窪美澄のレビュー一覧

  • さよなら、ニルヴァーナ

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    何度も何度も読んでしまう。
    私が少年Aに興味を抱いているからだろうか。
    うんん、違う気がする。
    なぜだかこの小説を読んでいると、私自身の中身も洗い出されているような気がして、苦しくて、たまらなくなる。
    普段の倍以上ひとつひとつの文章に感情移入してしまう。

    話自体が面白いかと言われたら正直分からない。
    ずっと地獄のようなぬめりがまとわりついてくるし、事件のことだけでなく書くということ、夢を見るということすらも地獄なんじゃないかと思うほどずっと暗い。

    あとなぜ参考文献に元少年Aの手記がないのかと思ったけれど、これが出版された少し後に出されたからなんだね。
    結局は創作だから当たり前なのかもしれな

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    2024年10月16日
  • タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース

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    時代を外れた団地
    親に捨てられた姉妹
    夜間の高校
    何となく暗い背景…
    重いテーマで進むストーリーだが
    登場人物たちが それぞれ個性的で
    色んな辛い事情を抱えてる子たちだけど
    頑張っていて
    応援しながらどんどん読めた

    主人公のみかげは
    病弱で臆病だけど人に優しく、
    かける言葉も素敵でハッとした。
    団地でぜんじろうさんと出逢い
    少しずつ強くなっていくさまが とても胸熱だった。

    この作品では死を連想させる団地だが
    ここで生まれ変わった登場人物たち
    最後は前向きに、清々しいラストだった。

    窪美澄さんの作品は 本当にバリエーション豊かで すごいと感じた。

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    2024年10月09日
  • さよなら、ニルヴァーナ

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    神戸で起きた女児殺害事件を題材に、加害者の少年、被害者の母親、犯人を崇める女子、実録小説を書かんとする作家志望の女の各視点から罪と罰に迫る。人間のリアルな感情をシビアに表す著者の持ち味が発揮された力作

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    2024年10月05日
  • 雨のなまえ

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    人の嫌な部分が
    雨のじとじとっとした感じと相まって
    どんよりした気持ちになる読後感。

    嫌な気持ちになるのに中毒性ある感じがして
    私は好みでした。

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    2024年10月03日
  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)

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    薄皮一枚で繋がっている生というか、常にどんな人も死と隣り合わせで、その中でなんとか生きれるなら生きていく。

    『僕は死なない。たぶん。』
    というラストが印象的だった。
    『たぶん』と最後につくことで、ものすごく現実味あふれる話になった気がする。

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    2024年10月03日
  • ぼくは青くて透明で

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    出会って、どうしようもなく引かれあってしまった海と忍。
    高校生であること、同姓であること、過去にとらわれていること、異質なものを受け入れない土地であること…。息も思うようにできない二人の息苦しさが痛いほど伝わってきました。
    彼らを取り巻く登場人物たちの生きづらさも丁寧に描かれていて、「これは、私だな。」と、共感する人も多いのではないでしょうか。
    章毎に語り手が変わりながら、話しが時系列に沿って進んでいくのもよかったです。

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    2024年09月24日
  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)

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    家庭環境に恵まれず、生きづらさを抱えた3人が偶然にも出会い、クジラを観に行くことになる。由人が突拍子に「せめてあの迷いクジラを観てから死にましょう!」と野乃花に言う流れが強引で若干無理があり、ツッコミたくなるのだが、極限状態になったら人間何を思いつくか分からないもの。こういう展開は現実にあるのだろう。

    3人が出会いクジラを観に行くまで、それぞれの人生が各章で詳細に紹介されているのだが、描写がとても直球でストレート。壮絶な経験を重ねる中で、悔しさ・惨めさ・反骨精神・諦めといった感情を抱え、時には押し殺しながら、3人が静かに1人で戦ってきた様子が描かれている。

    苦しんできた3人が行動を共にする

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    2024年09月22日
  • 朔が満ちる

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    それぞれ違った苦しみを経験した2人だからこそ、分かり合える何かがあるのだと思う。確実に。
    自分が経験した嫌な出来事を、自分の子供には経験させたくないってものすごく共感だなあ。

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    2024年09月08日
  • ぼくは青くて透明で

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    ネタバレ

    良かった。等身大の恋愛を当人たちとその周りの人たちの色々な視点から知ることが出来た。
    これも、フィクションだから実際の世界とはもちろん全然違うと思う...が、それでも忍のような海のような璃子のようなキャラクターに出会えてよかった。
    学生から大人になる成長の過程に、世で当たり前、普通とされている色々プラス''同性愛者''っていう特にこの国ではまだまだ浸透していない、異色の目で見られるものと一緒に生きていくのは辛かっただろうと思う。でも、忍がこのまま殻に入ったまま生きていくのはもっともっと困難だったように思う。海が来て、海が一緒だったから忍は生きられたんだな

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    2024年09月07日
  • 朔が満ちる

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    主人公の横沢史也の父親は、普段は物静かな性格なのだが、酒が入ると人格が豹変し、母親と息子の史也に暴力を振るっていた。
    3歳年下の妹の千尋は、極度の恐怖からか原因不明の視力がなくなる症状が出てしまう程に、家庭は既に崩壊していた。
    しかし母親はじっと耐えているだけで、子供二人を何とか守ろうとする姿勢は見えなかった。
    史也はそんな母親に不信感を抱きつつも、父親の暴力から弱い母親と妹を守らなければと、子供ながらに使命感を感じていた。
    ある日、父親の酷い暴力に反抗した史也は、その後に母親の姉宅で生活することになる。
    その理由は、14歳以下の犯罪は罪を逃れることができるということを知っていた史也は、薪割り

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    2024年09月06日
  • ははのれんあい

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    夫の実家が経営しているミシン工房を手伝っていたけど、妊娠・出産を機にお休みしなければならなくなった。
    その後またミシンを踏みたいと復帰を願い出るも業績不振でそんなに仕事が無いと。
    それならばと他で仕事を探すも夫からは「子供より仕事が大事なのか」と言われてしまう。

    だんだんすれ違って行く2人。

    何がいけなかったのだろう?

