窪美澄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
もうね、珠玉の短編集(6編)どれも沁みる。どれも胸に迫る。
中でも最後の発達障害の紡(めっちゃ純粋で可愛い)を育ててるパート勤務の女性の過去結婚も考えてた男性との子どもたちを通しての再会と別れを描いた「雪が踊っている」
まるで自分が追体験したかのような心持ちになった。
マイノリティの恋愛も、高校生の夏休みにご飯を作りにきてくれる従姉妹のお姉さんの作る焼きそばもタコスもめっちゃ美味しそう。この男子高校生の陸の心情もめっちゃわかる。(彼女が親友とつきあい出した)
あと、”パスピエ”これ”世にも奇妙な物語”になりそう。
あの妖精みたいな猫みたいな中野さんが(ストーカーが怖いからと板倉くんの部屋に住み着いた)足の綺麗な小柄な中野さんが居酒屋の大将の奥さんで30歳だったなんてね。
しかも何回もこうやって家出を繰り返してるらしい。
板倉くんの束の間の夢のような生活だったね。
ちなみに’””パスピエ”はドビュッシーの曲らしい。 -
Posted by ブクログ
登場人物それぞれが悩みを抱え、生きることに痛みや苦しみを感じながら、それでも小さな希望を探し生きていく物語。
人それぞれ事情があってどうしようも立ち行かなくなり、過ちを犯してしまうこともある。みんな決して綺麗じゃない。清廉潔白な人などいない。
犯した過ちだけを切り取って見てしまえば、人は嫌悪し、断罪してしまうかもしれない。しかしこの作品では、そうせざるを得なかった状況や心情が丁寧に描かれていて、読みながら「自分だったらどうしただろうか」と何度も考えさせられた。
人は簡単に救われないし、きれいに立ち直れるわけでもない。それでも周りは関係を断ち切ろうとせず、側にいようとする。小さな世界の中で助け合って生きていく姿に、読後はどこか温かな気持ちが残った。
やらかしちゃった卓巳君の写真を見ながらみっちゃんが言った、「ばかな恋愛したことない人なんか、この世にいるんすかねー」という言葉が、この物語を象徴しているようで、妙に心に残っている。 -
Posted by ブクログ
強烈に目を引くタイトル。
目を引くということはどこか共感している自分がいるということで(それを恥ずかしいこととは思わないものの)自分の中にある普段見ないようにしている気持ちを覗くように読んだ。
恋愛に年齢は関係ないとか、結婚はお金じゃないとか、綺麗事はいくらでも言えるけど、
この本の中で起きることや葛藤は全く綺麗事ではなくて、うまくいかない痛みや、生活を守るために向き合う必要がある現実から目を逸らさせてくれない。
それでいて愛することが人に与える輝きのとんでもなさも描いていて、少し都合のいいように感じるラストがわたしはとても好きでした。
主人公は、同じ女性だから贔屓目にみてしまうのかもしれないけれど、必要以上に自分を責めているように感じたし、物凄く頑張っている人だと分かるからこそ報われて欲しいなという気持ちもあった。
プロローグにある、
‘’時間というのは残酷だ。魂がちぎれる、とまで思った痛みすら、研磨して滑らかにしてしまう。‘’
というこの表現がとても好き。窪さんの本は初めて読んだけれど、全体を通して文章がすっと流れ込んでくるようで読んでいて気持ちが良かった。
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Posted by ブクログ
先月からパートナーと一緒に暮らし始めた。
一ヶ月が経ち、お互いに体調を崩した。気候の変化や仕事の忙しさ、慣れない新生活。考えられる要因はいくつもある。
けれど、ここ数年を一人で生きてきた者同士が一緒になるということは、それだけではないはずだ。相手の人生や、これまで抱えてきた背景を共に背負うこと。その「重み」が、疲れとなって身体に現れたのかもしれない。
この本を読みながら、ふとそんなことを思った。
主人公のように身体に異変が出るほど辛い過去の出来事はないけれど、誰かと生きていくことは、大なり小なり、今まで持っていなかった荷物を背負うことでもある。
「この人の分なら、背負ってもいい」と思える相手に出会えることは、きっと幸せなことなのだろう。
正直、そこまで深く考えてはいなかったけれど。この本が、そんな大切なことを教えてくれたような気がする。