窪美澄のレビュー一覧

  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)

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    後半、どんどん引き込まれていった。
    みんなみんな苦しくて、切なくて、優しい。
    それでも、来年の夏休みには、また偽3人家族で
    おばあちゃんの家を訪ねて行ってほしい。

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    2026年03月02日
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)

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    何を抱えていても、それがやっかいなものでも、そこに「いる」ということ。
    「生きる」と思わなくても、そこに「いる」ということ。
    思わぬ登場人物が、少し心を軽くしてくれることを言ってきた。

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    2026年03月02日
  • 宙色のハレルヤ

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    少しずつ噛み合っていなくて、どこかうまくいかない、様々な恋の形を描いた6編の短編集。

    「風は西から」
    はとこのご飯で立ち直る高校生のひと夏の青春。唯一爽やかな物語。

    「パスピエ」
    足が綺麗な中野さんが転がり込んできた板倉が、告げられたまさかのラストを迎える。彼のこの先が心配。

    「赤くて冷たいゼリーのように」
    自分を普通でないと隠して生きてきた高校清掃員が、いじめにあっている少年に出会う。かつて好きだった友人に重ね、心を通わせるが‥。抑え込んできた思いと、身動きの取れない苦しさ、もどかしさが、赤いゼリーの鮮やかで残酷なイメージに重なる。

    「雪が踊っている」
    不本意な別れを強いられた元彼との再会。声をかけてくる元彼に戸惑い、一方で互いの子供たちが仲良くなってゆく。だがここでの再会は途切れた過去の続きではない。白く儚い雪のイメージが美しい。

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    2026年03月01日
  • 夜空に浮かぶ欠けた月たち

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    読み終えた時、この本のタイトルがとても愛おしくなった。
    自分の弱さを認めたくないことも多い。どうしても完璧を目指してしまう。だけど、欠けていてもいい。ゆっくりでいい。ただ、自分を大切に、誰かと共に、生きていこう。そう思わせてくれる、優しい一冊だった。

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    2026年02月27日
  • 宙色のハレルヤ

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    ネタバレ

    いろいろな愛のかたちが描かれた短編集。
    同姓愛や、淡い恋…過去に思いを馳せたり、戻ってこない恋を慈しんだり。
    窪先生の恋に対する“どうしようもない想い”を詰め込んだ物語たちは、今回も私も胸に刺さりまくった。

    『海鳴り遠くに』
    夫と死別し、ひとり夫の海沿いの別荘に住む恵美。そこで出会ったのは、隣に一時的に越してきた絹香。恵美は絹香と出会うことで、再び女性を愛するという自分の性を自覚するも、困惑を隠せずにいて…
    ドラマチックなラストに胸がときめいた作品。

    『風は西から』
    母子家庭で育った陸。そんな彼の日常に突然現れたはとこの桃子。陸は元カノを親友にとられたり、桃子との突然の出会いで困惑するも、少しずつ桃子に心情を吐露していくことで少年らしい爽やかな成長を遂げていく。

    『パスピエ』
    いつもの居酒屋さんで出会ったのは、足がとてもキレイな中野さん。風変わりな彼女とひょんなことから付き合うことになった板倉だが、彼女にはとてつもない秘密があった…複雑なラストに胸がザワザワした。

    『赤くて冷たいゼリーのように』
    私立高校の清掃員をしている宏。そこでいじられていた男子高校生結を救ってから、ふたりは街中で遭遇し交流を重ねていく。そして結と交流するなかで、宏は亡き幼なじみを思い出し胸を焦がしていく。ラストに待ち受けるふたりの別れは切なかったなぁ…

    『天鵞絨のパライゾ』
    短い交際期間を経て結婚した私とY。しかしすれ違い続けたふたりは離婚することに…その後私は堕落し、友だちのユーシェンに助けられながら、何とか元気を取り戻していく。この世界を、周りの人たちを愛しいと思えた作品。

    『雪が踊っている』
    息子の友だちの親がかつての元彼だった。元彼とは、彼の親から結婚の許しが得られず破局することになった経緯があり、複雑な心境を抱える弥生。そんな彼女の思いとは裏腹に親交を深める子どもたち。過去の恋傷を引きづりながら、必死に今の自分と向き合い続ける弥生の姿に共感しっぱなしだった。雪のキレイさと儚さが相まって、美しい話だった。

