窪美澄のレビュー一覧

  • じっと手を見る

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    地方都市の男女の恋愛模様を描いているだけなのだが、なぜか読み続けてしまう。よくある男女関係の聞き飽きたトラブル。それでもストレスなく完読できたのは著者の文章ゆえだと思う。
    あえてありふれた不幸を描いたのでは、とさえ思える。退屈な人生をメリハリなく漂う登場人物たち。一方で紡ぐ文章は上手さを感じさせないほど乗り心地が良い。
    この著者はスキャンダラスな題材がウリのように思われているが、本質的には文体作家なのではないだろうか。

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    2026年02月03日
  • 宙色のハレルヤ

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    もうね、珠玉の短編集(6編)どれも沁みる。どれも胸に迫る。
    中でも最後の発達障害の紡(めっちゃ純粋で可愛い)を育ててるパート勤務の女性の過去結婚も考えてた男性との子どもたちを通しての再会と別れを描いた「雪が踊っている」
    まるで自分が追体験したかのような心持ちになった。
    マイノリティの恋愛も、高校生の夏休みにご飯を作りにきてくれる従姉妹のお姉さんの作る焼きそばもタコスもめっちゃ美味しそう。この男子高校生の陸の心情もめっちゃわかる。(彼女が親友とつきあい出した)
    あと、”パスピエ”これ”世にも奇妙な物語”になりそう。
    あの妖精みたいな猫みたいな中野さんが(ストーカーが怖いからと板倉くんの部屋に住み着いた)足の綺麗な小柄な中野さんが居酒屋の大将の奥さんで30歳だったなんてね。
    しかも何回もこうやって家出を繰り返してるらしい。
    板倉くんの束の間の夢のような生活だったね。

    ちなみに’””パスピエ”はドビュッシーの曲らしい。

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    2026年02月01日
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)

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    辛い描写が多く読むに耐えないのに、ページを捲る手を止められずに、夜更かしして一気読みしてしまった。
    かなり直接的な表現が出てくるけど、性と生の生々しさを伝えるのには必要な表現だったのかなと思う。

    悪い出来事もなかなか手放せないのならずっと抱えていればいいんです、そうすれば、オセロの駒がひっくり返るように反転する時が来ますよ。いつかね。

    この言葉の通り、登場人物達の人生も反転しますように。

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    2026年01月31日
  • アカガミ

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    よくあるテーマをリアルに恐ろしく描かれている。種の保存という意味では逆にエンタメなどがない時代へ戻ったみたいな感じ。

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    2026年01月30日
  • 宙色のハレルヤ

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    「海鳴り遠くに」「風は西から」が好きだった。恋愛小説集とあったけど、それもこれも恋愛なのか、とその広さに感心してしまう。普通なんてないのだと、自分の気持ちを伝えるのも隠すのも正解不正解ではないんだと言ってくれているよう。

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    2026年01月25日
  • タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース

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    「底辺」の団地なんだろうけど、そんな乱暴な言葉を使わずに話が進む、優しい話。みかげが生まれ直したように七海ちゃんも生まれ直せるといいな。

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    2026年01月22日
  • 宙色のハレルヤ

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    色々な恋の形の短編集。別荘暮らしの“海鳴り遠くに“と、老人と高校生が出てくる“赤く冷たいゼリーのように“が好きだったかな。“パスピエ“怖かった…。

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    2026年01月21日
  • 宙色のハレルヤ

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    短編集あるあるで、好きなのもあったけど、そうでもないのもありました。

    最近はLGBTQの小説も多いけど、この短編集にもあって、私は両方とも好きでした。

    中野さんがねー…
    イマイチ、よくわからなかったわー。

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    2026年01月20日
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)

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    登場人物それぞれが悩みを抱え、生きることに痛みや苦しみを感じながら、それでも小さな希望を探し生きていく物語。
    人それぞれ事情があってどうしようも立ち行かなくなり、過ちを犯してしまうこともある。みんな決して綺麗じゃない。清廉潔白な人などいない。
    犯した過ちだけを切り取って見てしまえば、人は嫌悪し、断罪してしまうかもしれない。しかしこの作品では、そうせざるを得なかった状況や心情が丁寧に描かれていて、読みながら「自分だったらどうしただろうか」と何度も考えさせられた。
    人は簡単に救われないし、きれいに立ち直れるわけでもない。それでも周りは関係を断ち切ろうとせず、側にいようとする。小さな世界の中で助け合って生きていく姿に、読後はどこか温かな気持ちが残った。

    やらかしちゃった卓巳君の写真を見ながらみっちゃんが言った、「ばかな恋愛したことない人なんか、この世にいるんすかねー」という言葉が、この物語を象徴しているようで、妙に心に残っている。

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    2026年01月19日
  • 夏日狂想(新潮文庫)

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    水本も片岡も礼子を痴女のごとく描いた。男から見るファム・ファタールと女から見るそれとでは描かれ方が異なるものだと思い知らされた。一見すると礼子は男をとっかいひっかいしただらしの無い女に見えなくはない。しかし全てを失ったのち文学というひとつの芸術に礼子は縋りつくことになり、それは書き手読み手両者の生きる希望となる。つまり礼子は新たな生き方を自分の力で見つけだしたと言える。礼子が愛した者達は皆いなくなってしまったが、亡き人を雲の下の者が救う手段は芸術による表現のみなのかもしれないと考えさせられた。

