の女性に向ける眼差しが、懐かしいような、こそばゆいような。この年頃の若者の発する言葉はストレートで残酷なんだな。
「真珠星スピカ」は、辛いことが身近で起こる中1の女の子。そばにいる人が鈍感なので、強くあろうと頑張ってしまうのが痛ましい。人は悲しい時には我慢しないでしっかり泣ききったほうがいい。
「湿りの海」は、妻子に捨てられ、知り合った女性とも何故かすれ違ってしまう男。わかっているようでわかっていないんだよな、この人は…という女性たちの声が聞こえてきそう。
「星の随に」は、親の離婚と再婚によって心が揺れ動く小4の男の子。何故こんなにも気を使うの。切なすぎて大人の身勝手さが悲しくなる。男の子が優しさを失わず少しずつ成長していってほしい。
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「恋愛」をテーマにした
5名の作家さんによるアンソロジー
収録は以下の5作品
「あなたが大好き」 奥田英朗
「銀紙色のアンタレス」 窪美澄
「アポロ11号はまだ空を飛んでいるか」 荻原浩
「ドライビング・ミス・アンジー」 原田マハ
「シャンプー」 中江有里
窪美澄さんの作品は『夜に星を放つ』で既読だったが、好きな作品なので再読した。
他作品は、私は初めてのものばかりだった。
どの作品もそれぞれに趣が違っていて、個性豊かで、色々な恋愛模様がたのしめる。
こんなに大当たりばかりのアンソロジーは、なかなかないと思う。しいて選ぶなら、私は荻原浩さんの作品が特にグッときた。
読んでいて気恥ずかしくなるような、胸キュン恋愛小説が苦手な人も、これは安心して読めると思う。
そして『恋愛仮免中』というタイトルもなかなか粋だ。
幾つになっても、男性も女性も、こと恋愛においては
仮免中の時が、一番たのしいんだろうな。
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ネタバレおまえが死んだら、僕はどうやって生きていけばいいのか!
ありふれた言葉なのになぜか沁みてしまった。
橘だけでなく、水本もそう思ったんだろうと。
なのに男たちは礼子を悪く書く。愛しているのに悪く書く。
今の男たちも、自分の愛している人の悪口を友達に言うのだろうか。
女たちも自分の愛している人の悪口を言うのだけれど。
愛していることをいうと場が白ける。
馬鹿らしいなと思う。
悪口を言うとほんとうになるかもしれないのに。
あいつは毒婦だとか。
そんなことはないのに。そばにいたらわかるのに。
そう思い込みたいだけ。
愛は思い込み。
思い込んだまま、自分に暗示をかけて、愛しきって欲しい。
おじいさんになっても、おばあさんになっても。 -
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家族は何がどうあればうまくいっている、と言えるのだろうか。
当然のことながら人間が生まれて育っていく過程には教育だったり労働だったりその他いろいろなことに関わるし、その関わることのしわ寄せがすべていくのが家族という場なのだろうと思う
それだけいまのこの社会では家族や家庭で担わなければいけない役割が大きすぎる
求められる夫像や妻像、父親像、母親像、はては子どもの理想的な姿までもが社会から無言の圧力で求められ、そこから弾かれた場合のケアは家族がすることになる
それなのに労働時間は長く、各家庭の働き手は時間もきつくて余裕なんてない
家族にしわ寄せがいくとどうなるか、社会とのコンフリクトの狭間で揺れる人たちを窪美澄さんが描いた。社会への批判的な視座を保ちつつ、作中で生きている人物たちは必死で愛おしく映る。
背中を撫さすってあげたくなるような、この人の行く末を見守らずにはいられないというような人物だし、そういう物語が上手な作家だと思う -
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48才美容皮膚科医の主人公が14才歳下の男性と恋に落ちる話。こういう設定の本を初めて読んだので新鮮だった。
自分は成人さえしていればひとまわり以上歳下の男性を好きになってお付き合いしたっていいじゃないかと思ってしまうが、人によっては年甲斐もなく恥ずかしいと思うのであろうか。
短い人生。自分が好きになった人が自分のことを好きでいてくれることがどれほどの奇跡かと思うから、年齢になんてとらわれる必要ない。雇われ院長として仕事もバリバリ頑張る主人公に肩入れして、応援して読み進めていた。そのため、後半の展開がつらすぎて絶望、気分悪すぎて目眩してくる。わたしだったら立ち直れない、人生おしまいくらいの出来事が起こっていろんな人から好き勝手言いたい放題言われるけど、一言も言い返さず黙って耐え忍んだ主人公がやっぱり伊達じゃないなと…剛鉄の女って感じ。そりゃアナタ男なんていらんよとなった。でも最後、救いがあってよかったと思う。信じてくれる人は信じてくれるんだなと思った。 -
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窪美澄さんの描く女性って、なんでいつも無様で必死で愛おしんだろうなと思うんだけど、それはきっと出てくる女性が自分の意思を持って、自分で選択したという事実を揺るがないものとしているからだろうと思う
選択したことが上手くいってもいかなくても選んだのは自分、それが何より自分の尊厳を守る。モデルは長谷川泰子で中原中也と小林秀雄との関係で知られている
長谷川泰子は二人の男を弄んだ毒婦と言われることが多いが、彼女にも晩年というものがあり、ただ二人の男のあいだにいた女というわけではない。その後の彼女の人生はどんなものだったろうというのを恋愛小説の名手である窪美澄さんが血肉の通った一人の女性として描いてくれた
彼女の懊悩も喜びも、いずれもが鮮明で読んでいておもしろかったし、ラストの場面は想像したら美しくて震えた。最後の最後にああいう場面を持ってこれることの思い切りの良さがかっこいいと思った -
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努力して才能を開花させた2人の女。共に伴侶がいる。1人は夫との生活を築くために働き、もう1人は子供も母親も養うために身を削る。それでも、夫や子供には疎まれる。一方、専業主婦として家族を支えている女。夫が働いて生活費を稼いでいる。それが臆して遠慮がちに日々を送る。稼ぐ/支えるどっちの立場だろうが当人がどちらかに大きく振れてしまうと噛み合わなくなってしまうのか。どちらが稼ごうが有名になろうが気にすることなく支え合って行くことは難しいのか?お互いを思うあまりの結果が幸せで無いのは何とも言いようがない。次の世代がそれを反面教師にして人生を楽しむべし。