    特に好きな作品は、冒頭2作品。
    ひとそれぞれ愛のかたちは違っていて、嬉しかったり苦しかったり、決していいことばかりではないけれど、やはり誰かを愛していたいなぁと今回も窪先生に教えてもらった。
    次はどんな愛のかたちを描いてくれるのか、今からとても楽しみだ。

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    2026年02月24日
  • 宙色のハレルヤ

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    恋愛小説集。
    人を好きになるのって辛いなーキツイなーって思わされる話が多かったです。でも、読んでいて嫌な気持ちになる訳ではなく。過去の恋愛で感じたやるせなさとか悔しさとかそういう気持ちが昇華されるようなそんな読後感でした。
    特に「天鵞絨のパライゾ」は、登場人物の一人が主人公に「そういうふうに巻き込まれてしまうことがあるでしょう。自分ではどうしようもないことに」というセリフに救われた気持ちになりました。好きになってもどうしようもなく上手くいかない恋愛はあって、それは自分が悪い訳ではないんだよと言われたような気持ちになりました。

    他にも、両親の離婚後積極的に家事を分担する高校生の主人公が付き合っている女子からの言葉で心のバランスを崩しかけたとき、はとこが家にやって来る「風は西から」と、定年退職後学校の清掃の仕事をする主人公の男性が学生時代に好きだった同級生の男子と似た少年と出会う「赤くて冷たいゼリーのように」が好きでした。

    どの話も、主人公は失恋後明るく前向きに…という訳にはいかず、割とベソベソ泣いて未練タラタラなのですが、それでも頑張って生きていこうとする姿がとても眩しく感じました。

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    2026年02月23日
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)

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    最後まで救いがあるかないかわからないまま読み進めていたけど、すっきりした終わり方だった。章ごとの重さとか過去へのやり切れなさは残りつつ、出てきた人たちが前を向く力を獲得できてよかった。若者はこんなふうにたくましく生きてほしい。
    二十歳くらいのときに読んでたらもっと感情がぐちゃぐちゃになってたかも。

    性欲というやっかいで小さなたまごは、あたしのなかですでに孵化していて、それがたまごっちみたいに成長していくことを、あたしはそのときまだぜんぜんわかっていなかった。p.146

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    2026年02月23日
  • 水やりはいつも深夜だけど

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    重松清の世界を窪美澄が描いたら、という印象の短編集。新興住宅地の子育て主婦やステップファミリーの一員になってしまった女子高生など、一見すると裕福で満たされたように見える家族のしんどさが描かれている。
    毒もある。それぞれの孤独も沁みだしている。
    今すぐ死にたいような悩みではないが、一生緩解することのない病にかかってしまったようなしんどさ。
    それでも本作の登場人物たちの結末は希望を感じさせる。


    セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。
    仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。
    自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。
    出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。
    父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。

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    2026年02月18日
  • 私は女になりたい

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    引き込まれて一気に読んだ。

    いくつになっても恋をしたいし、女でいたいと思う。
    でも、女でいることをあきらめたり、女性性を出してはいけない場面もあるし、自分の思いだけで居られないのって苦しい。
    立場を守って全てを失った主人公は強いなって思った。
    最後は希望が見えてよかった。

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    2026年02月11日
  • 夜に星を放つ

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    死に別れた孤独、一緒にいるのに気持ちが遠い孤独、いろいろな孤独に寄り添うように星は輝く。
    ハッピーエンドではないけど、何かシンボルに思いを吐露することで少し前を向けているのが暖かく感じた。

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    2026年02月09日
  • 宙色のハレルヤ

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    短編集であるけど、どれも良かった。恋愛も色々な形があり、何がよくて何が悪いと言うことではない。自分の心の中で蓋をして次の1歩踏み出すことが大事と思う。いろいろとあるけど、新しい人生の始まりでもある。

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    2026年02月05日
  • じっと手を見る

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    地方都市の男女の恋愛模様を描いているだけなのだが、なぜか読み続けてしまう。よくある男女関係の聞き飽きたトラブル。それでもストレスなく完読できたのは著者の文章ゆえだと思う。
    あえてありふれた不幸を描いたのでは、とさえ思える。退屈な人生をメリハリなく漂う登場人物たち。一方で紡ぐ文章は上手さを感じさせないほど乗り心地が良い。
    この著者はスキャンダラスな題材がウリのように思われているが、本質的には文体作家なのではないだろうか。