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    2026年01月18日
  • 二周目の恋

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    群を抜いて一番面白かったのは
    「深夜のスパチュラ」

    手先不器用&料理苦手族の方は大共感してくれると思う笑。

    双子の「兄弟以上恋人未満」の話だったり
    同性愛の話もあったりするので
    単調な「純粋な異性愛」の話だけじゃないのもおすすめポイント。

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    2026年01月18日
  • 夜に星を放つ

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    星や星座をモチーフにした短編集。
    感傷に浸りたい時に。

    どの物語も別れ・喪失がつきまとう。
    別れや喪失は「冷たい」イメージがあるけれど、どの作品もどこか「温かい」を感じられる。
    救いや小さな希望がある。
    単純な「悲しい話だった」ではなくて、切ないような、少し気持ちが温まるような、不思議な心持ちになりました。
    ゆっくり、大切に、眺めていたくなる一冊でした。

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    2026年01月10日
  • アニバーサリー

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    こんなおせっかいおばさん、なんてあったかいんだろう。窮地に自分が立っているのに、他人のことが頭に浮かぶ。一度きりのおせっかいなら誰でもできるが。

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    2026年01月01日
  • 二周目の恋

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    お気に入りの話
    1「カーマンライン」一穂ミチ
    2「最悪よりは平凡」島本理生
    3「海鳴り遠くに」窪美澄

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    2025年12月24日
  • 私は女になりたい

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    強烈に目を引くタイトル。
    目を引くということはどこか共感している自分がいるということで(それを恥ずかしいこととは思わないものの)自分の中にある普段見ないようにしている気持ちを覗くように読んだ。

    恋愛に年齢は関係ないとか、結婚はお金じゃないとか、綺麗事はいくらでも言えるけど、
    この本の中で起きることや葛藤は全く綺麗事ではなくて、うまくいかない痛みや、生活を守るために向き合う必要がある現実から目を逸らさせてくれない。
    それでいて愛することが人に与える輝きのとんでもなさも描いていて、少し都合のいいように感じるラストがわたしはとても好きでした。
    主人公は、同じ女性だから贔屓目にみてしまうのかもしれないけれど、必要以上に自分を責めているように感じたし、物凄く頑張っている人だと分かるからこそ報われて欲しいなという気持ちもあった。


    プロローグにある、
    ‘’時間というのは残酷だ。魂がちぎれる、とまで思った痛みすら、研磨して滑らかにしてしまう。‘’
    というこの表現がとても好き。窪さんの本は初めて読んだけれど、全体を通して文章がすっと流れ込んでくるようで読んでいて気持ちが良かった。

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    2025年12月24日
  • じっと手を見る

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    なんて生々しくて上質な作品。

    好きすぎました。
    ラストの文章を読んでじんわりと涙が出た。
    いい読書体験だったな、、、

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    2025年12月20日
  • やめるときも、すこやかなるときも

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    先月からパートナーと一緒に暮らし始めた。
    一ヶ月が経ち、お互いに体調を崩した。気候の変化や仕事の忙しさ、慣れない新生活。考えられる要因はいくつもある。
    けれど、ここ数年を一人で生きてきた者同士が一緒になるということは、それだけではないはずだ。相手の人生や、これまで抱えてきた背景を共に背負うこと。その「重み」が、疲れとなって身体に現れたのかもしれない。

    この本を読みながら、ふとそんなことを思った。
    主人公のように身体に異変が出るほど辛い過去の出来事はないけれど、誰かと生きていくことは、大なり小なり、今まで持っていなかった荷物を背負うことでもある。
    「この人の分なら、背負ってもいい」と思える相手に出会えることは、きっと幸せなことなのだろう。
    正直、そこまで深く考えてはいなかったけれど。この本が、そんな大切なことを教えてくれたような気がする。

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    2025年12月20日
  • ご本、出しときますね?

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    本好き芸人であるオードリー若林と小説家達とのトーク本。小説家であっても一人の人間。人の面白さから読みたくなった本が沢山ありました。
    書き手の面白さから本を手に取りたくなる一冊。

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    2025年12月16日
  • トリニティ(新潮文庫)

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    雑誌編集者で一時期共にした3人のそれぞれ違う生き様を描く。女性としての幸せとは、三者三様。専業主婦の幸せを選ぶ人、仕事に生きがいを持つ人、それぞれの道を懸命に生きる。3人が最後に残したもの、引き継がれるものとは。

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    2025年12月14日
  • よるのふくらみ

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    高校生くらいのときに一度読んでいて、その時はなぜだか難しかった。頭に入ってこなかった。だけど、最近同じ作者さんのアカガミという本を読んで、面白いと感じたのでこれは今どうだろう?と思って読んでみた。昔よりも文章がすんなりと入ってきて、ところどころ笑える場面もあった。当時よりも私自身たくさんの経験をしてたくさんのことを学んだからなのかなと思う。昔はあまり好きではなかったり、難解だったり、共感できなかったものが読み返すと逆になっている。それがまた小説の面白いところだな

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    2025年12月07日