    後半はそんな親をもつ長男の智晴の話。

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    2024年09月06日
  • ぼくは青くて透明で

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    普通に臆することなく、自分を表現できる海が、純粋で眩しかった。心から愛し育てられれば、揺らぐものがないのだな。信頼できる人に育てられることは、子供にとってとても幸せなのだ。
    BLが加わったお話し。少し身構えながら読み進めたが、とても読みやすく、先が気になってどんどん引き込まれました。登場人物たち各自の視点で、心の葛藤、移ろいが繊細に、かつ人物が個性的に描かれていました。登場人物の気持ちに一喜一憂、痛いほど伝わる。特に、美佐子、璃子の章が良かった。
    子供には自由に生きてほしい。しかし自由は意外と難しい。子育て、家族、そして愛情の形をつい振り返ってしまいそうなお話し。緑亮の最後の展開は、自分的には

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    2024年08月30日
  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)

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    3人の主人公が抱える絶望感に心苦しくなりながらも、それでも生きようとする3人の姿に救われたような気がした作品でした。

    本作の主人公は3人いて、1人はデザイナー会社に働く由人、そのデザイン会社を経営する野乃花。そして高校生である、正子。この3人は自らの境遇に深く絶望し、自ら命を断つことを考える。そんなおり、ニュースでクジラが座礁したと知り、人生の最後としてそのクジラを見に行くことにするというストーリー。

    まず素晴らしいと思ったのは、3人の抱える絶望的な境遇の描写です。親の愛情から見放される描写、窮屈な島暮らしの中で、若気の至りで子どもを妊娠してしまう描写、親の過保護が行き過ぎてしまい、親に縛

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    2024年08月28日
  • 水やりはいつも深夜だけど

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    色んな家族の物語、人々の悩みや葛藤を描きながらもホロッとする内容だった
    特にかそけきサンカヨウが好き

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    2024年08月12日
  • さよなら、ニルヴァーナ

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    ネタバレ

    何冊か窪美澄さんの本を読んだことがあったので、わりと軽い気持ちで読み始めたが内容はかなりしんどいものだった。

    ハルノブは人の中身が見たいと言っていたが、私たちのような読書するタイプの人間も結局人の中身が見たいのだと思う。

    涅槃(ニルヴァーナ)には辿りつかず、地獄を歩き始める本なので病んでる人は読まないで。

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    2024年08月02日
  • 朔が満ちる

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    とても良かった。
    テーマ重たいんだけど、文体も読みやすくてサクサク進む。
    子供の時はそれなりにふだれたりはあったけど、こういう本読むとやっぱり教育と暴力は違うよな、としみじみ思う。

    解説の早見和真さんも言ってたけど、最後の30数ページ、蛇足っちゃ蛇足だけど、あそこがあることで読後感はとてもよいしあれはあれであり。

    フィクション要素もあるはあるけど是非色んな人に呼んでほしい一冊。

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    2024年07月29日
  • 二周目の恋

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    深夜のスパチュラ
    なんか煮え切らない恋ってところが沁みた。男らしさを求めてしまうところは同じだな、毎度思うが綿矢りささんの小説に出てくる女は客観視してしまうほど過激。
    フェイクファー
    自分の中で思い出を消化し、少し客観的な立場で自分を見る主人公が少し羨ましい。
    海鳴り遠くに
    恋愛にタイミングは必要。ただ、わたしは肉体関係を生々しく描く作品はあまり得意としないと感じた。それだけで文章がドロドロに感じてしまう。

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    2024年07月15日
  • たおやかに輪をえがいて

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    私は今ニートでふとした事から彼女が出来ました。

    その折でこの小説に出会っています。
    ただ彼女というのも、好きよりセックスがしたいから作りました。
    主人公は、うじうじとしていて亭主関白の悪い所を凝縮したかのようです。

    自分の意見を言わずに腹に収める大人な対応。
    昔の自分みたいです。
    私には力がない、やりたい事もない、何もできない。
    そう思い込んでいました。

    今は、私は自分のしたい事を行える様になったんでしょう。私はセックスがしたいから彼女を作った。
    そこに負い目も引け目もありません。
    私は私の人生を生きるんです。
    男の社会は辛いものです。仕事が全て、競争社会、女よりできて当たり前。風に当て

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    2024年07月15日
  • 私は女になりたい

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    窪美澄さんの作品、久しぶりに手にした。
    美容皮膚科で院長をしている、赤澤奈美が主人公。
    夫と別れ、息子を育て、母の介護をして、仕事もこなす。
    パワーが半端なく必要だと思うが、やりがいのある仕事が支えるのか、わけあり14歳年下の彼が支えるのか!
    中盤かなり心苦しくなる状況もあったが、最終的には、仕事に賭けることが奈美を強くする。
    恋の再燃を感じさせるラストも良かった。

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    2024年07月14日
  • ぼくは青くて透明で

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    海と忍と、2人を取り巻く人達の目線から世界が描かれていく。
    正直、誰のこともあまり好きになれなかった。

    もちろん弱さは誰にでもあるし、それと向き合うことは辛いことだけれど、だからといって自分ばかりが大変だと思ったり、弱さを振りかざすのは違う。

    特に海の父親、緑亮が本当に無理で…。
    海に美佐子さんがいてよかった。

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    2024年07月14日