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    2026年02月03日
  • 宙色のハレルヤ

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    もうね、珠玉の短編集(6編)どれも沁みる。どれも胸に迫る。
    中でも最後の発達障害の紡(めっちゃ純粋で可愛い)を育ててるパート勤務の女性の過去結婚も考えてた男性との子どもたちを通しての再会と別れを描いた「雪が踊っている」
    まるで自分が追体験したかのような心持ちになった。
    マイノリティの恋愛も、高校生の夏休みにご飯を作りにきてくれる従姉妹のお姉さんの作る焼きそばもタコスもめっちゃ美味しそう。この男子高校生の陸の心情もめっちゃわかる。(彼女が親友とつきあい出した)
    あと、”パスピエ”これ”世にも奇妙な物語”になりそう。
    あの妖精みたいな猫みたいな中野さんが(ストーカーが怖いからと板倉くんの部屋に住み着いた)足の綺麗な小柄な中野さんが居酒屋の大将の奥さんで30歳だったなんてね。
    しかも何回もこうやって家出を繰り返してるらしい。
    板倉くんの束の間の夢のような生活だったね。

    ちなみに’””パスピエ”はドビュッシーの曲らしい。

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    2026年02月01日
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)

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    辛い描写が多く読むに耐えないのに、ページを捲る手を止められずに、夜更かしして一気読みしてしまった。
    かなり直接的な表現が出てくるけど、性と生の生々しさを伝えるのには必要な表現だったのかなと思う。

    悪い出来事もなかなか手放せないのならずっと抱えていればいいんです、そうすれば、オセロの駒がひっくり返るように反転する時が来ますよ。いつかね。

    この言葉の通り、登場人物達の人生も反転しますように。

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    2026年01月31日
  • アカガミ

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    よくあるテーマをリアルに恐ろしく描かれている。種の保存という意味では逆にエンタメなどがない時代へ戻ったみたいな感じ。

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    2026年01月30日
  • 宙色のハレルヤ

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    「海鳴り遠くに」「風は西から」が好きだった。恋愛小説集とあったけど、それもこれも恋愛なのか、とその広さに感心してしまう。普通なんてないのだと、自分の気持ちを伝えるのも隠すのも正解不正解ではないんだと言ってくれているよう。

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    2026年01月25日
  • タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース

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    「底辺」の団地なんだろうけど、そんな乱暴な言葉を使わずに話が進む、優しい話。みかげが生まれ直したように七海ちゃんも生まれ直せるといいな。

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    2026年01月22日
  • 宙色のハレルヤ

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    色々な恋の形の短編集。別荘暮らしの“海鳴り遠くに“と、老人と高校生が出てくる“赤く冷たいゼリーのように“が好きだったかな。“パスピエ“怖かった…。

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    2026年01月21日
  • 宙色のハレルヤ

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    短編集あるあるで、好きなのもあったけど、そうでもないのもありました。

    最近はLGBTQの小説も多いけど、この短編集にもあって、私は両方とも好きでした。

    中野さんがねー…
    イマイチ、よくわからなかったわー。

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    2026年01月20日
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)

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    登場人物それぞれが悩みを抱え、生きることに痛みや苦しみを感じながら、それでも小さな希望を探し生きていく物語。
    人それぞれ事情があってどうしようも立ち行かなくなり、過ちを犯してしまうこともある。みんな決して綺麗じゃない。清廉潔白な人などいない。
    犯した過ちだけを切り取って見てしまえば、人は嫌悪し、断罪してしまうかもしれない。しかしこの作品では、そうせざるを得なかった状況や心情が丁寧に描かれていて、読みながら「自分だったらどうしただろうか」と何度も考えさせられた。
    人は簡単に救われないし、きれいに立ち直れるわけでもない。それでも周りは関係を断ち切ろうとせず、側にいようとする。小さな世界の中で助け合って生きていく姿に、読後はどこか温かな気持ちが残った。

    やらかしちゃった卓巳君の写真を見ながらみっちゃんが言った、「ばかな恋愛したことない人なんか、この世にいるんすかねー」という言葉が、この物語を象徴しているようで、妙に心に残っている。

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    2026年01月19日